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森谷俊之

LibRu代表取締役

個人・小規模事業者向けのマーケティング・ブランディングのコンサルタント/セールスコピーライター

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分業化とは?成功事例から考えるメリット・デメリット

  • 分業化とは?
  • 分業化の成功事例が知りたい!
  • 分業化のメリット・デメリットは何?

組織作りに分業化は欠かせません。

一人が複数の業務を担うのは非効率であり、生産性が低下する原因になるからです。

それでは、分業化はどのようなプロセスを経ながら行っていくべきなのでしょうか。

この記事では分業化によって成功した企業の例を紹介し、分業化のメリット・デメリットを深堀りしています。

「もっと効率良く働くにはどうしたらいいのか」こんな悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

分業化とは?

さまざまな定義がありますが、大まかに言うと、分業化とは業務を複数で分担することです。

たとえば、一般的な会社であれば、経理/人事/営業/開発/製造/物流/事務/メンテナンスなど多岐に渡る部署があり、部署ごとに担当する社員が配属されていることも、分業化のひとつです。

さらに営業部署のなかでも、実際にお客さまに営業をかける営業職、サポートをする営業事務職、スムーズに部署がまわるように統括する営業管理職と分業化されているケースもあるでしょう。

それぞれが持つスキルに合わせて分担する作業を決めることで、スキルを最大限に活用でき効率化が図れます。

成功事例から考える分業化の3つのメリット

分業化は、業務について専門知識を持ったスペシャリストを育てやすい環境です。

そのため分業化のメリットは専門性を高めることで、期待できる効果にあります。

具体的に、どのような効果があるのか、ここでは分業化のメリットを3つみていきましょう。

メリット①生産性が向上する

分業化のメリットひとつめは、作業時間の短縮による生産性アップが期待できることです。

分業化では自分の担当する仕事や分野をつきつめていくのが基本なので、仕事の範囲が狭まり、効率的に進められます。

複数の業務を覚えるよりも、一つの業務に限定されていれば覚えるまでにかかる時間は短くなりますよね。

さらに、担当する業務を繰り返していると慣れてくるので、作業がより効率化され、完了までの時間を短縮できます。

分業化では同じ時間でより多くの成果物を生み出せるので、生産性の向上が期待できるのです。

メリット②質の向上につながる

分業化で担当業務を繰り返して行うことで、ミスやエラーの発生確率を下げられることもメリットです。

繰り返しで慣れることにより、余裕を持って仕事ができるようになりますよね。「忙しすぎて見逃してしまった」「慣れない仕事で抜けてしまった」などのミスを減らせるでしょう。

また、課題や問題点に気づきやすくなるので、解決策や予防策を講じるスピードも早めにできます。

分業化ではミスを減らし、より良い施策を考えていける環境が作れるので、仕事の質の向上が期待できるのです。

メリット③コスト削減につながる

分業化が適切であれば、適材適所な人材配置となります。

向いている仕事で、かつ社員の望んでいる仕事やスキルアップを図れる業務を個人が担当できるということです。

モチベーションを維持したまま仕事に取り組んでもらえるので、ムダな時間を省けたり作業効率の悪化を防げたりできますよ。

残業を強いることもなく、より多くの成果物を生み出せれば、コストカットや利益の向上が期待できるでしょう。

成功事例から考える分業化の3つのデメリット

日本では、実は子どもの時から分業化に慣れ親しんでいる側面があります。

たとえば、小学校の給食当番では、主食(ご飯やパン)/主菜(肉や魚、スープなど)/牛乳/デザートに担当者が分かれ、ベルトコンベア式で配膳して効率化を図っていましたよね。

これは、一人の給食当番がご飯をよそって、肉を盛り付け、牛乳やデザートを配置するよりも作業の時間が短縮されると理解しているからです。

そのため、分業化が効率的であり、生産性が高いことは多くの経営者が認識しているでしょう。

しかし、だからといって自社において安易に実現できるものではありません。

分業化に失敗している企業も数多いので、分業化を取り入れる場合はメリット以上にデメリットを注視し、導入は慎重に行う必要があるでしょう。

分業化の主なデメリットには以下の3つがあります。それぞれを詳しく見てみましょう。

デメリット①モチベーションが低下しやすい

狭い分野を突き詰めていく探求心に溢れた人であれば、分業化による配属が適材適所となり、良い効果をもたらす可能性は極めて高くなります。

ですが、誰もがそのような志向の持ち主とは限りません。

幅広い分野での知識や経験を得たいと思っている人からすれば、分業化は自分とは合わない働き方となるでしょう。

特化したスキルを得たいと思っている人であっても、同じ作業の繰り返しに耐えきれなくなってしまうことも考えられます。

分業化によって仕事に飽きてしまったり、モチベーションを保てなくなってしまう人が増えてしまえば、会社の体制を根幹から崩してしまう恐れがあります。

デメリット②全体像が見えにくくなってしまう

狭く深い専門知識によって、時間や労力を効率的に使えるようになる分業化は、言い換えれば自分の担当する範囲だけを理解・把握していれば業務が成り立ってしまいます。

しかし自分の担当範囲だけを仕事と認識していては、仕事の全体像はなかなか見えてきません。

最終的な成果物に対しての関心が薄いと、製品自体の品質の向上につながりにくくなります。

デメリット③各機能や部門間で対立が発生する場合がある

業務を細分化し、それぞれに専門知識を持ったスペシャリストがいる状況では、最終目標の共有やお互いの業務内容の理解を十分に深めておく必要があります。

自分が担当している業務のゴールしか見えていなければ、他の業務への関心を失ってしまうからです。

反対に他人を厳しく評価しすぎてしまうこともあるでしょう。

「自分は完璧にこなしているのに、あの人は力不足に感じる」など、敵対意識を持ったり問題が起こりやすくなります。

【成功事例】分業化によって生産性や効率性の向上につながった業種

分業化への理解が深まってくると、業務の分業化の必要性を感じる経営者は多いでしょう。

とはいえ、「今でも十分上手くいっているのに、あえて分業化する理由があるのだろうか」と悩む方もいますね。

そこでまずは、実際に分業化に成功し、生産性や効率性が向上した以下の3つの事例を紹介します。

自社と照らし合わせながら、読み進めてみてください。

成功事例①自動車製造

自動車製造といえば、ベルトコンベアによる生産ラインを想像する人は多いのではないでしょうか。

これは1913年に世界で初めて、アメリカのフォードが導入した生産方式です。

それまでは1台の自動車に対し、2〜3人の工員が数日かけて製造していたものを、流れ作業によって部品を組み立てていくことで効率を上げ大量生産を可能にしました。

現在も自動車製造では、主に次の6つの工程に作業が分かれています。

  1. プレス
  2. 溶接
  3. 塗装
  4. 組立て
  5. 検査
  6. 出荷

それぞれの工程に専門の知識を持つプロフェッショナルな工員を配属することで、製造のスピードと品質の両面が保たれています。

成功事例②ソフトウェア開発

これまでのソフトウェア開発は、一人のエンジニアが全てを担うことが少なくありませんでした。

しかし、年々システムは複雑化しており、ソフトウェア開発に必要な技術の数は増加しています。

そのため、現在はプロジェクトマネージャー/ソフトウェアアーキテクト/デザイナー/プログラマーなど、異なる専門性を持った人が協力して開発を行うのが一般的となりつつあります。

これにより、エンジニアは自身の専門領域に集中することが可能となりました。

また、ソフトウェア開発には半年から一年と長い年月をかけて行うケースが多いので、分業化によって段階ごとに目標やゴールを定める体制が重視されるようになってきました。

細かくゴールを設定すると、完成形のイメージをエンジニアが共有しやすくなるだけではなく、テストを繰り返すことで不具合にも気づきやすくなります。

分業化は完成までの過程を効率化するだけではなく、複雑なシステムにも対応可能な高品質なソフトウェア開発にもつながっています。

成功事例③営業プロセス

営業(セールス)は新規開拓/顧客の育成/アポイント獲得/商談対応/契約成立後のフォローアップなど、営業活動の全般を一人で担うことが多いですよね。

担当企業や地域が決まっている場合、場面で営業(セールス)が変わるのは相手との信頼関係を築きにくい側面があるからです。

一方で、一貫した営業活動を担えるセールスマンを育成するには、時間や費用がかかります。

また、近年は少子高齢化や終身雇用制度の崩壊などにより、雇用の流動化が進んでいるため、育てた人材が長く自社で働いてくれる保証もありません。

このようなリスクは会社の業績に直接関わります。

そこで、営業の分野でも分業化によって育成に必要な時間や資金を短縮し、早い段階で仕事に慣れて戦力になる人材を得るという考え方にシフトしてきています。

一昔前までは「足で稼ぐ」のがセールスの基本と言われましたが、現代はWebやSNSがマーケティングの中心になっており、インサイドセールスが可能な状況であることも営業活動の分業化に拍車をかけています。

インサイドセールスのやり方については、こちらの記事を参考にしてください。

分業化を成功させるために意識すべきポイント

  • 仕事の全体像や最終的なゴールを共有する
  • 情報伝達や連携の仕組みを作る
  • コミュニケーションを図る場を設ける

分業化では、業務における最適化は目指せても、仕事全体の最適化につながらないことがあります。

そのため、自分の担当業務は過程の一つであり、最終的なゴールはもっと先にあると意識することが大切です。

それには、部門間の連携の仕組みやルールを作り、仕事に関わる人が共有する必要があります。

専門性の高い仕事に携わる場合には、主体性だけではなく仕事の全体像を見ようとする目、つまりは客観性も併せ持たなくてはなりません。

また、他業務の担当者とは定期的にコミュニケーションを取りましょう。

お互いの業務の理解や把握を進めることは、対立や問題を減らすだけではありません。

他の業務を知ることで、改めて自分の担当業務の重要性や意義なども知ることができるからです。

これを仕事の有意性といい、それまでは漫然とこなしていた業務に、プライドや積極性を持てるようになります。

業務効率の向上には外注化も有効!

分業化を実現するには、業務を分担した数だけ担当者が必要になります。

人員が少ない、人手不足などの理由で、想定したすべての業務に担当者の配置が難しい場合もあるでしょう。

そのような時は、分業化にこだわりすぎずに外注化の選択も視野に入れておきましょう。

外注化の効果や管理のコツについては、こちらの記事を参考にしてください。

まとめ

分業化のメリット・デメリットや、成功事例を紹介しました。

最後にこの記事をまとめます。

  • 分業化は専門知識を持ったスペシャリストの育成が可能
  • 分業化によるメリットには生産性や効率化の向上がある
  • 分業化は分野同士の対立や、全体像の把握が希薄になるデメリットもある
  • 各分野の担当者がコミュニケーションを図り、連携の仕組みをルール化するのが成功のコツ

デメリットを軽く捉えて分業化を進めてしまうと、会社への悪影響や損害を招くリスクが高まるでしょう。

分業化を行うときは、社員同士が分断しないよう、各分野の業務内容の理解やコミュニケーションを意識することが大切です。

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