マーケティング用語潜在顧客と顕在顧客の違いとは?今すぐ客やまだまだ客の意味
- 潜在顧客と顕在顧客の違いとは?
- 見込み客の今すぐ客やまだまだ客、お悩み客、そのうち客の意味は?
- 潜在顧客の見つけ方が知りたい!
宣伝や営業活動を積極的に行っているのに、思うように売上が伸びず、マーケティングにお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
それは、顧客を一括りにしているのが原因と考えられます。
「顧客はどれも同じ顧客」としてアプローチをしていても、なかなか成果はあげられません。
そこでまずは、潜在顧客と顕在顧客の違いを理解する必要があります。
この記事では両者の違いを始め、顧客を育てる必要性について詳しく解説します。
潜在顧客と顕在顧客の違いとは?
顧客とは、商品を買ってくれたお客様だけを指す言葉ではありません。
これから買ってくれるかもしれない人も顧客に含まれるため、商品の購入の有無に関係なく、商品やサービスを販売したい相手はすべて顧客といえます。
こうした顧客の区分は、潜在顧客と顕在顧客の2つに分けられます。それぞれを詳しく見てみましょう。
潜在顧客とは
- 自身が持つ悩みや課題に気づいていないため、それを解決できる商品やサービスを具体的に探る必要性を感じていない
- 自分が持つ悩みや課題を認識しているものの、それを解決できる商品やサービスを知らない
- 自身が持つ悩みや課題を認識しており、それを解決できる商品やサービスも知っていながら、理解が浅いため両者が結びついていない
潜在顧客は、今現在は直接、商品やサービスの購入に至るようなアクションは起こしていません。
しかし、企業側からのアプローチなどによって、自身の胸の奥に潜んでいる悩みや課題に気づけば、悩みや課題を解決できる商品やサービスの存在を知りたいと思ったり、理解が進んで両者の結びつきにつながります。
つまり、潜在顧客には、顕在顧客や見込み客になってもらえる可能性があるのです。
顕在顧客とは
自身の悩みや課題を認識しており、それを解決できる商品やサービスも知っているため、具体的な行動をしている顧客を指します。
インターネットで検索して調べる、口コミを集めるなど、商品やサービスに対してとても興味や関心が高い状態です。
また、過去に、自社・他社を問わず商品やサービスを購入したことがある顧客も含む場合があります。
潜在顧客が売り上げを左右する!?マーケティングで重要な理由とは?
見込み客や顕在顧客のみを相手にしていても売上の拡大には限界がありますが、潜在顧客は母数が大きいので顧客を増やすチャンスが多くなります。
顕在顧客は自社の商品やサービスを認識してくれていますが、同時に他社の商品やサービスについても熟知しています。
そのため、どれが自分に合うのか比較検討をした上で購買行動に移っていくので、企業側からはアプローチしにくい現状があります。
ですが、潜在顧客は自身が悩みや課題を抱えていることすら認識していません。
実際に商品やサービスを比較検討する場面では、他社よりも選んでもらえる確率は高くなるでしょう。
たとえば、商品を買う予定はないものの、電気店Aによく足を運んでいたとします。
担当の店員は、商品を買わないにもかかわらずいつも丁寧に明るく接客してくれていました。
ある日、冷蔵庫が壊れたので最初に電気店Aで見積もりをとってもらい、続けて電気店BやCにも行きましたが値段や性能はどこも変わりません。
この場合、電気店Aで冷蔵庫を買う確率は高くなるのではないでしょうか。
もしかしたら、電気店BやCには行かずに、迷わずAで購入してくれるかもしれませんよね。
潜在顧客のときから接点を持ってコミュニケーションを図っていけば、信頼関係が生まれ、企業そのものに魅力を感じてもらえるのです。
3ステップで掘り起こす!潜在顧客の見つけ方
潜在顧客は顕在顧客の数倍から数十倍いるとされます。
顕在顧客のみを見込み客へと育てるより、母数の多い潜在顧客からも掘り起こしやアプローチを行ったほうが、より多くの見込み客や新規顧客を得ることができますよね。
それでは、潜在顧客を見つけるにはどうしたらよいのでしょうか。
ここでは、潜在顧客を見つける方法を3ステップで紹介しましょう。
ステップ①ペルソナの設定とニーズの分析をする
顧客層には、潜在顧客の下にさらに母数の多い無関心層が存在します。商品やサービスに一切興味がないユーザーを指す言葉です。
自社の商品やサービスを知らないという点では共通していますが、無関心層にいくらアプローチをしても意味はありません。
潜在顧客の掘り起こしには、まずはペルソナの設定を行ってください。
ペルソナとは、自社の商品やサービスを購入する典型的なユーザー像を指すものです。
ペルソナの設定には、STP分析によって自社の商品やサービスを購入している人の特徴を調べる必要があります。
ペルソナの設定は想像ではなく、収集したデータに基づいた現実的な人物像にしましょう。
分析で得た情報を元にターゲットを絞り、次にユーザーの人物像を具体的にイメージしていきます。
たとえば、ターゲットの情報が、30代/女性/既婚/地方在住とします。これだけでは人物像はぼんやりとしていますよね。
そこでさらに、小学生と幼稚園の子ども2人/スーパーでパート/Instagramを開設/週一回ヨガを習っている/東京の大学出身といった情報を加えてみるとどうでしょうか。
より人物像が色濃く、はっきりと浮かび上がってきますよね。
ペルソナの設定を行うと、自社の商品やサービスをどういったときにユーザーが意識するのか、どのようなアプローチやコンテンツを望んでいるのかなどが見えやすくなります。
また、自社のチーム内でターゲットを共通認識できるため、イメージの差異によるブレを抑えられるメリットもあります。
STP分析の実践的なやり方については、こちらの記事を参考にしてください。
ステップ②顧客の購入プロセスを可視化する
続いて、設定したペルソナが実際に自社の商品やサービスを購入する流れを考えてみましょう。
こうした流れをカスタマージャーニーといい、過程を分かりやすく図にしたものをカスタマージャーニーマップといいます。
さきほどの、東京の大学出身でヨガを習っている30代女性を田中さんとします。
ターゲット層となる30〜40代女性に自社の洋服を買ってもらいたい場合に、「田中さんは興味を持つだろうか」「田中さんならどうするだろうか」と考えることで、アプローチの方法が変わってきますよね。
カスタマージャーニーマップの一例を紹介します。
認知 | 情報収集 | 比較検討 | 購入 | 推奨 | |
---|---|---|---|---|---|
田中さんのの行動 (顧客の行動) | ・Instagramのハッシュタグ検索 ・友人やフォロワーが推奨する商品やブランドをチェック | ・自分と似た体型の人の着用感を確認する ・ブランドのサイトを確認する | ・積極的に情報を得る ・口コミなどを参考にする | ・試着 ・購入 | ・再度購入 ・友人などに推奨する |
タッチポイント | ・InstagramやSNS ・ファッションサイト ・雑誌や広告 | ・Instagram ・自社サイト ・ファッションサイト ・雑誌や広告 | ・口コミサイト ・比較サイト | ・実店舗 ・自社サイト ・ECサイト | ・実店舗 ・自社サイト ・ECサイト |
田中さんの感想 (顧客の感想) | ・かわいい ・自分好み | ・自分に似合いそう ・自分に合うサイズはあるか知りたい | ・ほぼ買うことが決まっている ・良い物であると確信している | ・サイズはぴったり ・店員のセンスが良くて見習いたい | ・みんなにおすすめしよう |
タッチポイントとは、顧客の行動に対して自社がどのような接点を持てるかということです。
ステップ③最適なツールでアプローチする
カスタマージャーニーマップを元に、顧客へアプローチするツールを検討します。
田中さんの場合、商品やサービスの認知にはアカウントを持っているInstagramが効果的であると判断できますよね。子育てや趣味でフォロワーとつながっていることが想定されます。
InstagramなどのSNSやブログの発信、検索エンジンからの流入を足がかりにして、段階的なコミュニケーションをとった後に商品やサービスの購入につなげることをインバウンドマーケティングといい、現在の主流となっています。
これに対し、テレアポやDM、メディア広告やテレビCMなど顧客に直接的にアプローチするものをアウトバウンドマーケティングといいますよ。
多くの人の目に情報を届けられますが、一方的と感じる人も多く、特に現代は逆効果となるケースも多い手法です。
「潜在顧客」を「今すぐ客」に変える!見込み客を4つのタイプ別に解説
見込み客とは、これまで自社の商品やサービスを利用したことはないものの、興味や関心が高いため、近い時期に買ってもらえる見込みのあるお客様を指す言葉です。
顕在顧客と似た意味に捉えられますが、顕在顧客は自社の商品やサービスを認識していない顧客も含むのに対し、見込み客は自社の商品やサービスを認識している状態です。
マーケティングにおいては、見込み客のほうがより自社の商品を買ってもらえる可能性が高いと考えられていますよ。
また、見込み客は以下の4つのタイプに分けられるため、それぞれを詳しく解説しましょう。
タイプ①今すぐ客
見込み客のなかで、商品やサービスに対する興味や関心が最も高く、必要性も強く感じているタイプです。
一押しすれば商品やサービスを買ってもらえる可能性はかなり高いのですが、見込み客全体の1%以下の割合でしか存在しません。
そのため、いきなり今すぐ客を見つけてくるよりも、以下のお悩み客やそのうち客を育てるほうが確実といえます。
タイプ②お悩み客
商品やサービスの必要性は強く感じているものの、購入意欲がそこまで高まっていないため、他社の商品やサービスと比べて迷いが生じているタイプです。
見込み客全体で9.5%がお悩み客とされます。
または、値段が高いなど価格が大きな壁となり、購入にふんぎりが付かないというケースも含まれますね。
お悩み客に対しては、購入を後回しにするほど損失機会が増えることを情報として提供したり、割引でお得感を煽ると今すぐ客にステップアップする可能性があります。
タイプ③そのうち客
商品やサービスの必要性は感じていても、「今は購入のタイミングにない」「絶対に必要かと言われたらそうでもない」と考えているタイプです。
見込み客全体で9.5%が該当するとされますよ。
自分では買わないけれど、人から貰ったら嬉しいものに商品やサービスが該当しているケースが多いため、購買意欲を高めるには商品やサービスのベネフィットを情報として提供していく必要があります。
タイプ④まだまだ客
商品やサービスを知っているけれど、欲しいとも思っていないし、必要性も感じていないタイプです。
見込み客全体の80%に及び、限りなく潜在顧客に近い状態といえます。
まだまだ客に具体的な商談を持ちかけても、成立させるのはかなり厳しいでしょう。
それよりも商品やサービスに対する興味や関心を高めたり、必要性を感じさせるような情報を適度なタイミングで提供し、そのうち客やお悩み客へと育てることが大切です。
顕在顧客にはリピーターを育成しよう!
ここまで、潜在顧客を掘り起こし、見込み客へと育てるのが顧客獲得には欠かせないことをお伝えしてきました。
それでは、顕在顧客は放っておいてよいのでしょうか。
商品やサービスに対する興味や関心が高く、自身で調べ上げて比較検討を行っている顕在顧客は何をしなくても自社の商品やサービスを選んで購入してくれるかもしれません。
しかし、商品やサービスの満足度だけではなく、接客などを含めた顧客満足度を高めることができれば、顕在顧客をリピーターへと育てられます。
リピーターになってもらえると、良い口コミの拡散など企業側では行えない広報活動を積極的に展開してもらえるため、顕在顧客はないがしろにせずにしっかりと対応する必要があります。
リピーターの作り方については、こちらの記事を参考にしてください。
まとめ
潜在顧客と顕在顧客の違いや、4つの見込み客の意味を紹介しました。
最後にこの記事をまとめます。
- 潜在顧客とは、商品やサービスに対する購買意欲や必要性が低い状態を指す
- 顕在顧客は、商品やサービスへの興味関心が高く、購買意欲も高い状態を指す
- 潜在顧客の掘り起こしにはペルソナの設定とカスタマージャーニーマップで可視化し、段階に応じたツールでアプローチする
- 見込み客のお悩み客やそのうち客を、今すぐ客に育てる
- 顕在顧客はリピーターに育てる
潜在顧客に商品やサービスを購入してもらうには、顧客自身に商品やサービスの必要性を感じてもらうことが大切です。
商品やサービスの良さばかりをアピールするのではなく、ベネフィットを確実に伝えながら、まだまだ客をステップアップさせていきましょう。