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森谷俊之

LibRu代表取締役

個人・小規模事業者向けのマーケティング・ブランディングのコンサルタント/セールスコピーライター

経営者の3つの課題「お金がない、時間がない、人材がない」は、シンプルな仕組みで解決できます。集客から販売までを自動化して、ビジネスを成長させていくための仕組み構築を支援します。

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フロントエンド商品とバックエンド商品の違いとは?成功事例と考え方

  • フロントエンド商品とバックエンド商品の違いとは?
  • フロントエンド商品とバックエンド商品の設定で成功した事例は?
  • フロントエンド商品からバックエンド商品へのつなぎ方が知りたい

「買ってもらいたい商品やサービスが、高額という理由で購入してもらえない」

「主力商品やサービスを積極的に宣伝しているものの、集客につながらず困っている」

このような悩みを解決できるのが、フロントエンド商品とバックエンド商品の考え方です。

フロントエンド商品とバックエンド商品を段階的に使い分けることで、本来買ってもらいたい商品やサービスに対するユーザーの関心を引き寄せ、集客や購入へとつなげられます。

それでは、フロントエンド商品とバックエンド商品の使い分けはどのようにしたらよいのでしょうか。

この記事では、フロントエンド商品とバックエンド商品の違いや設定の仕方、企業の成功事例などを解説しています。

マーケティングに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

目次

フロントエンド・バックエンドマーケティングとは?

フロントエンド・バックエンドマーケティングとはマーケティング手法の一つです。

商品やサービスにフロントエンド、バックエンドの2つの設定を行う考え方です。

フロント(Front)とバック(Back)という言葉のとおり、フロントエンドには「前」、バッドエンドには「後ろ」の意味があります。

商品やサービスによっては、いきなり購入することに躊躇いを感じてしまうものもありますよね。

そうしたハードルの高い商品やサービスの購入のきっかけを掴むものとしてフロントエンド商品があり、フロントエンド商品を入口に本当に買ってもらいたいバッドエンド商品へつなげるのがフロントエンド・バッドエンドマーケティングの方法になります。

フロントエンド商品の設定が重要な理由

  • 新規顧客の獲得
  • 販売数が増えやすい
  • 集客によるデータの集積・分析ができる

店頭やインターネットサイトに、企業側にとって利益率の高い本命商品ばかりが並んでいると、ユーザー側からは「価格が高すぎて手が出ない。自分はこのお店に用はない」と早々と諦められてしまうでしょう。

しかし、価格が安い、気軽にお試しができるなど、購入までのハードルが低いフロントエンド商品があれば新規顧客の獲得がしやすくなります。

まずは低価格の商品やサービスを購入してもらい、お店や企業に対して親近感や信頼感を持ってもらえれば、いずれは高額商品やサービスの購入を検討してくれる見込み客へと変わります。

また、価格が安い商品やサービスは、それ自体の売上が期待できますよね。

ただし、フロントエンド商品で大きな利益を上げようとはせず、あくまでも「数」を稼ぐことを目的に集客やデータの集積に生かすつもりで設定してください。

フロントエンド商品で集客したユーザーのデータは、今後のマーケティングに活かせます。

ユーザーの属性(年齢や性別、居住地など)がわかれば、ターゲットが求める商品やサービスが見えてくるでしょう。

【成功事例】フロントエンド商品からバックエンド商品へのつなぎ方が秀逸な企業5選

ここでは、フロントエンド商品とバックエンド商品の設定による成功事例を紹介します。

フロントエンド商品とバックエンド商品の設定が、マーケティングには必要不可欠であることを具体的にイメージしましょう。

成功事例①マクドナルド

  • フロントエンド商品:ちょいマック、割引クーポンなど
  • バックエンド商品:セットメニュー、ポテト、ナゲットなど

小腹を満たすために気軽に利用できる価格帯を設定しているのがちょいマックです。

ちょいマックは、軽食でマクドナルドを利用するのに抵抗があったユーザーのハードルを下げています。

さらに、来店時に単価の高いセットメニューが主力となるランチやディナーの利用にもつなげていますよ。

また、ポテトやナゲットはマクドナルドの商品のなかでも、実は利益率が高い商品です。

定期的に「ポテト全サイズ150円キャンペーン」などでお得感を煽り、来店頻度を高めることで他の商品も一緒に購入してもらう戦略を打っています。

成功事例②セブンイレブン

  • フロントエンド商品:セブンカフェ(コーヒー)
  • バックエンド商品:食品やお菓子など

今やどこのコンビニでも淹れたてのコーヒーが買えますが、コンビニコーヒーブームの先駆けとなったのがセブンイレブンです。

これまでは、朝食や昼食の購入先として、コンビニ以外にも牛丼やカレーのチェーン店など多数のライバルがいました。

しかし、100円でおいしいコーヒーが飲めるのであれば、ついでにサンドイッチやお菓子などを買いにセブンイレブンに行こうと思うユーザーが増えたのです。

100円のコーヒーだけではおそらく大きな利益は出ませんが、「ついで買い」が増えることで結果的に大きな利益をもたらしています。

成功事例③Amazonプライム・ビデオ

  • フロントエンド商品:30日間の無料体験期間
  • バックエンド商品:月間プラン・年間プラン

動画配信サービスは、「満足できるコンテンツがあるのか」「実際にはそれほど利用しないのではないか」と悩む人が多く、契約までのハードルが高い傾向にあります。

そこで、効果が期待できるのが、無料で試せるお試し期間の設定です。

こうした無料で商品やサービスを提供することを無料オファーといい、エステの無料体験や化粧品のサンプルなども該当しますよ。

動画配信サービスの場合であれば「無料なら試しに見てみよう」となり、サービスに満足できれば本契約へとつながります。

そもそも動画配信サービスを検討している人は映画やドラマに興味が高いため、実際にサービスを利用してみると便利に感じてバックエンド商品の購入に至りやすくなります。

無料オファーの作り方については、こちらの記事を参考にしてください。

成功事例④RIZAP(ライザップ)

  • フロントエンド商品:無料カウンセリング&トレーニング体験
  • バックエンド商品:コースへの申込

ライザップが取り入れているフロントエンド商品も無料オファーですが、無料にも関わらずかなり細かくデータを取ってくれるのが評判となっていますよ。

具体的には以下のとおりです。

  • 体重
  • 体脂肪
  • 筋肉量
  • 体のバランス
  • ダイエット経験の有無
  • 睡眠時間
  • お酒の量など

こうしたデータを元に、トレーニングや食事のアドバイスをしてもらえます。とはいえ、強引な勧誘に不安になる方は多いでしょう。

あくまでもインターネット上ですが、契約するまで帰してもらえなかったという悪い口コミは見当たりませんでした。

ライザップ側の規約で無理な勧誘はしないと明言されているため、安心して無料カウンセリングを受けやすい環境といえます。

有料コースなどの案内はありますが、ダイエットやトレーニングの方法や成果を熟知しているトレーナーとの間で信頼感が生まれやすくなり、納得して有料会員へと入会する人が多いですね。

成功事例⑤さくら水産

  • フロントエンド商品:ランチ
  • バックエンド商品:飲み会などの夜の利用

手頃な価格で食べられるランチでまずはお店やお店の味を知ってもらい、単価が上がる夜の利用へと繋げていく手法は、多くの飲食店が取り入れています

ただし、リピーターとなってくれたお客様のなかには、ランチでしか利用しないというケースもあります。

そうしたお客様に夜の利用を促すには、お得感のあるランチメニューの提供だけではなく、価格以外での勝負が必要になるでしょう。

さくら水産の場合は、店内に水槽を設置し新鮮な魚をお客様に選んでもらうサービスを開始しました。

さらに調理方法も刺身や天ぷら、焼き魚、煮魚などお客様の希望に沿うことで、「ここでしか味わえない特別な体験」を同時に売ることができるようになったのです。

以前よりもランチ価格は上がったにも関わらず客足は伸び、加えて夜の利用も増加しています。

バックエンド商品に上手くつなぐための考え方!成功へ導く4つのコツ

価格が安く、購入までのハードルが低いフロントエンド商品ばかりを買ってもらっては、ほとんど利益になりません。

フロントエンド商品を入口として、バックエンド商品につなげる道筋をしっかりと立てる必要があります。

バックエンド商品につなぐためには、以下の4つのコツを意識して戦略を考えてみましょう。

コツ①バックエンド商品の設定から始める

フロントエンド・バックエンドマーケティングは、企業がお客様に買ってもらいたい本命の商品を売るための手法です。

そのため、設定はバックエンド商品の設定が先になります。

たとえば、リフォームの契約がバックエンド商品なのに、住宅展示会をフロントエンド商品に設定してしまうと、ユーザーは新築戸建てへと関心が向かってしまいますよね。

それよりも、住宅の傷みの無料診断や壁紙補修や雨どいの取替・修理のような比較的安くできるプチリフォームをフロントエンド商品に設定したほうが、リフォームへの導線が作りやすいといえます。

フロントエンド商品とバックエンド商品には一貫性を持たせ、なおかつバックエンド商品につながるフロントエンド商品を設定することが重要になります。

コツ②フロントエンド商品だけで満足させない

フロントエンド商品の質が高く、好意的に思ってもらえなければ、バックエンド商品につなげることはできません。

たとえば、脱毛サロンが相場よりもかなり安い価格で全身脱毛ができる初回プランをフロントエンド商品として提供してしまうと、多くのユーザーは本契約には進まずに綺麗な肌を手に入れられます。

一方で、フロントエンド商品で満足してしまっても、バックエンドにつなげることはできません。

初回プランで安く脱毛できるのは腕や脇など一部に留め、まずはカウンセリングや施術に来てもらうことを目的にしたフロントエンド商品を提供したとしましょう。

ユーザーはサービス自体には「足や背中も安く脱毛できたらいいのに」と不満を抱くかもしれません。

しかし、丁寧な接客や予約の取りやすさなどのメリットを知ってもらえれば、「通いやすそうだからこのサロンで契約をしよう」と思ってもらえる確率が上がります

つまり、フロントエンド商品では埋められない物足りなさをバックエンド商品で埋めてもらうように、フロントエンド商品を設定する必要があるのです。

コツ③長期的な視点で利益が出るかを考える

フロントエンド商品は利益を求めず、集客効果をメインに考えます。

バックエンド商品を継続的に購入してくれるユーザーであれば、フロントエンド商品で損が出ても最終的にバックエンド商品で利益が出せるからです。

たとえば2,000円のフロントエンド商品の原価が500円、広告費に3,000円がかかったとします。

2,000円-500円-3,000円なので、フロントエンド商品が1個売れるたびに1,500円の赤字になります。

そこで続いては、フロントエンド商品を買ってくれた人に、10,000円のバックエンド商品を買ってもらったとしましょう。

マーケティングにおいて、新規顧客(フロントエンド商品の購入者)の獲得に必要なコストは、既存顧客の5倍といわれています。

既存顧客は新規顧客の1/5のコストで獲得が可能というわけですね。

これにより10,000円のバックエンド商品の広告費は600円、原価が2,000円とすると、10,000円-2,000円-600円で利益は7,400円になります。

ただし、フロントエンド商品の購入者がすべてバックエンド商品の購入者になるわけではないので、仮に25%(4人に1人)としましょう。

2,000円のフロントエンド商品を100人が購入したら150,000円の赤字が出ますが、そのうちの25人が10,000円のバックエンド商品を購入すれば、35,000円の黒字に転換できます。

さらに、バックエンド商品を2回、3回と継続して購入するユーザーがいれば、広告費も必要がなくなるので8,000円の利益が赤字の補填なしで蓄積していきますよね。

1人が5回リピート購入すれば、40,000円の利益になります。

つまり、フロントエンド商品で利益を出さなくても、バックエンド商品のリピート買いによって十分に利益を出すことができるのです。

企業にとって1人のユーザーが生涯に渡ってもたらす利益の指標は、顧客生涯価値(LTV)で表します。

成功事例から学ぶLTVの伸ばし方については、こちらの記事を参考にしてください。

コツ④顧客の興味を惹くセールスコピーをつける

フロントエンド商品を買ってもらえないと、バックエンド商品の購入にはつながりません。

そのため、フロントエンド商品につけるセールスコピーはとても重要になります。

フロントエンド商品に関心や興味を持ってもらえるセールスコピーを考えましょう。

事例から学ぶキャッチコピーの考え方や、売れるキャッチコピーについてはこちらの記事を参考にしてください。

まとめ

フロントエンド商品とバックエンド商品の違いや、企業の成功事例などを紹介しました。

最後にこの記事をまとめます。

  • 価格が安く購入のハードルが低いフロントエンド商品を入口に、利益率が高いバックエンド商品を購入してもらうことが大事
  • フロントエンド商品は利益を求めず、新規顧客の獲得やデータの集積や分析を目的にする
  • フロントエンド商品がバックエンド商品の購入を促し成功した事例は多数ある
  • バックエンド商品の設定を先に行い、バックエンド商品につながるフロントエンド商品を考える
  • フロントエンド商品で赤字になっても、バックエンド商品のリピート買いで黒字転換が可能

高額な商品やサービスを購入してもらうには、まずは手頃な価格で買えるフロントエンド商品を購入してもらい、品質やカスタマーサービスの良さなどを知ってもらう必要があります。

商品に対する取り組みや企業理念などを理解してもらえることで、単なるユーザーからファンになってもらえると、主力商品や本命商品であるバックエンド商品の購入へとつながるからです。

2段階のステップを踏み、利益を生むリピーターを育てることを意識してマーケティングを行ってみましょう。

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