SWOT分析の簡単なやり方!具体事例も交えて徹底解説!
- 有名企業をSWOT分析したら、どうなるの?
- SWOT分析で押さえておくべきポイントを知りたい!
- SWOT分析の簡単なやり方は?
SWOT分析は有名なフレームワークなので、聞いたことがある人は多いですよね。
ですがSWOT分析のやり方となると、「イマイチわからない」という人もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事ではSWOT分析の簡単なやり方を紹介しています。SWOT分析は、さまざまな場面で活用できるので、やり方を覚えておくと便利です。
この記事では、下記のポイントを説明していきます。
- SWOT分析とは
- SWOT分析のメリット、デメリット
- SWOT分析の簡単なやり方
- SWOT分析で注意すべきポイント
マーケティングや自己分析、恋愛の戦略など、SWOT分析で現状を把握してみましょう。まずは、SWOT分析とはなにかを、紹介します。
現状分析に役立つ「SWOT分析」とは?
SWOT分析は有名なフレームワークのひとつで、「スウォット分析」と読みます。SWOT分析の目的は、現状の整理、強みや弱みの把握、今後の課題を見つけることです。
マーケティングでは、より柔軟で具体的な戦略を立てるのに、SWOT分析の結果が役立ちます。
またSWOT分析はマーケティングだけではなく、個人レベルでも活用できます。もしかすると「就職活動の自己分析で実際にやった!」という方もいるかもしれませんね。
SWOT分析は2つの軸と4つの要素から成り立っており、どの要素も分析には欠かせません。ここではSWOT分析の軸と要素について、詳しく説明していきます。
SWOT分析における2つの軸
SWOT分析には、「内部」と「外部」2つの軸があります。
内部環境と外部環境、内部要因と外部要因など呼び方はさまざまですが、分析の内容が大きく「内」と「外」にわけられるということです。
さらに内部と外部どちらにも、プラスとマイナスの要因があります。
まずはSWOT分析の2つの軸から、詳しく見ていきましょう。
内部要因
SWOT分析の内部要因とは、分析対象の内側です。分析対象を自分に置き換えるとわかりやすく、自分の長所と短所が内部要因になります。
内部要因のプラス要因は「長所」で、マイナス要因は「短所」です。ビジネスでは一般的に長所を「強み」、短所を「弱み」といいます。
SWOT分析の内部要因は、プラス要因の「Strength(強み)」と、マイナス要因の「Weakness(弱み)」にわけられます。
外部要因
内側を表す内部要因の反対にあたるのが、外部要因です。
SWOT分析では、プラス要因である「Opportunity(機会)」と、マイナス要因である「Threat(脅威)」にわけられます。
「機会」や「脅威」は馴染みの少ない言葉ですが、恋愛に置き換えてみると簡単です。
例えば「機会」は好きな人と会ったり、話したりするチャンスの場面を表しています。「ゼミや授業が一緒」「デスクが近い」などは、恋愛において自分にプラスに働く機会ですよね。
「脅威」はライバルの存在であったり、来年は同じ授業がないなど、恋愛の障壁やリスクといったマイナス部分です。
ビジネスで考えると、流行や社会の変化、増税や法律の制定などが「機会」や「脅威」になりえます。
SWOT分析における4つの要素
SWOT分析は、内部要因と外部要因の2つの軸と、4つの要素から成り立っています。
4つの要素とは、「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」です。それぞれの要素の頭文字を取って、SWOT分析と呼ばれています。
詳しく、4つの要素を見ていきましょう。
強み(Strength)
まずひとつめの要素は「強み(Strength)」です。自分の「長所」といわれると、わかりやすくなりますね。
SWOT分析における「強み」は、他社との差別化を図れる、他には負けないポイントです。
例えばコカ・コーラには、強みのひとつに「圧倒的な知名度」があります。類似商品と比べたときの、「知っている安心感」は他社の商品に負けないポイントです。
SWOT分析における「強み(Strength)」とは、「分析対象が差別化を図れるポイントはどこか」を表します。
弱み(Weakness)
2つめの要素は、「弱み(Weakness)」です。自分の「短所」と言い換えると、イメージしやすいのではないでしょうか。
SWOT分析で企業を分析するのであれば、「専門職が少ない」「上司との風通しが悪い」「給料が低い」などは、弱みにあげられます。
マーケティングでは、ヒト・モノ・カネ・情報といった、経営資源の弱みをピックアップするケースが多いです。
つまり「弱み(Weakness)」は、分析対象に足りない部分を表します。
機会(Opportunity)
3つめの要素は、「機会(Opportunity)」です。SWOT分析において、プラス要因である「機会」は、「ビジネスチャンス」と考えるとわかりやすいでしょう。
例えば太いストローを専門に製造している企業にとって、タピオカブームは大きなビジネスチャンスですよね。
一方で、ストローを製造している企業が、タピオカブームを巻き起こすことは難しいです。
このようにSWOT分析において「機会(Opportunity)」はプラス要因ですが、いち企業や個人が変えることはできません。
分析対象にとって、ビジネスチャンスや追い風となる周囲の環境の変化が、SWOT分析の「機会(Opportunity)」です。
脅威(Threat)
最後の要素は、「脅威(Threat)」です。分析対象にとっての「リスク」と言い換えると、わかりやすくなります。
先ほど説明した「機会(Opportunity)」とは反対に、「脅威(Threat)」はマイナスな外部要因です。
例えば産業によってはAIの発達による解雇なども、近い将来起こりうる脅威です。もっとイメージしやすい例でいうと、増税による消費の落ち込みは、リスクとして予測できますよね。
企業や個人ではどうすることもできない、周囲環境のマイナスの変化を、SWOT分析では「脅威(Threat)」で表します。
SWOT分析をやるメリット・デメリット
SWOT分析は有名なフレームワークのひとつですが、果たして本当に必要な分析なのでしょうか。
勘違いしている人もいますが、SWOT分析はいつやっても、それなりの効果が期待できるわけではありません。SWOT分析はメリットだけでなく、デメリットもあるということです。
SWOT分析は活用しやすいフレームワークですが、過度な期待は禁物といえるでしょう。ここでは、SWOT分析のメリットとデメリットをまとめました。
SWOT分析のメリット
- 汎用性が高い
- 柔軟で、具体的な戦略の立案に役立つ
SWOT分析はマーケティングだけでなく、自己分析や恋愛分析にも活用できる、汎用性の高さがメリットのひとつです。
さらにSWOT分析は内部要因だけでなく、外部要因も把握し、現状をしっかりと詳しく整理できます。なので分析の結果から、今後の戦略に対して、柔軟な発想や具体的な案を立てやすくなるのです。
汎用性が高く、今後の戦略に活かせるポイントが多いことが、SWOT分析のメリットといえるでしょう。
SWOT分析のデメリット
- 2軸4要素に当てはまらない可能性がある
- 分析結果が、100%正解とは限らない
SWOT分析は前半に紹介したように、2つの軸と4つの要素で成り立っています。そのため分析対象を2つの軸4つの要素に、必ず当てはめる必要があるのです。
場合によっては、当てはめられない項目があり、分析結果があいまいとなってしまう可能性があります。また一般的には「脅威」とされている要因も、分析対象によっては「機会」となるので、しっかりとした定義づけが必要です。
極端な例ですが、一般的には「脅威」となる増税は税理士にとっては、新たな顧客を獲得するビジネスチャンスでもあります。要は「増税予定で経理が難しくなる前に、税理士に頼ってみませんか?」と営業するチャンスということです。
さらにSWOT分析の結果は、絶対ではありません。分析で整理した情報に間違いがあれば、分析の精度は落ちます。
SWOT分析は、分析対象によって難易度が上がってしまうことや、分析結果がいつも正解とは限らないことがデメリットといえるでしょう。
【具体例つき】SWOT分析の簡単なやり方
「4要素の分析は複雑で面倒」「そもそもどんな情報を集めるのかわからない」と、SWOT分析を避けている人もいるのではないでしょうか。
SWOT分析は要素が多く、情報集めが大変な一面もありますが、やり方自体はとても簡単です。ここでは4つの要素で必要となる情報や、SWOT分析のやり方を具体例を交えてまとめました。
具体例にあげるのは、「郊外にあるスーパーマーケットA」です。売上が伸び悩んでいるので、SWOT分析をすることにしました。
それでは、SWOT分析のやり方を詳しく紹介していきます。
現状を具体的に把握する
SWOT分析最初のステップは、さまざまな分析の結果から、現状をより具体的に把握することです。
SWOT分析は、マーケティングの流れでいうと、環境分析の後半部分にあたります。
なので3C分析や5F分析、PEST分析などの環境分析が終わっているのが、SWOT分析の前提です。それぞれの分析については、記事の後半で紹介しているので、参考にしてください。
では、スーパーマーケットAの現状を整理しましょう。
- 売上が伸び悩んでいる
- 週末の顧客減少が目立っている
- 人手不足、アルバイト募集をしても集まらない
スーパーマーケットAのおかれている現状は、厳しいものだとわかりますね。さらにSWOT分析を進めて、原因や今後の打開策、戦略につながるキーワードを整理していきます。
外部要因を分析する
- ビジネスチャンスを大きくする情報を集める
- リスクになりえる環境の変化の情報を集める
次に環境の変化を整理してきます。SWOT分析では、プラス要因「機会(Opportunity)」と、マイナス要因「脅威(Threat)」に情報をわけます。
分析対象に合わせて、環境の変化がビジネスチャンスである場合は「機会(Opportunity)」、リスクが生じる可能性が高い環境の変化の場合は「脅威(Threat)」と情報を整理していきましょう。
外部要因は、企業や個人が変えることのできない部分です。例えば流行であったり、税率の変化、為替の動きなどが外部要因になります。
では、スーパーマーケットAの外部要因を整理してみましょう。
「機会(Opportunity)」プラス要因 | 「脅威(Threat)」マイナス要因 |
---|---|
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このように社会の環境の変化だけでなく、周辺の環境変化も、「機会」や「脅威」に考えられます。分析対象によっては、「副業がOKになった」「終身雇用の時代ではなくなった」なども、外部要因にあげられますね。
内部要因を分析する
- ライバルに負けない「強み(Strength)」の情報を集める
- 不足している部分である「弱み(Weakness)」の情報を集める
外部要因に続いて、「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」といった、内部要因を整理していきましょう。
SWOT分析では差別化を図れるポイントが「強み」であり、抱えている課題が「弱み」になります。自分に置き換えると簡単で、「自分の長所と短所はどこか」ということです。
では、スーパーマーケットAの内部要因を整理しましょう。
「強み(Strength)」プラス要因 | 「弱み(Weakness)」マイナス要因 |
---|---|
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スーパーマーケットのような店の場合、立地条件が自社の強みであるケースが多いです。「駅が近い」「駐車場がある」などは、戦略に活かせる強みになります。
SWOT分析のテンプレートへ書き起こす
SWOT分析には、テンプレートがあります。「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」を、わけて整理できるものです。
SWOT分析では、情報を1枚のテンプレートへまとめることをおすすめします。よりシンプルにわかりやすく、情報を整理できるからです。
実際にスーパーマーケットAの情報を、テンプレートにまとめました。
プラス要因 | マイナス要因 | |
---|---|---|
内部要因 |
【強み(Strength)】
| 【弱み(Weakness)】
|
外部要因 | 【機会(Opportunity)】
| 【脅威(Threat)】
|
このようにSWOT分析はテンプレート活用で、情報が整理され、他の人とも共有しやすくなります。
分析対象の市場機会や課題を確認する
- 戦略に活かせる「強み」の確認
- 「弱み」をカバーできるポイントの確認
- 今後の課題やリスク対策
SWOT分析の最後は、「戦略に活かせる強みはなにか」「今後の課題はなにか」「起こりうるリスクへの対策」を、具体的に確認しましょう。
情報の整理をすることで、戦略のヒントが明確になってきます。
さらにSWOT分析には、クロスSWOT分析があり、より具体的な分析が可能です。次の見出しで、クロスSWOT分析のやり方を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ここではスーパーマーケットAのSWOT分析から、戦略のヒントをまとめました。
課題や問題 | 戦略のヒント |
---|---|
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このようにスーパーマーケットAは、課題は多いものの、アピールできる手段もあることがわかりますね。
SWOT分析をさらに詳しく!クロスSWOT分析のやり方
SWOT分析である程度、現状を把握できますが、より具体的な戦略の立案にクロスSWOT分析は欠かせません。
クロスSWOT分析とは内部要因と外部要因のプラスとマイナス要素を、それぞれかけあわせて、戦略の方向性を具体的に決めていきます。
ここでは、クロスSWOT分析のやり方を紹介します。スーパーマケットAの具体例も交えて、見ていきましょう。
「強み」×「機会」から戦略を考える
まずはクロスSWOT分析で「強み」と「機会」から、戦略を考えます。強みを活かして、ビジネスチャンスを広げる戦略です。
ニュアンスは違いますが、ブームに便乗して新しいことを始める、と考えるとわかりやすくなります。
例えば近年マリトッツォがブームとなり、「進化系マリトッツォ」「個性派マリトッツォ」など、さまざまな種類が発売されていますよね。
この変化は、それぞれの店舗が「菓子パンに定評がある」「和菓子が得意」などの自社の強みを活かし、マリトッツォブームという「機会」を広げていった例といえるでしょう。
ではスーパーマケットAも、「強み」と「機会」から、戦略を考えてみます。
- 広い平面の駐車場を活かし、地元の農家さんの野菜に特化した青空市を開催する
- 折込チラシを持参してくれた人へ、ポイント増量のサービスを展開する
このようにスーパーマケットAは強みを活かし、「いつも安心の価格で買い物ができる場所」「ポイントがついてお得に買い物できる場所」であることを、知ってもらう戦略を立てることができました。
「強み」×「脅威」から戦略を考える
次は、「強み」で「脅威」を減らす戦略を考えます。要は、自社の強みを活かしたリスク対策です。
例えばイートインスペースのあるパン屋さんでは、パンを買うとコーヒーが無料でついてきたりしますよね。
無料コーヒーの提供は、パン屋さんが「イートインスペースがある」という強みを使って、周辺のコーヒーショップや喫茶店にお客さんを取られてしまうリスクを回避するための戦略といえます。
ここでも、スーパーマケットAの例で考えてみましょう。
- スタッフが買い物を手伝うサービスを展開する
- 折込している広告に割引券をつける
スーパーマケットAは、接客が良いと評判です。高齢のお客さまの減少を回避するために、スタッフの接客態度の良さが活用できます。
ライバルである大型ショッピングセンターよりも、買い物をしやすい環境を作ることで、差別化を図る戦略です。
「弱み」×「機会」から戦略を考える
次は、「弱み」をカバーして、「機会」を広げる戦略です。ビジネスチャンスである「機会」を広げるには、どのように弱みをカバーする必要があるのかを考えます。
あなたの周辺に「品揃えはイマイチなんだけど、洋書だけは豊富!」と、ついつい通ってしまう本屋さんはありませんか。
その本屋さんは、洋書に特化することで、品揃えの悪さという「弱み」をカバーしています。さらにそれは、「洋書を必要とするお客さんが多い」というビジネスチャンスを広げるための戦略といえるでしょう。
ではスーパーマーケットAの具体例から、クロスSWOT分析の「弱み」と「機会」を考えてみましょう。
- セルフレジの台数を増やす
- 専用の通販サイトを開設する
混雑を避けて買い物ができるという、スーパーマーケットAのプラスの外部要因を広げるために、セルフレジや通販サイトの導入を検討するべきと考えられます。
スーパーマーケットAの問題は、深刻な人手不足です。長期的に働ける人材を募集するのも手ですが、システムを導入し、人手不足を補うのもひとつの手段です。
また通販サイトの導入は、主なターゲットとなる高齢者にはマッチしないといった懸念点もありますが、立地条件の悪さをカバーできる手段でもあります。
「弱み」×「脅威」から戦略を考える
最後は内部要因と外部要因のマイナス要素である、「弱み」と「脅威」から戦略を考えます。簡単にいうと、最悪の事態に備える戦略です。
例えば自社の弱みに「価格の高さ」があり、脅威に「新規ライバルの参入」があるなら、ライバルの出現による売上減少のリスクが予測できますよね。
競合他社から類似商品を安価な価格で発売される可能性があり、売上減少のリスクをどう回避するのか、あらかじめ戦略に盛り込む必要があるということです。
最後にスーパーマーケットAの、「弱み」と「脅威」のクロスSWOT分析を見ていきましょう。
- 研修や接客コンテストなどを積極的に取り入れ、接客の質向上に努める
- 地域最安値といった安値で勝負できないか、価格の変更を検討する
スーパーマーケットAには、立地の悪さやライバル店の出現により、さらなる顧客の減少や新規の顧客獲得が困難であると予測できます。
それらのリスクを回避するためには、「接客の質の向上」「低価格の実現」に力を入れる必要性があるのではないかと分析できました。
クロスSWOT分析は「弱み」と「脅威」が重なったとき、どうなるのかを分析し、リスクに強い戦略の立案に役立てます。
SWOT分析で注意するべき3つのポイント
なんとなくやってみたSWOT分析は、効果的なフレームワークにはなりません。
SWOT分析のやり方には、押さえておきたいポイントがあるのです。それは、「事前準備」「明確な目的」「客観的な視点」の3つです。
ここでは3つのポイントを、それぞれ詳しく説明していきます。
注意点①事前準備をおこなっておく
そもそもSWOT分析は、マーケティングの流れでいうと、環境分析の後半におこなうフレームワークです。
なのでSWOT分析には、情報をまとめて、整理する役割があります。まとめる情報がなければ、SWOT分析は活用できません。
つまりSWOT分析の前提には、環境分析に有効な3C分析や5F分析、PEST分析をおこなっておく必要があるのです。それぞれの分析については、記事の後半で詳しく説明しているので、参考にしてくださいね。
SWOT分析をする前に、しっかりと事前準備をしておくことをおすすめします。
注意点②目的をはっきりさせる
どのフレームワークでもいえますが、目的のない分析に意味はありません。目的のない分析から出る結果はあいまいで、結局、何も得られないケースが多いからです。
なんのためにSWOT分析をするのか、分析の目的は明確にしましょう。
集める情報も、分析の目的によって異なります。
例えば恋愛における自己分析では、「背が高いこと」は強みになりますが、就職活動のための自己分析で背の高さは強みとは言い難いです。
SWOT分析では、はっきりとした目的を持つことが大切なポイントです。
注意点③客観的な視点をもつ
自分の長所や短所は、客観的に分析するのは難しいですよね。SWOT分析でも内部要因の「強み」「弱み」は、客観的な視点を忘れがちです。
特に思い入れが強い商品には、「ここは他社に絶対に負けないポイントなはず!」と、希望や予測の情報が含まれるケースが多くあります。弱みが強みに変化するケースもあるので、主観的な意見には注意しましょう。
客観的な視点からみた、分析対象の情報を集めることが、SWOT分析のコツです。
企業のSWOT分析事例を紹介
ここでは、有名企業のSWOT分析の事例をまとめました。
身近な企業が多く、SWOT分析のやり方がよりイメージしやすくなっていますよ。
同じ企業のクロスSWOT分析の事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
「マクドナルド日本」のSWOT分析例
マクドナルド日本は、圧倒的な安さと知名度で、ハンバーガー業界のトップを走る企業です。マクドナルド日本の、SWOT分析を見てみましょう。
プラス要因 | マイナス要因 | |
内部要因 | 【強み(Strength)】
| 【弱み(Weakness)】
|
外部要因 | 【機会(Opportunity)】
| 【脅威(Threat)】
|
テイクアウトや出前などの追い風がある一方で、世の中の健康志向の強まりにも注意が必要だとわかりますね。
「マクドナルド日本」のクロスSWOT分析
次にマクドナルド日本の、クロスSWOT分析を見ていきましょう。
【強み(Strength)】
| 【弱み(Weakness)】
| |
【機会(Opportunity)】
| 【強み×機会】
| 【弱み×機会】
|
【脅威(Threat)】
| 【強み×脅威】
| 【弱み×脅威】
|
出前サービスと連携することで、「低価格」といった強みをより強調する戦略が考えられました。いち案としては、世の中の食に対する思考を踏まえて、新事業の設立を検討するのも良いですね。
「トヨタ自動車」のSWOT分析例
トヨタ自動車は日本の大手自動車メーカーで、海外にも進出している企業です。ではトヨタ自動車の、SWOT分析を見てみましょう。
プラス要因 | マイナス要因 | |
---|---|---|
内部要因 | 【強み(Strength)】
| 【弱み(Weakness)】
|
外部要因 | 【機会(Opportunity)】
| 【脅威(Threat)】
|
トヨタ自動車は大企業ならではの、強みがある一方で、大企業だからこその問題が弱みです。弱みや脅威を踏まえて、強みやビジネスチャンスである機会をどう活かしていくか、さまざまな可能性を考える必要があります。
「トヨタ自動車」のクロスSWOT分析
次に、トヨタ自動車のクロスSWOT分析をまとめました。
【強み(Strength)】
| 【弱み(Weakness)】
| |
【機会(Opportunity)】
| 【強み×機会】
| 【弱み×機会】
|
【脅威(Threat)】
| 【強み×脅威】
| 【弱み×脅威】
|
SWOT分析からは、業界を牽引する企業として、常に最先端の車づくりが求められているとわかりますね。特に新しいエネルギーを原動力とした車の開発は、大手の強みを最大限に活かした戦略です。
個人向けのSWOT分析とは?
SWOT分析は汎用性が高く、マーケティングはもちろん、自己分析でも活用できます。
例えば就職活動でSWOT分析を活用すると、自分の長所や短所を把握でき、業界や企業選びに役立ちます。
さらにSWOT分析は、セルフブランディングをおこなうときに、やっておきたいフレームワークのひとつです。
簡単に説明すると、セルフブランディングとは、自分をブランドとしてアピールしていく戦略になります。より詳しく自分自身を知る必要があるため、セルフブランディングでは、SWOT分析が効果的に活用できます。
セルフブランディングのやり方について、こちらの記事にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
もう時代遅れ?実際に企業はSWOT分析をおこなっているのか?
SWOT分析は環境分析に役立つ、有名なフレームワークのひとつです。実際にSWOT分析を活用している企業は多く、「時代遅れ」と決めつけることはできません。
ですが調べてみると、「SWOT分析は古い!」「意味がない!」と、言われているのも事実です。
SWOT分析が酷評されるのには、「SWOT分析をやっただけ」、目的のないSWOT分析で失敗しているケースが原因として考えられます。
例えば「同僚におすすめされたから、やってみた」という人は、SWOT分析の前提となる環境分析を疎かにしていることが多いです。
SWOT分析は活用しやすいフレームワークですが、頼りすぎてはいけません。目的やタイミングにあった、フレームワークを選びましょう。
SWOT分析に活用できる!おすすめのフレームワーク
環境分析に役立つフレームワークは、SWOT分析だけではありません。
フレームワークは種類によって、目的や活用するタイミングが違うので、効果的な活用の仕方を知っておきましょう。
ここでは、SWOT分析の前にやっておきたいフレームワークと、戦略の後半で役立つフレームワークを紹介します。
フレームワーク①PEST分析
マーケティングは、分析対象のおかれている環境を把握することから始まります。
PEST分析は、最初の環境分析において、自社が変えられない外部環境を分析できるフレームワークです。
「Politics(政治)」「 Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の面を分析し、どこへ、どうやって参入するのか戦略の立案に役立てます。
また今後のリスクも整理でき、より柔軟なマーケティング戦略を立てられます。PEST分析について、こちらの記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
フレームワーク②3C分析
3C分析は、PEST分析と同じく、環境分析に特化したフレームワークです。
「Customer(市場・顧客)」「Company(自社)」「Competitor(競合)」を分析し、分析対象の強みや弱み、課題を把握できます。
3C分析の目的は、目標達成のために何が必要なのか、成功のキーワードを集めることです。3C分析のやり方や成功のポイントなど、こちらの記事で詳しく紹介しています。
フレームワーク③5F分析
5F分析も、外部環境の分析に役立つフレームワークです。5F分析では、「新規参入」「売り手」「買い手」「代替品」「業界内」の脅威を分析します。
5F分析の結果は自社の強みや今後のリスクの把握、事業の撤退の判断など、具体的な戦略立案に活用できます。
詳しい5F分析のやり方やポイントなどを、別の記事にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
フレームワーク④4P分析
4P分析はマーケティングの流れでは後半の、施策立案の段階で役立つフレームワークです。
「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販促活動)」の4つのPを分析します。
「何を」「どんな価格で」「どんなところで」「どう売っていくのか」を決め、戦略を具体的にしていくのが、4P分析の目的です。
4P分析については、さらに詳しく、こちらの記事で紹介しています。
まとめ
最後に、簡単に紹介してきたことをまとめます。
- SWOT分析は現状把握のためのフレームワークで、情報を整理する役割もある
- SWOT分析は、内部要因と外部要因の2軸で構成されている
- SWOT分析とは2軸に加え、「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの要素がある
- SWOT分析のやり方は、「現状の把握」「内部要因の分析」「外部要因の分析」「テンプレートへの書き起こし」「戦略のキーワードの確認」の5ステップ
- SWOT分析で注意するべきポイントは、「事前準備」「明確な目的」「客観的な視点」の3つ
SWOT分析は汎用性が高く、便利なフレームワークです。SWOT分析のやり方を覚えて、仕事や個人、恋愛の戦略など、上手く活用してみましょう。