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森谷俊之

LibRu代表取締役

個人・小規模事業者向けのマーケティング・ブランディングのコンサルタント/セールスコピーライター

経営者の3つの課題「お金がない、時間がない、人材がない」は、シンプルな仕組みで解決できます。集客から販売までを自動化して、ビジネスを成長させていくための仕組み構築を支援します。

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4P分析のやり方とコツを事例を交えて分かりやすく解説!

  • 「4P分析」をどう進めればいいのかわからない
  • 「4P分析」って何のためにするの?目的を知りたい
  • 「4P分析」をおこなう時のポイントやコツを知りたい

マーケティング戦略を立案、実行するときに使うフレームワークが「4P分析」です。

聞いたことはあっても具体的にどうやって進めていいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。

簡単に説明するとターゲット層に「どんな商品」を「どうやって届けるのか」「いくらで提供するのか」「どうやって認知してもらうか」を4つの要素に分けて分析し、市場やニーズ、自社の問題点を明らかにする目的で行われるマーケティング戦略の一つです。

ここでは、その4つの分析要素や、4P分析を行う際のポイントやコツ、身近にある3つの企業の事例など、わかりやすく解説していきます。

それぞれの4つの要素を深掘りしていくのに必要な情報を効率よく見つけることができ、より有効な戦略を導くことができるようになりますよ。

記事の後半では、4P分析とあわせて使えるマーケティング戦略のフレームワークについても紹介しているのでぜひ、参考にしてみてくださいね。

目次

4P分析とは?

4P分析とは、マーケティング戦略の立案・実行する際に用いられるフレームワークのひとつです。
「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」の頭文字をとって、4P分析と呼ばれています。

4P分析は「マーケティングミックス」とも呼ばれ、企業視点でマーケティング戦略を立案・実行するために必要なフレームワークという位置づけです。

  • Product:どのような商品/サービスか
  • Price:その商品/サービスをいくらに設定するのか
  • Place:その商品/サービスをどうやって流通させ、どこで売るのか
  • Promotion:その商品/サービスをどうやって販売促進していくのか

企業視点でこの4つの要素を分析し「どんな商品をいくらで売るのか」「どうやって流通させ、どこで売るのか」「どうやって顧客に認知していくのか」という戦略を具体的に立てていきます。

また、この4つの要素は互いに作用し合っています。

たとえば、何10万円もする高価なアクセサリー(Product)はスーパー(Place)で売っていません。

なぜならスーパーに買い物に来る人は、食料品や日用品といった日常的に必要な商品をできるだけ安く買いたいと思っているからです。

このような安いものが求められている場所では、高価なものは売れません。

高価なアクセサリーを販売するのなら、百貨店や宝石店といった高級感のある場所がふさわしいのです。

つまり4つの要素に整合性を持たせることも大事というわけですね。

このように4つの分析要素は企業のマーケティング戦略において、どれも欠かせない要素となっています。

4P分析をおこなう目的と効果

4P分析は、「マーケティング戦略をおこなう方法を明確にする」という目的があります。

一つ一つの要素を分析することで、顧客の手元に商品やサービスが届くまでの方法が具体的にイメージできるようになるからです。

たとえば、子どもをターゲットとしたお菓子を新しく販売しようとした場合、最も大事なのはターゲットに受け入れられるデザインなのか、価値があるものなのかという点です。

また、このお菓子は親に買ってもらうのか、自分のお小遣いで買うのかで設定する価格や販売する場所、PR方法は大きく異なりますよね。

こうして4つの要素をこまかく分析していけば、狙った顧客に商品を届ける方法が明確になり、マーケティング戦略の見通しを持てるようになるというわけです。

このほかにも4P分析には、今後売り上げを伸ばしていきたい商品に対して、より有効な戦略を導く効果があります。

もし「伸び悩んでいる商品の売り上げを伸ばしたい」など現状を改善したい場合は、4つの要素に整合性が取れているのか、確認するようにしましょう。

各要素のバランスが崩れると矛盾が生じ、自社の商品やサービスの何が悪かったのか、どこに無駄があるのかといった問題点や改善点が浮き彫りになります。

このように、定期的に4P分析をおこなうことで、大きな問題が起きる前に問題点や改善点を洗い出せば、現状を改善できますよ。

成功に導く4P分析のやり方

マーケティング戦略において4P分析は、すでに想定したターゲット層や自社の強みなどを考慮しながらProduct」「Price」「Place」「Promotion」の順番で進めていくのが一般的です。

この4つの要素を分析し、ターゲットに商品を購入してもらうための戦略や現状を改善するための戦略をたてていくことになります。

ここではそれぞれの要素をどんな視点で考えていくのか、その分析ポイントをご紹介していきますね。

【PRODUCT】商品・サービスの分析ポイント

ここでの商品・サービスとは、商品名からデザイン、付随するサービスや保証にいたるまでをいいます。

Product(商品・サービス)」の分析ポイントは3つです。

  • 商品・サービスの強みはどこなのか?
  • 競合と自社の商品・サービスを比較してみてどうなのか?
  • 商品・サービスはターゲットのニーズを満たしているのか?

商品、サービスは企業にとって大事な収入源となるので、細部にわたるまでしっかりと分析していきましょう。

PRODUCT:商品・サービスの強みを分析

まずは、自社の商品・サービスの強みはどこにあるのかについて分析しましょう。

自社の製品の優れているところやアピールポイント、購入した人の口コミなどからどこが強みなのかを明らかにしていきます。

強みが明らかになると、同時に自社の商品やサービスの弱みも浮き彫りになりますよね。

この弱みを知ることも分析では大事なことです。

自社の商品・サービスの弱い部分を知ることで、弱い部分を強化したり、弱みを強みとしてアピールしたりといった戦略も立てられるようになります。

PRODUCT:競合との比較

次に、競合相手の商品・サービスとどこが違うのか、どこが劣っているのか、優れているのかを考えてみましょう。

なぜなら、競合相手の商品・サービスとの比較をすることで、自社の商品・サービスのニーズと問題点が明らかになるからです。

ニーズがわかればその部分を重点的に強化し、競合との差別化が図れるようになりますよ。

また問題点はそのまま改善すべき点として、対策がとれるようになります。

競合企業と比較することは、よりよい商品やサービスを顧客に提供するために欠かせないポイントです。

PRODUCT:ターゲットのニーズは満たしているか

最後に、自社の商品やサービスがターゲットのニーズを満たしているのかについて考えます。

ターゲットのニーズに合っていないと購入してもらえないので、売り上げにつながりません。

そのため、自社の商品やサービスに対して顧客が何を求めているのかをしっかりと把握する必要があります。

たとえば、「どんな大きさや色がよいのか」「どんなデザインが好まれるのか」など商品やサービスにどんな特徴が必要なのかということです。

ターゲットのニーズは多岐にわたります。

ですのでターゲットのニーズやウォンツを明らかにして、ターゲットに必要だと思われる商品・サービスにしていくため、しっかり分析していきましょう。

【PRICE】価格の分析ポイント

自社の商品・サービスをいくらに設定するのかを考えていきます。

Price(価格)」を設定するときに考えるべきポイントは3つ、「利益」「需要」「競合」という視点から考えることが大切です。  

  • 現在の設定価格で採算が取れるか?
  • 顧客にとって適正な価値なのか?
  • 競合との価格を比較してみてどうなのか?

コストに対して採算がとれるかということだけでなく、顧客が妥当だと感じられる適正な価格を設定しましょう。

PRICE:採算が取れるか

利益が得られない価格設定では会社が経営に行き詰ってしまうため、まずは設定した価格で採算が取れるのか、利益がどのくらい出るのかについて試算してみましょう。

商品やサービスを作って販売するためにはコストがかかります。企業としては利益を出さなければ経営は成り立ちません。

だからといって、利益を過剰に上乗せすれば当然会社の収益は上がりますが、価格が高くなりすぎて売れなくなってしまう危険性があります。

逆に、価格を下げて利益を少なくすれば商品は売れるかもしれませんが、採算が取れなくなってしまう可能性があります。

コストにどのくらい利益を上乗せすれば安定して採算が取れるのか、いろいろなバリエーションで試算する必要があるのです。

PRICE:顧客にとっての価値

次に、自社の商品・サービスの価格が顧客にとって適正な価値なのかを考えてみましょう。

対象となる商品やサービスに対して顧客の価値と企業の価格が釣り合っていなければ、買いたいと思ってくれないからです。

誰しも、買い物をするときにはかならず値段を確認しますよね。顧客は、自分の価値と価格が妥当なのかを判断しているのです。

そのため、顧客が買いたい、買ってもよいと感じられる価格を設定しなければなりません。

PRICE:競合との価格の比較

同じような性能の商品であれば、あえて高いものを買う人はいないですよね。

そのため自社の商品・サービスの価格は、競合相手の価格を参考にして設定する必要があります。

自社の商品・サービスの価格が、競合相手の価格と比べて高すぎた場合、売れなくなってしまうからです。

商品・サービスには適正な価格というものがあります。

自社の商品やサービスの価格と競合相手の価格を比べ大きくかけ離れていないか確認しておきましょう。

【PLACE】販売方法の分析ポイント

どんなによい商品・サービスでも、顧客が必要な時に販売することができなければ売り上げにはつながりません。

そのため「Place(販売方法)」では、商品・サービスをどこで売るのか、どのように流通させるのかを考えていきます。

「Place(販売方法)」の分析ポイントは販売場所と流通経路の2つです。

  • 自社の商品・サービスをどこで売るのか?
  • サービスを届けるまでの長さはどのくらいなのか

この2点に絞って顧客の手元に確実に届ける流通経路と販売方法を分析していきましょう。

PLACE:どこで売るのか

まずは、自社の商品・サービスをどこで売るのかを考えてみましょう。

商品・サービスにはそれぞれ特徴があります。

コンビニで売るのか、百貨店で売るのか、ネット販売するのか、商品やサービスによって適切な販売場所があります。

たとえば、ティッシュなどの日用品を買うために、高級ブランドが立ち並ぶ百貨店にわざわざ出向く人はいませんよね。

多くの人は必要なときに手早く買いたいため、スーパーやコンビニ、ドラッグストアといった利用しやすい店舗で購入することがほとんどです。

このようにその商品の特徴にあった販売場所でなければ売り上げは伸びません。

顧客の利便性なども考慮したうえで商品・サービスの特徴を生かした販売場所を考える必要があります。

PLACE:サービスを届けるまでの長さ

次に、自社の商品・サービスを顧客に届けるまでの長さを分析してみましょう。

顧客の手元にできるだけ早く商品・サービスを届けるには、効率的に流通させる必要があるためです。

どこに倉庫があるのか、仲買人がいるのかによって、顧客に届くまでの長さが変わってきます。

それに中継ポイントや仲買人が多いと、顧客に商品やサービスが届くまでに多くのコストがかかってしまいます。

そのため、自社の商品やサービスや顧客の特徴を考慮し、どこに倉庫を構えるのが適切か、本当に倉庫は必要なのか考えることが大切です。

また、販売する店舗の場所をどこにするのかも重要です。

売る商品にもよりますが、例えばコンビニの場合、多くの人の往来がある駅前にあれば、通勤、通学の際手軽に商品を手に取ってもらえる可能性が高くなります。

店舗を持たないネット販売の場合は、販売元から顧客にダイレクトに届けられることが多いため、顧客に届くまでの長さが短い、つまり時間がかかりません。

このように数ある販売経路から、自社の商品やサービスを利用してもらいたいターゲットの手が届きやすい場所を選ぶ必要があるのです。

【PROMOTION】販売促進の分析ポイント

Promotion(販売促進)」は顧客にどうやって自社の商品・サービスを認知してもらうかということです。
販売促進はやみくもに商品・サービスをPRしていくだけでは効果がありません。

「商品やサービスをどの媒体でPRするのか?」「商品・サービスの強みをどのように発信するか?」など具体的にどこでどんなプロモーションをかけるのか絞り込んでいきます。

商品・サービスや顧客によってPR方法を使い分け、顧客に確実に知ってもらえるような販売促進方法を考えていきましょう。

  • どの媒体でPRするのか
  • 商品・サービスの強みをどのように発信するか

PROMOTION:どの媒体でPRするのか

自社の商品・サービスをPRするとき、どういった手段で行うのかは重要です。

どういった媒体を使うかで、ターゲットへの響きやすさが違うからです。

テレビCM、新聞広告、チラシ、情報誌、SNS、ネット広告、メルマガなどPRする媒体はたくさんあります。

その中から、ターゲットに届きやすい媒体を使わなければ、商品やサービスを認知してもらえないというわけです。

たとえば、スマホを使いこなす世代をターゲットにした商品をPRするにSNSは効果的ですが、新聞広告では効果が出にくいでしょう。

しかし、70代以上の年配の層をターゲットとした商品の場合は、SNSよりも新聞広告の方が有効です。

このように自社の商品・サービスをターゲット層に確実に認知してもらうために、その層に合った有効な媒体を見極める必要があります。

PROMOTION:商品・サービスの強みをどのように発信するか

次に、自社の商品・サービスの強みをどのようにPRしていくかについて考えましょう。

顧客に他社の商品・サービスよりも魅力的であることを分かってもらうためです。

顧客にとっては、同じような性能の商品は違いが分かりにくいものです。

そのため、自社の商品・サービスの強みや優れているところ、他社との違いを分かりやすく示す必要があります。

わかりやすく自社の商品やサービスの魅力を伝えるには、他社にはないメリットやベネフィットを具体的に伝えるのが効果的ですよ。

例えばファミリー向けの車をPRする場合は、性能や燃費といった機能面ではなく、

「車内は広々とした空間で足が伸ばせる。だから疲れることなく、家族みんなで1日中ドライブが楽しめる」

といった顧客にとってベネフィットの部分を強調して発信をするなどの工夫が必要です。

そうすることで、他社との差別化ができ、自社の商品やサービスの認知につながります。

【事例で解説】企業の事例からみる4P分析のポイント

4P分析のポイントを理解したうえで、ここからは「ユニクロ」「ニトリ」「スターバックス」3つの企業の事例を4P分析していきます。

この3つの企業は、マーケティングで大きな成功をおさめ、誰もが知る有名な企業で現在も成長を続けています。

これから4P分析をおこなうのであれば、成功を収めている企業の事例は参考になりますよ。

それではそれぞれの企業がどのようなマーケティング戦略をとってきたのか4P分析で見ていきましょう。

事例①ユニクロの4P分析

まずは、「ユニクロ」を例にして4P分析をおこなっていきます。

ユニクロと言えば、ファストファッションの先駆け的な存在の企業です。

1984年にユニクロ第一号店をオープンした後は着実に成長し続け、今では世界各地へ進出するまでになりました。

それぞれ4つの要素に分けて分析を進めていきます。

ユニクロの【PRODUCT】

ユニクロは、「ライフウェア」というコンセプトに基づき、「究極の普段着」にこだわった商品をそろえています。

ユニクロの服といえば、シンプルなデザインで高品質なのが特徴ですよね。

どんなシーン、どんな服とでも相性良く、肌触りもいいので大人から子供まで幅広い年齢層の人たちが愛用しています。

また、「ヒートテック」や「エアリズム」「ウルトラライトダウン」などをイメージする人も多いですよね。

このような機能性が高い商品を多く開発しているため、他社との差別化も図れています。

ユニクロの【PRICE】

ユニクロは品質にこだわりつつも、低価格で提供し続けています。

どのターゲット層も買い求めやすい価格設定なので、特にこだわりがなければ家族全員分まとめて買っても安心な価格です。

また、期間限定価格を設けたり、感謝祭などのイベントで大々的に値引きをしたりと、より安く購入できる機会が多くあります。

ユニクロの【PLACE】

ユニクロは日本全国に店舗があり、国内店舗数は802店です。(2022年2月末時点)

郊外型で駐車場付きの店舗やショッピングモール、都市部の駅ビルなど、気軽に寄れる場所に多く出店しています。

また、中国大陸を中心に海外進出をしており、海外店舗数は日本よりも多い1,545店(2022年2月末時点)となっています。※1

ユニクロの服は世界でも需要が高いのがよくわかりますね。

店舗だけでなくオンラインストアでの販売も強化しています。

例えば、S~XLまでの通常のサイズ展開以外にも、オンラインストア限定でSサイズよりも小さいXSや、XXL〜4XLといったゆったりサイズまで幅広く取り扱っており、店舗との差別化を図っています。

(※1)FAST RETAILING「グループ店舗一覧」

【PROMOTION】

ユニクロは誰もが知っているスポーツ選手や有名な俳優・タレントを起用し、「動きやすさ」「暖かさ」「涼しさ」といった機能性や商品の特徴を分かりやすく伝えるテレビCMでおなじみですよね。

また、夏は「エアリズム」や「リラコ」、冬には「ヒートテック」や「ウルトラライトダウン」といったその季節に一番売りたい商品に絞り、プロモーションをおこなっています。

CMのほかにも新聞の折り込みチラシやWeb広告、SNSなど幅広いターゲットに合わせたさまざまなメディアを活用しています。

ユニクロの4P分析ポイント

ユニクロの企業ポイントは「企画/計画/生産/物流/販売」までを自社でおこなっているところです。

そのため、品質にこだわりながらも、商品を低価格で提供することができます。

また、ユニクロは顧客からの要望や情報をカスタマーセンターで集約し、分析をおこなっています。

顧客の意見を直接取り入れる仕組みを作ることで、顧客のニーズがリアルタイムで把握しやすいのです。

この仕組みを生かして顧客のニーズをいち早く取り入れ研究開発に役立てた結果、ヒートテックのような代表的な商品を生み出すことに成功しました。

ユニクロはこのようにして、他社にはないユニクロ独自の商品を生み出すことができているのです。

事例②ニトリの4P分析

次に、家具や生活雑貨を販売している「ニトリ」を例にして、4P分析をおこなっていきます。

ニトリと言えば、「お、ねだん以上」というキャッチフレーズがすっかり定着していますよね。

ニトリは、1967年に北海道で創業した似鳥家具店がはじまりです。

以降、北海道を中心に展開し続けてきましたが、現在は全国展開しており多くの地域でニトリの商品を手に取ることができます。

ニトリの【PRODUCT】

ニトリで扱う商品は、ほとんどが独自ブランドの商品です。

家具全般から寝具、カーテン、食器といった生活雑貨や家電製品まで、幅広く網羅しています。

また、ニトリは「ノックダウン生産」を採用しています。

ノックダウン生産とは、海外で生産される原材料を輸入し、ニトリが組み立てやデザインするという生産方式です。

そのため、ニトリ独自のデザイン性のある家具を低コスト高品質で生産でき、それが競合との差別化にもつながっています。

ニトリの【PRICE】

ニトリはデザイン性が高く、洗練された商品を低価格で提供しています。

大型家具も、ノックダウン生産でコストをおさえているため、買い求めやすい価格設定です。

また、「すぐに使える寝具6点セット」や「鍋・フライパン9点セット」など、生活に必要な商品をまとめて販売しています。

ニトリの【PLACE】

ニトリは、店舗での販売のほかにオンラインでも販売をおこなっています。

郊外型の駐車場付き大型店舗を中心に展開しており、国内店舗数は801店です。(2022年2月20日時点)

また、中国や台湾を中心に海外進出をしており、海外店舗数は93店です。(2022年2月20日時点)※2

ニトリでは店舗の場所によって商品のラインナップを替えています。

車で来店しやすい郊外型の店舗では、ベッドやソファーといった大型家具だけでなく、家電や寝具、食器などの生活雑貨まで幅広い商品を取り扱っています。

多少大きめの商品でも購入してそのまま持ち帰れるので、新生活ですぐ使いたい必要なものが全てそろいます。

一方大型店舗のイメージが大きいニトリですが、「新宿タカシマヤタイムズスクエア店」などの都市部にも進出しています。都市部の店舗では敷地が狭く車で来店する人も少ないので、キッチン用品や洗濯用品など、持ち帰りしやすいサイズの生活雑貨がメインです。

このように店舗の場所によってどんな人がどんな商品を求めているのか、その周辺の人のライフスタイルを店舗の品ぞろえに生かしています。

流通は自社だけでおこなっており、物流にかかるコストを抑えています。

(※2)ニトリホールディングス「数字で見るニトリ」

ニトリの【PROMOTION】

ニトリと言えば、「お、ねだん以上」というキャッチフレーズが定着しています。
これは、テレビCMでの宣伝効果です。

CMのほかには、新聞の折り込みチラシや新聞広告を使い、ファミリー層をターゲットにしたプロモーションをおこなっています。

また、公式サイトではバーチャルショールームでニトリがコーディネートしたおしゃれな部屋を紹介するなど、これから1人暮らしを始める学生や新社会人といった若い世代に絞ったプロモーションにも力を入れています。

ニトリの4P分析ポイント

ニトリの4P分析ポイントは、「お、ねだん以上」というキャッチフレーズが幅広い層で認知されているように、低価格、高品質を看板にプロモーションをおこなってきたところです。

このキャッチフレーズの通り、ニトリは高品質なものを低価格で提供できることが強みとなっています。

なぜなら、組み立て・デザインから流通・販売まで、すべて自社で完結できる仕組みをもっているからです。

また、ニトリは店舗の商品配置にもこだわっています。家具や家電を実際の部屋に見立ててディスプレイし、「トータルコーディネート」を体感してもらうことで消費者の購入意欲を高めています。

ニトリに行けば、新生活を始めるための家具一式がそろえられるといったイメージを定着させたことも強みです。

ニトリは「住まいの豊かさ」を実現していくことを目標としています。

この目標のとおり、ニトリは高品質な商品・サービスを買い求めやすい価格で提供するという努力を続けている企業です。

事例③スターバックスの4P分析

最後に、世界中で展開しているコーヒーチェーン店である「スターバックス」を例にして4P分析をおこなっていきます。

スターバックスは、アメリカのシアトルで1971年に創業しました。

1996年に日本に初進出し、首都圏や都市部を中心に展開し続けてきました。

今では全国各地でスターバックスのコーヒーを楽しむことができるようになるほど、急成長した企業です。

スターバックスの【PRODUCT】

世界各地に店舗があるスターバックスですが、国によって商品のバリエーションが異なります。

たとえば日本では、抹茶を使った商品や各地の特産品を使った商品が多いですよね。

また、日本人ではショートサイズという日本独自の小さめのサイズがありますが、海外ではショートサイズは存在しません。

ですが、日本とは逆で1リットル近くもある大きな「トレンタ」というサイズが販売されています。

コーヒーの品質にこだわりつつも、その国の味覚や好みに合わせてカスタマイズしてニーズを満たしているのです。

これに加え、コーヒーに合うスイーツやパンといったフード、タンブラーなどのオリジナルグッズも充実させています。

スターバックスの【PRICE】

スターバックスは、国内のコーヒーチェーン店より高めの価格設定になっています。

コンビニではブラックコーヒーが100円台で買えるにもかかわらず、スターバックスのドリップコーヒーの価格は3倍以上です。

これは「スタバ」というブランドを守るための戦略とも言えますね。

高いといわれるスターバックスですが、ドリップコーヒーを購入した当日に限り、2杯目のドリップコーヒーを100円台で提供するなど、再度来店してもらうための導線も確保しています。

これは酸化が早いコーヒーを無駄なく消費することにつながり、店側は利益を、客側はお得感をそれぞれ得られ、価格面で双方にとって良い効果をもたらしています。

スターバックスの【PLACE】

スターバックスの日本1号店は、銀座です。

銀座を1号店に選んだ理由は、スタイリッシュで高級感のある雰囲気で本格的なコーヒーが楽しめるというイメージを確立するためでした。

その後もスターバックスは、高級感のあるブランドイメージを壊さないような場所に出店していき、確立した「スターバックス」という雰囲気を大事にしています。

現在は都市部や主要な駅、地方都市だけでなく、ショッピングモールなどにも展開しています。

国内店舗数は1,704店です。(2022年3月末時点)※1

(※3)スターバックスジャパン「会社概要」

スターバックスの【PROMOTION】

スターバックスはCMや宣伝広告を一切おこなっていません。にもかかわらず、ティータイムには行列ができていますよね。

プロモーションは大々的におこなわず、店頭の看板や口コミで顧客の関心を引き付けています。

あえて派手にプロモーションをしないことも、スターバックスのブランドイメージを守るためだからです。

こうして、ブランドの価値を高め「スタバのコーヒーが飲みたい」というブランディングにも成功しています。

また、顧客が自分のタンブラーを持ち込んだり、当日の2杯目をオーダーしたりする場合は安く提供するなど、リピーターを大事にした取り組みもおこなっています。

スターバックスの4P分析ポイント

世界中で展開しているスターバックスの企業ポイントは、それぞれの国に合わせた商品・サービスを提供しているところです。

例えば日本では、日本人の好みに合わせたドリンクメニューやサイズを展開しています。

つまり、それぞれの国に合わせた商品やサービスを開発した結果、その国の人々に受け入れられ、世界中に展開することができたというわけですね。

チェーン店でありながらも画一的にならず、顧客のニーズに合わせてカスタマイズしているところがスターバックスの強みです。

また、スターバックスではコーヒーを楽しむだけでなく、読書や仕事をしたり、友人と会話したりといった「サード・プレイス的」な存在を確立したことも成功につながっています。

4P分析を行うときのコツと注意点

それぞれ4つの要素に分けて情報の洗い出しをおこなった後はその結果を集約し、さらに4P分析を進めていきます。

4P分析のコツは4つそれぞれの要素を紐づけて考えることです。一つの要素だけを満たしているという戦略では効果が出ません。

全体を見通し、それぞれ4つの要素をバランスよくかけ合わせることが大事です。

また注意したいのは4P分析がマーケティング戦略全体の一部に過ぎないということです。

全体像を把握し、ほかのフレームワークと組み合わせておこなうことが大前提となります。

売り上げアップにつながる有効なマーケティング戦略を立てるために、情報を効率的に分析し全体のバランスを確認しながら分析をおこないましょう。

コツ①4つの要素を紐づけて考える

「Product」「Price」「Place」「Promotion」の4つの要素はお互いに関連しているので、紐づけて考えましょう。

なぜなら、それぞれ4つの要素の方向性がバラバラでは戦略の効果が出にくいためです。

4P分析は「マーケティングミックス」とも呼ばれており、それぞれの要素をかけ合わせながら考えていくものです。

たとえば、高齢者向けの商品(PRODUCT)をインターネット広告(PROMOTION)だけでPRすると、ターゲットに届きにくくなり認知されませんよね。

隠れ家的なレストラン(PRODUCT)を出店する場合は、人の往来が多く騒がしい場所(PLACE)は不向きとなります。

このように、それぞれの要素で整合性が取れていない戦略は意味がありません。

すべての要素を分析し、矛盾がないようにそれぞれの要素のバランスをとることが大事なのです。

コツ②マーケティング戦略の全体像を把握する

マーケティング戦略のフレームワークでは、立案・実行の前の段階から分析を始めます。
一般的には以下のような流れで進んでいきます。

  1. 市場調査
  2. 市場細分化
  3. ターゲティング
  4. ポジショニング
  5. マーケティングミックス(4P分析)
  6. 実行と分析

まずは1~3で環境を分析し、どこの市場が狙えるのかを見極めターゲットを選定します。

次に、4のポジショニングで自社の立ち位置を確認し、狙いをつけた市場でターゲットにどんな商品をどんな風に販売していくのかといった戦略を立案します。

ここでおこなうのが4P分析ですね。

そして最後に、自社のマーケティング戦略を実行に移し、評価をします。

このように4P分析はマーケティング戦略の一つであり、全体像を把握しながら進めることが大事です。

4P分析と併用したいマーケティングのフレームワーク

先ほどお伝えしたように、マーケティング戦略では全体の流れを把握することが大事です。
順序だてておこなうことでマーケティング戦略が成り立ちます。

ここでは4P分析の前に行う現状を分析するフレームワークPEST分析3C分析、そして戦略を組み立てるフレームワークswot分析を紹介します。

PEST分析、3C分析、swot分析をおこなった後に、4P分析を進めることでより強力なマーケティング戦略を立てることができますよ。

それでは、一つ一つ詳しく見ていきましょう。

フレームワーク①外部要因まで考えた「PEST分析」

「PEST分析」は、4つの外部要因で分析する手法です。

PEST分析を行うことで、時代の変化や世の中の流れを把握することができます。

こちらが、PEST分析で使う分析項目の一例です。

Politics:政治国の政策、法律や条例や規則、政府の動向、外交関係の動向など
Economy:経済景気、物価、為替、金利、GDP、経済指標の動向など
Society:社会人口の動態、世帯数、世論、慣習や文化の変化など
Technology:技術通信やデジタル技術、開発技術、生産技術、特許など

分析する項目は広範囲にわたり、情報量が膨大です。

そこで、PEST分析を行う上で大事な視点は「どの要因が自社の商品やサービスに大きく影響を及ぼすのか」ということです。

この視点に基づいて情報収集をし、4つの項目について世の中がどのように変化していくのかを分析しましょう。

PEST分析の結果、自社の商品・サービスに大きく影響を与えるものが明確になり、対応策を考えることができます。

また、近い将来を予測することで、世の中の変化や時代の流れにも柔軟に対応することができるようになります。

PEST分析の詳しいやり方はこちらの記事で紹介しているので、参考にしてくださいね。

フレームワーク②顧客視点から考える「3C分析」

「3C分析」は、顧客視点から分析する手法です。

3C分析を行うことで、顧客や市場の視点と環境について正確に整理することができます。

こちらが、3C分析で使う分析項目の一例です。

Customer:顧客・市場どのくらいの市場でどんな顧客を対象とするのか
顧客のニーズは何か、市場規模など
Company:自社自社の売り上げ・技術・販路
自社の商品・サービスの強みと弱みなど
Competitor:競合競合相手の売り上げ・技術・販路
競合相手の商品・サービスの強みと弱みなど

「Customer:顧客・市場」「Competitor:競合」の2つは外部環境、「Company:自社」は内部環境といいます。

3C分析を行う上で大事な視点は、「内部環境と外部環境に分けて事実を正確に把握する」ということです。

この視点に基づいて、顧客・市場のさまざまなニーズを把握し、競合相手と自社の強みと弱みを浮き彫りにしていきます。

3C分析の結果、自社が置かれた状況を把握でき、強みを生かした戦略を見出すことができます。

また、3C分析は顧客と市場を軸にした分析です。

3C分析の結果を4P分析に生かし、2つの視点からマーケティング戦略のバランスをとることが必要です。

3C分析はこちらの記事で詳しく解説しています。

フレームワーク③内部環境と外部環境を明確にする「swot分析」

「swot分析」は、外部環境と内部環境に分けて分析する手法で、自社の現状と将来に起こるであろう問題を把握することができます。

強みと機会を組み合わせ、プラス要因がより強みとなるように、またマイナス要因をどのようにカバーして起こりうる脅威にどうやって備えるのかという視点で、戦略を組み立てていくためのフレームワークです。

こちらがswot分析で使う分析項目です。

Strength:強み自社と商品・サービスの強み
Weakness:弱み自社と商品・サービスの弱み
Opportunity:機会自社と商品・サービスに良い影響を与えるもの
Threat:脅威自社と商品・サービスに悪い影響を与えるもの

「Opportunity:機会」「Threat:脅威」は外部環境、「Strength:強み」「Weakness:弱み」は内部環境といいます。

swot分析を行う上で大事な視点は「プラス要因(強み・良い影響)とマイナス要因(弱み・悪い影響)に分けて事実を把握する」ことで、自社と商品やサービスの現状を知るのに効果的です。

こちらの記事ではswot分析について、身近な例を使いわかりやすく解説しています。

4P分析ができたら、次にswot分析を行い、自社の商品やサービスの現状を詳しく整理することで、マーケティング戦略に役立てましょう。

まとめ

4P分析はそれぞれの要素を分析し、具体的に自社がどのような戦略をとればいいのかを明確にするフレームワークです。

効率的に4P分析を進めていくうえで重要なポイントをまとめます。

  • 4P分析は自社の現状の把握と改善点を見つけることができる
  • 4P分析は各要素に矛盾がないことが大事
  • 4P分析をおこなう時はマーケティング戦略の全体像を把握する

4つの要素を分析していく際、上記のようなポイントを押さえておけば、矛盾なく効率的に4P分析を進めることができるようになります。また生じた矛盾点は、問題点や弱みとして、改善策を講じることも可能です。

そしてマーケティング戦略は4P分析で終わりではありません。
実行したあとも継続して分析、評価をおこないその都度問題点を洗い出し、売り上げを伸ばしていくことが重要です。

そのためには自社の4P分析を効率的に進め、成功に導く戦略を立てていきましょう。
それぞれの分析結果を生かし、バランスの取れた戦略を立てることでターゲットが必要としている商品やサービスを届ける方法が見つかりますよ。

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