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森谷俊之

LibRu代表取締役

個人・小規模事業者向けのマーケティング・ブランディングのコンサルタント/セールスコピーライター

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スリーパー効果とは?心理学的な意味や活用例をわかりやすく解説

  • スリーパー効果の意味や内容を知りたい!
  • スリーパー効果はどのような場面で使うと効果的?
  • スリーパー効果をビジネスで活かしたい!

スリーパー効果とは、信用性のない情報源から得た情報でも時間の経過とともに信用性が高まる心理効果のことです。

ビジネスや日常生活において、誰かを説得したり、自分の意見を相手に伝える場面はたくさんありますよね。

スリーパー効果をうまく活用することで、説得が上手くいったり、提案が通りやすくなるなどさまざまな効果が期待できます。

この記事では、スリーパー効果の心理学的な意味や、ビジネスや日常生活での活用例を分かりやすく解説していきます

この記事を読めば、スリーパー効果を活用して信頼を得る方法が分かりますよ。

目次

スリーパー効果の意味を分かりやすく解説

スリーパー効果を活用する前にスリーパー効果の意味を正しく理解しましょう。

ここでは、スリーパー効果の心理学的な意味スリーパー効果が実証された実験について解説します。

スリーパー効果とはどんな心理効果なのかが分かりますよ。

スリーパー効果の心理学的な意味

信頼度の低い情報源からの情報であっても、時間の経過によって情報の信頼度が高まる心理効果のことをスリーパー効果と言います。

「仮眠効果」や「居眠り効果」とも呼ばれています。

スリーパー効果はアメリカの心理学者、カール・ホブランドによって提唱されました。

スリーパー効果を提唱するきっかけとなったのが、プロパガンダ映画の検証です。

1940年代初期、第2次世界大戦中のアメリカでは兵士の士気を高めるために「Why We Fight (我々はなぜ戦うのか)」というプロパガンダ映画が上映されました。

この映画がどれくらい効果があったのかを検証したのです。

はじめは積極的に戦争に参加させる目的があからさまで、効果がありませんでした。

しかし、約9週間後に兵士たちの心に変化が見られ、戦争に対する士気が高まっていたのです。

つまり、時間が経つにつれてプロパガンダ映画であるという情報が忘れられて、映画の伝えたメッセージだけが信頼性のあるものとして心に残ったわけですね。     

このことから時間の経過とともに情報源が忘れられて、情報の信頼性が高まることが分かったのです。

情報源が薄れて眠ってしまうことから「仮眠効果」「居眠り効果」=「スリーパー効果」と言われるようになりました。

スリーパー効果が実証された実験

スリーパー効果は、1951年にカール・ホブランドとアーヴィング・ジャニスが行った実験で実証されました。

実験内容としては、「アレルギーを抑える薬は医師の処方がなくても販売されるべきか」というテーマの記事を読ませて、学生の意識の変化を調査するものです。

まず、学生たちには自分と反対の考えの記事を読ませました。

賛成意見の学生には否定的な見解の記事を、反対意見の学生には肯定的な見解の記事を読ませたのです。

その後AとBの2つのグループに分かれ、記事の情報源について以下のような説明をしました。

  • Aグループへの説明:生物医学雑誌などの信用性が高い情報源である
  • Bグループへの説明:大衆紙などの信用性の低い情報源である

情報源の説明を受けた後、情報源の信用性が高いと説明したAグループでは23%の学生が自分の意見を変えました。

一方、情報源の信用性が低いと説明したBグループで自分の意見を変えたのはわずか7%でした。

つまり、情報源の信用性の高さが学生の意識の変化に影響を与えたわけです。

しかし、4週間後に再び意識調査を行ったところ、2つの記事への信用度はあまり変わらないという結果となりました。

この結果から、最初は信頼性の高い情報源の情報が信用されやすいが、時間の経過とともに情報源の信頼性に関係なく情報が信用されることが実証されたのです。

ビジネスや恋愛にも!スリーパー効果の具体例を紹介

スリーパー効果はビジネスや日常生活において活かせる場面があります。

実際にどのような場面で活用できるのか3つのシーンでの具体例を紹介します。

それでは詳しく見ていきましょう。

例①メルマガ

メルマガを登録するきっかけはさまざまですが、何度も送られてくるメルマガに対して「どんな情報がかかれているのか」と気になって開いた経験はないでしょうか。

信用度をあげて興味を惹くために、スリーパー効果を活用しているのがメルマガです。

メルマガの特徴は、関心の有無に関わらずたくさん情報が送られてくる点です。

はじめは関心がなかったとしても、時間が経つことで記憶に残り、信頼できる情報として認識されます。

その結果、興味を惹かれ、購入のきっかけにもなるのですね。

特に注目したいのがステップメールです。

ステップメールはある程度ターゲットが絞りだされていて「どんな情報を必要としているのか」を考察しながら作られています。

ステップメールはスケジュールをもとに配信されるようになっているので、読者の興味や購入の意欲が高まりやすいのです。

メルマガを使ってコツコツとアピールすれば、顧客との間に信頼関係が築かれ、見込み顧客の獲得や企業への信頼度アップが期待できますよ。

例②選挙活動

筆者作成

選挙活動は期間中に街頭演説や選挙カーなどで、名前や政党、キーワードを有権者に印象づけて投票へつなげる役割があります。

この選挙活動にもスリーパー効果が活用されています。

例えば、候補者が大きな音量で街頭演説をしていたとしましょう。

「もう少し静かにしてほしい」とあまりいい印象を持っていなかったとしても、時間の経過とともにマイナスの印象が忘れ去られ、候補者の名前やキャッチフレーズといった情報だけが記憶に残ります。

投票当日は投票する候補者が決まっていなければ、記憶に残ってる名前の人にとりあえず入れておこうとなるわけですね。

実際に、2017年に関西学院大学社会心理学研究センターの三浦麻子教授が選挙運動によって有権者の心理にどのような影響を及ぼすのかを研究し、論文を発表しています。

検証の内容は以下の通りです。

  • 兵庫県赤穂市の市長選立候補者1人の選挙運動(選挙カー/街頭演説/練り歩き)に同行し、GPSでデータを収集する。
  • その後、20歳~75歳の908名の有権者から調査票の回答を得る。

その結果、街頭演説や練り歩きなど候補者が有権者に近い場所で接すると、候補者への好感や投票に繋がることと、選挙カーによる名前のアピールは候補者への好感には繋がらないものの候補者への投票率に繋がることが分かったのです。(※1)

スリーパー効果が働き、選挙カーの発する情報が信頼性のあるものとして記憶に残った結果と言えます。

選挙活動においてスリーパー効果を活用することは、1票でも多く票を獲得するための大きな役割を果たしているのですね。

(※1)関西学院大学 ニュース一覧『地方選挙における選挙運動と有権者の心理の関係』

例③好きな相手へのアプローチ

恋愛において想いを伝えることは大事ですよね。

しかし、積極的に毎日「好き」と言われると言葉の重みが少なくなります。

そこで、スリーパー効果を使って効果的に想いを伝えることで、信頼性が高まりうまくいく確率が高くなるのですよ。

例えば、好きな相手に告白をして一度は振られてしまったけれど、時間をあけて再び想いを伝えると上手くいったというケースはよく聞きます。

これは、時間をあけることで「好き」という気持ちが信用できる情報として受け取られるからです。

最初は信用されておらずアプローチに失敗しても、時間をかけてアプローチすることで好きという情報だけ残りアプローチがうまくいくということですね。

スリーパー効果を使えば、想いの真剣さが伝わり、好きな相手の気持ちを動かすこともできるのですよ。

スリーパー効果をビジネスで活用する際のポイント3つ

伝えたい情報の信頼度をあげ、説得を成功に導くためにスリーパー効果をビジネスで活用するケースは多くありますよ。

ビジネスにおいてスリーパー効果を活用する際には、押さえておくべきポイントが3つあります。

ここでは、どのようなポイントに気をつけたらいいのかを具体的に見ていきましょう。

ポイント①時間をかけて交渉する

ひとつ目のポイントは、時間をかけて交渉することです。

交渉する際は相手を納得させる必要がありますよね。

納得してもらうためには、相手からの信頼を得ることが大切です。

例えば、営業でお客さんに商品の説明をしたとします。

初対面の営業マンや初めて見る商品では、お客さんも信頼できず契約に結びつかない場合も多いでしょう。

そんなときは、無理に契約を進めるのではなく、日を改めるほうが得策と言えます。

なぜなら、時間をかけることでスリーパー効果によって商品の情報だけが記憶に残り、次に繋がりやすくなるからです。

すぐに答えがほしい時でも、無理に答えを求めようとしないで、長い時間かけて説得することでうまくいく可能性が高くなりますよ。

そのためには、丁寧な対応と相手に対する気遣いをもって、こつこつアピールすると良いでしょう。

ポイント②さまざまな方法でアプローチする

2つ目のポイントは、さまざまな方法でアプローチすることです。

同じ方法や内容の繰り返しでは、相手が不快に感じたり、うんざりしてしまって逆効果になる場合があります。

商品の営業を受けるときに「この商品は本当におすすめなのでぜひ買ってください」と何度も何度も言われると、「しつこいな」「いい加減にしてほしい」と感じますよね。

今はネット環境が進み「アプローチ」する方法も多様化してきました

同じ商品の情報を伝えるにしても直接対面で伝えるのと、SNSやメルマガを使って伝えるのでは印象も変わります。

そのためスリーパー効果を使う時にもさまざまな方法でアプローチしましょう。

さまざまなアプローチ方法を使うことで、ターゲットを飽きさせないことがコツなのです。

また、伝える内容もさまざまな視点で伝えることで、より興味を持ってもらいやすくなりますよ。

ポイント③印象に残るキーワードを使う

日常生活において、記憶に残っている言葉や印象に残っているフレーズがある方は多いのではないでしょうか。

印象に残るキーワードやフレーズは記憶の手がかりとなり、情報を呼び起こす効果が期待できます。

なので、スリーパー効果を使う時にもとても有効です。

例えば「からだにピース、カルピス」でおなじみのカルピス株式会社は、このフレーズをタグライン(企業が顧客に伝える簡単なメッセージ)として掲げています。

今では「からだにピース」と言えばカルピスが連想されるまでにイメージが定着していますね。

商品に対するキャッチコピーはコンセプトや想いが込められて作られているため、消費者に印象がダイレクトに伝わり、より記憶に残りやすくなるのです。

もしあなたが、消費者に商品をおすすめしたいときは、しっかりしたコンセプトのもとでインパクトに残るキャッチコピーやキーワードを考えましょう。

消費者の記憶に残ることが、スリーパー効果を活用するためのポイントですよ。

スリーパー効果を使うときに知っておきたい2つの心理効果

心理効果にはたくさんの種類があり、組み合わせることでより効果を発揮したり、逆に効果が薄くなる場合もあります。

ここでは「ブーメラン効果」と「ザイオンス効果」、2つの心理効果の意味とスリーパー効果との関連性について解説していきます。

2つの心理効果を知ることで、スリーパー効果をより活用できるようになりますよ。

心理効果①ブーメラン効果

ブーメラン効果とは説得しようとすればするほど、相手はその説得に反抗しようとしたり、反発を覚える心理のことです。

例えば、親から「部屋を片づけなさい」と言われれば言われるほど、余計にやりたくない気持ちが強まってしまうのはブーメラン効果の一例ですね。

スリーパー効果を使う時には、このブーメラン効果をうまく避けることが大切です。

なぜなら、スリーパー効果を狙って情報を伝えようとしても、反発されると情報自体が相手に届かないからです。

また、ブーメラン効果によって相手から逆に説得される可能性もあるでしょう。

ブーメラン効果を避けるためには、まずは相手との信頼関係を築くことが大切です。

ただ情報を伝えるのではなく、相手の求めているものに耳を傾け、相手を尊重することでブーメラン効果が生まれにくくなりますよ。

また、人は自分の態度や行動を自由に選択したいと考えます。

そのため一度で無理に説得するのではなく、難しそうならばスッと引いて日を改めて提案する方が効果的です。

情報源の記憶が薄くなり、情報だけが残った状態で改めて説得を試みましょう。

情報への信頼度が増して説得が上手くいく可能性が高くなりますよ。

心理効果②ザイオンス効果

スリーパー効果をより発揮するために活用したいのがザイオンス効果です。

ザイオンス効果とは、繰り返し接すると印象や関心が高まる心理効果のことです。

例えば、Facebook(フェイスブック)によるザイオンス効果で成功したのが「オイシックス」です。

オイシックスはFacebook(フェイスブック)で興味をもってもらえそうなターゲットに定期的に広告を配信することで、購入率やサイトへの訪問者数を伸ばしました。

お試しセットの購入率は7.6倍増え、ECサイト新規訪問者は1.7倍増加と大きな結果に繋がっています。

広告による接触回数が増えた結果、オイシックスへの好感や興味に繋がったわけですね。

スリーパー効果を活用するときに、このザイオンス効果を一緒に使うことで、より好印象を残したり、興味を持ってもらうことができます。

情報源や情報への信頼度にも繋がりますので、説得する際には接触頻度を増やすことを心がけるといいでしょう。

ただし、最初の印象があまりにも悪いと接触頻度を増やしても、嫌な印象が増えるだけです。

なので、無理な勧誘や押し付けをせず、相手に寄り添って伝えるよう気をつけてくださいね。

まとめ

スリーパー効果についてさまざまな視点で紹介しました

記事の内容を簡単にまとめます。

  • スリーパー効果とは、信用性のない情報源から得た情報でも時間が経過すると信用性が高まること
  • メルマガや選挙活動など、日常生活やビジネスでスリーパー効果が使われる事例はたくさんある
  • ビジネスでスリーパー効果を活用する際は、さまざまなアプローチで、印象に残るキャッチフレーズを使うのがポイント
  • スリーパー効果を使う際は、ブーメラン効果を上手に避けることが大切
  • 時間をかけながら繰り返し相手に接することで、よりウィンザー効果を発揮することができる

スリーパー効果をうまく活用すれば、自分の意見が通らないといった悩みも解消できます。

この記事を読んで、ぜひビジネスや日常生活でスリーパー効果を役立ててくださいね。

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