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森谷俊之

LibRu代表取締役

個人・小規模事業者向けのマーケティング・ブランディングのコンサルタント/セールスコピーライター

経営者の3つの課題「お金がない、時間がない、人材がない」は、シンプルな仕組みで解決できます。集客から販売までを自動化して、ビジネスを成長させていくための仕組み構築を支援します。

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返報性の法則とは?意味やビジネスでの活用事例を徹底解説

  • 返報性の法則って一体なに?
  • 返報性の法則をどう使ったらいいのか分からない
  • 返報性の法則は誰にでも通用する?

「返報性の法則」という言葉は知っていても、うまくビジネスや仕事に活用できていない人は多いのではないでしょうか。

返報性の法則はビジネスだけでなく、恋愛や日常生活でも、意識的に活用することで物事をスムーズに進められます。

しかし返報性の法則といっても、いくつかの感情があり、決して万能ではありません。

そこで今回は、返報性の法則をうまく活用するためのポイントを詳しく紹介します。

さらに、返報性の法則を効果的に使うコツを、具体的な例を交えて解説しています。

おすすめの本も紹介しているので、返報性の法則を詳しく理解し、ビジネスで効果的に活用しましょう。

目次

返報性の法則の心理学的な意味とは?

返報性の法則とは、人から何かをしてもらったときに「お返しをしなければ」と思う心理のことを指します。

もともと人間が持っている義理や人情といった感情に近く、日常の中でも無意識に感じたり、活用している人も多いのではないでしょうか。

例えば、職場で同僚からよくお土産をもらう場合、「自分もどこか旅行へ行ったらいつものお返しに職場にお土産を買って帰ろう」と考える方は多いですよね。

自分がされて嬉しかったことに対して、自分も何かお返しをしようという気持ちになることはよくあります。

また、人に何かを与えられてばかりでは罪悪感を感じて、心苦しくなることもあります。

与えてもらったことに対しての感謝を伝えるために、「お返しをしたい」と思う気持ちが返報性の法則なのです。

【ビジネス・恋愛】返報性の法則の活用事例

ビジネスや恋愛においても、返報性の法則を活用しているシーンは多くあります。

特にマーケティングでは、お客さんのためを思ってしたことが、利益や好意につながることがあるのです。

ビジネスや恋愛では返報性の法則がどのように活用されているのか、具体的な事例を挙げて、詳しく見ていきましょう。

①SNSの「いいね!」で集客:好意の返報性

好意の返報性とは、相手から好意や親切を受けたときなどに、そのお返しやお礼をしたくなる心理のことです。

SNSでの集客では主に、好意の返報性が活用されています

例えば「いいね!」をお客様に贈ることで、自分の投稿に関心を持ってもらい集客・購入を促せます。

自分の投稿に「いいね!」がつくとうれしいですよね。

それと同時に自分の投稿に好意的なリアクションをしてくれた人に対して興味が湧くのです。

「どんな人がいいね!してくれたのだろう?」と、「いいね!」をきっかけに相手の投稿を見にいったり、「いいね!」を送り返したりするケースは多いですよね。

このように、SNS上で自分から相手に好意や親切な態度を示すことは、集客や商品の購入を促すといった好意の返報性をうまく活用しているのです。

②仕事・営業トーク:譲歩の返報性

仕事や営業テクニックでは、譲歩の返報性が活用されています。

譲歩の返報性とは、「相手が折れてくれたから、次は自分が譲ろう」という心理のことです。

例えば、取引相手から「今回は勉強させてもらいました(値引きの提案)」と言われると、「今回の取引のために上司とも掛け合って、こんなにも頑張ってくれたのだから契約を結ぼう」と考える方は多くいます。

これは相手がさらなる値引きで譲歩してくれたのだから、自分も契約で応える、譲歩すべきだと考え契約がスムーズに進む例で譲歩の返報性を活用した営業テクニックです。

ビジネスの交渉テクニックのなかでも「ドアインザフェイス」の手法は、譲歩の返報性を効果的に活用しています。

ドアインザフェイスとは、1番叶えたい要求を通すために、最初はわざと大げさな要求をすることです。

断られたら段階的に要求内容をスケールダウンしていくことで、譲歩してもらったと感じやすく、1番叶えたい要求を通しやすくするというビジネス手法になります。

「ドアインザフェイス」について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

③人間関係・恋愛:自己開示の返報性

人間関係や恋愛においては、自己開示の返報性が活用されます。

自己開示の返報性とは、相手が先に自分の本心を開示することで、「自分も心を開いて接したい」という気持ちになる心理です。

例えば初対面の相手と話をするとき、緊張していても相手がフランクに話しかけてくれたり、自分のことをさらけ出してオープンに話しかけてくれたりしたら、自分の緊張も和らぎ話しやすくなりますよね。

恋愛では相手が「この人は話しやすい!」と思えば思うほど話も盛り上がり、一緒にいて楽しいと感じることで、うまくいくことがあります。

日々のコミュニケーションや恋愛、商談など心理的な距離を縮めたいときに、自己開示の返報性が活用できます。

返報性の通用しない人もいる?返報性の効果を得るためのコツ3つ

返報性の法則は、「ギブ・アンド・テイク」という気持ちがあってこそ成り立つ心理なので、通用しない人がいるのも事実です。

そんな人のために、少しでも返報性の法則の効果を高めるコツを紹介します。

実際の人間関係やビジネスの参考にしてみてください。

コツ①相手が気軽にお返しできる仕組みを作る

返報性の法則が通じない人の中には、お返しすることを負担に感じてしまい、そもそも好意すら受け取らない人もいます。

気軽にお返しができる、あるいは必ずしもお返しをしなくてもいいといった仕組みを作ることが効果的です。

特にビジネスにおいて、お返しを任意にすることで、商品やサービスを手にとってもらいやすく認知拡大が見込めます。

例えば無料体験をした方に、アンケートに答えてもらうことで「お返し」とすれば、入会や契約への負担が減り無料体験をしてもらいやすくなります。

他にもよかったらフォローしてください」「気に入ったらいいね!お願いします」など、SNSアカウントの紹介は気軽な任意のお返しとしておすすめです。

その時は契約してもらえなくても、他のサービスと迷ったときに、「こんな商品もあったっけ」と思い出すきっかけをつくれます。

フォローやいいね!、リツイートをしてもらえれば、情報やキャンペーンの拡散も期待できますね。

このように返報性の法則をビジネスで活用する際は、相手が気軽に「お返ししたい」と思える仕組み作りが大切です。

コツ②警戒されるほど大きなものを贈らない

お返しを期待して相手にあげたものが、気持ちが大きすぎたり、贈り物が高価すぎると、相手は嫌悪感や警戒心を抱きます。

例えば、恋愛において1回食事に行っただけの関係なのに、高級ブランドのものをプレゼントされたら、「なにか下心があるのでは?」と不安になりますよね。

信頼関係が成り立っていない相手への贈り物は、負担にならないものを選びましょう。

そもそも相手と自分との関係性のなかで「お返しをしたい」という気持ちがなければ、返報性の法則は効果を十分に発揮しません。

相手との関係性を意識して、相手が「なにかお返しをしたい」と考えてくれるくらいの「貸し」を作ることが大切なのです。

コツ③見返りを強要しない

見返りを強要しないことも、返報性の法則のコツです。

見返りを強要してしまうと、相手に下心があると勘ぐられ、ネガティブに受け取られてしまいます

そうなると、相手もお返しをしようという気持ちにはなれなくなってしまうのです。

例えば、無料でサンプルをもらったあと、何回も「商品を購入しませんか?」という勧誘電話がかかってきたらどうでしょうか。

迷惑に思う人もいますよね。

こういったネガティブな感情になってしまうと、商品を購入しようとする気も失せてしまうのです。

返報性の法則は、うまく活用すればビジネスや恋愛などで生かせますが、相手に何かを与える時にはあくまで純粋に「喜んでほしい」という気持ちで施すことが大切です。

返報性の法則を過信しすぎないよう注意しましょう。

【注意】返報性の法則の原理には「敵意の返報性」もある

返報性の法則の原理の中には、「敵意の返報性」という注意すべき感情もあるので注意が必要です。

「敵意の返報性」とは相手から敵意を向けられると、無意識に自分も同じように敵意を返したくなる感情のことを指します。

よくあるのは、自分が相手の悪口を言ったり、イヤな態度で接していたりすると、相手からも同じように良くない態度で返されるといった事例です。

「因果応報」とはよく言ったことわざで、まさに良くも悪くも自分のした行いが自分自身に報いとして帰ってくることを表しています。

返報性の法則のひとつには敵意の返報性があるので、悪い行いが自分に返ってくるケースもあります。

例えば最近では相手にイヤな思いをさせられた報いとして、SNSで悪口やクレームを拡散や炎上目的で投稿するなど、敵意の返報性が活用されてしまうことがあります。

敵意の返報性にはネガティブな側面があることに注意し、返報性の法則は万能ではないと理解しておくことが大切です。

「返報性の原理」と「一貫性の原理」の違いとは?

「返報性の原理」と混同されやすい心理法則として、「一貫性の原理」があります。

どちらも「誠実な行動をしたい」という心理は同じですが、返報性の原理では「相手からの見返り」、一貫性の法則では「自分の中での矛盾のない一貫性」を重視する点に違いがあります。

分かりやすく例を挙げてみましょう。

例えば、営業マンが最初に本当に売れるとは思っていない10万円の商品を顧客に勧めてみて、断られた場合には「ではこちらの5万円の商品はいかがですか?型落ちですが機能的には申し分ないです」と勧めます。

そうすると顧客は「半額の値段なら買ってみるか」と営業マンの譲歩に対して自分も譲歩しなければ、といった心理になるのです。これは譲歩の返報性に基づいています

では一貫性の原理はどのような場合に用いられるのでしょうか。

分かりやすく先ほどと同じ営業テクニックを例にして考えてみましょう。

顧客がライバル企業の商品を見て「この商品が気になっているんだよね」と言っているのを聞いて、「実は同じような商品をわが社でも開発しておりまして、良かったらお話だけでも聞いていきませんか?」と、顧客はこの商品が気になっているというのを先に伝えてしまっているため後には引けないことを利用して、自社の製品を売り込むという営業手法です。

こちらは顧客が一貫性のある態度をとろうとする心理を利用しているので、一貫性の原理に基づいた営業手法なのです。

「返報性の原理」も「一貫性の原理」も営業でよく使われるテクニックです。

返報性の法則がよくわかる本を紹介!

返報性の法則をもっとよく理解したい人のためにおすすめの本は、アダム グラント(著)楠木 建(監訳)の『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』です。

引用:Amazon

この本では人生で成功をつかむためには、どのように人と「ギブ・アンド・テイク」するかが重要としています。

返報性の法則は、与えてもらったら返さなければと思う心理ですが、言い換えると、ギブ・アンド・テイクですね。

返報性の法則のビジネスでの活かし方がわかる、おすすめの本なので、ぜひ一度手に取ってみてください。

まとめ

今回は返報性の法則の意味や、返報性の法則のビジネスでの活用方法についてお伝えしてきました。

ここでは、紹介したことを簡単にまとめています。

  • 返報性の法則は、誰かに何かをしてもらったときに「お返しをしなければ」と思う心理のこと
  • 「好意の返報性」「譲歩の返報性」「自己開示の返報性」などお返しの種類はさまざま
  • 返報性の法則は万能ではなく、通用しない人もいる
  • 返報性の法則には悪い行いは自分に返ってくるという心理「敵意の返報性」というネガティブな側面もあるので、ビジネスにおいては注意が必要

ビジネスをするうえで、返報性の法則をうまく活用すると、戦略的に物事を進めることができます。

あなたのビジネスや仕事に、ぜひ取り入れてみてください。

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