お客様は神様の時代は終わった?「お客様は神様ではない」の本当の意味
- 「お客様は神様ではない」ってどういうこと?
- どんなお客様も神様として対応しないといけないの?
- お客様と対等な関係を築きたい!
「お客様は神様」という有名な言葉がありますね。
ですが、「お客様は神様」の意味を勘違いした顧客に悩まされた経験がある人も多くいるでしょう。
この記事でも紹介しますが、「お客様は神様」の本来の意味は顧客側が「神様のような扱いを要求すること」ではありません。
昨今では、顧客による悪質なクレーム=カスタマー・ハラスメント(カスハラ)という言葉もでてきましたね。
カスハラに悩まされる労働者が増えた現在では「お客様は神様」の時代は終わり、「お客様は神様ではない」という考えが広まっていますよ。
この記事では「お客様は神様」の本当の意味をみていきます。
「お客様は神様ではない」とする、現在における顧客との関係性も解説しているので、顧客との関係に悩んでいる方はぜひご覧ください。
「お客様は神様」は勘違い!?「お客様は神様」の由来
「お客様は神様です」という言葉を初めて使ったのは、演歌歌手の三波春夫さんです。
しかし三波さんは、お客様を神のように崇めて接客しろという意味でこの言葉を使ったわけではありません。
公式ホームページによると、「お客様は神様です」には、実際には三波さんの歌手としての心構えを表現した言葉とあります。(※1)
都合のいい解釈が一人歩きしてしまった「お客様は神様」という言葉ですが、ビジネスにおいてはどのような意味があるのでしょうか。
(※1)三波春夫オフィシャルサイト「『お客様は神様です』について」
ビジネスで「お客様は神様」と表現する本当の意味とは?
会社や人によって、さまざまな解釈がありますが、この記事では「お客様は神様です」とは「WIN-WINの関係であること」を意味しているとしています。
お客様を大切に思う姿勢や価値のあるサービスや体験を提供する努力をすること、そして、お客様はファンやリピーターという形で応えてくれる関係性は、本当の意味で「お客様は神様です」といえるでしょう。
上下関係ではなく、顧客も労働者もお互いを尊重し合う関係のもとに成り立っているという考えが「お客様は神様」という言葉なのです。
「お客様は神様」の時代は終わり!?「お客様は神様ではない」が求められる背景とは?
「お客様は神様」という言葉はこの記事では悪い言葉ではないとお伝えしましたが、悪意のあるクレームを取り上げる際にも使われるケースがありますよね。
カスタマー・ハラスメント(カスハラ)が取り上げられるなかで、「お客様は神様です」という考えに対して、「お客様は神様ではない」という考えが出てきました。
迷惑行為や悪意から、お店や従業員を守る姿勢を表す言葉として「お客様は神様ではない」という考えが求められているのも事実です。
では、本当に「お客様は神様」の時代は終わったのでしょうか。
この記事では、「お客様は神様」の価値観は残るのではないかと考えています。
なぜなら、先ほどもお伝えしたように「お客様は神様」という言葉は、売る側と買う側のポジティブな関係性を表しているからです。
過度なサービスや接客や要求を意味する「お客様は神様」という価値観は、カスハラ対策の強化によって廃れていくでしょう。
一方で、お互いに理解し合ったり、尊重し合ったりする関係性を表す「お客様は神様」という価値観はビジネスにおいて大切な要素として根付いていると考えられますよ。
お客様と関係を構築するためのポイント4つ
カスタマー・ハラスメントの観点から「お客様は神様ではない」としていても、顧客をないがしろにしていいわけではありませんよね。
お店や会社として、価値のあるサービスや体験の提供や、誠実な対応はいつの時代でも求められています。
そしてお客様と信頼関係を築けたり、良い関係を保ったりできれば、安定した売上や想いの浸透、生産性のアップなど、売る側にもメリットが生まれますよ。
悪意から従業員や店を守る「お客様は神様ではない」という考えを持ちつつ、顧客と関係を構築するためのポイントを4つ紹介します。
ポイント①お客様との間に信頼関係を構築する
信頼関係を築くことは顧客との良好な関係の基盤になります。
なぜなら信頼は相手に対する尊重と信用の表れだからです。
信頼関係があれば顧客は積極的にコミュニケーションを取ってくれるので、企業側は顧客のニーズや問題を把握しやすくなりますね。
顧客のことをより知ることが、結果的に顧客目線に立ったよりよい顧客対応にもつながります。
企業と顧客がお互いに尊重し、信頼し合って行動できれば対等な関係性を育めますよ。
ポイント②プロ意識を持ってお客様に接する
自分はその道のプロであるという意識を持って顧客と接することで、よりよい関係を築くことができますよ。
あなたがプロとして専門的な知識を持って顧客へ対応すれば、顧客のニーズをより理解し、的確なアドバイスやぴったりのサービスを提供できます。
そうすれば顧客はあなたのことを信頼してくれるでしょう。
自分の知らない知識で自分の悩みを解決してくれる人がいたら頼りになるからです。
プロ意識を持てば「お客様の言ったことは絶対」のような顧客からの一方的な関係になるのではなく、双方向のよい関係性が築けますよ。
ポイント③公平な基準を設ける
顧客に合わせて柔軟に対応することはとても大切ですが、あまりになんでも対応しすぎると、顧客の要求がどんどんエスカレートする可能性があります。
なので、1人1人の顧客に偏りなく接することができる公平な基準を作りましょう。
適切な価格設定をしたり、公正なサービスを提供する心がけを決めることで、個人の過度な欲求や態度には毅然とした姿勢で対応できますよ。
「言ったもん勝ち」と思われないよう、公平な基準をもとにどの顧客に対しても過度な対応をしすぎないようにしましょう。
ポイント④長期的なパートナーシップを構築する
顧客と長期にわたる関係性を築くことも対等な関係を構築する上で重要です。
長期にわたる関係性を築くとは、つまり
- リピーター:繰り返し利用してくれる顧客
- 優良顧客:リピーターの中でも売上に貢献してくれる顧客
- ロイヤルカスタマー:企業への信頼度や愛着が高い(=顧客ロイヤルティの高い)顧客
を増やしていくことですね。
長期にわたる関係性が築ければ顧客自身も自分だけにメリットがあればいいと考えるのではなく、企業にもメリットが生まれるように考えてくれるようになります。
つまりお互いを思いやれる関係性になれるのですね。
また、顧客ロイヤルティの高い顧客は本人がリピーターになってくれるだけでなく、周囲によい口コミを広めて新規顧客の獲得に貢献してくれるメリットもあります。
顧客の声に耳を傾け、寄り添った対応で顧客ロイヤルティを育み、長期的な関係性を築きましょう。
リピーターの作り方やコツは、こちらの記事を参考にしてくださいね。
【注意】過度な「お客様は神様」の考えが生む3つの弊害
「お客様は神様」の間違った解釈によって、お店や会社、働く人はマイナスの影響を受けてしまう可能性があるので、注意が必要ですよ。
ここからは「お客様は神様のように扱われるべき存在」と考えてしまった場合に、起こり得るリスクを紹介します。
弊害①顧客による過度な要求や横暴な態度が増える
起こり得る弊害のひとつめが、「お客様は神様」なんだからなにをしてもよいと考える顧客が増えることです。
顧客側が「お金を払っているのだから顧客の方が偉い」と勘違いしてしまうことで過度なサービスを要求したり、横暴な態度を取ってしまうのです。
カスタマー・ハラスメント(カスハラ)という言葉も話題になりましたね。
カスハラによって労働者側が顧客に恐喝されたり、土下座などの過度な謝罪を要求されたりするケースも増えています。
このように顧客の質が低下した状態が続くと、顧客の過度な要求に時間を取られ、労働者のパフォーマンスの低下を引き起こします。
「お客様は神様」の考えを持った顧客によって過度な要求や横暴な態度が増えることで、企業の経営面にマイナスの影響が出る可能性があるのですよ。
弊害②不公平さによって顧客離れが起きる可能性がある
一部の顧客の過度な要求を飲むことで、ほかの顧客が離れていってしまう恐れもありますよ。
要求を押し通す人が優遇されていては、ほかの顧客は不公平さを感じてしまいますよね。
また、クレーマーと化してしまった顧客の相手に時間や人員を割いてしまうと、ほかの顧客への対応がおざなりになってしまいます。
するとほかの顧客は不満を感じ、顧客離れにつながってしまいます。
クレーマーが優遇され、接客をあまりしてもらえないお店に何度も行きたいと思う人はいないでしょう。
経営面に大きな影響を及ぼす顧客離れを引き起こす可能性があるのが「お客様は神様」によって起こり得る弊害なのです。
弊害③従業員のストレスが増加する
3つ目の弊害は、「お客様は神様」と考えて過度な要求をする顧客が増えることで、従業員のストレスが増加してしまうことです。
質の悪い顧客の対応は従業員にとってはかなりのストレスになります。
従業員のストレスが増加すると、仕事へのモチベーションや満足度の低下につながり、場合によっては離職してしまうこともあるでしょう。
離職者が増えれば経営が成り立たなくなり、企業イメージの低下にもつながります。
「お客様は神様」を企業側の心構えとして持つことは大事ですが、従業員が悪質な顧客の脅威にさらされるリスクも含んでいる点は覚えておく必要がありますよ。
まとめ
最後にこの記事の内容をまとめます。
- 「お客様は神様」の時代から「お客様は神様ではない」時代に変化している
- 「お客様は神様」は労働者側が持つべき意識である
- いつまでも「お客様が神様」状態でいると悪質なクレームが増えて、顧客離れが起こったり、従業員の不満が蓄積される
- これからは顧客と労働者の対等な関係が求められる
- 顧客と労働者はお互いを思いあえる関係が理想的
これからの時代は「お客様は神様ではない」=労働者と顧客がお互いに尊重し合える関係を築くことが重要になってきます。
この記事を参考に、労働者と顧客の双方が利益を教授できる理想の関係性を構築してみてくださいね。