値上げ理由を伝える際に説明すべき5つのこと!値上げ説明で使えるツールも紹介
- 値上げを、お客さまにどう説明すればわかってもらえる?
- 値上げしても変わらずうちのお店に来てほしい
- 値上げ後も売り上げを伸ばしている企業の事例を知りたい!
商品やサービスの値上げをするとき、お客さまの納得できる説明をすることで、値上げ後でも商品を利用してくれます。
しかし、昨今の物価高騰のあおりを受け、お客さまの値上げに対する印象はとてもシビアなものです。
伝え方や内容によっては、これまで築き上げてきた信頼関係に傷がついてしまうこともあるため、値上げの説明は慎重におこなう必要があるでしょう。
そこで、この記事では、値上げ理由の説明で伝えるべきことを解説しています。
納得感のある説明で、お客さまとの良い関係を保ち続けましょう。
値上げ理由を伝える際に説明すべき5つのこと
値上げを受け入れてもらうには、お客さまが納得できる説明をすることが大切です。
お客さまが納得できる説明とは、値上げの背景や根拠、お客さまに与える影響などのことで、商品やサービスによって何が求められるかは変わります。
商品やサービスごとに納得できる伝え方をすれば、お客さまはお店を信頼し、値上げをしても引き続き利用してくれるでしょう。
ここからは、お客さまに納得してもらうために説明するべきことを紹介します。
値上げの必要な商品に対し、「自分がお客さまの立場なら、その商品の何について知りたいか」を考えてみましょう。
信頼される値上げの言い回しについては、こちらの記事に詳しく解説しています。
説明①値上げの背景と必要性
原材料やエネルギーの高騰など外因的要因での値上げの場合は、利益追求のための値上げではないことをしっかり伝えましょう。
昨今の物価高で、お客さまは値上げに対する不信感やマイナスイメージを持っている方もいます。
お客さまにきちんと理由を受け止めてもらえるよう、企業努力を伝えたうえで値上げの決断に至った経緯を説明することが大切です。
たとえば、下記のように説明することで、値上げまでに努力を重ねたことが垣間見えます。
「これまでコストダウンなど、さまざまな企業努力は惜しまずおこない、経営の合理化を図ってまいりましたが、これらだけでは十分なコスト削減が難しい状況にあります」
値上げに至った経緯や、その必要性をしっかり説明すると、お客さまは納得し受け入れることができるでしょう。
説明②商品やサービスのラインナップの再編成
値上げを説明する際は、お客さまが選択できるよう編成し直した内容を提示することも大切です。
- グレードの編成を見直した
- オプションを追加した
- 品質を落とした下位モデルを発売予定
このように商品やサービスの値上げにあわせて改変した部分を伝えると、お客さま自身でより良い選択ができるからです。
値上げ以外の選択肢があれば、お客さまは価格改定を受け入れられやすくなるでしょう。
説明③根拠やデータ
値上げの理由を説明する際は、客観的なデータや根拠を提示しましょう。
一般消費者に対する値上げの説明では稀ですが、製造業などではお客さまから「値上げの内容の詳細」を提示して欲しいと言われるケースもあるでしょう。
お客さまに納得してもらうためには「人件費高騰のため」で終わらせるのではなく、データを集め、具体的な数字を提示して値上げの理由を説明することが大切です。
客観的なデータや具体的な数字は中立性があり、事実でもあるので、お客さま(相手)が社内で検討する際も役立ちます。
自社の主観だけで値上げを提示してしまうと、「もう少し企業努力でどうにかならないかな?」と値上げ交渉が難しいケースもあるでしょう。
値上げの理由を説明する際は、根拠やデータを提示して透明性を高めることが大切です。
相手を説得させるためのスキルについてはこちらの記事で詳しく解説してあるので、あわせてご覧ください。
説明④お客さまにとってのベネフィット
値上げの理由を説明する際に、お客さまにプラスの効果を約束することで、価格を受け入れてもらいやすくなりますよ。
人はものを買うとき、買った先の未来を考えるからです。
値上げによって、お客さまにどんなベネフィットがあるかを伝えましょう。
ベネフィットとは、商品を手にすることで得られる未来や利益のことです。メリットと分かりにくい部分があるので、音楽のサブスクサービスを値上げしたとして考えてみましょう。
- 内容:値上げはするが、オフライン再生がどのプランでもできるようになる
- メリット:ギガ消費の心配がなくなった
- ベネフィット:長距離移動をふくめて、旅行がさらに楽しくなった
もっと深く考える必要はありますが、値上げの理由を説明する際には、このように新たな価値もしっかり伝えていきましょう。
お客さまにとって、より良くなる少し先の未来を提示できれば、値上げも受け入れやすくなりますよ。
ベネフィットについての詳しい説明は、こちらの記事をご覧ください。
説明⑤サステナビリティへの取り組みを伝える
サステナビリティへの取り組みを伝えることでも、お客さまの共感が得られ、値上げを受け入れられやすくなります。
なぜなら、「サステナブル」や「SDGs」は今や企業や個人が環境を守っていくべき取り組みとして広く認識されるようになったからです。
企業理念に社会貢献を掲げている会社であれば、値上げの目的は環境への配慮であると、企業としての軸がぶれていないことをアピールできますよ。
たとえば、これまでナイロン包装だった製品を、特殊な撥水が施された紙の包装へ切り替えた場合、それによってどれだけのCO2の削減や資源節約ができるかを具体的な数値として示すとよいでしょう。
お客さまもサステナブルな商品を利用することで、環境への取り組みに貢献していると実感できるため、満足感というベネフィットとしても受け止められますよ。
サステナビリティという話題は、企業イメージを損なうことなくお客さまに値上げを受け入れてもらいやすくなるでしょう。
値上げ理由は何で説明する?値上げを伝えるためのツール3選
値上げを伝えるには、自分のお店のシステムや客層に合わせたツール選びが大切です。
それぞれのツールの利用の仕方で、お客さまの値上げに対するお客さまの受け取り方は大きく変わりますよ。
ここからは、それぞれのツールの特徴をまとめていきます。
ツール①メール
メールマガジンの配信や、オンラインでの店舗経営を展開しているのであれば、メールを利用するとよいでしょう。
普段からメールを介してお客さまとやり取りすることが多いため、抵抗感なく内容をチェックしてもらえる可能性が高いからです。
少し手間をかけて文頭に宛名を入れると、より丁寧な印象をお客さまへ届けることができますよ。
しかし普段からメールでのやり取りがないお店の場合、メールでのお知らせはおすすめできません。
いつもはSNSでお知らせの配信をしているのにもかかわらず、いきなりメールを送ってしまうと「本当に正しい情報なの?」とお客さまが困惑するからです。
なので、イレギュラーな対応をメールでする際は「このメールは、大切なお知らせのため、メール配信を希望されていないお客さまへも送付しております。」と、一言加えておくことをおすすめします。
文面を見てもらえない可能性もありますが、メールは伝えたい相手に確実に届くツールなので、上手に活用しましょう。
ツール②SNS
SNSで普段から情報発信をしているのであれば、お客さまは他の投稿と同じように何気ない感覚でチェックしてくれるでしょう。
その際、単に価格を改定した旨を伝えるだけでなく、商品の画像や動画などの視覚的な情報も加えると、より印象深くお客さまに伝えられます。
「コメント」や「いいね」などのリアクションで、お客さまの値上げに対する反応も知ることもできますよ。
拡散力があるSNSはお客さまはもちろん、将来的に来店の可能性のある見込み客にも広く伝えることができる一方、不特定多数に投稿が見られているという点には注意が必要です。
中には、心無いコメントをするお客さま以外のユーザーが現れたり、ほんの少しの表現の違和感で炎上を招いたりする場合があります。
SNSを利用するのであれば、「値上げ」というお客さまにとってネガティブなニュースはより慎重に扱いましょう。
ツール③店舗掲示やPOP
実店舗であれば店頭の目立つ位置に、必ず値上げのお知らせを掲示しましょう。
月に一回通っているお店が、次の月に来店すると予告なく値上げしていたら驚いてしまいますよね。
お客さまは商品やサービスの購入を前提に来店するため、値上げに対する印象はとても大切です。
値上げに踏み切ったら、できるだけ早くお客さまに知らせましょう。
店舗掲示やPOPの強いところは、メールやSNSとは違うお客さまのリアルな反応が見られることです。
「このご時世だし、仕方ないよね」「あー、ここも値上げするのか」と、声が聞こえてきたら顔を合わせて、値上げへのフォローを入れることで、お客さまに受け入れられやすくなりますよ。
オンライン店舗の場合もホーム画面など、アクセスの多いページに値上げのお知らせを掲載しておくとよいでしょう。
企業の事例から学ぶ!納得してもらえる価格改定の説明
ここでは値上げ理由の説明の例として、東京ディズニーランド・東京ディズニーシーの価格変動制の導入の実例を紹介します。
東京ディズニーランド・東京ディズニーシーを運営する株式会社オリエンタルランドは、2020年12月に、パークチケットの値段が日によって変わる「価格変動制」を導入すると下記の文章で発表しました。
『(前略)これまで、東京ディズニーリゾート®では、東京ディズニーランド大規模開発エリアの開業をはじめとした新施設のオープンや、IT などの導入によるゲストの利便性向上など、テーマパークの価値向上に努めてまいりました。今回、チケットの変動価格制を導入することで、入園者数の繁閑差を平準化し、さらなるテーマパーク価値向上に努めてまいります。(後略)』(※1)
また、公式サイトの発表でも平準化をより推進することを伝え、下記の2点を伝えました。
「ゲストの皆さまがパーク来園を計画する際に、より幅広い選択肢からご検討いただくことができるようになります。」
「なお、東京ディズニーリゾートでは、小さなお子さまにもご家族等と一緒に素敵な思い出を創っていただきたいことから、4才から小学生のお子さまが対象の小人チケットの価格帯は据え置きます。」
この東京ディズニーランド・東京ディズニーシーの説明は、何を理由に値上げをしたのかや、お客さまのメリットやベネフィットはどこにあるのかが分かりやすい事例です。
(※1)OLCグループ ニュースリリース 2022/12/22「東京ディズニーランド®/東京ディズニーシー®チケットの変動価格制導入について 」
まとめ
商品やサービスの値上げには理由があります。その際に、どう説明をすればお客さまが納得するのかを記事中でお伝えしてきました。
最後に、今回の記事の内容をまとめます。
- 値上げを伝えるには、メールやSNS、店舗掲示など、お客さまの見慣れたツールで伝える
- 値上げの説明では、根拠やデータなどを示し、お客さまが納得できる理由を明確にする
- お客さまにとって「値上げしても購入してよかった」というベネフィットを感じてもらう
- 世論や企業理念を絡めて説明すると、お客さまに納得してもらいやすい
お客さまの立場からすると、「値上げ」は嫌なことですよね。
しかし、伝え方次第でお客さまに値上げを受け入れてもらえます。
商品の魅力を知っているお客さまに丁寧に値上げについての説明ができれば、これまでと変わらず商品を利用してくれるはずです。