松竹梅の法則とは?使い方や意味をわかりやすく解説
- 「松竹梅の法則」ってどんな法則?
- 商品の売上を伸ばすための手法とは?
- 「松竹梅の法則」をうまく活用する方法は?
企業の売上を上げるためには、多くの消費者に購入してもらうことに加え、購入単価を上げる必要があります。
「松竹梅の法則」を活用すれば、より効果的に購入単価を上げられます。
というのも松竹梅の法則は、消費者の見栄やプライドなどの心理をうまく利用し、購入を迷っている消費者の購入決定を後押しできるマーケティング方法だからです。
この記事では、松竹梅の法則の意味やマーケティングにおける必要性、効果的に松竹梅の法則を活用する方法を実例とともに紹介しています。
この記事を読めば松竹梅の法則を正しく理解でき、マーケティングに活かせますよ。
それでは、詳しくみていきましょう。
松竹梅の法則(ゴルディロックス効果)の意味とは?
松竹梅の法則とは、消費者に価格やグレードの違う3つの選択肢を与えると真ん中の価格やグレードのものを選びやすくなるという心理効果のことです。
選択肢を3つ用意することから、日本では3段階を表す「松竹梅」が用いられています。
世界的にはイギリスの童話「三匹の熊」の主人公「ゴルディロックス」を用いて、ゴルディロックス効果と言われますよ。
自然と真ん中を選びたくなる「松竹梅の法則」は、マーケティングではよく使われる手法のひとつです。
例えば、食べ放題に行った時に「2,000円/4,000円/6,000円」の3つのコースがあった場合、あなたならどのコースを選びますか。
「6,000円」だと高いし「2,000円」だと食べられる種類が少なくて物足りなそう、と感じて結果的に真ん中の「4,000円」のコースを頼む方が多いのではないでしょうか。
松竹梅の法則(ゴルディロックス効果)を活用すれば、商品やサービスが売れやすくなったり、購入単価がアップするなどマーケティングにおいて役立ちます。
マーケティング方法にお悩みの方や、これから売り出したい商品がある方にぜひ実践していただきたい法則です。
なぜ松竹梅の法則をマーケティングで活用すべきなのか?2つの理由
マーケティングの手法としてよく聞かれる松竹梅の法則ですが、そもそもなぜマーケティングで活用されているのでしょうか。
マーケティングで松竹梅の法則を活用すべき理由は2つあります。
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
理由①購入を誘導できる戦略だから
松竹梅の法則がマーケティングに有効な理由は、売りたい商品を消費者に購入して貰えるように誘導できる戦略だからです。
2つしか選択肢がなくどちらか1つを選ばなければいけない場合には、価格が判断要素となるため安い方が選ばれやすくなる傾向にあります。
一方、選択肢が3つある場合は、価格だけでなく質や付加価値も比較する要素に加わるので、消費者は自然と真ん中の商品を手に取りやすくなるのです。
消費者の見栄やプライドなどの心理を上手く利用できる松竹梅の法則は、売りたい商品の購入率をあげる上で最適な戦略なのです。
理由②売上アップが期待できるから
マーケティングで松竹梅の法則を活用すると、売上アップの効果も期待できます。
なぜなら松竹梅の法則は、消費者自身が3つの商品を比較し付加価値を判断できる法則だからです。
3つの商品がある場合、消費者は1番高い「松」の商品を気づかないうちに上限価格に設定します。
なので「竹」や「梅」の価格を高めに設定したとしても「松」との比較であまり高さを感じません。
もともと「梅」の商品を買おうと検討していた人にも「竹」や「松」の選択肢があることで、少しグレードをあげた真ん中の「竹」を購入してもらえる可能性が高まります。
うまく商品を売り出せれば「松」の商品を買って貰える可能性もあるのです。
選択肢が1つしかない場合よりも、購入単価をあげられるのがマーケティングで松竹梅の法則を活用するメリットですよ。
【例あり】松竹梅の法則の使い方を紹介
松竹梅の法則を活用すれば、売りたい商品に消費者を誘導できる上、売上アップも図れます。
しかし、松竹梅の法則を正しく活用しなければ消費者の購入意欲をそいでしまう可能性もありますよ。
ここでは【価格設定】【商品づくり】【営業トーク】の3つのケースにおける松竹梅の法則の使い方をご紹介します。
正しい使い方を学んでマーケティングに活かしてくださいね。
【価格設定】松竹梅の法則を活用した料金設定
商品やサービスの価格を設定する際、松竹梅3つの価格を用意すれば売上アップにつながります。
価格を設定する時はまず一番売りたいと思っている商品やサービスを真ん中の「竹」の料金に設定します。
そして「松」には手が届きにくい料金を設定し、「竹」と「梅」は僅かな違いで「梅」の方が安い料金に設定しましょう。
「竹」と「梅」の料金に僅かな差しかないと、少しの金額でメリットを得られると感じ「竹」の商品を購入して貰いやすくなるからです。
レストランでステーキの価格を設定する場合を見てみましょう。
一番売りたいのが「3,800円」の和牛のステーキならば、この3,800円を「竹」に設定して以下のような料金設定を行います。
- 【松】A5ランクの黒毛和牛のステーキ 5,000円
- 【竹】和牛のステーキ 3,800円
- 【梅】国産牛のステーキ 3,000円
最高級のお肉には手が出ないが、800円の差でより美味しいお肉が食べられるのであれば「竹」の和牛のステーキを選びたいと思う人が多いですよね。
手が届かない「松」があるからこそ「竹」の商品がリーズナブルに感じられ、選ばれやすくなっているのです。
価格を設定するときには松竹梅の法則を意識して3段階で設定をしましょう。
【商品づくり】松竹梅の法則を活用した内容設定
次に紹介するのは商品づくりにおける松竹梅の法則の活用方法です。
商品づくりで松竹梅の法則を使う時は、以下のように商品の品質差で3段階に分けましょう。
- 【松】竹と梅両方の要素を全て取り入れた特別感のある商品
- 【竹】一番売りたい商品
- 【梅】最低限の要素で手間暇のかからない商品
視覚では判断しきれない商品の品質差は、消費者の「使ってみたい」や「食べてみたい」欲求を引き起こすので、購買意欲を高めるのに効果的です。
ただし量や大きさなど一目で分かる差を付けると、量や大きさが異なることで価格の差が出ることは当然なことと判断され、消費者の需要で購入する物が決まってしまいます。
消費者の需要に基づく購入の場合には、松竹梅の効果が発揮されないので注意してくださいね。
商品づくりの段階から松竹梅の法則を活用すると、マーケティングにうまく活かすことができますよ。
【営業トーク】松竹梅の法則を活用した提示の仕方
商品を実際に売り込む時にも、松竹梅の法則を活用すると消費者の購買意欲を掻き立てられますよ。
お客様と対面して営業する場合と、Web上のページやLPなどお客様と対面せず営業する場合には、提示の仕方が異なります。
松竹梅の法則を活用した営業の仕方をそれぞれのシーン別に見ていきましょう。
シーン:対面の場合
お客様と直接対面して営業を行う場合には、「松」「梅」「竹」の順番でお客様に提示しましょう。
初めに「松」を提示して高いという感覚を与えておくことで、後から出てくる商品が安く見え
るようになるからです。
そして「松」の次に「梅」を提示すると「松」との差が大きいため、安い商品やグレードを落とした商品を買うのをためらってしまうのです。
最後に「竹」を提示することで、僅かな値段の違いでグレードのいい商品が買えるのであればと、真ん中の「竹」を買いたくなってくるわけですね。
消費者が購入を検討する際は少なからず「出来れば品質のいいものを買いたい」という思いを持っています。
松竹梅の法則を活用すれば、現実と理想で妥協できるところに落ち着く可能性が高まりますよ。
提示の順番については返報性の法則も関わっています。返報性の法則に関してはこちらの記事を参考にしてください。
シーン:Webページ・LPの場合
お客様と直接対面せずに販売をするWebショッピングやLPにおいては、対面の場合とは違う方法で提示する必要があります。
なぜなら対面で接客を受けていない場合には、消費者の見栄はあまり働かないからです。
Webページで商品を紹介する時には、価格の表示を高い物から順番に縦に配置するようにしましょう。
人は縦に配列されていると自然と高い物は上、安いものが下に表示されると考えるので、価格の高い物から順番に配置することで違和感なく情報を受け取れるのです。
また横並びに商品を配置すると、気になっている項目(金額)のみを情報として読み取ってしまう可能性が高くなるので、一番売りたい真ん中が選ばれづらくなってしまいます。
このような理由から視覚で商品の価格とラインナップを理解してもらうには、縦配置が効果的なのですね。
2つの場合は効果なし?松竹梅の法則で3つを設定する理由
ではなぜ、マーケティングにおいて松竹梅の法則が効果を発揮するためには、3つの選択肢が必要なのでしょうか。
選択肢が2つだと消費者は高いか安いかで判断するため、安い方を選ぶ傾向にあるからです。
安い方を選ばれてしまっては購入単価が上がらず、売上も少なくなってしまいますね。
選択肢を多くすればいいと考える方もいますが、選択肢が多ければいいわけではありません。
というのも、4つ以上の選択肢を与えると、決め手となる要素を絞り切れずに「買わない」という選択肢が加わってしまうからです。
これはコロンビア大学の社会心理学者シーナ・アイエンガー教授によるジャム理論で実証された、決定回避の法則でも証明されていますよ。
商品数が多い場合には、カテゴリー別に分けて提示するなどして情報量を整理し、消費者に選択してもらえる状況を作ることが大切です。
「決定回避の法則」については、こちらの記事で詳しく解説していますので、マーケティングのヒントにしてみてくださいね。
まとめ
ここまでマーケティングにおける「松竹梅の法則」の必要性や効果的な活用方法を紹介しました。
最後にこの記事の要点をまとめます。
- 松竹梅の法則とは、選択肢が3つある場合に真ん中の選択肢を選びやすくなる心理効果のこと
- 松竹梅の法則は消費者心理を上手く利用したマーケティングのベースとなる考え方である
- 松竹梅の法則をマーケティングで活用すると、購買意欲を高め、売上アップが期待できる
- 「消費者自身に選ぶ機会を与え、付加価値を感じてもらうことで購入に繋げること」が松竹梅の法則を活用するポイント
松竹梅の法則は商品づくりから実際に商品を売るところまで、マーケティングの全てに活用できる法則です。
正しく理解し活用することで、業績アップにもつなげることができますよ。
マーケティング方法にお悩みの方や、これから売り出したい商品がある方は、ぜひ松竹梅の法則を取り入れてみてください。