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森谷俊之

LibRu代表取締役

個人・小規模事業者向けのマーケティング・ブランディングのコンサルタント/セールスコピーライター

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エステサロン開業は儲かる?失敗談と起業に成功する人の特徴

  • エステサロンを開いてみたいけど、上手くいくか不安…
  • どうしたら失敗せずにエステサロンを開業できるの?
  • お客さまに選ばれるエステサロンになるコツが知りたい!

美肌ケアや脱毛、痩身など、エステサロンに対する需要は高いですよね。

「自分のエステサロンを開業して、多くの人を美しくしたい!」と夢を持つ方もいるでしょう。

ですが、エステサロンは始めやすい一方で、競争が激しい業界でもあります。

そのため、開業準備や経営戦略が甘かったりすると、廃業してしまうリスクがありますよ。

この記事では、エステサロンの開業・起業に失敗した方の体験談をもとに、エステサロンの開業・起業を成功させるためのポイントを詳しく解説します。

目次

エステサロンの定義とは?

エステサロンとは、医療行為ではない、スキンケアやボディケアなどを行う美容サロンのことです。

総務省による「日本標準産業分類」においても、エステティック業は「手技又は化粧品・機器等を用いて、人の皮膚を美化し、体型を整えるなどの指導又は施術を行う事業所をいう。」と定義されています。(※1)

また、医師以外の者が医療行為を行うことは医師法で禁じられているため、エステサロンでは医療行為を行うことができません。(※2)

たとえば「脱毛」を例にすると、エステサロンでは毛包に一時的なダメージを与える低出力の脱毛器を使用しますが、医療脱毛では高出力の脱毛器が使用され、取り扱えるのは医師や看護師に限られます。

このように、医療行為と美容行為には明確な線引きがされているのでエステサロン開業では注意しましょう。

(※1) 459ページ「7892 エステティック業」|令和5年7月告示 第14回改定 日本標準産業分類
(※2) 医師法第十七条|e-GOV 法令検索

【実例】サロン開業・起業の失敗談

エステサロンの開業・起業で成功を目指すなら、他の人の失敗を学び、同じ過ちを繰り返さないことが大切です。

ここでは、サロンの開業・起業を経験した方々の失敗談を取り上げ、その原因や背景、失敗から得られたことを具体的に紹介します。

これからエステサロンを開業や起業をされる方にとって大切なことが書かれているので、ぜひご一読くださいね。

失敗談①リスクヘッジが足りず閉店したヘアサロン(50代男性)

最初に紹介するのは、コロナ禍により営業ができなくなってしまった結果、廃業に追い込まれたヘアサロンの事例です。

新型コロナウイルスの大流行は、誰にも予想できなかったことですよね。

こちらの事例では、不測の事態に備えるための想像力の重要性が感じ取れますよ。

開業の経緯

ヘアケアに特化したヘアサロンをオープンして1年したときに、新型コロナウイルスの流行が起こりました。

それまで順調に集客できていたのですが、時短営業になり、さらにはロックダウンになり、営業停止状態で3ヶ月間営業が出来なくなりました。

やっと営業を再開できると思ったら、借りていた店舗の大家さんから他の人に店舗を売ると言われ、退去命令が出てしまい、結局廃業する羽目になってしまいました。

契約時に、「何があっても家賃の据え置き」「契約終了時までは大家さんの都合で退去させられない」などの契約書を取らなかった自分もいけなかったのだと反省しています。

※上記は自社の独自アンケート調査をもとに作成したものです。

失敗の理由

ヘアサロンの開業に失敗した一番の要因は、契約時にしっかりと書面での取り決めを行わなかったことです。

なかなか良い物件が決まらずに焦っていたところで出会った物件だったので、急いで契約をしてしまいました。

しかも、新型コロナが流行するなんて誰も予想できなかった事だと思います。

大家さんもロックダウン時は家賃を下げてくれたりして、親切な対応をしてくれましたが、やはり金銭的に苦しくなったのか、物件を売りに出してしまいました。

店舗からの退去命令が出てしまったため、ヘアサロンを継続することが出来なくなりました。

※上記は自社の独自アンケート調査をもとに作成したものです。

今後活かせること

契約書に条件を記入してもらい、賃貸契約満了時までは何があっても大幅な家賃変動や退去はできないようにするなど、契約時にリスクヘッジをしっかりすることが大事だと思います。

また、施術は日々技術が進歩しているので、新しい提案が出来るように知識の勉強も必要です。

外部講習を受けたり、同業者・メーカーさんと意見交換を積極的に行ったり、今まで以上に人との関わり合いを作って、顧客満足度を上げる工夫も必要だと感じました。

※上記は自社の独自アンケート調査をもとに作成したものです。

失敗談②ターゲットを設定せず開業失敗したアロマサロン(50代女性)

次に紹介するのは、ターゲットを設定せずに勢いで開業し、失敗したアロマサロンの事例です。

確かに、物事を実行に移すのに「勢い」も大切でしょう。

しかし、ターゲットを設定して綿密な計画を立てないと、開業してからいろいろと問題が出てくることもあります。

どのような問題が出てくるのか、失敗の原因も含めて見てみましょう。

開業の経緯

アロマスクールに通い、その後自宅サロンという形で細々とやっていましたが、同じスクールで知り合った友人にに誘われてマンションの一室を借りて、アロマサロンとアロマスクールを開業しました。

実際に開業してみると、方向性の違いや勤務時間・経費の分け方の違いなどが露見し、話し合いの結果、別々に開業する方が良いのではないかという結論に至りました。

借りていたマンションの賃貸契約を解約し、現在は依頼があった方への施術のみ行っています。

※上記は自社の独自アンケート調査をもとに作成したものです。

失敗の理由

開業までの時間が短すぎて、友人との打ち合わせ等での話し合いができておらず、勢いで開業してしまったのが失敗した理由です。

計画を立ててそれを実行していく努力と覚悟が必要でした。

経費の負担の仕方、サロンのコンセプト、場所など細かいことが大雑把になってしまい、実際かかった経費を請求しづらくなったり、あいまいに終わらせてしまってお互いの心にわだかまりが出来てしまいました。

自分自身の開業・起業への考えが甘かったのが一番の原因だと感じています。

※上記は自社の独自アンケート調査をもとに作成したものです。

今後活かせること

勢いも多少は必要ではあるが、どのようなサロンにするのか(美容系に力を入れるのか、健康重視なのか、ターゲットは若い女性なのかなど)をはっきりと定めることが大切だと思います。

LINE・インスタグラム・FacebookなどのSNSや口コミを利用して、集客にも力を入れることが必要不可欠だと感じました。

開業する地域の同業他社のリサーチを積極的に行い、友人、知人に開業したことを伝えてモニターとして体験してもらい、技術力を上げて自分自身の価値を高めることも必要です。

※上記は自社の独自アンケート調査をもとに作成したものです。

エステサロン開業に成功する人に共通するたった1つの特徴

エステサロンの開業が成功するために重要な要素は、「環境分析ができていること」です。

環境分析とは、企業やお店を取り巻く、内部や外部の経営環境を分析することを意味しています。

先の項目で紹介したサロンの開業に失敗した事例では、以下の環境分析ができていなかったために失敗につながっています。

事例①事例②
内部の経営環境リスクヘッジ対策お店のコンセプトやターゲットの設定などの経営戦略
外部の経営環境社会情勢顧客や競合

エステサロンの開業に成功している人は、自分の感覚だけに頼るのではなく、市場のニーズや競合の状況、地域の特性などをしっかりと分析していますよ。

環境分析に基づいて、適切なターゲット層を設定し、経営戦略を立てることで、開業後の集客や経営の安定につなげています。

エステサロンの開業で成功を収めるためには、客観的なデータに基づいて内部・外部の環境を分析し、戦略的に事業展開を進めていくことが重要です。

環境分析に活用できるフレームワークを、こちらの記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

エステサロン開業・起業で勝つためのポイント

エステサロンの開業・起業で成功するためには、環境分析が重要だということが分かりましたね。

環境分析のほかにも、エステサロンの開業や起業で勝つためのポイントがいくつかあるので解説していきます。

重要なのは「顧客体験」と「価値の提供」そして「想いを伝えること」です。

それでは、詳しく見ていきましょう。

ポイント①肌の変化がすぐに実感できる技術

ひとつ目のポイントは、施術を受けたお客さまが、確実な成果を実感できる技術力を持つことです。

成果を実感できれば、自然と顧客満足度が向上し、お客さまがリピーターになってくれる可能性が高くなります。

たとえば、フェイシャルエステを受けた後に、美肌効果や顔のむくみやたるみが取り除かれていることを実感できたら、お客さまは継続的に通ってみようかなと前向きな気持ちになりますよね。

エステサロンの開業が失敗する原因はさまざまですが、最終的にはお客さまが来なくなって廃業してしまうケースがほとんどです。

固定客がつけば、売り上げが安定し、集客コストも抑えられるようになります。

施術を受けてすぐに肌の変化を実感できる技術があることは、リピーターを増やし、エステサロンの開業・起業を成功させるための大切なポイントですよ。

ポイント②エステサロン自体の価値を考える

2つ目のポイントは、ご自身のエステサロンが、お客さまに対してどのような価値を提供できるかを考えることです。

「そのエステサロン自体に行きたい」「そのエステサロンに通いたい」と思われることで、顧客のリピート率が向上し、安定した集客につながるからです。

エステサロンが提供できる価値として、以下のものがあげられるでしょう。

  • お客の悩みを解決するための設備の導入
  • お客さまの通いやすい時間帯での営業時間の設定
  • 駅の近くや広い駐車場といった立地条件
  • お客さまに対するオファー

エステサロン自体の価値が上がれば、口コミや紹介で新規顧客の獲得にも効果的です。

施術での効果はもちろんのこと、そのほかにお客さまに通いたいと思ってもらえるエステサロンの価値をしっかりと考えましょう。

ポイント③エステティシャンの価値を上げる

お客さまはエステティシャンの技術や接客態度に対して信頼を抱けるかどうかで、リピートするかどうかを判断します。

そのため、エステサロンで働くエステティシャンの価値も考えなければ、お客さまはついてきてくれません。

施術のスキルを磨くことは言うまでもなく、心地よいコミュニケーション細やかな気配りなど、好感の持てる接客人柄を兼ね備えることも大切です。

「この人だからこそ、エステをお願いしたい!」と思われる魅力的なエステティシャンであり続けるためにも、ご自身はもちろんのこと、従業員に対しても学びの気持ちを忘れないよう働きかけましょう。

エステサロンの提供する「顧客体験」は、エステティシャンのスキルや接客態度に大きく影響を受けるので、エステティシャンの価値を上げることが成功するための秘訣です。

ポイント④コアコンセプトを言語化する

コアコンセプトを言語化することは、とても大切です。

コアコンセプトは、エステサロンの運営や集客、ブランド構築のすべての土台になるからです。

コアコンセプトを通してエステサロンの想いや、強み・特徴をお客さまに伝えられれば、競合が多い市場で埋もれずに存在感を示せるでしょう。

コアコンセプトを言語化する際は、お客さまや市場のニーズを深く理解したり、エステサロンのビジョンや強みを掘り下げたりするインプットと、それを言葉にして伝えるアウトプットが重要です。

「エステサロンが提供したいこと」だけではなく、「お客さまが求めていること」を考えてみてください。

お客さまが一目で理解しやすく、覚えやすい表現で言語化できれば、お客さまの心に響くコアコンセプトが作れますよ。

エステサロンのコアコンセプトをしっかりと言語化できれば、競合との差別化が出来、お客さまの心を掴むことができるでしょう。

ここでは、既存のエステサロンのコアコンセプトを紹介します。

  • 「全てはお客さまが望むキレイの実現のために。」エステティックTBC
  • 「すべての女性により美しく、キレイになっていただきたい」ジェイエステティック

企業例:「全てはお客さまが望むキレイの実現のために。」エステティックTBC

「エステティックTBC」といえば、皆さんご存じのとおり、全国に展開している大手エステサロンですよね。

大手だけに、脱毛やブライダルエステ、そしてボディシェイプなどのさまざまな美容系のコンテンツを抱え、それらに応じたキャッチコピーを用意しています。

ですが、コアコンセプトである「全てはお客さまが望むキレイの実現のために。」という想いは決してブレることがありません。(※3)

長年の歴史の中で培ってきた経験やノウハウに基づき、お客さまが望むキレイを実現していく業界のトップブランドとしての姿勢が、端的に伝わってきますね。

エステサロンのキャッチコピーの作り方については、こちらの記事を参考にしてみてください。

(※3) 【公式】TBCのエステティックについて|エステティックTBC

企業例:「すべての女性により美しく、キレイになっていただきたい」ジェイエステティック

日本でまだエステサロンが一般的でなかった1979年に、「すべての女性により美しく、キレイになっていただきたい」という想いを込めて起業したのが、老舗エステサロン「ジェイエステティック」です。(※4)

「なぜ起業したのか」といった想いから提供するメニューやコンテンツを作ることで、お客さまの共感を得ることに成功しています。

多くの人に豊かさを感じてもらうための努力や企業姿勢がコアコンセプトからも伝わってきますね。

(※4) CSRへの取り組み|ジェイエステティック【公式】

エステサロン開業・起業でよくある質問

エステサロンの開業や起業を考える中で、さまざまな不安を感じる方もいるでしょう。

ここでは、エステサロンの開業や起業に関してよく寄せられる質問を紹介します。

スムーズな開業・起業のヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。

エステサロン開業は儲かる?

エステサロンの開業は、しっかりとした計画のもとで経営を行えば、十分に利益を上げられます。

成功するためには、サービスの質や立地、マーケティング戦略、競合の分析などが必要です。

また、顧客満足度を高める努力を怠らないことも重要ですよ。

自宅エステサロン開業は失敗しやすい?

自宅エステサロンは、開業しやすい一方で廃業率も高いと言われています。

自宅で行うだけに、趣味の延長線上で経営してしまったり、生活感が表れてしまったり、経営者意識がなかったりというケースが見られるからです。

自宅で開業する際も、店舗を借りて開業するときと同じ心構えで、開業に臨みましょう。 

他業種と比べてエステサロンの廃業率は高い?

エステサロンは、他業種と比べて廃業率が高い傾向にあります。

というのも、エステサロンは競争が激しく、経営が軌道に乗るまでに時間がかかるので、経営が立ち行かなくなるケースが多いからです。

廃業の危機に遭わないためには、環境分析をしっかりと行い、他店との差別化を図るようにしましょう。 

エステサロン開業の手順は?

  • ビジネスプランの作成
  • 資金の調達
  • 物件探しおよび賃貸契約
  • 設備と備品の購入
  • 開業届などの法的手続き
  • 営業のための準備
  • 集客

エステサロンの開業には、まずビジネスプランを立て、資金を調達した後に物件や設備など具体的な準備を行っていきます。

法的な手続きとして開業届けなどを提出し、営業を開始するための準備が整ったら、集客を行い、実際にお客さまをお迎えしていきます。

特に、ビジネスプランの作成においては、目標やターゲット層の設定/競合の分析/サービス内容の検討などをしっかりと行いましょう。

ビジネスプランをしっかりと作り込めるかどうかで、その後の手順がうまくいくかどうかが左右されるので、入念に行ってくださいね。

エステサロン開業で活用できる助成金はある?

従業員を雇う場合には、以下などの助成金が活用できます。

人材開発支援助成金雇用する労働者に対して職業訓練等を実施した場合に訓練の経費や賃金の一部などが助成される
地域雇用開発助成金雇用機会が不足している地域で事業所を設置・整備し求職者を雇い入れた場合に助成される
キャリアアップ助成金非正規雇用の労働者に対して正社員化や処遇改善を行った事業主に対して助成される
両立支援等助成金働き続けながら子育てや介護等を行う労働者のための就業環境整備に取り組む事業主に対して助成される

そのほかにも、各自治体で独自に実施している助成制度もあるので、内容や条件などは事前に調べておくといいでしょう。

自宅エステサロンなら開業コストを抑えられる?

自宅でエステサロンを開業する場合は、開業コストを抑えることができます。

賃貸物件を借りると、初期費用のほか、毎月の家賃を支払わなければなりません。

自宅でエステサロンを開業すれば、これらの費用を抑えることが可能となります。

まとめ

ここまで、エステサロンの開業や起業で成功するためのポイントを紹介しました。

最後にこの記事の内容を振り返ってみましょう。

  • エステサロン開業に成功する人は「環境分析」ができている
  • 肌の変化がすぐに実感できる技術力は、エステサロンが成功するために必要不可欠
  • エステサロン開業で成功する秘訣は、エステティシャンやエステサロン自体の価値を上げること
  • コアコンセプトを言語化し、エステサロンの想いをお客さまへ伝えることも大切なポイント

古くから「転ばぬ先の杖」と言われています。

他の業種と比べて、エステサロンは開業しやすいところが魅力ではありますが、入念な準備を怠ると、失敗する可能性が高くなります。

事前に必要な知識や情報をしっかりと収集し、計画を立ててから開業・起業に臨みましょう。

この記事で学んだことを参考にして、ぜひエステサロンの開業や起業を成功に導いてくださいね。

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