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森谷俊之

LibRu代表取締役

個人・小規模事業者向けのマーケティング・ブランディングのコンサルタント/セールスコピーライター

経営者の3つの課題「お金がない、時間がない、人材がない」は、シンプルな仕組みで解決できます。集客から販売までを自動化して、ビジネスを成長させていくための仕組み構築を支援します。

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希少性の原理とは?心理学的な意味や使い方を簡単にわかりやすく解説

  • ものの価値はどうやって決まるの?
  • 心理学で人の気持ちは変えられる!?
  • 希少性の原理を学んでマーケティングに生かしたい!

希少性の原理は希少性の法則ともいわれ、マーケティングなどさまざまな日常生活の中で活用できます。

なぜなら、希少性の原理が働くと、人はものの価値を高く感じ、消費行動などを促されることがわかっているからです。

なかなか手に入らないものは希少性が高くなり、価値があるものだと感じられます。

例えば、ダイヤモンドは河原の石より高価ですが、その理由は、ただ単に採れる数量が少なく珍しいからなのです。

このように、ものの価値は人々の心理に大きく関わっており、希少性の原理はマーケティングなどさまざまな場面で実際に使われています。

この記事では希少性の原理の心理学的な意味や、希少性の原理を使った具体的な例をご紹介しています。

希少性の原理について理解を深めればマーケティングなど、ビジネスの場面だけでなく、人間関係や恋愛など身近な生活の中でも役立てることができますよ。

目次

手に入らないものほど欲しくなる?希少性の原理とは

希少性の原理とは、手に入りづらいものは通常よりも価値が高いと感じ、実際には希少でないものでも欲しくなってしまうという心理的な現象のことです。

希少性の法則とも呼ばれています。

海外でしか買えないおいしいお菓子をお土産でもらったとき、時間をかけてゆっくり味わったり、賞味期限の許す限り取っておいたりしますよね。

実はこの心理にも希少性の原理が働いており、ほかでは買えない希少性の高いものとして認識するため、このような行動をとってしまいます。

人は数量や時間など限定的なものに高い希少性がを感じ、1度でも希少性が高いと思えば、欲しかったものでなくても欲しくなります。

では具体的に希少性が高いとはどういった状態なのでしょうか。

希少性の原理の実験や具体例をくわしく見ていきましょう。

また希少性の原理と同じ効果がある「スノッブ効果」との違いも解説していますよ。

希少性の原理を実証する実験

希少性の原理は、ステファン・ウォーチェルが行った実験で明らかになりました。

この実験は、被験者を2つのグループに分け、一方のグループには人数に対して十分な数のクッキーを配り、もう一方のグループには人数より少ない数のクッキーを配り、その後、クッキーの感想を調査したものです。

調査の結果、十分な数のクッキーを与えられたグループより少ない数のクッキーを与えられたグループの方が、同じクッキーだったにもかかわらず好意的な感想が多かったのです。

人は、数が少なくすぐに売り切れてしまいそうなものや、実際には希少性がなくてもなかなか手に入らないものに魅力を感じて欲しくなるのです。

この実験から、需要に対して供給が足りていないものや、実際には希少でないのにもかかわらず希少性が高いと思い込んでしまったものの価値は高くなる、ということがわかりますね。

希少性が高いとはどういう状態?

「希少性が高い」とは、需要に対して供給が足りていないものに、人々が魅力を感じ、価値や値段が高くなる状態のことです。

生産量が少なく簡単に手に入らない珍しいものほど、希少性が高くなります。

例えば、キャビアやフォアグラは、ほかの安くて美味しい食べ物と比べて特段美味しいというわけではありません。

ところが、採れる量が少ないという理由で価値が高くなり、値段が高騰しているのです。

最近ではコロナウイルスの影響で、マスクの価格が高騰しましたよね。

価格高騰の理由は、急激に需要が増えたことでこれまでの生産状況では供給が追い付かず品薄となったからです。

市場に出回る数が少ないので希少性が高くなったというわけですね。

当時ドラッグストアなど、店頭にマスクが並ぶと聞けば、多くの人が行列を作ってマスクを買い求めました。

その際、購入は1人1箱までと購入制限もあったことから、さらに希少性が高くなりました。

欲しい人全員にに行き渡る十分な数が確保できない状態では、「今しか手に入らないかもしれない」という焦りから普段より値段が高くても購入に至ってしまいます。

数が少なくなかなか手に入らないものは、高い価値があるように感じられ、高額でも欲しくなるというのが希少性が高い状態なのです。

スノッブ効果との違い

スノッブ効果は、簡単に手に入らないものは需要が増し、誰でも簡単に手に入れられるものは需要が減少するという希少性の原理と同じ効果があります。

希少性の原理との違いは、簡単に手に入らないものを欲しいと思う心理状態です。

希少性の原理の「希少性が高いものに価値を感じて手に入れたくなる」というのに対し、スノッブ効果は「ほか人と違うものを手に入れることで、他者と自分を差別化したい」という心理が働きます。

例えば、街中で自分と同じ服の人を見かけたときに恥ずかしくなってしまったり、自分がいいものを身につけていないような気がしてみじめな気持ちになってしまったりすることがありませんか。

また、ほかの人が持っていない珍しいものは欲しくなり、手に入れると人に自慢したくなりますよね。

「誰も持っていない、人と違うものが欲しい」と理由に違いはありますが、どちらも「簡単に手に入らないものを手に入れたくなる」という人の心理を表した現象です。

視点は違いますが同じ意味ととらえることができますね。

希少性の原理が働く理由

  • 今買わないといつ手に入るかわからない
  • ほかの人に取られるかもしれない

など、ほかの人はすでに持っているのに、自分だけ持っていないと取り残されたような恐怖を感じてしまいます。

人が希少価値のあるものに対して行動を起こしてしまう背景には、この「取り残される恐怖心」があるからです。

スマートフォンが普及し始めた2011年ごろ、「FOMO(フォーモ)」という言葉がアメリカで広まりました。

これは、「取り残される恐怖」を意味する“Fear of Missing Out”の略語で、人間の心理的な特徴を表しています。

  • 友達と四六時中つながっていないと安心できない
  • SNSで友達の動向を常にチェックする
  • 連絡が途絶えると不安になってしまう

など、不安な心理状態のことです。

この不安は「自分の知らないところでほかの人が楽しい思いをしているのではないか」という、自分だけが取り残される恐怖心からきています。

希少性の原理は、このような恐怖心を払拭するための行動を起こすことで成り立つのです。

【目的別】希少性の原理を効果的に使う方法

ここまで、希少性の原理が人の心理に大きく影響することをご説明してきました。

数が少ないだけでそのものの価値が上がるのであれば、日常生活で簡単に活用することができそうですよね。

実は、希少性の原理を使えば人を思いのままに行動させることができ、ビジネスや恋愛などさまざまな場面で効果を発揮してくれます。

ここでは、状況別に希少性の原理を応用する方法を詳しく見ていきましょう。

目的①マーケティング戦略

希少性の原理は、販促を目的としたマーケティングで非常に有効です。

「数量限定」や「タイムセール」といった数量や時間の希少性を訴えることで商品の価値が上がります。

希少性の原理によってプレミアム感がでるので、人は「今買わないとほかの人に取られて手に入らないかもしれない」と思い購入してしまうのです。

例えば、「100個限定」「展示品大処分」など数量が限定されると、今買わないと損をしてしまうと感じ、つい買ってしまったという経験はないですか?

「今から30分間、店内商品すべて半額」「毎月20日は5%オフ」など時間や日にちを限定されると、安いから買い物をしなければと思い込み、欲しいものがないのに何か買わないといけない気になってしまいますよね。

このように、数量や時間の希少性を強調すれば、お客さんの「損をしたくない」という気持ちが集客につながります。

また、「芸能人愛用」や「会員限定」などといった付加価値をつけることも有効です。

付加価値をつけると特別感を演出できるので価値が上がり、商品やサービス購入の決め手になります。

ここで解説する希少性の原理などを利用しながら、ホームページSNSを運営することで売上が伸びる集客メディアを生み出すことができます。

目的②営業トーク

数量や時間を限定したり付加価値をつけて商品の価値を上げると、お客さんはこの条件で買えるのは今しかないと感じ、購入したくなります。

例えば、

  • 今から30分間のみ50%オフです。お急ぎください!
  • 特別価格は10個のみです。今後このような価格でご提供することはありません!
  • 割引きは先着30名様のみです!

商品を買うかどうか迷っている人にプレミアム感を演出して、購入の決め手になることをアピールすればいいのです。

この手法はテレビショッピングでもよく見られますね。

「5,980円のこのフライパン、今から30分以内に申し込みの方に限り同じものをもう1つつけて、お値段据え置き!」

など、このお得なフライパンセットは今しか手に入らないという特別感を出して、お客さんの購入意欲を掻き立てます。

このように希少性の原理をうまく取り入れると、お客さんに「今買わないと損をする」と感じさせる自然な営業トークができるようになりますよ。

目的③恋愛の駆け引き

恋愛でよくある「失いたくない」という気持ちにも希少性の原理が働くので、ここぞというときの恋愛の駆け引きにも有効です。

具体的には、自身にプレミアム感をだしましょう。

相手にとって、自分が希少な存在であると思わせることが大事です

それが難しい場合は、まず意中の人の嫉妬心を掻き立てましょう。押してダメなら引いてみるのです。

簡単にできる方法は、意中の人以外の人と仲良くすることです。

あなたが意中の人に好意を示していたのにもかかわらず、ほかの人にちやほやされている姿を見ると、相手は「ほかの人に取られてしまうのではないか」という焦りを感じるようになります。

その結果、あなたの希少性が高まり「手に入れたい」という気持ちが大きくなるのです。

しかし、嫉妬心を駆り立てる方法は、相手に全くその気がない場合には逆効果になってしまいます。

そこに至るまでの関係性や、この効果を使うタイミングには細心の注意を払いましょう。

希少性の原理をうまく使っている企業の事例

希少性の原理は、マーケティングや恋愛などで人の心を動かし、成功に導くことができるとわかりました。

希少性があるだけで価値が上がり、人の心まで動かしてしまうと考えると少し怖いような気もしますよね。

ですが、希少性の原理はいろいろな場面で実際に使われており、生活の中にあふれています。

これまでお伝えしてしてきたように、活用できればビジネスや日常生活の役に立ちます。

とくに、ビジネスで成功している企業は希少性の原理をうまく活用していることが多いのです。

ここでは希少性の原理を活用している企業の事例を紹介します。

普段何気なく利用しているお店や商品にも企業が希少性の原理を演出し、購買意欲を高めていることがわかりますよ。

事例①任天堂

任天堂では、ゲーム機の供給が需要に追いつかず、希少性が高まった事例があります。

任天堂から発売されている「Wii」や「switch」など、大人気のゲームは、生産台数が需要に追いつかないことで、なかなか手に入らない希少性の高いものであると認識されました。

その結果、顧客の「手に入れたい」という欲求が高まり、さらに需要が加速しました。

品薄となったことで商品の価値が高くなると、入荷するたびに多くの人々が行列を作ってまで購入しようと必死になっていましたよね。

そして普段ゲームをしない人は、その行列を見て「持っていないと話題についていけなくなるかもしれない」と感じ、手に入れたいと思うようになり需要は高まっていくのです。

昨今では、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要で、自宅で過ごす時間が増え、ゲーム機の需要は高まりました。

しかし売り出し中であった「任天堂スイッチ」は、世界的な半導体が不足していた影響で供給は停滞してしまい需要が追いつかず、なかなか手に入らないことから希少価値も高くなりました。

コロナ禍ということもあり、商品入荷の際は販売店に並ぶのではなく、オンラインで購入権を抽選する形がとられていましたよね。

この抽選で購入権を獲得した人がSNSで当選報告をすることで、プレミアム感を演出できたのも成功の要因と考えられます。

この事例のように希少性の原理をSNSのブランディングに活用している企業は他にもあります。

ぜひこちらから成功事例について確認してみてください。

事例②スターバックス

大手カフェチェーンのスターバックスでは、季節ごとに見た目も華やかな期間限定の新商品を数量限定で発売しています。

「期間限定」「数量限定」の商品は購入したくなるという希少性の原理をうまく活用していますね。

スターバックスで販売される限定商品は、いつも発売するとその直後に当日分が売り切れになるほど大人気です。

見た目も華やかなのでSNSに写真を投稿する人も多く、目にする機会が増え、たくさんの人が手に入れたい希少性の高いものだと認識されています。その結果、消費者は「自分もほしい」と、購買意欲を掻き立てられるのです。

このように、希少性が高いと認識された商品が、さらにSNSなどの口コミで話題になると、その価値はさらに高められ購入者が拡大していきます。

事例③Booking.com

ホテルや航空券の予約に便利なBooking.comも希少性の原理をたくさん活用しています。

ホテルの部屋数に制限を設け、「残り〇部屋」というように具体的な数字を示すことで、「早く予約しないとほかの人に取られてしまう」という焦りを感じさせるのです。

その結果、部屋の希少性が高いと感じるようになります。

「このホテルは24時間以内に〇人に予約されました」「〇名が閲覧中です」などと言われると、「ほかの人たちもこの部屋を予約したいと思っているのであれば、きっといい部屋に違いない!自分が泊りたい」と思いますよね。

このように、希少性の原理を使ってマーケティングをするときは、具体的な数字を示し、残り少ないことをアピールする「数量限定」の希少性も有効な手段なのです。

ビジネスで希少性の原理を使うときの注意点

ビジネスで希少性の原理を使うときは、ウソをつかないようにしましょう。

ウソをつくと、それがバレたときに「営業戦略だ」と感じられてしまい、購入意欲はなくなってしまいます。

何年も「閉店セール」の広告を貼っている店舗を見かけることがありますが、これでは希少性の原理は働きません。

お客さんからの信用も失ってしまいますよね。

売り上げを上げたいからといって、在庫があるのに「残り〇個!」「最終処分!」などといったウソの宣伝をするのもやめましょう。

また、実現できるかわからないキャンペーンなどを打ち出すと、できなかった時にお客さんからの信用を失ってしまいます。

ウソをつく気がなくても結果的にウソなれば、批判的な内容がSNSなどで拡散され、今後の事業展開がうまくいかなくなってしまう可能性もあるので注意してくださいね。

希少性の原因を活用するときは、まず顧客との信頼関係を構築することが大切です。ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。

まとめ

希少性の原理について心理的な意味や使い方を解説しました。最後に、希少性の原理についてまとめます。

  • 希少性の原理とは、需要に対して供給が足りていないものの価値が高いと感じられる心理状態のこと
  • 希少性の原理が働く理由は、「取り残される恐怖心」
  • 希少性の原理は恋愛やマーケティング戦略に活用できる
  • 「数量限定」「期間限定」など特別感を出すことで希少性を高めた商品に消費者は魅かれ、購入したくなる

希少性の原理には人を動かす力があり、さまざまな場面で活用できます。

特に、マーケティングでうまく使うことができれば、ビジネスの成功につながります。

売る商品は同じでも、売り方を変えるだけで価値を高めお客さんの購入意欲をあおることができるので、ぜひ試してみてくださいね。

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