買いたくなるキャッチコピーとは?売れるキャッチコピーの要素
- 買いたくなるキャッチコピーが思い浮かばない
- 商品が売れるキャッチコピーの作り方のコツが知りたい
- ユーザーの心をつかむキャッチコピーとは?
「キャッチコピーにつられて、つい商品を購入してしまった」経験は、誰でも1度や2度あるのではないでしょうか。
売れずに困っていた商品が、キャッチコピーを変更した途端売れるようになった事例もあり、キャッチコピーがユーザーに与える影響がいかに大きいかわかります。
それでは、商品を買いたくなるキャッチコピーとは一体どのようなものなのでしょうか。
大切なのは、お客さまの購買意欲にあった言葉を使うことです。
売れるキャッチコピーの要素から、ユーザーの心に刺さるキャッチコピーを生み出しましょう。
買いたくなるキャッチコピーとは?
キャッチコピーは、商品の存在をユーザーに知ってもらうために欠かせないものです。
いくら良い商品やサービスでも、まずは知ってもらえなければ購買行動を起こしてもらえませんよね。
だからと言って、キャッチコピーに商品の情報が多く盛り込めばよいわけでもありません。文章が長いとユーザーは読む気を失ってしまうからです。
そのため、キャッチコピーは端的な言葉でユーザーの注意を引き、まずは商品に目を向けてもらえるように意識して作るのが重要です。
コピーライティングの基本と効果を高めるコツについては、こちらの記事を参考にしてください。
なぜ売れる?買いたくなるキャッチコピー10の要素
テレビや雑誌などで見かける大手企業のキャッチコピーの多くは、有名なコピーライターが手がけています。
心を揺さぶる言葉がスッと入ってくるテンポ感はさすがだなと、感心することも多いですよね。
そんな素敵なキャッチコピーを目にすると「センスのない自分に考えつくのは無理」と不安になりますが、そんなことはありません。
思わず買いたくなるキャッチコピーには、共通の要素があるからです。
ここでは10個の要素を、それぞれを詳しくみていきましょう。
- 要素①ターゲット目線で書かれている
- 要素②誰が読んでもわかる
- 要素③購入後の未来がイメージしやすい
- 要素④ウリがわかりやすい
- 要素⑤悩みやコンプレックスの解消法がある
- 要素⑥具体的な数字やデータが盛り込まれている
- 要素⑦お得感や限定感がある
- 要素⑧手軽さがある
- 要素⑨権威性がある
- 要素⑩欲を満たしてくれる
事例から学ぶキャッチコピーの考え方と書き方のコツについては、こちらの記事を参考にしてください。
要素①ターゲット目線で書かれている
商品のキャッチコピーを考える大前提として、商品を買うユーザー目線に立つことが大切です。
商品を売る企業側の目線で考えたキャッチコピーは、ユーザーには「押し売り」のような感覚を覚えることがあるからです。
ユーザー目線に立つときはターゲットとなる層をしっかりとイメージしてください。
たとえば、同じチョコレートでもターゲットによって求めるものは違います。
「安くて大容量」のチョコレートが欲しい人は、「美容や健康によい高カカオ」商品にはあまり興味がありません。
「ポリフェノールが老化予防や血圧上昇に役立つ」というキャッチコピーをつけても響かないのです。
それよりも「今なら増量中!」や「最安値を更新」のようなキャッチコピーが心に刺さるでしょう。
キャッチコピーを考えるときは商品を購入するユーザーを幅広く見積もるよりも、ターゲットの詳細な設定を行ったほうが、興味をひくキャッチコピーを作りやすくなります。
要素②誰が読んでもわかる
キャッチコピーに難しい専門用語が書かれていたり、簡単に読めない漢字が使われていると離脱されやすくなります。
商品によっては簡単な漢字でもあえて、ひらがなでキャッチコピーを作るケースがありますよ。
たとえば、ニトリのキャッチコピーの「お、ねだん以上。」は「お、値段以上。」でも多くの人が読めるでしょう。
ですが、漢字には真面目さや堅実さを感じるため、「値段」だとお金のシビアなイメージがどことなくついてしまいます。
これを「ねだん」にすることで、ひらがなの持つやわらかさや明るいイメージがキャッチコピーにも反映されます。
「お、値段以上。」よりも気軽に商品へ手が伸びる気がしないでしょうか。
キャッチコピーを作るときは、同じ言葉でも漢字やひらがな、カタカナ、英語とさまざまな表現で見た目の印象を含めて考えるのがおすすめです。
また、キャッチコピーに文字数の制限はないものの、長すぎると読むのに時間がかかります。
人が1秒で認識できる日本語は4文字と言われているので、3秒であれば12文字、5秒なら20文字になりますね。
「人は3~5秒の間に自分にとって必要かどうかの判断を下している」とされているので、キャッチコピーは12~20文字程度に留めるように考えてみましょう。
要素③購入後の未来がイメージしやすい
商品のメリットを羅列したキャッチコピーは、単なる商品説明になってしまったり、企業の売りたい気持ちが先行しやすいので避けてください。
キャッチコピーにはメリットではなく、その商品を使うことでユーザーに訪れる素敵な未来(ベネフィット)を想像させることが大切だからです。
なかでも、商品を使うことで「なりたい自分の姿が実現できるかもしれない」と思ってもらえるようなワードが効果的です。
例えば以下のワードがあげられます。
- 一目置かれる
- ワンランク上の
- 他とは違う
- 好感度アップ
理想の自分を思い描いて努力している人は社会的なステータスを気にする傾向があり、人と同じよりも個性を出せる商品に惹かれやすくなります。
これを心理学ではスノッブ効果といい、キャッチコピーにも活用することができます。
スノッブ効果の意味や具体例については、こちらの記事を参考にしてください。
要素④ウリがわかりやすい
なかなか売っていない、他と被らないなど独自性が高い商品は、それ自体が大きな「ウリ」です。
キャッチコピーにも「ウリ」をアピールするワードを盛り込むことで、差別化を図れますよ。
たとえば京野菜は京都のみで栽培され、かつ昔からの伝統野菜です。
味や形が独特なものが多いですが、一方で同種類の他の野菜と大差がないと感じるものもありますよね。
万能ねぎと九条ねぎは同じ葉ねぎの仲間で成分も似ており、味がまったく違うわけではありません。
しかし、京都以外の地域の人にとって、京野菜の「ウリ」は味の違いよりも希少価値の高さにあります。
「めったに手に入らない幻の味が食卓に並ぶチャンスです」のようなキャッチコピーがあれば、思わず購入したくなりますよね。
他にも以下のような言葉を使うと希少性や限定性、独自性をアピールできます。
- 史上初
- 〇〇(地域)で唯一
- ここでしか手に入らない
- 正規品取り扱い
わかりやすい「ウリ」は選ぶ理由になるので、お客さまが最初に目にするキャッチコピーに入れると効果的です。
要素⑤悩みやコンプレックスの解消法がある
悩みやコンプレックスを抱えている人は、少しでも早く解消方法を探しています。
そのため、キャッチコピーに次のようなワードが含まれていると敏感に反応します。
- 〇〇する方法!
- 〇〇のテクニック5選
- 脱〇〇!
- 〇〇で悩んでいませんか
たとえそれがよくある悩みだとしても、キャッチコピーを見た人は「自分のことを言っている」と感じます。
キャッチコピーには単に解消法を入れるだけではなく、まずは悩みやコンプレックスに共感するワードを盛り込みましょう。
同じ悩みやコンプレックスを持っていると人は親しみを感じるので、商品に対する安心感や説得力も生まれやすくなります。
要素⑥具体的な数字やデータが盛り込まれている
キャッチコピーに数字が入っていると、より具体的なイメージが浮かぶだけではなく、商品に対する信頼性が生まれやすくなります。
数字やデータを盛り込んだキャッチコピーの例をご紹介しましょう。
- 100人中93人がまた買いたいと答えました
- 3分に1個売れている
- 楽天市場〇〇部門で売上№1
- 累計売上10,125個達成
データに基づいた数字を入れるときは、「93人」「10,125個」のようにあえて細かい数字を出した方がデータの信憑性が増します。
要素⑦お得感や限定感がある
人は「すぐに売り切れてしまいそう」「これを逃すといつ買えるかわからない」なものに価値を見い出す傾向があります。
たとえば、「まだ充分にストックがあるにも関わらず、通常よりも安い値段で個数限定で売っていた洗剤を買ってしまった」「日本ではなかなか手に入らない海外のお菓子が売っていたから、高い値段なのに買ってしまった」などの経験はありませんか。
こうしたお得感や限定感を煽るキャッチコピーには、次のような例があります。
- 今だけ〇円
- 還元セール実施中
- 残りあと〇個
- 海外限定モデルを特別販売
「数量限定」もお得感や限定感を煽るキャッチコピーです。
「数量限定」は具体的な数字が表示されていないので、購入の順番を待っている間は本当に買えるのか不安になりますよね。
そのため、商品を購入できれば、商品自体が持っている価値にプレミアム感が上乗せされます。
「100,000個限定」であっても「数量限定」であることに変わりはありませんが、プレミアム感が薄れ、今すぐ買わなくても良さそうと判断する人は多いでしょう。
お得感を伝えるセールスキャッチコピーの作り方や、希少性の原理の詳しい解説についてはこちらの記事を参考にしてください。
要素⑧手軽さがある
「自分では扱うのが難しそう」と思いながら、商品の購入をする人は少ないでしょう。
購入しても上手く使えるか自信のないものに出費するのは、無駄になってしまう可能性が高いからです。
これに対し、簡単に楽にできることをキャッチコピーで伝えれば、「試してみたい」と思ってもらいやすくなり購入のハードルが下がります。
なので以下のような言葉を使い、手軽さをアピールするキャッチコピーを作りましょう。
- 10秒で登録終了
- 寝ているだけ
- 小さいお子さんでも簡単にできます
- 通勤通学の隙間時間に
毎日のスキンケアを面倒に感じている人に、化粧水/乳液/美容液/クリームのそれぞれ別になっている基礎化粧品をすすめても購入にはつながりにくいです。
それよりも、美容効果はやや劣っても、すべてが1つになったオールインワン化粧品の方が続けやすいので購入意欲を高められます。
要素⑨権威性がある
権威性とは、自分よりも社会的地位が高い人や名誉のある人の発言を無意識に受け入れてしまうことを言います。
その分野の専門家だけではなく、近年はインフルエンサーの発言も権威性の1つと見なされていますね。
権威性のあるキャッチコピーの例を紹介しましょう。
- 〇〇さん愛用
- TVでも紹介された
- 〇〇(専門職)推奨
- 宮内庁御用達
映画のキャッチコピーによくある「アカデミー賞5部門ノミネート作品」や「アカデミー賞5部門でオスカー獲得」といったキャッチコピーは、世界3大映画祭というアカデミー賞の権威性を利用したものになります。
映画のプロが高評価しているなら間違いない、と思ってしまいますよね。
要素⑩欲を満たしてくれる
みんなが持っているものを自分も欲しくなることはないでしょうか。
また、新商品のような目新しいものは話題になりやすく、乗り遅れないために購入したい人もいますよね。
商品を購入するかどうかを決めるとき、人は商品だけを見ているわけではありません。
他人が下した商品に対する評価を無意識に取り入れていることがあります。
こうした「欲」を満たすキャッチコピーには、次のような例があります。
- 主婦に人気の〇〇
- 話題の
- 即完売商品
- 完全リニューアル
みんなが持っているものがほしくなるのは、心理学ではバンドワゴン効果といいます。
行列の少ないラーメン屋よりも、行列の長いラーメン屋にわざわざ並ぶのは、「多くの人に選ばれているのだから間違いない商品」と思うからです。
「30代女性の80%がオススメと答えた」「累計10,000個売上達成」のようなキャッチコピーも、バンドワゴン効果を狙ったものになりますね。
バンドワゴン効果の詳しい解説については、こちらの記事を参考にしてください。
キャッチコピーで読み手の好奇心をくすぐろう!続きを読みたくなる心理効果3選
短い文章でユーザーの心にインパクトを与え、なおかつ次の行動を起こさせる必要があるキャッチコピーには、心理学を応用したものが多く見られます。
ここまで、キャッチコピー作成に活用できるものとして、スノッブ効果/希少性の原理/バンドワゴン効果の3つをご紹介していますが、この他にもキャッチコピーに取り入れたい心理学があります。
ただし、キャッチコピーの作成で心理学に頼りすぎてしまうのは避けましょう。
効果を高めようとして、誇張広告になれば法律に抵触する場合もあります。
心理学はあくまでもキャッチコピーを作る上での基礎として捉え、ターゲットの目線に立って商品の魅力を伝えることが大切です。
それぞれについて詳しく解説していきましょう。
心理効果①大事な情報はあえて隠す「ツァイガルニック効果」
達成した出来事よりも、中断や未完成になっている出来事のほうが意識に残りやすいと感じたことはないでしょうか。
たとえば、試験勉強で覚えた内容は試験が終わると忘れてしまうのに、間違った問題はどこの何が理解できなかったかということまで、長く記憶に残っていると感じます。
これを心理学ではツァイガルニック効果と言います。
テレビのドラマやバラエティー番組でも、いいところでCMが入ると続きが気になって「早く見たい」と思いますよね。
キャッチコピーが「たった一週間使っただけなのに」のように、文章が途中で終わっていると、その後どうなったのかが気になってユーザーは続きを知る行動を起こしたくなるのです。
ただし商品によっては、情報がわかりやすく掲載されているキャッチコピーの方が向いていることもあり、一概にどの商品でもツァイガルニック効果の活用がメリットになるわけではありません。
心理効果②禁止されると余計気になる「カリギュラ効果」
「それをやってはいけない」と禁止されると、かえって気になってしまうのが人の心理です。
童話「鶴の恩返し」では開けてはいけないと言われた部屋の戸を、「浦島太郎」は玉手箱を開けてしまいました。
人は行動を制限されると「自分で選びたい」気持ちが強くなり、反対の行動をとることがあるのです。
こうした人の行動は心理的リアクタンス、またはカリギュラ効果と呼ばれており、キャッチコピーの制作でも生かされています。
たとえばモンストのCMの「絶対にやるなよ」や、再春館製薬所の「ドモホルンリンクルは初めての方にはお売りできません」などですね。
本来は売りたいはずの商品を「やるな、売らないとは一体どういうこと?」とユーザーが興味を惹かれ、購入に至るという流れです。
なお、逆接から入るカリギュラ効果は商品に対して期待値が高くなりやすく、実際に商品を手にしたときに「大したことない」と思われてしまう側面も持ち合わせています。
これでは、結果的に商品の評判を落とすことになりますよね。
カリギュラ効果を利用するときは、商品の価値を落さないよう気を付ける必要があるでしょう。
心理効果③直接ターゲットに呼びかける「カクテルパーティ効果」
人の脳は、外から入る情報すべてを受け入れてしまうとパンクしてしまうため、自分にとって必要な情報かどうかを瞬時に選んでいます。
この働きによって、騒がしい場所にいても自分に必要な情報を聞き取ることができるとされ、これを心理学ではカクテルパーティ効果と呼んでいます。
ダイエットに興味がない人は「甘いものがやめられない人へ」というキャッチコピーを目にしても印象に残りません。
ところが、ダイエットに失敗し続けている人はドキッとします。
たとえばヘルシア緑茶は「体脂肪が気になる方へ」というキャッチコピーによって大ヒット商品になりました。
数多くの商品が並んでいる中でも、ピンポイントに「自分へのメッセージ」であると読み手に認識させるキャッチコピーを作れば、意識に留まり商品や広告に関心を持ってもらえるのです。
まとめ
買いたくなるキャッチコピーや、売れるキャッチコピーの要素についてご紹介しました。
最後にこの記事をまとめます。
- ターゲット目線でベネフィットを伝える
- 短く簡潔にまとめ、具体的な数字を示す
- 権威性を持たせることで信頼度が高くなる
- ウリをアピールし、お得感や手軽さで購入のハードルを下げる
- 心理学を応用し、人の行動を促す
キャッチコピーは商品の紹介ではなく、ターゲットの関心をひき、購入や登録などの行動を起こしてもらうきっかけを作るものだとわかりました。
そのためには、売り手目線ではなく、有益な情報をわかりやすく伝えることが大切です。
事例から学ぶキャッチコピーの考え方や書き方については、こちらの記事を参考にしてください。