マーケティング用語ABテストとは?考え方ややり方を分かりやすく解説
- 自社サイトの離脱率の原因はABテストで分析できる?
- ABテストで成約率は上がる?
- 検証方法のABテストって難しい?
自社サイトのアクセス解析をすると途中でページを見るのをやめる人が多かったり、最後までみてくれても成約につながらなかったりしてどうしたらいいのか悩みますね。
そのような悩みの解決に役立つのが、ABテストです。
ABテストを使うことで、成約率であるCV率を高くしたり、ユーザーの感覚にあったサイトを作ることができますよ。
この記事では「ABテストとは?」といった疑問やABテストのやり方などを解説しています。
費用をかけずに自社サイトの検証をする方法もあるのでぜひ参考にしてください。
オンラインマーケティングでよく使われる「ABテスト」とは?
ABテストとは、オリジナルのAパターンと、Aパターンとは違うデザインやキャッチコピーに変えたBのパターンを用意し、どちらがより高い成果を得られるかを検証する方法です。
オンライン上での広告やマーケティングなどを行う前によく活用されていますよ。
ABテストの結果を分析すればユーザーがクリックしやすいボタンに変えられたり、ファーストビューのキャッチコピーを変えたりすることで成約率を上げられます。
では数あるABテストの種類や有効なケース、活用事例をそれぞれみていきましょう。
ABテストの種類は3パターン
一般のABテスト | 多変量テスト | リダイレクトテスト スプリットテスト | |
---|---|---|---|
特徴 | 同一URL内でデザインやコピーなど1か所を変えて検証する | 同一URL内でさまざまな箇所を同時にテストする | 異なるURLを用意しそこにリダイレクトさせ検証する |
メリット | ・ソースコードの書き換えが不要 ・大規模な予算がなくてもできる | 一度に多くの要素を変えることができる | ページ全体で変えるため、大幅な変更が可能 |
デメリット | 一度に変えられる範囲が少ない | 日々の来訪するアクセス数少ないサイトは不向き 多くのデータが必要 | ・別URLやソースコードの用意など作業工程が多い ・個々の要素が異なるため分析が難しい |
有効なケース | CV率やクリック率の向上を離脱率を低くしたい場合 | 複数の要素の組み合わせを同時に検証したい場合 | 大幅にページをリニューアルしたい場合 |
ABテストの測定基準は、1000アクセスが目安とされています。
予算が少ないのであれば、統計が取れるとされる300~500アクセスほどを目安としましょう。
ABテストが使われる場面とは?事例を紹介
以下の表のように、ABテストの活用シーンはWebサイトからアプリまで幅広いです。
Webサイト | ・デザイン、キャッチコピー、フォントを変える ・レイアウトを変える ・CTAボタンのデザインや配置を変える |
---|---|
広告バナー | ・デザイン、キャッチコピー、フォントを変える ・バナー自体の大きさを変える ・CTAボタンのデザインや配置を変える |
LP(ランディングページ) | ・入力項目や操作性などフォームを変える ・商品説明を変える ・ターゲットを変える |
広告文 | ・デザイン、キャッチコピー、フォントを変える ・商品説明を変える ・特典の表現を変える |
アプリ | ・デザイン、キャッチコピーを変える ・ストアページに使用する画像や説明文を変える |
活用シーンは異なるものの、ABテストで検証できる要素は以下が一般的ですよ。
- デザイン
- キャッチコピー
- フォント
- レイアウト
- CTAボタンのデザイン
- 配置
ボタンの場所を少し変えたり、アクションしやすいデザインに変えるだけでも成約率は変わってきます。
一般的なABテストはコストを抑えて実施できるため、効率よく機会損失を防ぐことができますね。
ABテストではデザインやキャッチコピーを複数準備するのですが、集客につながるホームページやキャッチコピーには作り方があります。
集客できるホームページを作るコツや、ホームページの反応率を上げるキャッチコピーについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
【簡単4ステップ】ABテストのやり方を分かりやすく解説
次はABテストのやり方を分かりやすく説明していきます。
簡単だからといって手順をふまずにやってしまうと、「結局はデータを活用しきれなかった」と失敗に終わる可能性が高いのです。
ABテストの効果を最大限に活かせるよう、4つのステップを踏んで行っていきましょう。
ステップ①ABテストの目的を明確にする
最初にABテストを行う目的を明確にします。
目的を決めずにABテストを行ってしまうと、成果がわかりにくく改善案も出にくいからです。
ABテストの最終目的はCV率を高くすることですが、Webサイトの目的によって「成果(コンバージョン)」は異なります。
CV(コンバージョン)とはマーケティングでは「成果」という意味で使われ、CV率(コンバージョン率)とは、成果を達成した率を表していますよ。
たとえば商品の購入や問い合わせフォームの件数の増加、無料お試しの申し込みの増加などもCV(コンバージョン)にあたります。
ABテストを行うことで最終的に達成したいことや、どのような目標達成率を上げるのか、ページごとの目的を細分化して整理しておきましょう。
ステップ②仮説を立てて検証内容を決める
次のステップは仮説を立てて検証内容を決めることです。
この仮説を立てることがABテストのステップになくてはならないものになります。
というのは、仮説なしに調査を進めていくと漠然とした調査になってしまい、有意性のあるテストにはならないためです。
たとえばファーストビューの画面下のスクロールした所に無駄な情報があるため離脱されるなど、原因をある程度見当をつけておくことで効果的なテストを実現することができます。
それでは仮説を立てる際に必要な考え方を見ていきましょう。
【考え方】定量データを分析して課題を見つける
簡単に説明すると、定量データとは数字で見える情報です。
たとえば、サイトへの訪問者数/ページが見られた回数(PV数)/サイト離脱率などは、Google Analyticsといったアクセス解析ツールでわかる情報です。
ABテストの仮説を立てる際には、定量調査データを使って現状把握をしましょう。
仮説を立てるときのポイントは、大きく数値が減少している箇所を分析することです。
というのは、数値の変化が小さい箇所を変更するよりも大きく数値が変わっているところの方が効果が大きいためです。
特に最初に目につくファーストビューや、最終的な目的(成約や問い合わせなど)につながるページはしっかりと分析し、仮説を立てましょう。
【考え方】定性データを分析して課題を見つける
定量データに対して、定性データは数値化できないユーザーの気持ち・ニーズのことです。
操作性の良し悪しやキャッチコピーがユーザーに響くものなのかなど、定量データでは得にくい細やかなニーズが見つけられるメリットがありますよ。
たとえば知人へサイトの感想を聞くことや、多くの人にインタビューすることで定性データを集められます。
定性データを分析し、ユーザーが離脱する箇所や理由を探りましょう。
定性データや定量データを整理する際は、SWOT分析/PEST分析/5F分析などのフレームワークが役立ちます。
【考え方】改善案をできる限り出す
仮説を立てた後は、その仮説に基づいて改善案をできる限り出します。
たとえばファーストビューの時点で刺さらないキャッチコピーになっている場合、以下のように考え得る改善案を出してみましょう。
- キャッチコピーをターゲットに合わせたものにする
- ターゲットに合わせたキャラクターを設定する
- キャッチコピーのデザインを変えて目立たせる
改善策を出すときのポイントは、ユーザー目線で考えることです。
ユーザーの使いやすさやトレンドを分析して、より現実的な改善案を出しましょう。
ステップ③ABテストを実施する
目的を明確にし、仮説を立てたら、次はABテストの実施です。
ABテストは実施して終わりではなく、要素ごとに改善していく地道な作業です。
分析結果や改善点など煩雑になってしまわないよう、目的、仮説、改善案、上がってきた数値データなどを最初から表に整理してから実施しましょう。
ステップ④ABテストの結果を分析して改善につなげる
ABテストはやっておしまいではなく、結果分析して改善していくことが大切です。
結果と仮説を照らし合わせて分析し、検証、具体的な改善策を立てていきましょう。
改善をしてまた、ユーザーの反応をみて、検証していくPDCAサイクルができるといいですね。
ABテストを何度も行い改善を繰り返すことで、よりユーザーにとって使い勝手のよいサイトになり、CV率につながるサイトに変わっていくことができます。
ABテストを成功させる方法!効果を出すためのコツとは?
ABテストの効果を最大化するコツは3つあります。
1つめは同時期、同条件で検証することです。
ABテストは時期が異なると、データの精度が低くなってしまいます。
たとえば月初と月末とで調査の時期を変えてしまうと「単に月末だったからCV率に至らなかったのか」というように、ABテストしている要素とは別の要素が原因となり、正確に分析できなくなってしまいます。
時期が異なるとユーザーの心理も異なってくるため同時期に調査をしましょう。
2つめのコツは、検証を1か所ずつ実施することです。
複数の要素を変えてしまうと、ユーザーがどの要素から次の行動を判断したのかがわからなくなってしまうため、検証は1か所ずつ行いましょう。
3つめのコツは、繰り返し改善し、自社のサイトの成功パターンを見つけることです。
前述しましたがABテストは1回で終わりというわけではありません。
1つずつ要素を変えながらユーザー目線のものに改修していき、CV率をより高くできる方法を探りましょう。
ABテストにおすすめの無料ツール2選
次はABテストを使うために役立つ無料ツールを紹介します。
ABテストの種類が多いものや、コードを知らなくても簡単に変えることができるものもあります。
それぞれのメリットやデメリットを見ながら自社にあっているツールを選びましょう。
おすすめツール①Googleオプティマイズ
Googleオプティマイズの特徴はできるABテストの種類が多く、集計結果の比較が一目でわかるようになっていることです。
メリットは一般的な種類のテスト以外にも、多変量テストやリダイレクトテストが可能な点です。
テスト結果の集計や比較も簡単ですが、テストを実施している間ページの読み込み速度の低下やちらつきが起こる可能性があります。
ABテストだけでなく、多変量テストやリダイレクトテストなど多くのパターンを使っていきたい方向けです。
ただし多変量テストは2000PV以上でないとテストの検証が難しいとも言われるため多くのサイト訪問者があるサイトで、サイトの変更箇所が多い方向けになります。
おすすめツール②Juicer
Juicerの特徴は一般的なABテストが初心者でも簡単にできることです。
メリットはソースコードを知らなくても、直感的な操作でABテストを実施することができる点です。
反対にデメリットは多変量テストやリダイレクトテストができないことや新規コンテンツを追加、配置するテストはできないなどできることに限りがある点です。
しかし、変更したい画像の差し替えもドラッグ&ドロップの操作で行え、ボタンも⾊や⼤きさを画面上で選ぶだけで変更することができます。
分析後の資料もわかりやすく提示されているため、初心者向きでストレスなく分析したい方向けですね。
まとめ
この記事ではABテストについて紹介しました。
これまでのことを一度まとめてみましょう。
- ABテストはAパターンとBパターンでどちらがより高い成果を得られるかを検証する方法
- ABテストの種類は3パターンある
- ABテストが使われる場面は多岐にわたる
- ABテストのステップは4つ
- ABテストを成功させるには、同時期に同条件で1ヶ所ずつ変更、改善を繰り返す
ABテストを行い改善を繰りかえすことで、よりユーザーのニーズに合ったサイトを作っていくことができますよ。
サイト運営が上手くいかないと悩んでいる方はぜひ活用してくださいね。