吊橋効果とは?心理学的な意味を簡単にわかりやすく解説
- 吊り橋効果の意味が知りたい!
- 吊り橋効果ってどうやって使うの?
- ビジネスシーンでも吊り橋効果は活用できる?
吊り橋効果は映画やドラマの中だけでなく、きちんと実証された心理テクニックです。
この記事では吊り橋効果の意味や効果、注意点について解説しています。
また、どんな場面で吊り橋効果が使えるのか、恋愛とビジネスの2つに分けて具体的に紹介しているので参考にしてくださいね。
吊り橋効果の力が発揮されるポイントが分かれば、あなたの恋愛もビジネスも今よりうまく進みますよ。
吊り橋効果の心理学的な意味を簡単に解説
”吊り橋効果”という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。
特に恋愛において「恋の吊り橋理論」などとよく使われていますよね。
吊り橋効果とは、不安や恐怖、苦労などを一緒に体験した人には恋愛感情を持ちやすくなる心理効果のことです。
心理学の実験でもきちんと実証されている心理効果なのですよ。
まずは、吊り橋効果が実証された実験の内容や吊り橋効果の意味についてみてみましょう。
吊り橋効果が実証された実験とは
吊り橋効果は、1947年に社会心理学者のドナルド・ダットンとアーサー・アロンにより発表された 『生理・認知説の吊り橋実験』で実証されています。
『生理・認知説の吊り橋実験』は、感情が認知より先に生じるのなら、感情を先立たせることで間違った認知に誘導できるのではないかという考えをもとに行われました。
実験内容は、18~35才の独身男性に揺れる吊り橋と揺れない吊り橋のどちらかを渡ってもらい、吊り橋の真ん中で「アンケートにご協力ください」と若い女性に話しかけさせます。
そして、アンケートに答えてもらった後「結果に興味があるなら連絡してください」と女性の連絡先を渡すというものです。
実際に後日連絡してきた男性を統計したところ、揺れない吊り橋を渡った男性からの連絡は1割ほどだったのに対し、揺れる吊り橋を渡った男性は5割が連絡してきました。
この実験の結果として、揺れる吊り橋を渡る緊張感が恋愛感情のドキドキと間違えて認知されたことが分かりました。
つまり、感情は間違った認知に誘導できる可能性があるというダットンとアロンの立てた考えは証明されたわけです。
この実験で吊り橋が使われたことから「吊り橋効果」と言われるようになりました。
吊り橋効果=恋愛だけではない
吊り橋効果は恋愛で有名な心理学のテクニックですが、恋愛に限った手法ではありません。
恋愛以外にも、緊張や興奮といった一緒に心臓がドキドキする体験をすることで、相手に親近感や連帯感をもたせることができます。
たとえば、ビジネスにおいてはチーム内に一体感が生まれたり、顧客に親近感を持ってもらうことができるのですね。
心拍数が上がる感情をもつことで、間違った認知に導く吊り橋効果の特性を活かせるわけです。
仕事をスムーズに進めるための心理テクニックとして、吊り橋効果はとても有効なのですよ。
吊り橋効果で期待できる具体的な効果とは?
吊り橋効果は、不安や恐怖、苦労など心臓がドキドキするような体験を共有することで、相手を間違った認知へ誘導する心理テクニックです。
では、吊り橋効果を使うことで具体的にどんな効果があるのでしょうか。
まず恋愛においては、2人でハプニングや恐怖を体験することで「相手を意識するきっかけ」になります。
映画の展開でもよくありますが、パニックやホラーでピンチや恐怖をともに経験した2人が最後に恋に落ちますよね。
これも吊り橋効果によるものです。
ピンチや恐怖による心臓のドキドキを、一緒にいる相手への恋愛感情としてのドキドキと勘違いしてしまうのですね。
また、ビジネスでは吊り橋効果によって、相手に「やる気を出させる」といったポジティブな感情を引き出すことができます。
吊り橋効果は、脳からドーパミンが分泌されることによって起きると考えられています。
ドーパミンの分泌によってやる気が出たり、幸福感を感じて物事を前向きに捉えられるようになるので、モチベーションや仕事の効率が上がります。
吊り橋効果を有効に活用することで、好意を持ってもらうきっかけになったり、仕事の生産性があがるなどさまざまな効果が期待できますよ。
吊り橋効果が活かせる場面を2つ紹介
吊り橋効果は恋愛だけでなく、ビジネスにも活用できることが分かりましたね。
吊り橋効果を活用する際のポイントは、ドキドキやワクワクといった心が揺さぶられる体験を通して「好きかもしれない」「一緒に頑張っていこう」という感情へ相手を誘導することです。
次は、どのような場面で吊り橋効果を活用できるのか、ビジネスと恋愛の2つの場面での使い方を具体的に紹介します。
【ビジネス】チームで共通の課題に取り組む
ビジネスで吊り橋効果を活用するなら、チームで共通の課題に取り組む仕事がおすすめです。
チームで共通の課題に取り組むと、チーム全体でより良い結果を求めようとしますよね。
共通の課題に向けて、チーム内ではよりコストパフォーマンスの高い仕事をするために一人一人に適度な緊張感が生まれます。
そして、課題に取り組む過程で苦労を共にすることで、チームの士気が高まりチームワークがよくなるのですね。
課題は、難しすぎても簡単すぎてもチーム内の士気が上がりにくいので目標設定には気をつけましょう。
吊り橋効果をうまく活用する際のポイントは、適度な緊張感を保てる目標を共有することですよ。
【恋愛】スポーツを一緒に楽しむ
恋愛に発展させやすい吊り橋効果の使い方は、一緒にスポーツをすることです。
スポーツをして体を動かすことで心臓の動きが活発になります。
この心臓のドキドキが吊り橋効果と同じ働きをしてくれるので、恋愛に効果的なのですね。
学生時代、運動部の部活内で付き合う人は多くありませんでしたか?
これも運動による心臓の高まりを恋愛のドキドキと勘違いしてしまうからです。
また、スポーツ観戦でも同様に吊り橋効果を活用できます。
スポーツ観戦も勝つか負けるか分からないドキドキを相手と共有できるからですね。
気になる相手とのデートでは、スポーツを一緒に楽しむことで吊り橋効果による恋愛感情が生まれやすくなりますよ。
【問題点】吊り橋効果で注意すべき3つのこと
吊り橋効果は恋愛やビジネスに有効ですが、頼りすぎは禁物です。
というのも、吊り橋効果はドキドキから生まれた誤った認知にすぎません。
うまく活用しなければ効果がないだけではなく、逆効果になる可能性もあるのです。
続いては、吊り橋効果をうまく使うための3つの注意点を紹介します。
①吊り橋効果はいつまでも続かない
吊り橋効果による誤認は長い時間続きません。
仕事がうまくいった際の興奮やデートの余韻が続いているうちは効果があるでしょう。
しかし、その効果はあくまで一時的なものです。
そのため吊り橋効果を使うならば、次の手もきちんと考えておくことが大切ですよ。
ビジネスなら新たな目標を決めてチーム内に良い緊張感を持続させる工夫が必要です。
恋愛でも連絡をこまめにするなど、せっかくのデートが無駄にならないようにしましょう。
②モチベーションが低いと効果も少ない
吊り橋効果を使うことで自分の望む方向へ相手を誘導することができます。
しかし、吊り橋効果を使えば必ず思い通りにいくとは限りません。
前提として、人や出来事に対してある程度の興味がなければ効果も少なくなります。
なぜなら、興味のない人や出来事に対しては感情が生まれにくいからです。
感情が生まれなければ、間違った認知に誘導できる可能性は下がります。
つまり、まったく自分に興味のない相手を振り向かせたり、仕事にやる気がゼロの人をポジティブな感情に向かわせるのは難しいということですね。
吊り橋効果を有効活用するには、まずは相手の興味の有無やモチベーションの高さを見極める必要がありますよ。
③絶対的な効果を保証する法則ではない
吊り橋効果とは、あくまでポジティブな結果になるためのきっかけ作りにすぎません。
使えば必ず良い結果をもたらす魔法のテクニックではないのです。
メリーランド大学のグレゴリー・ホワイトが行った実験でも絶対的な効果があるわけではないことが証明されています。
グレゴリー・ホワイトは、吊り橋の緊張感を恋愛感情と誤認するには実験で声をかける女性の容姿が優れているか否かで結果が左右されるのではないか、という仮説を立てました。
実際にメイクでわざと魅力的でない女性で実験を行うと、むしろ吊り橋効果は逆効果であるという結果に至ったのです。
吊り橋効果が有効なのは、相手が興味・関心を持っている状態だったり、よい関係性を築けているなどある程度の前提が必要になるわけですね。
吊り橋効果をより有効に活用するためには、前提条件やテクニックを使うタイミングを工夫することが必要なので、念頭に置いておきましょう。
まとめ
こちらの記事では心理テクニックのひとつである「吊り橋効果」について解説しました。
最後に、この記事のポイントをまとめます。
- 吊り橋効果は心臓の高まりを間違った認知へ誘導する心理テクニックである
- 恋愛においては相手を意識するきっかけを作れる
- ビジネスにおいてはチームの一体感を高めたり、親近感を抱かせることができる
- 吊り橋効果は長続きしないので、緊張感を続かせる工夫が必要
- 相手の興味・関心が低いと吊り橋効果は現れにくい
- 吊り橋効果はきっかけ作りであり、必ずる思い通りの効果が出るわけではない
気になる相手と仲良くなりたい時や、新しいビジネスチームを立ち上げる時など、吊り橋効果はさまざまなシーンで有効です。
ですが、あくまでもきっかけ作りにすぎません。
吊り橋効果でうまくきっかけを作り、恋愛やビジネスシーンに役立てましょう。