
なぜ飲食店を開業しても失敗してしまうの?起業成功のコツも紹介
- 飲食店を始めたけど、もっと入念に計画を立てればよかった…
- 飲食店の開業で後悔する理由を知りたい!
- どうしたら飲食店の経営はうまくいくの?
「自分の店を持ちたい!」という夢を抱いて、飲食店の開業に挑戦する人もいますよね。
しかし、その華やかなイメージの裏には、想像以上に厳しい現実が待ち受けているのも事実です。
経営がうまくいかずに、「こんなはずじゃなかった」と後悔する経営者も多くいます。
この記事では、飲食店の開業で後悔が生まれやすい理由と成功するためのコツを、実際の失敗談をもとに深掘りしていきます。
この記事を読むことで、後悔のない飲食店開業を実現し、成功への確かな一歩を踏み出せますよ。
飲食店の開業・起業に失敗する5つの原因


飲食店の開業・起業に踏み出しても、準備や計画が不十分なままだと、思わぬところでつまずいてしまうことがあります。
成功をつかむためには、あらかじめ失敗の原因を知り、対策しておくことが重要です。
ここでは、飲食店の開業や起業に失敗する原因を詳しく見ていきましょう。
- 原因①資金計画の甘さで経営が行き詰まってしまったから
- 原因②市場調査を十分に行わなかったから
- 原因③コンセプトが曖昧なまま開業してしまったから
- 原因④集客戦略を考えていなかったから
- 原因⑤スタッフや労働環境の問題で経営が崩壊したから
原因①資金計画の甘さで経営が行き詰まってしまったから
飲食店の開業・起業で失敗する原因のひとつ目が、資金計画の甘さです。
開業資金や運転資金の見積もりが甘いと、売上が安定する前に資金が底をつき、経営が行き詰まってしまいます。
開業当初から順調な集客を期待しすぎたり、面倒くさがって大雑把な計画を立ててしまったりするケースもあるでしょう。
居酒屋のバイトで知り合った、複数の飲食店を経営していた経験を持つ方と、意気投合し、合同会社設立をして、飲食店事業をスタートしました。
2人とも借入ができない事情があり、自己資金100万円で開業しました。
コロナ禍になる少し前に開店したため、開店後まもなく緊急事態宣言下になってしまいました。
協力金等の補助もありましたが、売り上げがほとんどなく固定費の支払いがやっととなり、2人の報酬までは出ない状況になり、開業から約2年後に閉店しました。
※上記は自社の独自アンケート調査をもとに作成したものです
また、飲食店に限らずお店を経営していると、設備の故障や追加広告費といった予期せぬ出費が発生する場合もあります。
こうした出費に対応できる資金的余裕がないと、早期閉店のリスクが高まるでしょう。
開業後の運転資金や突発的な支出まで想定できていない安易な資金計画は、飲食店が失敗する原因となります。
原因②市場調査を十分に行わなかったから
飲食店の開業や起業が失敗する原因として、市場調査の不足が挙げられます。
市場調査を怠ると、ターゲット層や競合、地域のニーズを把握できず、立地選定・メニュー開発・価格設定などで誤った判断をしてしまいやすくなるからです。
近隣の競合他社のリサーチもせず、価格設定が少し割高の設定でした。
ですが、その価格に見合った価値をお客さまに感じてもらえなかったように思います。
たとえば、スペイン料理と言うかっこよさから、始めた事もあり、生ハムも分厚く切って提供するなどしていました。
多いに越した事は無いだろうと言った甘い考えが、素人レベルの料理だと思わせてしまったのだろうと感じました。
また、客足が途絶えた際に、キャンペーン等で値段を安くしてしまい、普段の営業に足を運ぶ方も居なくなって行きました。
アルバイト等の人件費も計算してなくて、気づいた時には、売り上げの半分以上が人件費でなくなっていきました。
結果、開業から1年後には閉める事になりました。
※上記は自社の独自アンケート調査をもとに作成したものです
飲食店を開業するなら、出店候補地に足を運び「どのような飲食店があるのか/客層はどの年代が多いのか/人の流れはどうか」などを自分の目で見て観察することが大切です。
こうした市場の実情を把握しないまま動き出すことが、飲食店の開業に失敗してしまう原因ですよ。
原因③コンセプトが曖昧なまま開業してしまったから
コンセプトを持たずに、ただ何となく「お客さんが来てくれればいい」という気持ちで、飲食店を開業することも失敗する原因です。
コンセプトが曖昧なまま開業すると、お店の魅力やターゲットが明確に伝わらず、集客やリピーターの獲得が難しくなります。
「なんのお店か分からない」「他店との差がない」といった印象を与えてしまい、お客さまの記憶にも残りにくい店舗になってしまいますね。
誰にどんな価値を届ける店なのかを明確に定めることで、メニュー開発やサービス、店内の雰囲気づくりも一貫性が生まれ、集客やブランディングにつながります。
コンセプトの曖昧さは、飲食店開業の失敗につながる要素のひとつです。
原因④集客戦略を考えていなかったから
「美味しい料理を出せばお客さんが来る」という考えでは、お客さまは集まってきません。
実際には、SNS・ホームページ・チラシ・口コミ・グルメサイトなどを活用して、継続的にお客さまにお店を知ってもらう工夫が必要不可欠です。
集客戦略を練らないと、集客がないがしろにされて、新規顧客が増えません。
その結果、売上が伸び悩んでしまいます。
飲食店を成功させるためには、作り込んだコンセプトを集客戦略の中に落とし込んで、広く周知徹底させることが大事ですよ。
開業前からしっかりと集客戦略を立て、どのようにお店の存在を広めていくかを計画しておかなければ、お店の認知度が上がらず経営が厳しくなるリスクが高まります。


原因⑤スタッフや労働環境の問題で経営が崩壊したから
人手不足やスタッフとのトラブル、労働環境の悪さは、飲食店の経営に大きな影響を及ぼします。
従業員のモチベーションが下がれば、接客や料理の質が落ち、お客さま離れにつながってしまうからです。
低賃金や過重労働、パワハラなどの問題がある職場ではスタッフが定着せず、サービスの安定が難しくなるでしょう。
また、人手が足りなければ人件費の管理も困難となり、経営の不安定化を招きやすくなりますね。
働きやすい環境づくりや適切な人材教育が出来ていないと、飲食店の経営は安定せずに失敗してしまいます。
飲食店開業・起業で成功するためのコツ4つ


「自分の店を持つ」という夢を叶えるための飲食店の開業・起業ですが、その道は決して平坦ではありません。
開業後の厳しい競争を勝ち抜き、お客さまに長く愛されるお店にするために押さえておくべきポイントがありますよ。
ここでは、多くの成功事例に共通する「成功の秘訣」を4つ紹介します。
コツ①ターゲットに合った場所で勝負する
飲食店の成功は、立地によって大きく左右されます。
大前提として、ターゲット顧客に合った場所で勝負することが、集客や売上アップの鍵となりますよ。
ターゲット層の年齢/性別/職業/収入/普段の行動パターンなどを具体的に把握し、「どんな場所に集まりやすいか」「どのようなニーズを持っているか」を深く理解することが重要です。
そのうえで、実際に現地へ足を運び、人通りやターゲット顧客が「来店しやすいか」を自分の目で確かめましょう。
駅からのアクセスや駐車場の有無、商業施設やオフィス街といった周辺環境、そして競合店の状況もチェックが必要です。
さらに、自店のコンセプトと立地の相性もしっかり見極めましょう。
どんなに良い場所でも、家賃が高すぎれば経営を圧迫します。
想定される売上と固定費のバランスを冷静に見極めることも重要なポイントですよ。
飲食店を成功させるには「誰に向けたお店なのか」を明確にし、そのターゲットに合った立地を選ぶことが何より大切なのです。
より具体的なターゲット像(ペルソナ)の設定については、こちらの記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。


コツ②キャッシュフローの管理を徹底する
飲食店経営では、「お金の流れ=キャッシュフロー」の管理は命綱です。
売り上げが上がったので、今までより家賃の高い住居に引っ越し、配達の車も1台増やしました。
自己資金が減っている時に、配達の受注が減り、近くに同業者ができて、店舗の売り上げが落ちてしまった。
ライバル店では出していないメニューを販売したり、看板を出したりしたが、売り上げは落ちたまま。
何が悪いのだろうと考えて、老朽化した店舗も売り上げが回復しない原因かと思い、改装しました。
改装した直後は売り上げが回復しましたが、すぐに元に戻り、融資してもらっていた改装資金の返済が難しくなり開業失敗となりました。
※上記は自社の独自アンケート調査をもとに作成したものです
どれだけ売上があっても、支出が多すぎれば資金はすぐに底をつき、経営が立ち行かなくなります。
まずは、開業から経営が軌道に乗るまでの綿密な資金計画を立て、日々のお金の動きを把握しましょう。
「資金繰り表」などを活用してお金の流れを見える化し、資金ショートを防ぐことが大切です。
売上と支出のバランスを常にチェックし、利益を確保しながら経営を維持しましょう。
定期的に経営状況を振り返り、食材ロス削減などのコストカットや、売上アップ施策を考え実行することが、安定経営につながりますよ。
支払いのタイミング調整や補助金活用も視野に入れ、資金に余裕を持たせる工夫をしましょう。
黒字倒産を防ぐためにも、「お金の管理」は最優先で取り組むべきポイントです。
売上低迷の改善策について詳しく知りたい方はこちらの記事を、人件費の削減について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。




コツ③安定した客足を確保する


安定した顧客の流れを作ることも、飲食店の成功には欠かせません。
安定した客足がなければ、売上が不安定になり、経営が困難になるからです。
ここでいう安定した客足とは、日々コンスタントにお店に来てくれるお客さんの数や流れのことで、新規顧客やリピーターを意味しています。
特にリピーターが増えることで、売上の安定性が高まるため、リピーターは安定した客足の「核」といえるでしょう。
安定した客足を確保するために、開業前から周到な集客計画を練りましょう。
プレオープンやSNS活用、チラシ配布などでオープン時の話題作りを行ったり、口コミやリピーターを増やすための施策を考えるといいですよ。
ここでは、リピーターを確保するための施策を3つ紹介するので、ぜひ取り入れてみてください。
リピーター獲得の施策例:ポイントカード
多くの方が日常的に利用するポイントカードは、飲食店のリピーター獲得にも有効な施策です。
ポイントを貯める楽しみや割引・特典は、お客さんの再来店を促し、顧客満足度を高めますよ。
「あと少しで特典がもらえる」という期待感が、次の来店につながる大きな動機になるでしょう。
また、ポイントカードの顧客購買データを収集・分析することで、より的確なサービスの提供や新メニューの開発に役立てることができます。
これにより競合との差別化を図れて、長期的なファンの育成にも貢献しますよ。
ポイントカードの導入で、安定した集客を目指しましょう。
リピーター獲得の施策例:季節やイベントごとの限定メニュー
行きつけのお店に「限定メニュー」があると、つい注文したくなりますよね。
季節やイベントに合わせた限定メニューは、お客さまを飽きさせない工夫として非常に効果的で、リピーター獲得にもつながります。
たとえば、旬の食材を活かした季節ごとの特別メニューやハロウィンやクリスマスなどのイベント限定メニュー、さらにはお店の周年祭に合わせた特別な企画などが挙げられます。
限定メニューは、お客さまに定期的に新しい体験を提供し、「次は何だろう?」という期待感を高めることができます。
マンネリ化を防ぎお店への関心を持続させることで、再来店を促し長期的なファンづくりにつながるでしょう。
リピーター獲得の施策例:地元イベントへの参加
地元のイベントに積極的に参加することは、近隣住民に愛され、リピーターを増やすための重要な手段です。
お祭りや地域行事への出店は、お店の認知度を高める絶好の機会です。
直接顔を合わせることで親近感が生まれ、地域コミュニティの一員として受け入れられやすくなりますよ。
さらに、メニューに地元の特産品を取り入れたり、地域にちなんだネーミングの料理を提供したりするのも効果的です。
お店が地域を大切にしている姿勢が伝わり、住民の共感を呼びます。
「食」を通じて地域の人々と深くつながることで、お店は単なる食事の場を超え、コミュニケーションが生まれる温かい場所となるでしょう。
こうした地道な活動が、結果としてお店への愛着を育み、安定した集客へとつながります。


コツ④スタッフの育成に力を入れる
スタッフを雇う場合、育成に力を入れることが飲食店の成功の鍵となります。
スタッフを育てるのは時間も手間もかかりますが、育成を怠ると接客の質にばらつきが出たり、ミスが増えたりして顧客満足度の低下につながってしまいますよ。
「OJTだから」と右も左も分からないまま現場に放り込んだり、十分な指導なしに多くの業務を任せたりするのは禁物です。
丁寧な教育を通じてスタッフの接客力や調理スキルが向上すれば、お店のサービスや品質は安定し、結果としてリピーター獲得につながるのです。
手間を惜しまずスタッフ育成に取り組むことが、長期的な繁盛への投資となりますよ。
【Q&A】飲食店の開業・起業でよくある質問


飲食店の開業や起業は、夢ばかりでなく、さまざまな疑問や不安もついて回りますよね。
ここでは、飲食店の開業・起業でよくある質問にわかりやすくお答えします。
飲食店の開業・起業にはどれくらいの資金が必要?
飲食店の開業資金は、店舗の規模や業態によって大きく変わりますが、一般的に500万〜1,000万円程度が目安といわれています。
小規模な店舗なら、300万円程度で始めることも可能でしょう。
主な内訳は、物件取得費/内外装工事費/厨房設備費/数ヶ月分の運転資金です。
開業計画の初期段階で詳細に試算し、自己資金だけでなく融資や補助金の活用も視野に入れ、無理のない資金計画を立てることが成功への第一歩ですよ。
飲食店の開業・起業に必要な資格はある?
- 食品衛生責任者
- 防火管理者(店舗の収容人数が30人以上の場合)
飲食店を開業・起業する際には、開業する店舗ごとに「食品衛生責任者」の資格を持つ人が1名必要です。
また、店舗の収容人数が30名以上になる場合は「防火管理者」の資格も必要となります。
これらの資格は、おもに講習を受講することで取得できますので、開業準備の早い段階で取得計画を立てておきましょう。
なお、飲食店の開業や起業において、必ずしも「調理師免許」は必須ではありません。
ですが、衛生面への信頼や、スキルの証明として取得しておくと役立つ場面も多いですよ。
立地選びで失敗しないためのポイントは?
失敗しない立地選びの鍵は、ターゲット層が集まる場所を見極めることです。
加えて、人通りやアクセスや店舗の見えやすさ、周辺エリアのイメージも丁寧に吟味しましょう。
競合が多くても、自店の強みで差別化できるなら成功のチャンスはあります。
駅前や繁華街だけでなく、工夫次第で穴場でも飲食店の開業・起業を成功させることはできますよ。
初めての飲食店開業でも始めやすい業態は?
初めての飲食店開業で始めやすいのは、初期投資が少なく、運営が比較的シンプルな業態です。
なぜなら、少ない資金や人員でも始めやすく、経営リスクを抑えやすいからですね。
たとえば、キッチンカーやテイクアウト専門店などは、比較的始めやすい業態といわれています。
起業するなら、市場や周辺リサーチ、資金計画などしっかり準備したうえで、小さく始めるのが基本ですよ。
まとめ
この記事では、先輩経営者たちの失敗談から飲食店開業に後悔する原因と、失敗を避けて成功を掴むためのコツを解説してきました。
大切なポイントを簡単に振り返ってみましょう。
- 多くの失敗は、資金計画の甘さや市場調査不足といった準備段階での見落としから生まれる
- 明確なコンセプト設定と集客戦略の欠如も、飲食店の開業が後悔につながる大きな要因となる
- 成功への道は、ターゲット顧客を深く理解し、彼らに響く場所で勝負することから始まる
- 日々のキャッシュフロー管理を徹底し、安定した客足を確保することが、継続的な経営の基盤となる
- 質の高いサービス提供のためには、スタッフ育成にも力を入れ、働きやすい環境を整えることが大切
飲食店開業は大きな夢ですが、順風満帆とはいかないのが現実です。
しかし、万全な準備と綿密な戦略があれば、その壁を乗り越えて成功をつかむことも十分に可能です。
この記事で得た知識を活かして、飲食店の開業・起業という挑戦を、確かな成功へと導いていきましょう。