スノッブ効果の意味とは?具体例やヴェブレン効果・バンドワゴン効果との違いを解説
- スノッブ効果って何?
- スノッブ効果と類似している効果との違いは?
- マーケティングで使う時は何に気を付けたらいいの?
スノッブ効果はマーケティング施策のなかで成功事例が数多くある効果の一つです。
ここではスノッブ効果を使う際のポイントと注意するポイントとあわせて、具体例も多く挙げています。
また、スノッブ効果と似ているヴェブレン効果との違いやバンドワゴン効果についても紹介していますよ。
それぞれの具体例や活用ポイントを挙げているので、読み終えた後は3つの効果の違いがわかり、商品やサービスのマーケティングに活かせます。
さらにスノッブ効果をマーケティングで効果的に活用できるようになるので、売上アップが期待できますね。
ぜひ参考にしてくださいね。
スノッブ効果とは?
スノッブ効果は行動経済学や心理学でよく使われています。
スノッブ効果とは一体どういった言葉で、どうやって生まれた言葉なのでしょうか。
スノッブ効果の心理学的な意味
スノッブ効果とは、希少性や限定性といった他の人が持っていないものに価値を感じ、需要が増加する効果のことです。
他の人が持っていないものに価値を感じるというのは、自分は他とは違う存在でありたい、個性的でいたいという心理が背景にありますよ。
そのため流通が拡大し、みんなが商品やサービスを手に入れてしまうと買う気がなくなり、効果が減少するとされています。
スノッブ効果の由来
スノッブ効果の言葉の由来は、18世紀頃にケンブリッジ大学の学生の間で「大学に出入りする大学に関係のない人」を指して「靴屋」という意味をもつ『snob(スノッブ)』とされています。
その後言葉の意味が変化し、「俗物」「気取り屋の見栄っ張り」「名声や利益にとらわれている人」という隠語になったのがスノッブ効果の由来です。
スノッブ効果は、アメリカの理論経済学者ハーヴェイ・ライベンシュタインの論文「消費者需要理論におけるバンドワゴン効果、スノッブ効果、及びヴェブレン効果」のなかで提唱されました。
スノッブ効果やヴェブレン効果、バンドワゴン効果を使った手法は、現在の経済学でも、よく使われています。
スノッブ効果の活用方法3選!具体例を使ってわかりやすく解説
次はマーケティング手法として活かせる方法を例を挙げながら詳しく説明していきます。
スノッブ効果を活かした施策のポイントは3つあります。それでは、具体的に見ていきましょう。
具体例①希少性や限定性をアピールする
スノッブ効果は希少性や限定性をアピールすることがとても重要になってきますよ。
なぜなら、スノッブ効果は「他人が持っていないものが欲しい」「他人と違うものを手に入れたい」といった心理を利用するからです。
たとえば土産物屋の「地域限定品」「ご当地もの」の表示は、スノッブ効果を活用した例ですね。
そこの地域でしか買えない限定性が、「周りの人が持っていないものを持てる」といった心理に働きかけ、お客さんの購買意欲を高めるのです。
またスノッブ効果では希少性の原理を活用して、商品の価値を高め購買につなげます。
希少性の原理とは、需要(商品を求める量)より供給(市場に出回る量)のほうが少ない場合において「そのものの価値が高い」と感じられる心理です。
簡単に説明すると、「少ないほど価値が高い」と考えることですね。
たとえば「10個限定」「本日限り1家族3つまで」などのコピーで商品やサービスの価値を高め、スノッブ効果を狙います。
このようにスノッブ効果は希少性や限定性をアピールすることで、より効果的な活用ができますよ。
具体例②カスタマイズでオリジナリティを出す
ハンカチやタオル、グラスや酒など今や多く見られる名入れ商品ですが、これもスノッブ効果を使ったマーケティング施策の一つです。
「他人とは違うものを持ちたい」といった心理を満足させる、その人だけの商品やサービスを作りましょう。
たとえば自分の体形や好みのデザインに合わせて生産をするオーダーメイドや、多くのパターンのなかから選択して注文するセミオーダーなどもこれに含まれますよ。
数あるパターンから好みのものを選んだり、名前を刻印したりすることで、商品に愛着を持ってもらったり、世界に一つだけの自分の物としての満足感を提供できますよね。
大量生産の商品が出回るなかで、カスタマイズによってオリジナリティのある商品を提供することは、「個性的でありたい」というスノッブ効果を十分に活かしていけると考えられます。
具体例③商品やサービスにグレードを設ける
商品やサービスにグレードを設けて、特別感を演出するのもスノッブ効果の活用例です。
商品にグレードを設けることによって、ハイランクの商品やサービスの希少性がより高まります。
スノッブ効果では「他の人が持っていないものを持ちたい」といった欲求を利用するとお伝えしてきましたね。
たとえばクレジットカードはハイグレードになればなるほど付加価値が多く、誰でも簡単に入手できるわけではないので希少性が高いカードです。
入手困難なクレジットカードでいうと、月々数1000万円商品を購入しないと手に入れられないものもありますよ。
ハイグレードのクレジットカードを持つこと自体にステータスを感じ、欲求が満たされる人もいるでしょう。
他にもホテルなどサービス業では、グレードアップした高い価格の部屋を設定していますよ。
泊まったお客様がその部屋の装飾や景色などによって、より非日常を感じることができ満足感を得ることができるからです。
しかし入手困難なクレジットカードを大多数の人が持っていたり、ホテルですべての部屋がよい景色だと、「特別感」という価値は薄れてしまいますね。
スノッブ効果ではさまざまなグレードを設けて上のランクをお客さまが選ぶことで、自分を特別な存在と感じ、満足することができるのです。
スノッブ効果を使うときの3つの注意点
スノッブ効果では「限定品」「レア!」などの言葉をただ付けただけでは、効果的な活用にはなりません。
スノッブ効果を活用する際に気を付けなければいけないことが3つあります。
それぞれ、例を挙げながら詳しく見ていきましょう。
注意点①供給量を調整する
販売商品の売れ行きが好調になると、販売数を増やしたくなるのですが、スノッブ効果を活用する際は供給量に注意してください。
なぜなら多く流通することにより、スノッブ効果が弱まってしまうからです。
たとえば、NIKEの限定スニーカーがどこの靴屋でも数多く売っていたら魅力がなくなってしまいますよね。
希少性が高いほど、喉から手が出るほど欲しいといった心理になるため、スノッブ効果の活用では供給量をコントロールすることが大切です。
注意点②希少性や限定性を偽らない
「期間限定」「当店限定販売」など、希少性を持たせるのに役に立つ言葉ですが、注意をしないと景品表示法違反になる可能性があります。
たとえば「期間限定価格とうたっていたが、期間を過ぎても同じ価格だった」「ここでしか買えないと宣伝していたが他でも買える」などは虚偽の表示になりますよ。
企業モラルを問われるだけでなく、景品表示法(景表法)違反となり、最悪は業務停止になる可能性もあるので注意しておきましょう。
注意点③商品のラインナップを充実させる
スノッブ効果は、商品の希少性を持たせることが重要なため、販売数を増やしにくく、どうしても販売数に上限ができてしまいます。
なので効率的に売上を上げるためには、商品ラインナップを充実させることが大切です。
たとえばNIKEのスニーカーは「ナイキ エア マックス」「ナイキ エアフォース1」「エア ジョーダン1」などラインナップがあり、それぞれに限定品やカスタマイズ商品を展開していますよ。
また消費者は単価が安すぎると、商品価値を感じにくいケースもあります。
商品の使いやすさや、商品そのものの価値などを市場から見た上で、単価を上げるなど慎重に行っていきましょう。
バンドワゴン効果やヴェブレン効果との違いとは?
マーケティングにおいて、「スノッブ効果」とともに引き合いに出される行動経済学の用語として、「バンドワゴン効果」や「ヴェブレン効果」があります。
それぞれどういった違いがあるのでしょうか。
それぞれ具体例を挙げながら詳しく説明していきます。
スノッブ効果と真逆の「バンドワゴン効果」
バンドワゴン効果とは「みんなが持っているから私も欲しい」といった心理です。
前述してきたスノッブ効果は「みんなが持っているものは欲しくない」という心理が働いているので、バンドワゴン効果とスノッブ効果は逆の効果ともいわれています。
バンドワゴン効果を使ったマーケティングでは、以下のようなコピーがよく用いられます。
- 人気No.1の商品
- 〇〇サイト、ランキングで年間販売数No.1
バンドワゴン効果では「多くの人が支持しているものなら良いものだろう」という心理が働き、自分も支持してしまうのです。
また、普段は被り物をする人はそう多くはいないですが、ディズニーランドではみんなが着けているからと、耳のついた被り物を買ったりしますよね。
バンドワゴン効果は、他の人が持っていれば持っているほど需要が増加するのです。
スノッブ効果と類似している「ヴェブレン効果」
ヴェブレン効果は、「価格が高い商品などを見せびらかしたい」という心理から需要が増加する効果で、スノッブ効果と類似しています。
スノッブ効果は希少性が高いものを手に入れて、個性的でありたい、ということに重きをおいていましたね。
一方ヴェブレン効果では、自己顕示欲を満たす高価格のものが欲しくなります。
たとえば、一般的に高級時計で知られているロレックスがヴェブレン効果を使ったマーケティングを使っていますよ。
最初は耐久性や耐水性、使い勝手の良さをアピールしていたロレックスの時計ですが、多額の広告費を投じて富裕層向けの時計としてアプローチをしました。
これまで機能性をうたってきた時計が、次は見せびらかすための時計として訴求し始めたのです。
ロレックスの印象は大きく変わり、「ステイタスのある人しか着けられない時計」「高級時計」としての位置を築くことになりました。
ヴェブレン効果が期待できるのは、高級な時計や高級車、バッグだけではありません。
日用品や嗜好品を含む食品など、高級感を感じさせる工夫によってヴェブレン効果が期待できますよ。
マーケティングで「高級」「ステイタスの高さ」といったキーワードがあるときは、ヴェブレン効果の活用を検討しましょう。
相乗効果が期待できる他の効果との組合せ例
スノッブ効果は他の効果と組み合わせることで、より効果的な使い方ができますよ。
ここでは代表的な組み合わせを3つ紹介します。それぞれ詳しくみていきましょう。
スノッブ効果×バンドワゴン効果
マーケティングでスノッブ効果とバンドワゴン効果を使った例として、数量や期間限定で人気商品の復刻版を出すやり方があります。
人気のあった商品の復刻版をだすことで、今まで興味がなかった商品であっても「人気の商品を自分も欲しい」「復活した商品の人気に便乗したい!」といったバンドワゴン効果が期待できますね。
加えて数量や期間を限定し、希少性を高めて「他の人が持っていない商品を持ちたい!」といったスノッブ効果にも働きかけるのです。
スノッブ効果とバンドワゴン効果は組み合わせることで、より効果的に活用できますよ。
スノッブ効果×ヴェブレン効果
市場に出回る数が少ない希少性の高い商品は高価格な傾向があるため、スノッブ効果とヴェブレン効果はとても相性の良い組み合わせです。
たとえば年末になると、百貨店の有名料亭が高級おせちの予約販売を開始したことなどがニュースで取り上げられますよね。
百貨店や有名料亭などは高級ブランドとしての価値があり、見せびらかしたい心理を利用するヴェブレン効果が期待できます。
さらに素材や職人などにこだわると数多く作れないので「数量限定」、年末の一時期しか予約できない「期間限定品」となり、限定性や希少性の活用が効果的なスノッブ効果が期待できますね。
スノッブ効果とヴェブレン効果は相性が良いので、ぜひあわせて活用してください。
スノッブ効果×バンドワゴン効果×ヴェブレン効果
スノッブ効果、バンドワゴン効果、ヴェブレン効果の3つの効果を組み合わせることもできます。
たとえば、一般的にいう「プレミアムがついた」という状態です。
昔人気だった名車などが、もう生産されていないために販売価格が高くなり、なかには億ほどの価格になることがありますよね。
以前人気だった商品(バンドワゴン効果)が、市場に出回らず希少性が高い(スノッブ効果)ことで高い価格(ヴェブレン効果)で売り買いされている状態です。
昔人気だった高い名車を買って、希少なものを手に入れた自分を見せびらかしたいという欲求も満たしてくれますね。
また組み合わせ方を変えて、限定商品(スノッブ効果)を、価格の高い商品を販売(ヴェブレン効果)し、人気商品(バンドワゴン効果)にする例もあります。
たとえば「秋限定のパティシエ〇〇監修商品」のような、少し価格が高めのコンビニスイーツが代表的な例です。
このように3つの効果を組み合わせることで、少数の消費者、そして大多数の消費者にもアプローチをすることが可能ですよ。
まとめ
スノッブ効果の活用例から、他の効果との組み合わせ方についても紹介していきました。
これまでのことをまとめてみましょう。
- スノッブ効果は、希少性や限定性など他の人が持っていないことに価値を感じ、需要が高くなる効果
- スノッブ効果を活用する際は市場の供給量の調整や、虚偽の表示になっていないか注意する
- バンドワゴン効果はスノッブ効果とは真逆の効果で、みんなが持っていることに価値を置いて需要が高くなる効果
- ヴェブレン効果は高級感が重要なポイントで、見せびらかすために高価なものに需要が高くなる効果
スノッブ効果やお客さんのニーズや欲求を満たすことで、より効果的な活用ができます。
お客様が求めている商品やサービスを的確に提供していけるよう、ぜひ今回お伝えしてきたマーケティング手法を使って、アプローチしていってくださいね。