3C分析の手順とは?事例も交えてわかりやすく徹底解説!
- 3C分析に、分析する順番はある?
- 有名企業の3C分析の事例を知りたい!
- 3C分析が成功するコツは?
3C分析はマーケティングで有名なフレームワークのひとつです。
なので「今さら3C分析のやり方を聞けない」と悩む人もいるかもしれません。
この記事では、初心者にもわかりやすいように3C分析の手順を解説していきます。ちなみに3C分析は恋愛や普段の立ち振る舞いにも活用できるので、手順を覚えておいて損はないですよ。
この記事では、下記のポイントを説明していきます。
- 3C分析とは
- 3C分析のメリット、デメリット
- 3C分析の手順
- 3C分析で注意すべきポイント
ビジネスを飛躍させるためにも、3C分析をよく理解し、正しい手順で、効果的な分析をしましょう。まずは、3C分析の要素から解説していきます。
3C分析の要素とは?
3C分析とは、ポジショニングを決めるためのフレームワークです。
「Company(自社)」「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」の3要素を分析し、自社が取るべきポジションを明確にしていくことができます。
次に、3C分析の3つの要素を、詳しく説明していきます。
Company(自社)
最初のCは、Company。自社(自身)を意味します。
自社(自身)の特徴やベネフィットなどについてまとめていきます。
自社(自身)の強みや弱みをしっかりと認識することで、お客さまに選ばれる理由を見つけたり、ライバルとの戦い方を見つけたりすることができます。
さらに、自社の課題や問題を明確にすることもできるので、その対策を考えていくこともできるようになります。
Customer(市場・顧客)
どんなに良いモノができても、選ばれなければ売れません。お客さまから選ばれ続ける商品やサービスであるためには、選ぶ側であるお客さまのことを詳しく知る必要があります。
3つのCの内、Customerは市場とお客さまという、2つの観点にわけて考えます。
具体的には「どんな市場で」「どんなお客さまに」「どう選ばれているのか」を調べていきます。
例えば市場の分析では、市場の規模や成長性の情報を集めます。お客さまの分析では、購買動機やお客さまのニーズといった情報を集めていきます。
正確な市場やお客さまの情報を集め、分析をすることで、どのような商品やサービスが求められているのかを明確にしていくことができますよ。
Competitor(競合)
2つめのC、Competitorとは競合、ライバル商品やサービスを意味します。
3C分析では直接競合と間接競合にわけて考えます。
直接競合とは、あなたの商品やサービスと直接的な競合となるライバルです。
例えば、旅館を経営しているとするのなら、他の旅館のことを指します。
一方で間接競合とは、あなたの商品やサービスと間接的に競合となるライバルです。
先ほどの旅館の例で言うならば、時間を奪うという点でゲーム機やキャンプなどが該当します。
こういった競合について、強みや弱みを分析していきます。
3C分析のメリットとデメリット
3C分析は、さまざまなビジネスシーンで役立ちますが、万能ではありません。
「とりあえず3C分析しておけば、大丈夫!」という考えだと、分析がうまくいかない可能性が高くなります。
つまり3C分析は、役立つフレームワークである一方で、失敗のリスクもあるということです。3C分析のメリットだけでなく、デメリットも知っておきましょう。
3C分析のメリット
- 状況をシンプルに整理できるので分かりやすい
- 恋愛やビジネスなど色々なケースで使えること
3C分析のメリットは、分かりやすさと使いやすさです。
3C分析は「市場・お客さま」「競合」「自社(自身)」の情報を集め、分析するといったシンプルな構造です。シンプルな構造ながらも、分析では強みや弱み、課題を明確にできます。
ビジネス成功の要因(KFS) がわかりやすく、社内やチームで共有しやすいのもメリットです。
また3C分析は大手企業のマーケティングだけではなく、個人の自己分析や恋愛などにも活用できて使いやすい分析手法です。
3C分析は分かりやすくて使いやすいので、初心者でも簡単に取り組めるというメリットがあります。
3C分析のデメリット
- 間違った分析結果がでる可能性がある
- 情報集めに時間がかかる
何事においてもいえますが、絶対はありえません。3C分析から得られる、ビジネス成功の要因(KFS)の正確性は、集めた情報に左右されます。
例えば事実ではない情報は、3C分析が失敗する理由のひとつです。意図していなくても、思い込みや憶測の情報から、分析を進めてしまうケースがあるので注意してください。
特に競合の情報は、詳しいところまで掘り下げるのが難しいです。なかなか競合他社に、営業のスタイルや詳しい売上などを聞くことはできないですよね。
さらに社内外を周り、正確な情報を集める時間がかかるのも、3C分析のデメリットです。
情報は変化する可能性もあるので、効率よく情報を集めましょう。
【具体例あり】3C分析の手順をわかりやすく解説
ここでは3C分析の手順を、わかりやすく解説します。
解説のなかで、具体例に架空の「パン屋さん」をあげているので、まずはパン屋さんの基本情報の確認です。
具体例にあげるパン屋さんは店の売上回復を目的に、3C分析をはじめた設定です。
パン屋さんの立地は、駅構内(改札外)、ターゲットは20代〜30代女性としています。個人経営で、「こだわりのパンが買える店」を目指しています。
それでは、3C分析の手順を具体例とともに見ていきましょう。
分析手順①Company(自社)の分析をおこなう
まずは、Company(自社)の分析です。分析によって、自社の抱える課題や問題、自社の状況を明確にしていきます。
自社分析で活用できる、SWOT分析について、こちらの記事で詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。
正確な情報集めが、3C分析では重要です。自社の分析では、思い込みに注意しましょう。客観的な視点から「理念」「経営資源」「現場」「お客さま」「サービス」の情報を集めるのがポイントです。
例えば「現場」とは、チームメンバーや各部署の強みです。各部署の強みを分析することで、競合に勝つための要素を探し、戦略に役立てます。
自社分析の内容について、もう少し詳しく見てきましょう。
自社分析その1:自社の強みや弱み
自社の「経営資源」「現場」「お客さま」「サービス」からわかる、強みや弱みを分析しましょう。
例えば、「ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源の状況がどうなっているのか」「営業に力を入れているのか、技術的な部署に力を入れているのか」などです。
お客さまからいただいた意見には重要なヒントが隠れています。繰り返し商品やサービスを利用いただくリピーターの方の他にも、ご意見(クレーム)をいただいたお客さまの声にもしっかりと傾けましょう。
「何が不満で、どう改善して欲しいのか」といった、貴重な意見は自社を客観的に判断する視点になります。
パン屋さんの分析を、例にしてみましょう。
- 青空市場などへ出店経験あり、周辺地域からの認知度は高い
- 個人経営、原材料にこだわりがある
- 「レジの対応が遅い」とクレームがあった
- キャッシュレス決済に対応、ポイントカードはなし
「人員の育成や確保」「サービスが不十分」が、弱みだとわかります。一方で「周辺地域とのつながり」「認知度の高さ」は、このパン屋さんの強みです。
自社分析その2:自社のマーケティング戦略
自社のマーケティング戦略の内容やコスト、戦略にはどんな目的や目標があるのかなど、詳しい情報を集めましょう。
さらにマーケティング戦略を考えるうえで、自社の「理念」は無視できません。
理念は、自社が目指すところであり、自社の理念に反する戦略は意味がないからです。
自社がどんな理念を掲げているのか、自社の掲げている理念は市場や顧客に伝わり、支持されているかを分析します。
自社分析その3:自社の課題
自社分析では、「自社が抱えている課題や問題は何か」の情報も大切です。経営資源の不安や顧客の減少など、現状を分析します。
一通り3C分析をしたら、再度自社の分析に立ち返って課題や問題の洗い出しをしましょう。
お客さまのニーズや競合の内容を見ることで、コストや機能、サービスなど、選ばれなかった理由が明確になっていくはずですよ。
パン屋さんの例で考えると、「ポイントカードや割引などのサービスの導入」「人材の確保と教育にコストをかけられるか」といった点があげられます。
選ばれなかった理由は、自社の弱みであり、抱えている課題や問題です。客観的に自社の課題を分析しましょう。
分析手順②Customer(市場・お客さま)の分析を行う
次に行うのは、Customer(市場・お客さま)の分析です。
市場やお客さまの分析では、自社の強みを再認識できたり、自社を取り巻く脅威が見えてきます。
市場とお客さまの分析をさら細かく実施すると、マクロ分析(PEST分析)とミクロ分析(5F分析)があります。
ですがここではシンプルに市場とお客さまの観点で、パン屋さんを具体例にして分析をしていきます。
市場分析その1:市場の大きさ
市場分析は下記の点から行います。
- 市場の規模
- 市場の成長性や将来性
ポイントは、「ビジネスチャンスがある市場なのか?」という点です。
特に競合が次々と事業撤退を決めている市場は、市場の成長性や将来性が低く、頑張っても結果がだせないケースが多くあります。
ではパン屋さんの市場の規模、成長性を見ていきましょう。
市場の規模 |
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市場の成長性や将来性 |
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売上が落ちているのが悩みのパン屋さんですが、市場の規模は安定しているのがわかりました。原材料の価格の高騰は、いちパン屋さんがどうにかできるものではありません。政治的・社会的な変化が、市場に与える影響です。
「原材料の価格高騰に伴って、商品の価格をどうするか?」「商品価格を上げると、顧客離れにつながり、さらに売上がダウンするのでは?」といった、課題や問題が見えてきました。
参照:矢嶋経済研究所「2021年 パン市場の展望と戦略」
市場分析その2:お客さまのニーズ
次に、お客さまのニーズ(欲求)分析です。お客さまによって、商品やサービスに求めるものは違います。
例えばスターバックスコーヒーに「美味しいコーヒが飲めるから」と訪れる人もいれば、「おしゃれだから」という理由の人もいますね。
お客さまの購買動機、「どうしてそれを選んだのか?」を分析し、お客さまが何を求めているかを探りましょう。
お客さまのニーズは、アンケートなどを活用して正確な情報を集めます。
特に、何度も商品やサービスを選んでくれるリピーターの意見は大切です。最近では商品を愛用してくれているブロガーやインスタグラマーなどを集めて、座談会などを開き、お客さまのニーズを探っていく企業も増えています。
先ほどのパン屋さんでは、店頭アンケートを実施し、お客さまのニーズを分析しました。
- 手土産になるパンが欲しい
- イートインスペースがあると便利
- 昼ごはんに、手軽に食べられるパンが欲しい
- 価格をリーズナブルにして欲しい
駅構内にあるパン屋なので、「手土産」「イートインスペース」といったキーワードがあります。一方で改札外にあるパン屋なので、誰でも利用できることから、「昼ごはん」「手軽」「リーズナブル」といったキーワードもあります。
このキーワードから、「店内にイートインスペースを作ってみる」「ボリュームのあるサンドイッチを商品に加える」「ギフト用パンセットを商品に加える」などのアイデアを考えることができますね。
市場分析その3:市場とお客さまのニーズ変化
市場やお客さまのニーズは、流行り廃りや社会の影響を受け、常に変化をしています。
例えば「税率が上がったから、外食は控える」「円高だから、海外旅行する」など、政治的・経済的な変化は、お客さまのニーズに影響します。
さらに、分析対象の周辺の市場も変化をします。「近隣にマンションが建った」「競合が似た商品を発売した」などの変化は、ビジネスチャンスや脅威を分析する大切な要素です。
パン屋さんの例から、市場とお客さまのニーズ変化を分析します。
- 外出の機会が減り、駅を利用する人も減少傾向にある
- 今までは店内飲食がメインだった店舗が、軽食の持ち帰りに力を入れている
- 高級食パンの専門店が目立っている
- マリトッツォやカレーパンが、ブームになっている
- 健康志向から、無添加やグルテンフリーのパンが注目されている
売上が落ちた原因が、駅利用客の減少や新たな競合の出現だとわかりました。一方で売上回復に、健康志向の人を新たなターゲットとして取り込む戦略が考えられます。
分析手順③Competitor(競合)の分析をおこなう
次に分析するのは、Competitor(競合)です。競合他社の市場規模や売上、営業のスタイルなど、競合の詳しい情報を集めます。この分析には4P分析が活用できるので、こちらの記事を参考にしてください。
競合他社の強みや弱みを分析することで、自分たちの強みや弱みを明確にできます。
競合の分析では、自分たちの競合が誰なのか、市場での位置関係の整理が大切です。「リーダー」「チャレンジャー」「フォロワー」「ニッチャー」の観点から、市場での競合の立ち位置を整理します。
簡単な説明ですが、「リーダー」は業界のトップを指し、経営資源も豊富で強者の位置づけです。「チャレンジャー」は業界2位や3位の企業で、リーダーとの差別化を図り、トップを狙う存在になります。
「フォロワー」は、リーダーやチャレンジャーにはならない企業で、独自の路線も持っていない企業です。「ニッチャー」は、独自の路線をもっている企業を指します。
まずは、競合の市場での立ち位置を整理しましょう。さらに競合の分析では、広い範囲で競合を捉えるのがポイントです。ここでは直接的と間接的な競合にわけて、説明していきます。
他社分析その1:直接的に競合する他社
直接的な競合とは、似たような商品やサービスを展開している相手のことです。直接的な競合は常に意識し、自社と似ている部分も多いので、分析しやすい相手といえます。
パン屋さんで、直接的な競合を考えてみましょう。
- 駅改札内にあるAパン屋
ー駅利用者減少にともなって、売上も減少している
ーターゲットはビジネスマン
ー価格帯は500円〜900円
ーイートインスペースがある
ーコーヒー無料サービスで、新規利用者を獲得している
- 周辺にあるBパン屋
ー売上は安定
ーターゲットは30代〜40代女性
ー価格帯300円〜700円
ー店内がやや狭く、入店に並ぶ必要がある
ーポイントカードの導入で、リピーターを獲得している
市場の位置が近い、2店舗を競合にあげました。
このような直接的な競合の分析から、「イートインスペースがないことから、休憩や食事場所に選ばれない」「ポイントカード・コーヒーなどのサービスが不十分」といった弱みが、自社にあるのがわかります。
一方で強みは、「並ぶ必要や駅を利用する必要がなく、手軽に買って帰れる」といった点です。売上回復に向けて、強みを伸ばし、弱みをカバーする戦略とは何かを考える必要があります。
他社分析その2:間接的に競合する他社
間接的な競合とは、自分とは遠い市場に位置している競合です。リーダーからみると、ニッチャーの立場が、間接的な競合と考えられます。
競合分析では、いつもは自分たちの競合ではない相手も、分析する必要があります。競合と差別化できる、強みにより気づきやすくなるからです。
パン屋さんの間接的な競合を、考えてみましょう。
- 同じ駅構内にあるCコーヒー店
ー売上は安定している
ーターゲットは20代〜30代女性
ーサンドイッチやホットドッグなど軽食のテイクアウトを開始した
ー軽食とセットでコーヒーを頼むと割引になるサービスがある
ーイートインスペースはあるが、狭い
- 周辺にあるフルーツサンド専門店D
ーブームが落ち着き、売上は減少している
ーターゲットは10代〜20代女性
ーコーヒーなど、飲み物の提供を開始した
ーまとめてフルーツサンドを購入すると、割引サービスがある
Cコーヒーは市場が異なるように見えますが、市場の分析でわかったように、新たな競合として詳しく分析しておく必要があります。
分析の結果、課題になるのは、サービスの充実度が低い点だとわかりました。一方で強みは、ブームに左右されないことだとわかります。
さらに詳しく自社分析できる!「クロス3C分析」のやり方
3C分析は、「Customer(市場・お客さま)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」、それぞれを分析するフレームワークです。
なかでもCompany(自社)の分析では、3つのCを重ね合わせて考える、クロス3C分析の活用をおすすめします。より詳しく自社分析ができ、強みや弱み、課題を見つけやすくなるからです。
クロス3C分析のやり方を、見てきましょう。
クロス3C編:「市場・お客さま」×「競合」
「市場・お客さま」と「競合」の分析からは、市場・お客さまにおいて、自社が差別化を図れるポイントがわかります。
「市場・お客さま」と「競合」を分析し、競合が見落としているニーズやターゲットがないか、を探しましょう。見落としは、競合が市場・お客さまに対して抱えている課題や問題です。
つまり自社にとっては、差別化を図るポイントであり、ビジネスチャンスといえます。
パン屋さんの例を、もう一度、見直してみましょう。
Customer(市場・お客さま) |
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---|---|
Competitor(競合) |
|
「小麦粉やバターを使わない、健康志向のパン」が、差別化を図るポイントのひとつに考えられます。競合が手を付けていない市場であり、小麦やバターの価格高騰は市場全体が抱える問題だからです。
「市場・お客さま」と「競合」の分析で、競合に負けない、自社独自の強みを見つけましょう。
クロス3C編:「市場・お客さま」×「自社」
「市場・お客さま」と「自社」を分析し、自社の抱える課題を明確にします。
ポイントは、「自社が市場・お客さまに、何を提供しているのか」「自社が提供しているモノは、市場・お客さまから求められているのか」の分析です。
つまり「市場・お客さま」と「自社」から分析できる課題は、ニーズのズレです。どんなに良いモノを作っても、市場やお客さまから評価されるとは限りません。
パン屋さんの例をみると、お客さまのニーズに「手土産になるようなパンが欲しい」とありますが、自社の強みのひとつは「原材料こだわりを持っている」ことです。
仮にお客さまのニーズにある「手土産なるようなパン」が高級食パンやマリトッツォなど流行のパンを指している場合、原材料へのこだわりからくる高級感や特別感は、求められているニーズと異なってしまいます。
逆に、原材料にこだわった高級食パンやマリトッツォを開発できれば、それはお客さまのニーズとマッチし、ライバルとも差別化できるので自社の主力商品になる可能性がありますよね。
商品や戦略を自社の自己満足にしないためにも、市場やお客さまの求めている、自社らしさを分析しましょう。
クロス3C編:「自社」×「競合」
「自社」と「競合」の分析では、自社の強みや差別化のポイントがわかります。
競合が満たしていないニーズがあれば、競合から自社へ乗り換えてもらえる、ビジネスチャンスです。そのニーズを自社の独自性として打ち出せば、ライバルと差別化を図ることも可能です。
競合と似たような商品やサービスを提供していても、選ばれる理由があるのなら、それは競合を圧倒できる自社の強みです。
パン屋さんの例では、「手軽さ」「原材料へのこだわり」「認知度の高さ」といった、強みや差別化を図るキーワードがでました。
自社と競合を比較し、自社をより詳しく分析しましょう。
クロス3C編:「市場・お客さま」×「競合」×「自社」
クロス3C分析では、それぞれ分析した結果を重ね、より詳しい自社分析ができます。3つのC の重なりからでる結果は、目的達成のためのキーワードです。
例えばパン屋さんの「売上が落ちてきたどうする?」に対して、「新商品開発」「具体的な商品の内容」「さらなる分析の必要性」が、キーワードになりました。
さらにパン屋さんの「原材料へのこだわり」は、競合と差別化を図れるポイントであり、今後の運営に活かすべき強みだと明確にできました。
このように、より自社を詳しく分析することで「目的達成のために何が必要なのか」を明確にできます。
クロス3C分析で出たキーワードを、その後の戦略に活かすことで、ビジネス成功の可能性が高まるのです。
【注意】3C分析で気をつけるべき4つのポイント
いくら3C分析が万能だとは言え、そもそも集めた情報が間違っていては意味がありません。
本当はお客さまのニーズが「高級感」なのに、「お得感」と間違ってしまっては大問題ですよね。
なので3C分析では、正確な情報を集めるのがポイントです。
そこで、3C分析で気をつけるべきポイントをまとめたのでご紹介していきます。
注意点①分析をおこなう順番を守る
3C分析は、最初に「Company(自社)」の分析、次に「Customer(市場・お客さま)」の分析、最後に「Competitor(競合)」の分析の順番でおこなうのがおすすめです。
最初に「Company(自社)」の分析を行うのは、自身の立ち位置を理解した上で「Customer(市場・お客さま)」「Competitor(競合)」の分析をおこなえば、新しいアイデアが浮かんできやすくなるからです。
また、商品と市場やお客さまのニーズとのズレ、商品とライバルの違いが明確に分かりやすくなります。
3C分析は順番を守って、明確に分析していくのが成功のコツです。
注意点②客観的な分析をおこなう
3C分析の基本は、客観的な視点から正確な情報を集めることです。なので自分の意見や解釈を、客観的な視点として扱わないように注意しましょう。
例えば「〇〇だからコンペに負けた」「この商品はここが評価されている」といった考えは、裏付けされた数字がなければ、あなたの意見です。
特に自社分析では、自分で評価している部分と、市場・お客さまや競合が評価している部分にズレのあるケースもあります。
3C分析を効果的に活用するために、客観的な視点は大切なポイントです。
注意点③リアルな声や体験から分析する
今では、インターネットで何でも調べられます。ですが3C分析には、現場やお客さまの声が欠かせません。
実際に営業をしている部署や商品を買ってくれたお客さまからの声は、正確な分析に必要な情報です。
例えば「A社よりも安く提供している商品だから売れている」と思っていた商品が、実際には「24時間サポートがあるから選ばれていた」というケースもあります。
より効果的な分析結果を導くには、インターネットでは見えてこない生の声が大切です。各部署や現場を周ったり、ときには自社製品を実際に購入して、リアルな声を集めましょう。
注意点④事実のみを情報として扱う
3C分析で特に注意したいのが、思い込みや希望的な予想です。
市場・お客さまの分析では、「きっとお客さまは安さを求めている」と曖昧な分析をしてはいけません。そのまま進めば、全て曖昧となり3C分析が失敗に終わってしまいます。
特に自社分析では、希望を分析に含めてしまうケースが多いです。例えば「売上は〇〇円を目指している」という情報は、あくまでも目標です。3C分析は、「〇〇円の売上」「前年度よりも〇〇%売上アップ」といった、正確な情報を必要とします。
「〜なはず」「こうありたい!」といった、思い込みや希望は、3C分析ではNGです。事実だけを情報として扱いましょう。
企業の3C分析事例を紹介
より3C分析を理解してもらうために、「日本マクドナルド」「星野リゾート」「Netflix」の3C分析をまとめました。
3C分析は自社(自身)と市場・お客さま、競合を正確に把握して、ビジネスで成功するためのポジションを見つけるのが目的です。
ここでは、3C分析の結果から、ビジネス成功の要因「なぜこれらの企業が売れているのか」を考えてみましょう。
マクドナルドの3C分析
Customer(市場・お客さま) |
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Competitor(競合)分析 |
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Company(自社)分析 |
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日本マクドナルドは、ファーストフード業界トップの企業です。
3C分析からわかる弱みは、「高級や健康志向の顧客からは支持されにくい」ということがあげられます。一方で強みは競合と比べると良くわかりますが、「圧倒的な安さ」です。
日本マクドナルドの手軽さやリーズナブルな価格を重視した展開が、顧客ニーズにマッチし、選ばれる理由となっています。
星野リゾートの3C分析
Customer(市場・お客さま) |
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---|---|
Competitor(競合)分析 |
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Company(自社)分析 |
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星野リゾートは、観光やホテル業界と広い分野で活躍する企業です。今回は星野リゾートの「星のや東京」、ホテル業界に絞り3C分析をしました。
競合のホテルと比較すると、星のや東京の宿泊料はかなり高額といえます。しかし星のや東京には価格に見合った、もしくはそれ以上のサービスの提供が強みです。
星のや東京はしっかりとターゲットのニーズを把握し、価格の高さという弱みを、サービスの質の高さという強みでカバーすることで成功してます。
Netflixの3C分析
Customer(市場・お客さま) |
|
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Competitor(競合)分析 |
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Company(自社)分析 |
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動画配信サービスを展開する、Netflixの3C分析です。
Netflixの弱みは「入会しなければ動画をみれないこと」、強みは「比較的リーズナブルに、独占配信や他の動画を見れること」があげられます。
昨今は無料で見れる動画が多く、入会料を払ってでも見たい動画やサービスの提供が戦略には必要です。
Netflixは独占配信の豊富さやおもしろさを強みに、お金をだす価値のある動画配信サービスとして成功しています。
クロス3C分析の結果からわかる「KFS」とは?
3C分析やクロス3C分析からわかる「KFS」とは、「Key Factor for Success」を略したものです。日本語では、重要成功要因といわれ、事業が成功する要因を意味します。
例えば、パン屋さんのケースは「新商品開発」がKFSのひとつです。マクドナルドの例では、「手軽さや低価格」といったキーワードがKFSに考えられます。
簡単にいってしまうと、「どうしたら成功できるのか?」に対する答えやキーワードが、KFS(重要成功要因)です。
KFSは3C分析以外にも、SWOT分析や5F分析など、さまざまな分析からわかります。
KFSは、ひとつとは限りません。KFSが複数あるケースもあり、より重要度の高いKFSを戦略に活かすことが大切です。
3C分析はいつ使う?ベストタイミングは?
3C分析をおこなうタイミングは、戦略を立てる前の段階になります。
例えば「分析対象がおかれている環境の整理をして、どんな状況なのかを分析しておこう!」といったタイミングです。
3C分析は戦略の立案から事業撤退の判断にまで、さまざまなビジネスシーンに活用できます。
自社のポジションを決めるためにも、ぜひ3C分析を有効活用してくださいね。
3C分析ではテンプレートを活用しよう!
3C分析は、トライアングル型に3つの要素を配置したテンプレートがあります。
「Customer(市場・お客さま)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」それぞれを、わけて書き出すのが基本です。社内やチームで共有するケースも多いので、できるだけわかりやすく書くことをおすすめします。
3C分析ではテンプレートを活用して、集めた情報を分析しましょう。
3C分析だけじゃない!おすすめのフレームワーク5選
目的やビジネスシーンによって、最適なフレームワークがあります。
ここでは、おすすめのフレームワークを5つまとめました。
ぜひ参考にしてください。
- おすすめ分析フレームワーク①:PEST分析
- おすすめ分析フレームワーク②:5F分析
- おすすめ分析フレームワーク③:SWOT分析
- おすすめ分析フレームワーク④:4P分析
- おすすめ分析フレームワーク⑤:STP分析
おすすめ分析フレームワーク①:PEST分析
PEST分析では、「Politics(政治的)」「Economy(経済的)」「Society(社会的)」「Technology(技術的)」といった、外部要因を分析します。
これらの外部要因が、「自社にどのような影響を与えるのか」を把握するのが目的です。
外部要因は、自社が頑張っても変わりません。例えば為替の動きや法制度の見直し、少子高齢化などは、いち企業がどうにかできる問題ではないですよね。
PEST分析は外部要因が自社に与える影響を知り、どう戦略に役立てていくのかを考えるフレームワークです。こちらにPEST分析について、さらに詳しくまとめたので、参考にしてください。
おすすめ分析フレームワーク②:5F分析
5F分析は、業界の分析が目的のフレームワークです。「新規参入」「代替品」「買い手」「売り手」「業界」の分析から、分析対象の脅威や強みを探します。
こちらの記事で、5F分析について詳しく紹介しているので、参考にしてください。
5F分析は、「こんなリスクがあるだろうな」と漠然としか脅威を予測していない場合に、取り組んでおきたいフレームワークです。
おすすめ分析フレームワーク③:SWOT分析
SWOT分析は、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」から、分析対象の現状を分析するフレームワークです。
強みや弱みといった内部要因と、機会や脅威の外部要因を分析し、課題や自分の強みを明確にできます。マーケティング戦略だけでなく、個人の自己分析にも活用可能です。
SWOT分析について、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
フレームワークのなかでも、現状把握には、SWOT分析がおすすめです。
おすすめ分析フレームワーク④:4P分析
4P分析は、主に自社の商品やサービスの分析に活用します。4P分析の要素は、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」です。
言い換えると、「どのような商品を」「どれくらいの価格で」「どんな販路に」「どうやって売り出していくか」を、分析します。
4P分析は、より具体的な戦略の立案に活用できるフレームワークです。こちらの記事で4P分析について、詳しく紹介していますので、参考にしてください。
おすすめ分析フレームワーク⑤:STP分析
STP分析は、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」からなる分析です。
STP分析は市場や顧客を細分化し、ターゲットを決め、競合との差別化を強めていく分析になります。
簡単にいうと、「どこで」「誰に」「何を」を明確にする分析です。詳しくはこちらの記事にまとめたので、参考にしてください。
まとめ
最後にこの記事で説明してきたことを、簡単にまとめます。
- 3C分析とは、「Customer(市場・お客さま)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3要素からなる、環境把握のためのフレームワーク
- 3C分析の目的は、分析対象の強みや弱み、課題や問題を明確にし、ビジネスで成功するためのポジションを見つけること
- 3C分析は、最初に「Customer(市場・お客さま)」の分析、次に「Competitor(競合)」の分析、最後に「Company(自社)」の分析の順番でおこなう
- 3C分析で集める情報は、客観的な視点から、正確な情報を集めるのがポイント
3C分析はさまざまなビジネスシーンで活用できる、覚えておきたいフレームワークです。3C分析のポイントを押さえて、より効果的な分析をしましょう。