コミュニケーションコストとは?意味やコストを下げる方法について解説
- コミュニケーションコストってなに?
- コミュニケーションコストを下げるにはどうしたらいいの?
- コミュニケーションコストのかからない人になりたい!
コミュニケーションコストの意味を理解すれば、コストを下げることができます!
コミュニケーションの問題点を改善することで、情報の伝達や共有、意思疎通が早くなり、業務や人間関係もスムーズになるからです。
ここではコミュニケーションコストの意味と、コストのかかる人の特徴、コストを下げるにはどうしたらよいかを具体的に紹介しています。
また、増やした人の分だけでコミュニケーションコストが上乗せされ、結果的に作業効率が下がるブルックスの法則についてもわかりやすく解説しています。
あなたのスキルアップにはコミュニケーションコストの低さが大事です。
この記事を読んでコストダウンをすれば業務を効率的に行え、より重要な仕事を任されるようになります。
それでははじめましょう。
コミュニケーションコストの意味をわかりやすく解説
コミュニケーションコストとは情報伝達や意思疎通にかかる時間や労力のことです。
ビジネスシーンにおいてよく使われる言葉ですが、コミュニケーションコストが発生するのはどのようなときでしょうか?
- 上司が部下に仕事を任せるとき
- 経営側の考えを社員全員に伝えるとき
- 自分の知らない情報を他の人に聞くとき
コミュニケーションコストはビジネスにおいて日常的に発生していますよね。
また、プライベートにおいてもコミュニケーションコストは発生します。
- 恋人とデートの計画を立てるとき
- 休憩時間に職場の人と話すとき
- 同僚と飲みに行くとき
いつ、誰と、どこでなど、お互いが情報を共有し理解することはビジネスでもプライベートでも当たり前のように行われています。
物事を円滑に進めるために報告・連絡・相談をすることをコミュニケーションといい、そこでかかるお互いの時間や労力をコストといいます。
何気ないコミュニケーションにもコストがかかっているという意識を持つことが大切ですね。
コミュニケーションコストがかかる人とは?具体例を3つ紹介
コミュニケーションコストがかかる人とは一体どんな人なのでしょうか。
情報伝達や共有、意思疎通を図るときに、多くの時間や手間がかかってしまう人、簡単にいうと「理解力がない人」です。
ビジネスにおいて大切なのは、「なぜ?」「どうして?」など、わからないことはすぐに聞くことです。
理解できていないと時間も手間もかかるということになります。
出した指示に対して同じ質問をしてきたり、指示を出す側の人が思い付きで次々と指示を変えたりすると話すのも聞くのも疲れてしまいますよね。
タイミングや伝達方法を間違えると、コミュニケーションコストがかかる人になってしまいます。
ここでは「時間」「手間」「理解力」3つの視点で、どんな人がコミュニケーションコストが高いのか、具体的に見ていきましょう。
例①コミュニケーションに「時間」がかかる人
- 「上司から任された仕事を指示通りにやったのにやり直しを命じられた」
- 「部下からの質問に答えたが他の人にも同じことを聞いていた」
など、相手に同じやり取りを何度も繰り返させてしまう人っていませんか?
それは相手の時間を奪う、コミュニケーションに時間のかかる人です。
何度もやり取りをすることで相手も自分も疲れてしまい、さらには仕事が進まず業務効率が低下してしまいます。
このようなケースでは、新入社員であったり途中加入の助っ人だったり、そもそも基本的なルールを把握していないということが考えられます。
例えば「赤信号は止まる」という信号のルールを知らない人はほとんどいませんよね?
この信号の基本のルールを知っているからこそ指示がなくても「青信号は進む」という行動がとれます。
ですから信号のルールを知らない人には、まず「赤信号は止まる」「なぜ止まるのか」「止まらないとどうなるのか」などを説明する必要があります。
しかし、それだけで次の行動はとれません。「青信号は進む」という指示も出さなければ、ただ立ち止まっているだけになってしまいます。
このように基本ルールを知っている人と知らない人とでは、次の行動に移すまでの時間や理解度に差があります。
また、基本ルールを知らない人に応用部分だけを伝えても、解釈を違えてしまうリスクもあります。
指示通りと思って進めたことが、前提を知らなかったがために間違った結果になってしまい一からやり直し、なんて時間の無駄ですよね?
相手に知っていてほしいこと、自分が知らなければいけないことを理解できていない人は、コミュニケーションに時間というコストがかかってしまうのです。
例②コミュニケーションに「手間」がかかる人
指示や質問を次々とメールなどで発信することも余分なコミュニケーションコストがかかっています。
自分の考えや思いつきをその都度、情報共有のつもりで相手に連絡をする人がいますが、それはコミュニケーションに手間がかかる人です。
大量のメール送信したり何度も電話をかけたりすると、発信側、受信側ともに手間がかかります。
受け取る方は指示や質問、催促など雑多に並んだ情報をまず整理しなければなりません。
その間にも次々と指示が変わるとなかなか仕事に取り組めないですよね。
特に指示が取り消されてしまうと、それまでの作業が無駄になってしまう可能性もあります。
このようにコミュニケーションに手間がかかってしまうと、お互いの時間を奪うだけで、生産性は下がる一方です。
例③内容を理解してもらえない・できない人
前提やルールが共有できている人とできていない人では、情報伝達の速度が違います。
情報をきちんと共有でき理解ができている人は、依頼に対しておこなう業務の取捨選択ができ、すぐに取りかかることができます。
一方伝えた内容を理解してもらえない・理解できていない人は、どうして自分にその業務を与えられたのかすらわかりません。
分からないことを放置したまま作業を進めていたり、全体像を想像するのが苦手だったりと、伝えられた内容を整理できないからです。
そのため、何度も質問をしたり、あとから誰かに確認したり、時間や手間といったコミュニケーションコストを発生させてしまうのです。
コミュニケーションコストを下げる5つの方法
コミュニケーションコストを下げるには、相手の立場になって考える、という共通点があります。
相手の求めている情報はなにかを理解し、端的にわかりやすい説明をすると、伝わりやすく相手の時間を奪わないコミュニケーションが取れます。
上司から仕事を任されたとき、どのようなコミュニケーションをとるとコスト削減につながるのか考えてみましょう。
方法①相手の話をきちんと聞いてから発言する
頼まれた買い物が「じゃがいもとにんじんとたまねぎ」だったので、てっきり肉じゃがだと思っていたら、実はカレーでルーが足りずもう一度買いに行った、なんてことありませんか?
何を作るのか、最後まで聞いていれば1度の買い物で済んだはずです。
ビジネスにおいても、まずは相手の指示を最初から最後まで全て聞くことが大切です。
相手が話している途中で質問してしまうと仕事の全体像を見失ってしまう上、相手もどこまで伝えたのかわからなくなってしまう恐れもあります。
また、話をさえぎって自分の考えを話し出すと、横道に逸れてしまい関係のない話をダラダラと続けてしまうことになりかねません。
そうすると情報量が増えてしまい、必要な情報の取捨選択に時間がかかってしまいます。
したがって、全て聞いた上で内容の確認や質問をすると効率よくコミュニケーションコストを下げる方法です。
ビジネスもプライベートも、まずは相手の話をきちんと聞くことが肝心ですね。
方法②情報を整理してから伝える
話をきちんと聞くことは大切ですが、一度聞いただけで全て覚えていられる人はなかなかいませんよね。
ですので指示を聞くときはメモを取り、疑問点や確認したいことがあればそこに控えておく工夫も大事です。
メモを取るときにただ聞いたことを書き写すのではなく、「5W1H」に当てはめて整理しながらおこなうと情報をまとめやすくなりますよ。
このような視点で整理すると、相手が伝えたいことが明確になります。
そしてこの中で情報が足りない部分はその場で伝えて確認できれば、コミュニケーションコスト削減につながりますね。
方法③情報を共有する
チームで何かに取り組む場合、全員が同じ認識で情報を共有できていればコミュニケーションコストはかかりません。
しかし指示する側、される側の認識に違いがあると確認作業が増える、つまりコミュニケーションコストがかかり仕事が進まなくなってしまいます。
前述の「信号」や「カレー」の例えは、どちらも基本ルールや前提を把握できていなかったため情報共有がうまくできず解釈にズレが生じてしまいましたよね。
情報を共有するときは、指示する側がまず大前提となる基本ルールを周知し、相手にわかりやすいように伝える必要があります。
一方指示される側も提示されたルールなど業務に必要な情報を整理し、理解することが大事です。
このように情報共有によるコミュニケーションコストの削減は、お互いの協力が不可欠となります。
そのため情報を簡単に共有できるグループチャットなど、環境を整えることもコミュニケーションコストを下げる上で大切なのです。
ちなみにグループチャットは自分のタイミングで確認できますし、後で情報を再確認するときに認識のズレも起こりにくいので、チームで情報を共有するのに便利なツールですよ。
ただ、こういった場合全員が把握していなくてもいい情報もありますので、共有する情報の取捨選択は必要になります。
方法④ひとりひとりの役割を明確にする
依頼された内容をタスク化し、担当を決めて取り組むことも大事です。
タスク化とは大きな仕事や課題を細分化することです。
ひとりひとりがタスクを達成すれば、抜けや漏れなく作業できるのでコミュニケーションコストを削減している、ということになりますね。
また、タスク化により自分のやるべきことを明確にしておくことは、コミュニケーションコストを下げる以外にもたくさんのメリットがあります。
まず集中して取り組めるようになるので、作業にかかる時間が短縮されます。
また大きな目標の場合、どこから手を付ければいいのか、どこまでやればいいのかが曖昧になりますがタスク化し、やるべきことが決まっていれば自分が何をどこまでやればよいかの線引きもしやすいです。
そして、それぞれのタスクの進捗状況を共有すれば、偏りがあった場合に協力が得られやすくなります。
その結果、作業効率は格段に上がりモチベーションアップのみならず、ひいてはコミュニケーションコストの削減にもつながっていきます。
方法⑤コミュニケーション方法を統一する
ツールを固定し報告・連絡・相談を集約させることで、仕事の基本ルール以外のマニュアルも出来上がっていきます。
電話、メール、チャットなどを複数使っていると、メールには書いてあるがチャットには書いてないなど、情報の正確さが疑わしかったりそれぞれの認識スピードに差ができたりと、共有も難しくなります。
また、電話ですと1対1で録音でもしていない限り内容も残らないため、伝えたかどうかの確認すら取れないというトラブルも起きやすいですよね。
どんな場合においても「言った、言わない」の水掛け論は究極の無駄だと感じてしまいませんか?
コミュニケーション方法を統一しておけば、わからないことがあって行き詰まったときもすぐに調べられますし、仕事で使っているという意識があるため、質問に対する返信も早くなり業務効率アップも期待できます。
グループチャットを固定ツールとした場合、チャット内での報告や質問がそのままトラブル対応や仕事の進め方のFAQとなります。
変更の通達なども1度で済むので連絡漏れの心配もありません。
コミュニケーション方法を統一することは、聞く側、聞かれる側の手間を省き、同じような質問を繰り返されないためにも役に立つでしょう。
コミュニケーションコストの計算に役立つ「ブルックスの法則」とは?
プロジェクトが遅れているところへ要員を追加してもさらに遅らせてしまうという法則を「ブルックスの法則」といいます。
例えば、計画通りに進めば10日で終わる仕事を1人で進める場合、コミュニケーションコストがかかりません。
そこに仕事の負担を減らそうと、もう1人追加し作業を2人で行うことにします。
そうすると、多くの人は一人当たりの負担は減り、作業時間も半分になるだろうと考えますよね。
しかし実際はプロジェクトに対する要員は2名と人が増えたのにもかかわらず、ここにかかるコミュニケーションコストは1人のときと比べて4倍になり、作業時間の短縮にはつながらないというのです。
3名になれば9倍、4名ならば16倍、と倍になるのではなく人数の2乗分もかかると言われています。
なぜこのようなことが起こるのかというと、人員を増やせば増やした人の分だけ仕事内容の把握や情報共有に時間を取られてしまうからです。
ブルックスの法則の由来となったフレデリックス・P・ブルックスの著書「人月の神話」でも“1人の妊婦が9か月で赤ちゃんを出産できても、9人の妊婦が1ヶ月で赤ちゃんを出産することはできないのである”とあります。
つまりタスク分解には限界があり、1人で10日かかる仕事を10人でやれば1日で終わる、というわけではないということです。
人が増えるほどコミュニケーションコストもかかることを計算して、増員する人数を決めたり、1人当たりにかかるコミュニケーションコストの削減方法を考えたりすることが重要となります。
まとめ
最後にコミュニケーションコストについて簡単にまとめます。
- コミュニケーションコストとは情報伝達や意思疎通にかかる時間や労力業務や人間関係を円滑にするために必要だが、コストもかかっていると認識する
- コミュニケーションコストが高い人とは「話の通じない人」コミュニケーションコストを削減するには、情報の収集と整理、共有が重要ブルックスの法則を知り、要員増加にかかるコストを見極める
- コミュニケーションコストについて理解を深めておけば、円滑にコミュニケーションをとるコツがわかりコミュニケーションコストは削減されます。
自分の意識が変わり、物事の本質を理解する能力も身につきますので、人からも企業からも頼られる人材となるでしょう。
これを参考にスキルアップして、より社会や企業から必要とされる人になってくださいね!