運営者プロフィール

森谷俊之

LibRu代表取締役

個人・小規模事業者向けのマーケティング・ブランディングのコンサルタント/セールスコピーライター

経営者の3つの課題「お金がない、時間がない、人材がない」は、シンプルな仕組みで解決できます。集客から販売までを自動化して、ビジネスを成長させていくための仕組み構築を支援します。

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ブランディングとは?正しい意味と効果的な手法を徹底解説

  • ブランディングの意味とは?
  • 効果的な方法ってあるの?
  • どうすれば上手くブランディングできる?

もしかするとあなたは、ブランディングは大企業やインフルエンサーに必要なモノで、自分にはあまり関係がないと思っているかもしれません。

しかし今の時代、ブランディングは中小企業や個人にこそ必要な戦略です。

よくブランディングと聞くと「高級な」「お洒落な」「キラキラ系」といったイメージを持つ方がいますが、それは大きな間違いです。

ここではブランディングの正しい意味や使い方を、具体例を交えて解説していきます。

ご自身のビジネスを飛躍させるためにも、ぜひブランディングを正しく理解し、上手く使いこなせるようになってくださいね。

目次

わかりやすく「ブランディング」の意味を解説!

ブランディングという言葉を聞いたことがあっても、具体的な意味はよくわからないという方もいますよね。

ブランディングとは、価値あるものを「ブランド化」するということです。

ブランドは一般的に商品を対象にされることが多いですが、ブランディングは商品だけでなく企業そのもののイメージや地域、人などあらゆるモノに行えます。

ここでは、ブランディングを種類別に紹介していきます。

企業ブランディングとは

企業ブランディングは、企業に対する信頼や価値を高める活動のことを言います。

特定の商品ではなく、企業そのものが高く評価されることを目指します。

例えばスターバックスは立ち上げ当初から広告を一切使わずに、「スターバックス」という企業のブランディングに注力することで成功をしてきました。

情報社会である現代では、テレビコマーシャルを流せる大企業だけがイメージ戦略を行えるわけではありません。

スタートアップや中小企業であってもSNSから情報が広がって、ブランディングを行うことは可能です。

個人のセルフブランディングとは

個人のセルフブランディングとは、自分の価値を発信して高めていくものです。

よくセルフブランディングと聞くと、SNSでやっているような「痛い」ブランディングや「自己陶酔」したブランディングと勘違いされますが、それとは全くの別ものです。

自分自身を客観的に見て、一番輝く側面を打ち出していくのがセルフブランディングです。

なので重要なのは自己理解です。

自分の強みや価値感を世の中に発信することで、あなたの価値を高めていくのが個人のセルフブランディングとなります。

採用ブランディングとは

採用ブランディングとは、優秀な人材の確保に向けて求職中の人に「この会社で働きたい」と思ってもらえるようなイメージを構築する活動のことです。

少子高齢化の進む日本では人材の確保に苦心する企業が数多くあります。

数ある中で選ばれるためには、求職者本人だけではなく家族や取り巻きの人の企業に対するイメージを向上させることが大切です。

企業理念や社員の意識、職場の雰囲気などをPRして自社に興味を持つ人を増やすことが、採用ブランディングの要といえるでしょう。

地域ブランディングとは

地域ブランディングは特産品や独自の風習など、地域ならではの魅力を発信し価値を知ってもらう活動のことです。

地域ブランディングでは独特の食べ方や地域に昔から伝わる食文化を通じて、オリジナル性を打ち出すことが重要となります。

消費者側に向けた活動だけではなく、地域に住む住民の生活の向上も目的の一つになっており、地元愛を高めることも地域ブランディングの大きな役割です。

リブランディングとは

リブランディングとは、ブランディングの再構築のことを指します。

ブランディングは一度行ったら終わりではありません。

時代の変化や顧客のニーズなどに合わせて、目標とするブランドイメージを変えていく必要があります。

パッケージのデザインを変更する、サービス内容を見直しするなどの他に、今では社員の働き方改革もリブランディングの一環となっています。

ディスブランディングとは

ディスブランディングとは企業や地域、人などのブランド価値を下げることです。

セルフブランディングでは、ディスブランディングが起こりやすいといわれています。自分の本来の価値以上に自分を大々的にアピールしてしまい、ほころびが生じてSNSで炎上しやすくなるからです。

中でも宗教的な思想に踏み込んだものやジェンダー問題、社会的な時事問題はディスブランディングが起こりやすいので、SNSでは避けた方がよいテーマです。

歴史的な背景や立場の違いによって、考え方は変わってきますよね。これらのテーマについて知識が豊富であったとしても、安易に発言しないように注意しましょう。

もちろん、特定の人を傷付けるような発言は絶対にNGです。

またお客さんが求めている価値を見誤ってしまうと、ディスブランディングが起こりやすくなります。

例えば上質なサービスや調度品、珍しい素材を使った料理の数々が評価されていた高級旅館が、価格競争の世の中を反映して価格を下げる代わりにサービスの質を下げたとしましょう。

その結果、競合する同業種が増えたことによってさらなる価格の低下が必要になるだけではなく、高級志向に価値を感じていたお客さんは旅館に来なくなりました。

ブランディングは状況に合わせてブラッシュアップしていく必要がありますが、このようなケースは典型的なディスブランディングと言えるでしょう。

ブランディングに必要な「ブランド」とは何か?

ブランドとはブランド名やロゴなどを通じて、そのブランドが持つイメージを共有することができるものです。さらには「他とは違う」価値を感じ、対価を払って得たいと思うコアなファンがいる状態を指します。

エルメスは多くの女性が憧れるラグジュアリーブランドですよね。スカーフ一枚が100,000円を超え、人気のバーキンは3,000,000円を超えるものまであります。

人によっては「スカーフやバッグにそんな値段を出すなんて信じられない」と思いますが、エルメスに価値を見出している人の多くは上品で優れたデザイン性や伝統工芸品の域の製法、ラグジュアリーブランドを身に着けているというステイタスを含めて購入しています。

このように聞くとブランドとは高級ファッションメーカーや有名電化製品のマークを思い浮かべてしまいますが、ブランドは商品や製造元に限りません。

ブランドは企業や地域、そして人などに対しても同じ効果があります。例えば北海道と沖縄への観光客数が国内トップクラスであり続けていますが、海産物は全国で獲れますし青い海は他にもあります。

それにも関わらず北海道や沖縄の人気が断トツで高いのは、「美味しい海産物と言えば北海道」「青い海なら沖縄」というイメージが世間一般に浸透しており、なおかつ他よりも価値があると思う人が多いからでしょう。

ブランディングの目的は?

ブランディングの目的は、競合との差別化です。

例えば「九条ねぎ」。

ブランディングに成功しているおかげで、一般的なねぎの価格よりも割高にも関わらず、年商1億円を稼ぐ農家もいるほどのブランド野菜となっています。

しかし、ブランディングの真の目的はもっとその先にあるといえます。ブランディングの真の目的は〇〇といえば△△」の△△にあたる部分になることです。

例えば「お茶と言えば伊藤園」「料理の検索サイトと言えばクックパッド」などは、多くの方の共通イメージではないでしょうか。

このようなイメージを1人でも多くの人に持ってもらうことこそが、ブランディングの目的です。

ブランディングは誰に対しておこなうのか?

ブランディングは誰に対しておこなうのかによって、目的や効果が変わります。

中でも企業や地域においては大きく2つのターゲットが存在し、アウターブランディング/インナーブランディングと分けられています。

ここでは、アウターブランディングインナーブランディング、それぞれの目的や効果を紹介していきます。

アウターブランディング

アウターブランディングとは対外的なブランディングのことです。企業であれば顧客、地域なら消費者や観光客が主なターゲットになりますね。

アウターブランディングは収益に直結するため、失敗をすると企業や地域の存続にも関わることからより慎重に行う必要があります。

商品の独自性の確立だけではなく、顧客や消費者が求める商品やサービスを一早く理解することも重要になります。

インナーブランディング

インナーブランディングは対内的なブランディングのことです。企業なら社員、地域なら住民が対象になります。

企業では企業理念やブランド価値を社員に正しく理解してもらうこと、地域では地域ブランデングによる町おこしの重要性を知ってもらうことが目的です。

また、インナーブランディングでは企業内の働きやすさや、地域の住みやすさを整えていくことも大切な役割になります。

「ブランディング」と「マーケティング」の違いとは?

ブランディングは企業や商品、人などの対象をブランド化するものです。

これに対してマーケティングには市場を作るという意味があり、あくまでも商品を効率的により多くの人に売ることが目的になります。

イメージとしては、ブランディングはたった一人の人に好きになってもらうための活動、そしてマーケティングはたった一人の人からより多くの人に好きになってもらうための活動という感じです。

ブランディングとマーケティングの違いを説明する概念として、「ゴールデンサイクル」という考え方があります。

ゴールデンサイクルとは?

「ゴールデンサークル」はイギリスの組織コンサルタントのサイモン・シネック氏の理論です。

サイモン・シネック氏はApple社を例に、人が心を動かされる企業の多くは「ゴールデンサークル」の理論に基づいた活動を行っていると言っています。

「ゴールデンサークル」の中心は『Why』です。『Why』では「どうしてそれをするのか」を考えます。企業における理念やミッションと言えるでしょう。

そしてここがブランディングに当たります。

Apple社の場合は「他とは違うことを掲げ、テクノロジーが多くの人の生活を変えていくこと」を目指しています。

次の『How』では、理念やミッションを達成するために「何をするのか」を考えます。どのような製品を作って、どのように販売するか。ここを実現するのがマーケティングに当たります。

Apple社では「シンプルで感覚的に、誰でも使いやすい商品」を作ることで市場を広げる事に成功しました。

最後の『What』は「何をするのか」を具体的に考えます。企業では何を売るのか、何を作るのかに当たり、Apple社ならiphoneやMACが該当します。

「ゴールデンサークル」ではWhyが最重要であり、それに紐付いてHowとWhatが考えられます。つまり、マーケティングはブランディングを成功させるための一つの手段と言えるでしょう。

Apple社はiphoneやMACを売るために存在している企業ではなく、Apple社の理念を達成するためにiphoneやMACを販売しているのです。

そして、その理念や企業姿勢に賛同した人がiphoneやMACを買うという流れが出来上がっていることが、Apple社の成功の理由と言われています。

【目的別】ブランディングの手法

ブランディングには企業や商品そのものの大きなイメージを形作るという壮大なミッションがありますが、そのような抽象的な考え方では何をしたらよいのかよくわからなくなってしまいますよね。

ブランディングは目的によって、成果を上げやすい手法があります。ここでは、目的別のブランディング手法を紹介します。

目的①認知を広めるブランディング

認知を広めるにはより多くの人の「目」に止まることが不可欠になります。具体的には次の手法があげられます。

  • テレビ
  • 電車広告

目的②集客力を高めるブランディング

集客力を高めるには多くの顧客やファンを獲得する必要があります。具体的には次の手法があげられます。

ホームページやブログなどのオウンドメディアやSNS、チラシを利用したブランディングの手法の詳しい内容については、別記事にてご紹介しているのでこちらをご覧ください。

2023年7月よりTwitterはX(エックス)へ名称を変更しています

目的③購買意欲を高めるブランディング

商品の購入を迷っている時には、その商品の魅力をより鮮明に視覚に訴えかけるのがよいでしょう。具体的には次の手法があげられます。

  • ブランドブック
  • ブランドムービー
  • カタログ

目的④成約率を高めるブランディング

成約率を高めるブランディングの手法には次のものがあげられます。

  • セールススライド

ブランディングの方法5ステップ

いきなり「ブランディングを行ってみよう」と思っても、何から始めたらよいのかよくわからないという方が多いのではないでしょうか。

そこでここでは、ブランディングの方法を4ステップにまとめました

ブランディングのケースによって多少は異なる点がありますが、基本的には次のステップを順番に行うことで、ブランディングの流れを把握できるでしょう。

ステップ1:環境分析をおこなう

最初におこなうのは環境分析になります。主に分析するのは、ブランディングの対象となる商品や会社の以下のような部分です。

  • 長所や最大の武器になる「強み」
  • リスクになりうる「弱み」
  • 参入しようとしている市場
  • ライバルの動き

自社や競合企業が市場においてどのような立ち位置にあるのか、またはターゲットユーザーはどこになるのかを明確にすることでブランディングの目的が大きく変わっていきます。

環境分析に役立つフレームワークをいくつか紹介していきます。

分析手法:SWOT分析

SWOT分析とは、Strength(強み)/Weakness(弱み)/Opportunity(機会)/Threat(脅威)を分析するフレームワークです。現状把握の分析として有名ですね。

セルフブランディングや自己分析でも活用できるフレームワークなので、就活で実際にやってみた方もいるのではないでしょうか。

SWOT分析の詳しい内容については、別記事にてご紹介しているのでこちらをご覧ください。

分析手法:3C分析

3C分析とは、Company(自社)/Competitor(競合)/Customer(顧客)を分析するフレームワークです。3つのCをそれぞれ客観的に分析し、どうブランディングを進めていくべきかを探っていきます。

3C分析の詳しい内容については、別記事にてご紹介しているのでこちらをご覧ください。

分析手法:PEST分析

PEST分析とは、Politics(政治)/Economy(経済)/Society(社会)/Technology(技術)を分析するフレームワークです。情報を整理し、中長期的な視点の戦略を考えるのに役立ちます。

PEST分析の詳しい内容については、別記事にてご紹介しているのでこちらをご覧ください。

ステップ2:ブランドの価値を決める

環境分析が終わったら、次のステップではブランドの価値を決めていきましょう。

簡単にいうと、ブランドの価値とはブランドの方向性のことです。どのような未来を描き、理念や理想に向かって進んでいくのかを明確にします。

ブランディングの「価値」は継続可能でなければ、一過性のブームで終わってしまいます。

またブランドの価値を決める時にはターゲットを絞り、他社と競合しないポジションを見つけることも大切です。

さらに自分たちの決めた価値は、ターゲットとなるお客さんが求めているものでなければ意味がありません。時短料理のレシピが知りたい人は、料亭のレシピを求めていないですよね。

記事の前半で、ディスブランディングの例に高級旅館の失敗をあげました。求められている価値を求めている人に届けることが、ブランディングでは重要になるのです。

ステップ3:ブランディングしたモノを発信する

次にブランディングしたモノを実際に発信してみます。ブランドの価値を高めるためには、理念や理想を伝えるだけではなく視覚的に記憶に残ることが重要です。

具体的にはブランド名やロゴ、キャッチコピー、画像などですね。

これらにお客さんに伝えたい価値観やコンセプトを盛り込んで発信をしていきます。

例えばナイキ。

ナイキは古代ギリシャ神話の勝利の女神ニーケーが由来であり、その彫刻をモチーフにしてロゴが作られています。このようなストーリーもブランドに付加価値をもたらす要因になります。

ターゲットに対して最も効果のある媒体を利用し、ブランドの価値観や世界観を広める活動を行いましょう。

ステップ4:ブランディングの効果を検証する

最終ステップはブランディングの効果の検証です。具体的には認知度やイメージ調査のアンケート、WEBサイトやSNSの閲覧数、広告のアクセス解析などがあります。

ブランディングはブランドの価値を発信して終わりではありません。

発信に対する顧客や消費者の反応を調べて、改善策や改良案を練ることが実は最も重要になります。

つまり、ブランディングは1度行ったら終わるものでなく、市場の動向などを見ながら定期的に続ける必要があるものなのです。

ブランディングで注意するべき4つのポイント

ブランドの価値は目に見えるわけではありません。ロゴやキャッチコピーや画像などは、あくまでもブランドの価値を視覚的に表現したものです。

ブランドの価値はお客さんが決めます。「他とは違う」「特別なもの」と顧客や消費者に感じてもらうことで、そこに初めて価値が生まれるのです。

そのため、ブランディングを行うときには細心の注意が必要になります。ここではブランディングで注意するべきポイントを4つにまとめてみました。

注意点①曖昧さを取りのぞく

一度決めたブランドの価値を途中で変更してはいけません。オーガニックが売りの食品店で添加物が多く含まれる商品が陳列されていれば、あっと言う間に顧客の信頼を損なってしまいます。

「仕事から帰った女性が部屋でゆったりとくつろげる部屋着」がコンセプトなのに、体のラインにぴったりのミニスカートだったら矛盾を感じますよね。

このようなやり方では、顧客や消費者にブランドの価値が明確に伝わりません。

ブランディングの確立や成功には一貫性がとても重要になるので、最初に決めたことは最後まで押し通す強さを持つようにしましょう。

注意点②組織で情報を共有する

ブランディングは関わる人すべてが情報を共有することが大切です。単に「我が社のブランド価値は〇〇」とだけ掲げても、理解度は人によって大きく違うことがあるからです。

理解度が違えばそれぞれが自分の基準を元に動いてしまいます。作業が非効率になるだけではなく、足並みが揃わずに進むべき方向とは違う方向へ向かってしまうこともあるでしょう。

ブランディングの成功には組織で情報を共有し議論する場が必要になります。具体的には社内資料やダッシュボードなど目で見てわかる数字やデータを元に、施策や改善策を実行してさらなる改善点などを話し合っていきます。

そうすることで個人と会社との目標の乖離も少なくなりますし、他の社員と同じ目標に向かってブランディングを進めていくことができます。

注意点③現在だけでなく未来へも視野を広げる

ブランディングの成功には徹底した市場調査や顧客へのアンケートなど、常に現状を知ることが必要です。

そして、市場や顧客の動向は時代とともに変化していきます。

ブランディングは一度成功したら終わりではなく、未来に向けて継続していくことでブランドの価値をさらに高く積み上げていくことができますよ。

注意点④商品の強みとメリットを一緒にしない

商品の強みは企業や地域、または個人としてアピールできるポイントです。一方のメリットは利点や価値という意味です。

一見すると同じように思えますが、実は必ずしも同じとは限りません。

例えば世界№1の高級ブランド「ルイヴィトン」のトランクケースは、あのタイタニック号の沈没の後に引き上げられた際、中に全く水が入っておらず耐水性に優れていることが証明されたという話があります。

しかし、多くの人は耐水性が優れているから「ルイヴィトン」を購入するわけではありません。ブランドを象徴するモノグラムのロゴが入ったバックを持つことがステイタスだからですよね。

つまり、ここでは商品の強みと顧客が得るメリットは必ずしも一致していないことになります。

このようなことから、ブランドの価値を決める時は商品の強みばかりに捉われずに顧客が求めているものを徹底的に調査することが必要になります。

ブランディングの成功事例を紹介!

日本では長きに渡り高品質の商品を製造・販売することで顧客や消費者の信頼を勝ち取り、企業の価値を維持してきました。

しかし現代はそれだけでは生き残りが難しいと言わざるを得ません。そのため、多くの企業が生き残りをかけてブランディングを行っています。

ここではブランディングに成功した3つの企業をご紹介します。

事例①ヤンマーのブランディング戦略

ヤンマーは創業1912年の老舗企業で、発動機や農業機械の開発・販売を行っている企業です。ヤンマーと言えば親しみのあるキャラクター「ヤン坊マー坊(天気予報)」を思い浮かべる方も多いでしょう。

ヤンマーは業績が決して悪かったわけではないのですが、2013年に創業100年を迎えたタイミングで次の100年を見据えてブランドの価値の再構築、つまりリブランディングを行いました。

依頼したのは世界的に活躍するクリエイティブ・ディレクターの佐藤可士和さんです。

ヤンマーの従来のイメージとはそぐわない人選にも思えますが、実はヤンマーは日本でのイメージと欧米でのイメージが異なります。

欧米ではプレジャーボートやヨットなどのエンジンにヤンマーの名前を見かけることが多く、海外では高級なイメージを持たれている企業なのです。

そこでヤンマーは「ヤンマープレミアムブランドプロジェクト」を立ち上げ、農業機械も船も含めた新しい価値観を顧客や消費者に与えるために、ロゴや商品のデザインを一新しました。

また、コマーシャルの内容も変更したことで、今までの「ヤン坊マー坊」のイメージからの脱却にも成功しています。

事例②スターバックスコーヒーのブランディング戦略

スターバックスは1971年にアメリカ・シアトルにて創業を開始し、日本へは1996年に進出し銀座に一号店を出店しています。

今年(2022年)で日本進出26年目を迎えますが、浮き沈みの激しい飲食業界で好成績を維持し続けています。

しかも、スターバックスは価格が安いわけではありません。最も容量の少ない240mlのショートサイズのドリップコーヒーが319円、人気のフラペチーノは500~600円台の価格です。

今やコンビニでも100~200円で本格的なコーヒーが飲める時代にも関わらず、強気とも思えるスターバックスの価格に喜んでお金を払う人が後を絶たないのはどうしてなのでしょうか。

その理由は、スターバックスは「落ち着いた空間で上質なコーヒーを飲む体験を提供する」お店作りを目指しているからです。

座り心地の良い椅子や静かに流れるBGM、お洒落な内装、バリスタとの交流、通いやすい立地など全てがスターバックスが目指すブランドの価値の一つになっています。

スターバックスを訪れた人はそれをスタバ体験と称し、SNSなどで拡散しました。その結果、スターバックスには単にコーヒーを飲みたい人だけではなく、くつろぎの空間や時間を求める人が通うようになりました。

飲食業界では生き残りをかけた価格競争が起こりやすいですが、価格を下げることで質やサービスの低下を招き、結果的に自滅してしまうことが多いですよね。

スターバックスでは価格を下げてお客様を呼び込むのではなく、価格に左右されない顧客を得るために多くの付加価値を提供することで、唯一無二のブランド化に成功しています。

事例③マツダのリブランディング戦略

マツダは国内第4位の自動車メーカーながら、世界初の量産ロータリーエンジンの開発や近未来的なデザインが欧州で高い評価を得ており多くのファンを持っていました。

ところが1990年代後半に販売力のアップを目指して、販売店を分ける「5チャンネル体制」を推し進めます。しかし時代がバブル崩壊に直面したこともあり、販売台数は増えるどころか大幅に減少してしまいました。

そこでマツダはリブランディング(ブランドの再構築)を決意し、これを「2%戦略」と名づけました。「2%戦略」とは当時のマツダの世界シェア率が2%だったため、その2%の自社ファンだけに喜んでもらえるようなマツダらしい自動車開発を目標に掲げたのです。

具体的にはマツダの自動車の熱狂的なファン5人に徹底的なヒアリングを行い、マツダ車の魅力を洗い直しました。

その結果を元に開発された新型アテンザセダンはマツダのコアなファンに支持され、現在もマツダの主力商品として愛されています。

また、ブランドメッセージである『Be a driver』や『Zoom-Zoom』は、車そのものよりも車に乗る人や見る人の視点を重視したものです。

『Zoom-Zoom』は英語で「ブーブー」を意味する言葉で、子供の時に感じた走る車への憧れや快感を追及したいというマツダの理念が込められています。

まとめ

ブランディングとは会社や自分を大きく見せることではなく、理念や理想の実現のための手段です。

最後にこの記事の要点をまとめます。

  • ブランディングの目的は「〇〇と言えば△△」の△△になること
  • ブランディングは顧客や消費者などの外だけではなく、社内や住民などの内にも行われるもの
  • ブランディングは「認知を広める」「集客力を高める」「購買意欲を高める」「成約率を高める」の4つの目的がある
  • ブランディングは「環境分析(SWOT・3C・PEST)」→「価値の決定」→「発信」→「検証」の4ステップで行う
  • ブランディングを行う時は「決定事項を貫く」「情報の共有」「未来への視野」「商品の強みとメリットの混同を防ぐ」ことが大切

これからの時代では企業の発展、個人の成長にブランディングは欠かせません。

ぜひご自身のビジネスにブランディングを活かしてくださいね。

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