ペルソナ設定の時代は終わったと言われる理由とは?ペルソナ設計のやり方も解説
- ペルソナ設計ってどうやるの?
- マーケティング戦略にペルソナって必要?
- ターゲットとペルソナはどっちも決めたほうがいいの?
商品が思うように売れなかったり、集客がうまくいかなかったりすると、「ターゲット設定が違ったのかな」と不安になりますよね。
うまくいかない原因はさまざまで、一概には言えませんが、実はターゲット設定ではなく、ペルソナ設定ができないことに原因があるケースがありますよ。
今回は、マーケティング戦略のポイントになる、ペルソナ設定について解説します。
ペルソナ設定のやり方を知り、自社の商品や自分のファンを増やしていきましょう。
ペルソナ設計とは?
ペルソナ設計とは、ターゲットよりも細かく設定した顧客像を作ることです。
ターゲットは年代や性別などの属性で分類した集団なので、人によって想像する人物像はさまざまです。
しかし、ペルソナの場合は生活スタイルや性格などより具体的な設定を行うため、誰がイメージしても明確な1人の人物像になりますよ。
たとえばターゲットなら「一人暮らしの30代独身男性」ですが、ペルソナの場合は「33歳/男性/〇〇(名前)/一人暮らし/趣味は筋トレ/会社帰りはジムに行く/自炊派」など明確な設定が必要です。
ある程度ターゲットを絞ってから、ペルソナ設計をするとペルソナ像が浮かびやすくなります。
効果的なマーケティング戦略を立てるためには、細かく設定したペルソナの活用が大切ですよ。
マーケティング戦略でペルソナ設計が重要な理由
- ユーザー目線に立った商品やサービスが作れる
- ユーザーが抱えている悩みや問題点に気づけるようになる
- ユーザーの心に刺さる売り出し方ができる
- 担当メンバー内で認識を統一できる
ターゲットではなくペルソナを設計することで、より顧客目線でマーケティングを行うことが可能になりますよ。
近年はライフスタイルが多様化して、ざっくりしたターゲット設定ではマーケティング戦略がしにくくなっています。
働く人をターゲットにした場合でも、昨今はフリーランスや在宅ワークで働く人が増えたため、朝から夜まで会社で働く従来の”会社員”の型には当てはまらない人もいますよね。
そこで、もっと詳しい人物像、つまりペルソナが注目されるようになったのです。
また、ペルソナ設計なら誰がイメージしても同じ人物像を思い描くことができるので、メンバー内での認識の差も生まれにくいというメリットもあります。
ユーザー目線で考えるマーケティングについてはこちらの記事を参考にしてください。
ペルソナ設定の時代は終わった!?ペルソナ設定が古いと言われるのはなぜ?
マーケティングの方法が多様化する中で「ペルソナは古いやり方ではないか?」という声も聞かれます。
背景には、AIの発達が理由のひとつにあるでしょう。
現代のデジタルマーケティングでは、AI(人工知能)の発達に伴って、レコメンド機能や広告の自動表示が可能になっています。
要はペルソナ設計をわざわざしなくても、よく検索するワードや普段見ているSNSの話題などから、個人に合わせたマーケティングをAIが判断して行ってくれるのです。
また、ネットが普及したことでWEBサイトやブログ、SNSなど顧客と企業の接点が多様化していますね。
そのため、ペルソナ設計だけでは顧客の人物像をカバーしきれなくなっていることもペルソナ設計が古いと言われる要因なのです。
しかし、AIだけでは顧客のニーズを全て把握できませんし、明確なペルソナ設計もできません。
より細かいペルソナ像を設計することは、顧客のことをより深く知ることにつながり、顧客との接点の多様化への対策にもなります。
ペルソナ設計は古い手法ではなく、時代とともにより深掘りしたペルソナ設計が必要になってきているのです。
ペルソナ設計のやり方を3ステップで解説
明確なペルソナ像を作ることがマーケティング戦略で重要だと分かりましたね。
ここからは具体的なペルソナ設計のやり方を紹介します。
初めての方でも簡単にペルソナ像を作れますよ。
手順①ペルソナ設計に必要な項目をリストアップする
ペルソナ設計に必要な項目は商品やサービスによって異なります。
そのため、自社がターゲットにしているユーザー属性を明確にする必要がありますよ。
さらに、リアルなペルソナ設計には細かい情報が必要です。
以下の表を参考に、ペルソナの設計項目を決めましょう。
属性 | 設定する項目 |
---|---|
基本属性 | 性別/年齢/居住地/家族構成/職業(会社員であれば役職)/勤務地/学歴/収入/興味関心・趣味など |
行動属性 | 生活パターン(平日・休日の過ごし方)/よく行く場所/移動手段/接触メディア/所持しているデバイス/ネットの利用状況・利用時間/SNSなど |
心理属性 | 価値観/流行への感度/課題や悩み/チャレンジしていること・チャレンジしたいことなど |
どの項目が必要か迷う方は、商品やサービスの購入を決定する際に関係がありそうな項目を考えてみましょう。
たとえば仕事中に使ってほしい商品なら、職業や勤務地、仕事がある日の生活パターンは設定したい項目ですよね。
項目のリストアップはペルソナ設計の第一歩ですよ。
こちらの記事で紹介しているSTP分析を活用すれば、自社の立ち位置やターゲットが明確になるので、ユーザー属性を決めるのに役立ちます。参考にしてみてくださいね。
手順②ペルソナ像を具体化するために必要項目の情報を収集する
次は、手順①でリストアップした項目に肉付けするために、客観的データをもとにした情報を集めます。
情報収集は以下などの方法がありますよ。
- アンケートやインタビュー
- 顧客データの分析
- 口コミサイトやSNSの投稿分析
- 営業からのヒアリング
たくさんの情報をあつめればよりリアリティのあるペルソナ設計ができるので、情報収集は重要なステップです。
また、実際に商品やサービスを使った既存のユーザーに「なぜこの商品を利用しようと思ったのか」という利用にいたるまでのストーリーを調査することで、想定していたペルソナと実際のペルソナにズレがないかも調べられます。
ただし、使うデータが正確でなければ的確なペルソナ像は作れません。
ペルソナ設計には信憑性のあるデータを使うことを心がけましょう。
手順③収集した情報をもとにペルソナ像を作り上げる
最後に集めた情報をもとに実際にペルソナ像を作り上げましょう。
ポイントは、必要な情報にペルソナの背景が分かるようなストーリーを肉付けすることです。
情報の羅列ではなく、実際にいそうな顧客像を作るのですね。
顧客の顔が浮かぶ段階まで落とし込めるのがペルソナ像の理想ですよ。
また、ライフスタイルが多様化した現在、ペルソナ像を1つに絞る必要はありません。
メインのペルソナを決めて、サブのペルソナとしていくつか設定しておく手もありますよ。
実際にペルソナ設計をする際にはシートに落とし込むと便利です。
ペルソナを設計する際の3つのコツ
ペルソナ像はなんとなく作っても最適なものはできません。
ここからはペルソナ設計のコツを3つ紹介します。
コツを理解することで、より効果的にペルソナを活用できますよ。
コツ①客観的なペルソナを設計する
ペルソナ設計は想像で作るのではなく、きちんとしたデータに基づいて行いましょう。
決して「こんな感じの人が使うんじゃないかな?」という思い込みや先入観で顧客像を作ってはいけません。
なぜなら、企業側の主観や思い込みが入ってしまうと本来の顧客像とはかけ離れたものになってしまうからです。
それだけでなく、企業にとって理想の顧客像がペルソナとなってしまい、実際のユーザーには響かない可能性も高くなりますよ。
想像のペルソナ設計にならないためには、根拠となるデータに基づいた客観的な人物像を思い描くことが大切です。
実際にユーザーが抱えている悩みを徹底的に調査してペルソナ設計に反映させることができれば、マーケティングに活かした時にも大いに役立ちますよ。
コツ②ペルソナの意思決定プロセスや行動動機に着目する
ペルソナをより具体的な人物像にするために、意思決定のプロセスや行動動機を理解してみるといいですよ。
つまり、ペルソナの行動パターンだけを分析するのではなく、「なぜその商品、サービスを利用するのか」という意思決定までの行程や動機を明らかにさせてみましょう。
そうすればリアリティのあるペルソナ像が描けますよ。
ペルソナにリアリティがあれば、より顧客のニーズを理解できて、効果的なマーケティング戦略を立てることができますね。
効果的なマーケティング戦略ができれば、顧客の悩み解決にもつながり、顧客満足度も上がるので企業としても大きなメリットになりますよ。
コツ③定期的にペルソナ像の見直しを行う
時代や市場環境の変化とともに、顧客も変わっていく可能性があります。
どんなにペルソナに合わせてマーケティング戦略を立てたところで、ペルソナ自体が実際の顧客や市場に即していなければ、的外れで成果につながらないマーケティングになってしまいます。
なので、ペルソナ像は定期的に見直していく必要がありますよ。
ペルソナ像を見直す際には、顧客にアンケートを取るなどしてきちんと顧客に寄り添ったペルソナ像を作るよう心がけましょう。
リアリティのあるペルソナ設計を作るためには定期的な見直しと修正が必須ですよ。
BtoBビジネスでもペルソナ設計は有効!設計のポイントとは?
BtoBビジネスの場合のペルソナとは、自社の商品やサービスを契約してくれる企業像にあたります。
BtoBのペルソナ設計も基本的には先ほど紹介した手順に乗っ取って作ることができます。
ただし、BtoBのペルソナは「バリュープロポジション」=「競合他社にはない自社のみの顧客ニーズを満たす強み」を明確にすることが重要です。
つまり、競合他社にはない強みばかり追求するのではなく、顧客のニーズを満たすことにも力を入れることで、顧客目線に立ったバリュープロポジションを確立できるのですよ。
また、BtoBの場合はBtoCと違って法人ペルソナ(企業のペルソナ)と個人ペルソナ(相手企業の担当者や上司、社長など)といった複数のペルソナ像が必要です。
企業は商品やサービスの契約を決定する際、複数の人物が関わるので、それぞれにペルソナ設計がいりますよ。
ペルソナ設計はBtoBビジネスにも有効なので、しっかりとペルソナを作り上げましょう。
【活用事例】ペルソナ設計の使い方を紹介
下記など、さまざまなシーンでペルソナ設定は活用できます。
- マーケティング戦略の策定
- 広告プロモーションの戦略
- ホームページやブログなどのオウンドメディアの戦略立案
- UX/UIデザイン
- SNSマーケティング
- カスタマージャーニーマップの策定
- カスタマーサービスの改善
- 商品やサービスの開発、改善
- 自社のブランディング
ただし、ペルソナは作って終わりではありません。
設計したペルソナをもとに、より効果的に商品やサービスを顧客にアピールし、認知拡大や売上につなげることが大切です。
ペルソナ像を作るとユーザーの求めていることが明確になるので、商品開発や改善にも役立ちますね。
ペルソナがどんな行動パターンを取るか分析することで、どのような広告プロモーションを行うべきか、例えば紙媒体かwebなのかも見えてきますよ。
ペルソナを作る際にはペルソナ設計によって達成させたい目標を決め、その目標に向けてペルソナを有効活用しましょう。
まとめ
最後にこの記事の内容をまとめます。
- ペルソナ設計とは、ターゲットよりも細かく情報を設定することで明確な1人の顧客像を作り出すこと
- ペルソナ像が明確だと、ユーザーに寄り添った商品開発ができたり、チーム内で共通の認識が持てるので顧客目線のマーケティングができるメリットがある
- 時代の変化に合わせて最適なペルソナを作り出すことで、AI(人工知能)やタッチポイントの多様化に対応したマーケティングができる
- ペルソナ像は客観的なデータに基づいて作り、定期的に見直すことが大切
- BtoCだけでなく、BtoBにもペルソナ設計は有効である
マーケティング戦略にペルソナ設計は欠かせません。
この記事を参考にして、自社の商品やサービスにあったペルソナ設計をしてみてくださいね。