【総集編】PEST分析のやり方!具体的な事例も交えて徹底解説!
企業が事業を成功させるためのマーケティング戦略で最初に用いるのがpest分析です。
- pest分析をおこなう目的は何?
- 具体的にどういう項目を分析すればいいの?
- 何から手を付ければいいかわからない
- 具体的なやり方を知りたい!
ものや情報にあふれ、変化の速い現代社会のなかで、ビジネスを成功させ続けることはとても難しいと感じられます。
しかし、pest分析を活用して自社に影響を及ぼす可能性のある要因を洗い出し、外部環境を分析すればマーケティングを成功させることはできるのです。
この記事では、pest分析による外部環境の分析のやり方を具体的な事例も交えて解説しています。
これから新たなビジネスを展開したい方、既存のビジネスを成功させ続けたい方はぜひ参考にしてくださいね。
マーケティングで行う「pest分析」とは?
pest分析とは、新規事業を開始するときや既存のビジネスを転換するときのマーケティング戦略において最初におこなう分析で、外部環境のうちのマクロ環境分析に適したフレームワークのことをいいます。
ビジネスにおけるフレームワークとは、調査・分析した情報や考えをわかりやすく図式化する枠組みのことです。
pest分析では「politics:政治的」「economy:経済的」「society:社会的」「technology:技術的」の4つの枠組みがあり、それぞれ要因ごとに分けて情報を整理していきます。
外部環境は、「ミクロ環境」と「マクロ環境」の2つに分けられます。
ミクロ環境とは市場の規模や成長性、競合との競争や顧客動向、また流通経路などといった企業活動に直接的に影響を与える自社周辺の環境のことです。
一方マクロ環境とは政治や経済、社会構造や技術の発達など企業ではコントロールできない世の中全体の変化や動向のことです。外部環境の中で最も外側にある大きな視点でみた環境といえますね。
pest分析では、ビジネスにおいて常に大きな影響を受けるこのマクロ環境を、マーケティング戦略の最初の一歩として分析します。
ビジネスを成功させるためには、企業ではどうにもできないマクロ環境を最初に分析し、自社に影響を及ぼしそうな要因を洗い出す必要があります。
また、マクロ環境に変化が起きた場合、自社周囲へ及ぼす影響も大きくなるため、その変化に対応したマーケティング戦略を再構築する際にも有効です。
このようにpest分析は企業が事業を成功させるために不可欠な分析です。
自社にとって有利にビジネスを展開していくために、pest分析を活用して世の中のトレンドを理解し、自社に影響を及ぼす重要な要因を認識しましょう。
Pest分析の4つのマクロ環境要因とは?
先術のとおり、pest分析で分析するマクロ環境要因は「politics:政治的」「economy:経済的」「society:社会的」「technology:技術的」の4つです。
この4つの要因から、まず自社に及ぼす影響を認識し、成果をあげるためのマーケティング戦略を構築していきます。
では、4つの要因をどのような視点で分析すればいいのか、具体例とあわせて詳しく見ていきましょう。
【Politics】政治的要因
経済的要因とは、法律/税制/裁判制度/政権交代といった国や地方自治体レベルの決定事項のことです。
法律や税制など、世の中のルールが変わると企業は大きな影響を受けてしまいます。
例えば消費税法改正で2019年に消費税が10パーセントに引き上げられたとき、外食産業ではデリバリー商品やテイクアウト商品の強化に舵を切る傾向が見られました。
これは軽減税率制度により特定の品目に関して税率は8パーセントに据え置かれたことによるもので、デリバリー商品やテイクアウト商品もこれに該当します。
その結果、外食産業では新たにデリバリーやテイクアウトを始める飲食店も増え、市場競争は激しくなりました。
このように世の中のルールで事業の方向転換を迫られたとしても柔軟に対応できるよう、事業に直接関係する法律や政治動向について日頃からチェックしておくことが大事です。
【Economy】経済的要因
経済的要因とは、景気動向/経済水準/所得変化/為替/金利など価格連鎖に影響を与える要因のことです。経済の動向は、企業の業績に大きく影響します。
経済的要因の分析は、日々インターネットや新聞などで情報を収集し、いかなる経済状況にも対応できるようシミュレーションすることが大事です。
例えば外国から製品を輸入している場合、為替の変動による仕入れコストの影響は避けられません。円高になると仕入れ値が下がるので、商品やサービスの提供価格を抑えることができます。
また、景気が後退すれば、経済はまわらなくなりますよね。企業は予算が減ってしまうなかで事業を進める必要がでてきます。
その結果、価格競争は激化し、コスト削減や値下げ、賃金の引き下げなどを考えなければならなくなるのです。
企業の売り上げや利益は、世の中の経済状況によって大きく左右されるため、しっかりと分析していきましょう。
【Society】社会的要因
社会的要因とは、人口動態/価値観/流行/習慣など消費者の需要に直接影響を与える要因のことです。
人々の価値観や習慣の変化は、新たな需要を生み出すこともあれば、市場を減退させてしまうこともあります。
昨今ではコロナ渦の外食需要の落ち込みもこれに該当します。人々が飲食店に足を運ぶことが少なくなったことで、撤退を余儀なくされる飲食店が多くなりました。
その一方でオンライン飲み会や宅飲みの増加に着目し、テイクアウトやデリバリーに活路を見出した飲食店も少なくありません。
物流業界や宅配業界はオンラインショップの需要が増えたことにより活況をみせています。
社会的要因は、消費者行動に直接関係しており、企業はその影響をダイレクトに受けます。時代に沿って変化する人々のライフスタイルを見据え、社会の流れに合わせて事業展開することが大事です。
【Technology】技術的要因
技術的な革新は、企業の事業活動における商品開発や生産のプロセスに大きな影響を及ぼします。
技術的要因とは、IT活用/通信技術/デジタル技術/商品開発/生産技術/新技術の普及など、ビジネスに影響を与える技術動向のことです。
少し前に人工知能のディープラーニングや5Gなどが話題になりましたよね。
AI技術の進歩も自動運転を促進する自動者業界や、複数のカメラを使用して決済する無人コンビニなど、さまざまな業界で市場競争の激化を生み出すと予想されます。
漁業や農業、ペットロボットなど新たに参入できる市場も増えていくでしょう。
技術的な革新は消費者の生活に深く関わっており、事業活動に大きく影響します。
企業が生き残っていくために、技術革新の流れを把握し自社周辺に及ぼしそうな影響を、マーケティング戦略に組み込んでいきましょう。
pest分析が企業戦略に重要なワケとは?
pest分析は、新規事業を開始するときや既存のビジネスを転換するときに重要なフレームワークです。
なぜなら、pest分析を活用し企業を取り巻くマクロ環境を分析すれば、企業が事業活動をするうえで重要なチャンスとリスクを捉えることができ、正しい経営判断ができるからです。
pest分析を提唱したフィリップ・コトラー氏は「調査をせずに市場参入を試みるのは、目が見えないのに市場参入をしようとするようなもの」と言っています。
このことから、闇雲に考えても正しい判断はできないということがわかりますね。
そのため、pest分析で自社を取り巻く現状を知り、中長期的に自社に及ぼしそうな影響を予測した上で、正しい経営判断をおこなうことが重要となります。
ここでは、正しい経営判断をするためになぜpest分析が重要なのか、その具体的な理由を3つのポイントに分けて解説します。
社会の大きな流れをとらえることができる
pest分析には、社会の流れをとらえるという目的があります。マーケティング戦略で最初におこなう分析なのでしっかりと外部環境を分析し、企業ではどうにもできないことを把握したうえで戦略を立てることが大事です。
例えば新型コロナウイルス流行の際は、「新型インフルエンザ等特別措置法」など法律が改訂され多くの人の生活に影響を与えました。しかし一方でこれをチャンスととらえ既存ビジネスの方針転換や新規事業で成功した例もあります。
予想しなかった事態が起きても、pest分析で外部環境を整理すると世の中がどういう方向に動いていっているのかがわかります。
これから自社に影響を与える外部環境要因を予測しその流れに応じた戦略を構築することが重要です。
環境の分析には、SWOT分析も効果的で、こちらの記事ではやり方を詳しく解説しているので、ぜひあわせてチェックしてください。
今後の未来を予測しやすくなる
pest分析によって導き出せる4つの要因は、消費者の動向に深く関わっており、消費行動を分析することは今後の未来を予測することにつながります。
例えば2022年現在、政治的には、コロナ渦において感染対策をしながら社会活動を続ける方針がしばらく続きそうです。
経済的には、ウクライナ情勢によるエネルギー資源や食品など、物価の高騰が消費者の財布の紐を固くするでしょう。
社会的には、コロナが収束している期間は消費活動が活発になることが分かっています。
一方で海外旅行や外国人の受け入れは文化の違いなどもあり、まだ少しハードルが高そうです。技術的には、密を回避するためにAIを駆使する市場競争が激しくなることが予想できます。
このように、 pest分析を活用すると今後の未来は予測しやすくなり、その結果、外部環境の変化に合わせて柔軟に事業方針の転換ができるのです。
ビジネスチャンスをつかみやすくなる
pest分析には、ビジネスチャンスをつかむという目的もあります。
pest分析を活用して社会の流れや消費者の動向を把握すれば、起こりそうな未来を予測できれば、早い段階でチャンスとリスクをみつけることができます。その結果正しい経営判断ができるようになるのです。
近年急成長しているIT企業は、マクロ環境のトレンドをつかみビジネスチャンスをつかんだ事例といえます。
パソコンやインターネットの性能が急速に発達し、消費者は手軽に情報交換ができるようになりました。その中でIT企業は、これまでなかったシステムの構築やスマートフォンのアプリ開発などさまざまなところで成功を収めています。
このように、中長期的に外部環境を把握することがビジネスチャンスをつかむことにつながり、企業の成長を促すのです。
pest分析のやり方とは?
pest分析のやり方には手順があり、3つのステップを踏むことで効率的にマクロ環境を分析できます。
やり方が分かればチャンスとリスクが明確になり、ビジネスを成功に導くことができます。
それでは、実際にpest分析はどのような手順ですすめればいいのか、pest分析の詳しいやり方を見ていきましょう。
「pest」の4つの要因に振り分ける
まずは、自社に関係する内容をpestの4つの視点に沿って、信頼性の高いデータから情報収集し、振り分けます。
p:法律や税制・政権交代による影響
e:景気の波・原油価格による影響
s:少子高齢化・ライフスタイルの変化による影響
t:技術の発展による影響
このような抗いようのない外部環境要因から、業績に関連しそうなことを洗い出し、自社にどのような影響があるのか分析します。
情報収集は手当たり次第におこなうのではなく、今ある問題や目的を軸にして情報を集めておくと、無駄なく分析を進められますよ。
事実と解釈に分ける
次に、pestに振り分けた要因が誰もが納得できる正しい情報であることを確認し、事実と解釈に明確に振り分けます。
事実とは、実際に起きている出来事やデータからそのまま読み取れる内容で、誰もが納得できる変えられない事柄です。
一方解釈とは、集めたデータから個人が「おそらくこういうことだろう」と主観的に理解したことです。
正しい戦略を立てるためには正しい情報である「事実」に基づいて調査する必要があります。解釈に基づいて戦略を立てると、必ずどこかで矛盾が生まれ結果は伴いません。そのため、客観的に4つの要因を事実と解釈に整理する必要があるのです。
機会と脅威に分ける
最後に、振り分けた事実のみを機会と脅威に振り分けます。
機会は事業活動にプラスになる項目、脅威は事業活動にマイナスの影響を与える項目です。
事実を機会と脅威に振り分け、自社にとってのチャンスとリスクを捉えることで、競合他社に負けないマーケティング戦略を推進したり、将来性のない市場からは撤退したりするなど、正しい経営判断ができるようになりす。
ただ、外部環境による自社への影響は、戦略次第でチャンスにもリスクにもなり得ます。
脅威にみえる要因の中に新規事業のチャンスが潜んでいることもあるので、集めた情報は偏った見方をせず、複数の視点を持つことが大切です。
【事例で解説】Pest分析の進め方
pest分析のやり方についてお伝えしてきましたが、実際にどういう情報を集めていけばいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、自動車業界とコンビニ業界を例に挙げpest分析をおこなった例を紹介します。
事例を参考にpest分析の進め方を具体的にイメージしてみましょう。
業界全体の取り組みも見えてきますよ。
事例①自動車業界の場合
最初は、自動車業界の例です。自動車業界は日本を代表するものづくりの代表ですが、脱炭素化や原材料の高騰、消費者の車離れなどの影響で先行きは不透明です。
では具体的に、どのようなことが自動車業界のまわりで起こっているのでしょうか?自動車業界におけるマクロ環境がどのように分析できるのか詳しく見ていきましょう。
【Politics】政治的要因
20世紀後半から地球温暖化が問題となり、2020年に、脱炭素社会を実現するための戦略会議である「グリーン成長戦略」が打ち出されました。
これは、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする「2050年カーボンニュートラル」を目標にした戦略会議です。
これを受けて、自動車業界では脱炭素化を実現するために、2030年半ばまでに全ての新車販売でガソリン車が廃止される方針です。
その結果、多くの自動車メーカーは今まで以上に電動車へ注力することとなり、電動車の市場競争はますます激化することが予想できます。
【Economy】経済的要因
車の原材料価格はすべてグローバル基準で決まるので、賃金が上昇傾向にある諸外国に合わせて上がるのが自然です。
しかし、諸外国に反して日本人の賃金は減少しており、車の所有は経済的負担とみなされています。その結果、自動車市場は年々減少しているのです。
経済的要因からはマイナスなことばかりが目につきますが、一方で価格や維持費が安いといったメリットのある軽自動車だけをみると、需要が増えている傾向があります。
これからも経済的負担の少ない車が求められることは明白であり、プラスにつながる要因に目を向けることが大事です。
【Society】社会的要因
近年は車を所有することのステータス性が薄れ、若者の車離れが進んでいます。さらに、車を所持する必要のない都市部へ人口が集中しており、車の需要は減少しました。
一方で、車を全く使わないという人は少なく、カーシェアの需要は伸びていくことが予想されます。
また、少子化の影響や若者の車への無関心は自動車業界の人手不足を引き起こします。
人手不足のために、これまでの管理や運営の有り方は変更を余儀なくされるでしょう。この課題を解決するためにロボットなどの活用が急がれます。
【Technology】技術的要因
脱炭素化などの影響で電気自動車の開発が進んでおり、ガソリン車よりも価格の安い電気自動車も出てきています。これからも電気自動車の市場競争は激しくなることが予想されます。
また、将来の自動運転の実現を目指して、車に予防安全アプリケーションや交通情報サービスなどの新機能が搭載されるようになりました。
これからはコストのかからない、情報のつまったスマートな車の需要が増えると予想されます。
新しいテクノロジーを搭載した車は若者にも人気が出るでしょう。
このように、電気自動車や自動運転の技術的革新は自動車業界の景気回復のカギとなり得ますね。
事例②コンビニ業界の場合
次に、コンビニ業界の例です。コンビニ業界は、物価高騰やコロナによる来客数の減少、キャッシュレス決済やセルフレジなどの普及といった、消費者の消費行動に大きく影響を受ける業界です。
では具体的に、どのようなことがコンビニ業界のまわりで起こっているのでしょうか?実際にpest分析をしていきましょう。
【Politics】政治的要因
2019年に「キャッシュレス・ポイント還元制度」が打ち出されました。
日本では、2025年までにキャッシュレス決済比率を約40パーセントまで引き上げ、将来的には80パーセントにすることを目標にしています。
その中で実施された消費税増税は、百貨店やスーパーなどを苦しめましたが、コンビニはキャッシュレス決済のポイント還元政策の影響で客単価が増えました。
コロナ渦では「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」などが公布された際、巣ごもり需要が増え、酒類などの売り上げは伸びましたが、業界全体の利益率は減少しています。
また、働き方改革において、労働者の環境改善と生産性向上のために「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が公布され、2019年から施行されています。
このことは、長時間労働の是正、多様な働き方の実現、雇用形態に関わらない公正な待遇を目指しており、フランチャイズ経営のオーナーや従業員の労働環境に変化をもたらすでしょう。
【Economy】経済的要因
ロシアによるウクライナ侵攻の影響で原油高騰や円安による原材料の仕入れ値高騰などが起こっています。その結果、物価が高騰し消費者を圧迫する状況がしばらく続くでしょう。
また、コンビニは店舗数増大で利益を上げてきました。しかし、店舗数の増加によってコンビニ全体の売り上げは増加傾向にある一方で、一店舗あたりの売り上げは頭打ちとなっており、これまでどおり店舗数の増大で利益を上げ続けることは難しくなってきています。
【Society】社会的要因
コロナ渦では、イベントの自粛によって、イベント関係の利益は減少しました。また、特に都心部では在宅勤務の増加や観光客の減少により、街の人出は少なくなりました。
一方で、密を避けるために一度で買い物を済ませたい人が増えており、消費者の一回の購買単価は増えています。惣菜の品揃えを拡大するなど、巣ごもり需要による家飲みの需要を狙った戦略も求められるでしょう。
また、少子高齢化による人口減少にともない、購買力が縮小していくことが、この先も続くと予測されます。
【Technology】技術的要因
従業員の業務負担を軽減し店舗の回転率を向上させるためにセルフレジの導入が進んでいます。
また、多様なキャッシュレス決済サービスや、ATMの提携銀行を拡充させるなど、ITを駆使した技術革新を推進する競争はますます激しくなるでしょう。
さらには、無人店舗の普及にも関心が高まっており、コンビニはこれまでよりもさらにシンプルでスマートに買い物ができる場所であることが求められると予測できます。
pest分析をうまく進めるコツ
pest分析をうまく進めるには、3つのコツがあります。コツを知らないまま分析して間違った方向に答えを出してしまうと、マーケティング戦略を成功に導くことができません。
ここでは、ビジネスを成功させるためにpest分析をうまく進めるコツを具体的に解説します。
目的を明確にしておく
pest分析をする際は、まず自社にとっての具体的で明確な目的を設定したうえで分析に取り掛かることが大事です。
目的を明確にしておかないと、何を軸に分析を進めればいいのかがわからず、ただ外部環境を洗い出すことが目的になってしまいます。
大事なのは分析ではなくその先にある目的、つまりpest分析をマーケティング戦略に生かしビジネスを成功させることです。
たとえば、「時代の流れに合った新しい事業を展開する」「経営戦略を見直し、新商品を開発する」など、実現したい自社の目標は企業によってさまざまです。自社の状況によっても変化します。
そのため、具体的で明確な目的を設定したうえでpest分析をはじめないと方向性が定まらず、間違った分析をおこなってしまっても気づけない可能性があるのです。
このように、分析することが目的になって、本来の目的を見失わないように気をつけましょう。
複数の仮説を立てる
4つのマクロ環境を分析するときは、ひとつではなく複数の仮説を立てるようにしましょう。
たとえば、アフターコロナを分析した場合「外飲みの需要が回復する場合」「コロナ後も引き続き家飲みが定着する場合」など複数の状況が考えられます。
複数の視点から仮説を立ててシミュレーションしておくと、想定外の出来事がおこったときに素早い判断ができるようになりますよ。
また、多くの視点を持つという点では複数人で分析することも有効です。
今後どのような外部環境の変化が起こるか予測することは難しいですが、だからこそ起こり得ることを網羅しておくことで、実際に環境変化が起こったときに積極的な行動ができるようになります。
情報収集は的を絞っておこなう
情報は至るところにあるため、情報収集の際は深追いするとキリがありません。新聞やニュース、業界紙や講演会など情報源の的を絞って効率的に情報収集しましょう。
また、企業が成し遂げたい目的に対して、領域を絞って情報収集することも大事です。
たとえば、「自社が属する業界の外部環境」「新規参入しようとしている領域の環境」など、自社にとって分析が必要なマクロ環境は目的によって変化するからです。
pest分析は情報を整理することが目的ではなく、情報を整理した後に実際に戦略を実行していくという大きな作業が待っています。
したがって、ただ闇雲に全ての情報を収集するのではなく、的を絞って効率的に情報収集をすることが大事なのです。
pest分析におすすめのツールと無料で使えるテンプレート
最後に、pest分析におすすめの便利なツールと無料で使えるテンプレートを紹介します。
ツールやテンプレートを活用すると初心者でも簡単にpest分析をはじめることができますよ。便利なツールやテンプレートを使って情報収集や振り分けを効率よく進めましょう。
- カスタマイズ可能な「EdrawMax(エドラマックス)」
- Googleスプレッドシートで使える「pest分析シート」
- ブレスト機能搭載「Creately」
- スキマ時間の情報収集にも便利な「日経新聞電子版」
カスタマイズ可能な「EdrawMax(エドラマックス)」
EdrawMax(エドラマックス)はイラストやテンプレートが豊富でこまかい作画ができるオールインワンツールです。
テンプレートを選び、テキストを入力、画像を挿入するだけで初心者でも簡単に見栄えのよいpest分析図を作成できます。
またpest分析だけでなく、マーケティング戦略で使えるフレームワークのテンプレートも多数収録されており、作成した分析データをグラフ化するなど資料の作成もおこなえます。
Excel・Word・PowerPoint形式に変換できるので、エドラマックスを使っていない人ともデータを共有できるおすすめのツールです。
Googleスプレッドシートで使える「pest分析シート」
弊社が提供するGoogleスプレッドシートは、ダウンロードするだけで誰でも簡単に利用できるテンプレートです。
とてもシンプルですが、pest分析で影響しあうそれぞれの要因を意識しながら分析を進められます。
Googleスプレッドシートはオンラインという特性上、スマートフォンやタブレットなどで手軽に作業、確認できます。共有のしやすさもおすすめのポイントです。
ぜひ、こちらからコピーを作成してダウンロードください。
マーケティング:フレームワーク分析テンプレート「PEST分析編」
ブレスト機能搭載「Creately」
Createlyの機能はおおよそエドラマックスと同じですが、変換できるファイルの種類は、PNG/PDF/SVGの3種類のみと少ないです。
しかし、プロジェクトに参加する人が自由にアイデアを出し合いまとめる「ブレインストーミング」と呼ばれる機能が搭載されているので、今回pest分析のコツでお伝えした「複数人で多くの視点を持つ」というのには最適なツールとなっています。
また社内コミュニケーションツールのslackやGoogleなど普段よく使うツールとの連携もできるので、情報共有の利便性が高いのも特徴です。
スキマ時間の情報収集にも便利な「日経新聞電子版」
政治、経済といった難しい要因の情報収集には、webで見られる「日経新聞電子版」がおすすめです。
自社に関係しそうな事柄を、キーワードやタグを使って検索できるので効率的に情報収集ができるツールです。基本は有料となりますが、制限付きであれば月に一定数の記事が無料で閲覧できます。
ちなみに有料会員は、政治や経済、社会情勢など有識者によるウェビナーが見放題です。pest分析で必要となる情報がこのウェビナーから得られる可能性もありますよ。
まとめ
この記事では、pest分析についてお伝えしてきました。pest分析が世の中の構造を理解し、正しい経営判断をするために重要だということがわかりましたね。
もう一度pest分析のやり方をまとめます。
- 最初に、「政治的要因」「経済的要因」「社会的要因」「技術的要因」に振り分ける
- 次に、振り分けた内容を「事実」と「解釈」に明確に振り分ける
- 最後に、振り分けた事実を「機会」と「脅威」に振り分ける
pest分析をおこなうときは、目的を明確にしておこなうことが大事です。また、仮説を立て複数の視点でシミュレーションすれば、不測の事態に備えることもできますよ。
このようにpest分析を活用して、世の中の大きな流れをとらえ未来を予想できれば、自社のマーケティングを成功させる道筋が見えてきます。
自社ではコントロールできないマクロ環境を把握し、時代の流れにのって事業を成功させるチャンスをつかんでくださいね。