ピークエンドの法則とは?意味とビジネスでの活用例を徹底解説
- 顧客獲得の効果的な方法を知りたい!
- 「ピークエンドの法則」って何?
- ビジネスでピークエンドの法則をうまく活用する方法は?
あらゆるビジネスにおいて、顧客の獲得は売上を上げるために必要不可欠です。
顧客を獲得するためには第一に顧客に興味関心を持ってもらうことが重要ですよね。
そこで有効なのが1999年に心理学・行動経済学者のダニエル・カーネマン氏の論文内で発表された「ピークエンドの法則」です。
ピークエンドの法則は人の心理を利用し顧客の興味や関心を惹きつける法則なので、うまく活用すれば顧客の満足度が上がり、リピートに繋げられるのですよ。
この記事ではピークエンドの法則の意味やビジネスでの効果的な活用方法を紹介しています。
ピークエンドの法則をビジネスに取り入れると顧客に良い印象を持ってもらえるので、結果として顧客獲得や売上アップが実現できますよ。
それでは「ピークエンドの法則」について詳しく見ていきましょう。
心理学・行動経済学の「ピークエンドの法則」をわかりやすく解説
ピークエンドの法則は、物事のピークと終わりが良い印象であれば、全ての印象を良い印象と捉えることができる心理法則のことです。
日本でも「終わりよければ全て良し」ということわざがありますよね。
最後の結果が良ければ、途中にミスや失敗があったとしても問題にはならないという意味合いです。
ピークエンドの法則は、私たちに身近な場面でも活用されており、ダニエル・カーネマン氏によって行われた実験でも実証されています。
まずはピークエンドの法則が影響している身近な事例と、ピークエンドの法則を証明した実験について確認していきましょう。
ピークエンドの法則の身近な事例
ピークエンドの法則の身近な事例には、アトラクションの行列に並ぶ顧客の心理があります。
有名なアミューズメントパークでは、アトラクションに乗ろうとすると行列が出来ますよね。
ですが何時間並んでも、アトラクション自体の時間は10分程度であっという間に終わってしまいます。
それでもアミューズメントパークでの想い出は楽しいものとなり、再び行きたくなるのはピークエンドの法則が働いているからなのですよ。
アトラクションにおいてピークとエンドとなるのが、アトラクションに乗る時間です。
ピークとエンドが普段経験することができない素敵な体験であるため、すべての印象が良くなり「長時間並んででもまた乗りたい」「100分待ちでも列に並ぼう」と感じさせているのですね。
最後に良い印象さえあれば、途中過程で感じるマイナスな印象や嫌な体験は記憶に残りません。
顧客の満足度を高めるのにも効果的なピークエンドの法則は、身近でも多く用いられている法則なのですよ。
ピークエンドの法則の有名な実験
ピークエンドの法則の提唱者であるダニエル・カーネマン氏はピークエンドの法則を証明するためにいくつかの実験を行いました。
ここではピークエンドの法則の有名な実験のひとつである「騒音を聞かせる実験」について紹介します。
実験ではまず初めに、2つのグループに大音量で不快な騒音を8秒間聞かせました。
そして片方のグループだけに、大音量を聞かせた後に少しだけマシな騒音を追加で8秒間聞かせます。
マシな騒音であっても不快な騒音を2種類も聞いているので、1種類の騒音を聞いただけより不快に感じる気がしますよね。
ですが実際には、マシな騒音を追加で聞いたグループの方が不快度数が低いとの結果が出たのです。
この実験から途中にどれだけ嫌な印象を与えたとしても、最後の印象によってすべての印象が決まることが実証されたわけですね。
ピークエンドの法則の活用方法4選
では実際にビジネスや日常生活において、どのようにピークエンドの法則を活用すると効果的なのでしょうか。
今回は4つの活用方法をご紹介します。
それでは詳しく見ていきましょう。
活用方法①小さな違和感で興味をかき立てる
まず一つ目の活用方法は、話の中で小さな違和感を与え相手の興味をかき立てる方法です。
と言うのも、ビジネスではまず相手の興味を引くことが重要になってきます。
良くも悪くも印象に残らなければ、最後まで話をする機会すら与えてもらえません。
例えば商品説明の時に敢えてキリの悪い数字を出すと、相手になぜその数字なのかと違和感を与え関心を引くことができます。
「話をする時間を12分だけください」や「今なら23%オフ」などの中途半端な数字を用いて、話に小さな違和感を用いてみてください。
「なぜそんな時間なの?」「なんでそんな中途半端な割引なの?」と小さな違和感の理由を知りたくなり、関心を引きやすくなりますよ。
活用方法②会話で特別感を演出する
誰しも自分だけが特別扱いしてもらえていると感じると嬉しいものですよね。
人は他人から特別感を与えてもらうと気分が上がり、話に興味を持ち始めます。
なので、相手との会話の中で特別感を演出すると効果的ですよ。
マーケティングにおいては「今だけの限定企画」「お客様だけ」など、自分が特別なんだと感じてもらえる言葉を用いてアピールしてみましょう。
特別感を感じ、気分の上がった顧客の購買意欲を高めることができますよ。
活用方法③断ることで満足度を高める
3つ目の活用方法は、顧客の要望を一度断ることで満足度を高める方法です。
人は簡単に自分の要望が受け入れられると、予想の範囲内の要望だったのではないかと疑問を感じ、何となく損をした気分になるものです。
例えば電化製品を購入する時、1,000円の値引きを店員に要求しすぐに受け入れられたとしたら、安くなったのに「もしかしたら元々安く出来た値段だったのかも…」と何となく残念に感じますよね。
これでは要求を呑ませることに成功してもなぜか不満が残り、勝ったはずなのに勝った気がしないという心理状態になってしまいます。
顧客に「エンド」で満足感を感じてもらうために、顧客からの要求は一旦断ったり渋ったりしてみましょう。
一度断られた要求が通ることで顧客は優越感を感じ、最終的な満足度を上げられますよ。
活用方法④物語のピークとエンドを決める
最後にご紹介する活用方法は、商談中やプレゼン中の「ピーク」と「エンド」をあらかじめ決めておく方法です。
話が単調であったりマイナス面を最後に伝えたりすると、商品の詳細や割引などの魅力を相手に印象付けることができません。
例えば、「今なら5,000円引き」をピークに置き、さらに「今購入すると●●が付いてくる!」と言ったエンドでさらに後押しをするとピークエンドの法則の効果を発揮できますよ。
最も伝えたい話に「ピーク」を置き、さらに伝えたい付加価値などを追加したひと押しを「エンド」に置くことで、客の興味を惹きつけ購買意欲を高めましょう。
事前にピークとエンドを決めておくことで相手の印象を誘導できるので、自分の進めたい方向へ物事を進めやすくなりますよ。
ピークエンドの法則が活用できるシーン
ビジネスにおいてピークエンドの法則を活用すると、購買意欲を高めたり顧客満足度を上げられることが分かりましたね。
では具体的にどのようなシーンでピークエンドの法則が活用できるのか、ビジネスと恋愛のシーン別に紹介していきます。
ビジネスシーンや生活の中でぜひお役立てください。
【ビジネス】営業のセールストーク
ビジネスにおいては営業のセールストークで、ピークエンドの法則を活用できます。
セールストークの中にピークとエンドを設定すると、商品の魅力や価値を強く印象付けることができますよ。
セールストークをする際に重要なのは、話の最後にデメリットを伝えないことです。
マイナスな話で終わるとその印象が残り、「もう一度来たい」や「また話を聞いてみたい」などのリピートの気持ちをそいでしまうからです。
必ずメリットやプラスの話で終わるようにしましょう。
プラスの話しで終われば、購入に至らなかったとしても顧客の満足度が上がりリピートに繋がる可能性が高くなりますよ。
【ビジネス】ホテルの接客
ホテルビジネスでは、顧客満足度を上げていかにリピートしてもらえるかが重要です。
ピークエンドの法則を活用すれば、顧客満足度が上がりリピーター獲得に効果を発揮しますよ。
ピークは顧客の価値観や体験などで変わってきますが、エンドは接客する側が提供することができますよね。
チェックアウト時の対応により、ホテルで過ごした印象は変わってくるということです。
万が一ミスがあったとしても、帰り際に誠意を持って謝罪をしたりお詫びの品を渡したりなど、丁寧なフォローをすれば良い印象を残すことができます。
ホテルでは、チェックアウトの接客も意識して従業員の研修を行うといいですね。
【恋愛】デートの別れ際
ピークエンドの法則は、デートの別れ際の対応にも活用できますよ。
別れ際のふるまいに気を配ることで、相手の印象を良くできるからです。
デートにおけるピークの捉え方は人それぞれですよね。ですが、エンドはこちらからコントロールできます。
たとえデート中に会話を上手く盛り上げることができなくても、別れ際の対応次第では悪い印象を良い印象に変えることができます。
逆にどんなにデートが楽しかったとしても、別れ際の見送りが雑だったり、急いで立ち去られたりすると自分に対する誠意は感じられませんよね。
デートの別れ際は、フォローや笑顔で終わるように心がけましょう。
最後にいい印象を持ってもらえれば、相手からプラスの印象を持ってもらえるのでいい関係性を築けますよ。
まとめ
最後にこの記事で紹介したピークエンドの法則の意味や、ピークエンドの法則の効果的な活用方法についてまとめます。
- ピークエンドの法則は、物事のピークとエンドが良い印象であれば、全ての印象を良いものと捉えることができる法則
- ピークエンドの法則を効果的に活用するには、顧客に「小さな違和感」「特別感」「満足感」を与えることが大切
- ピークとエンドを事前に設定し会話を進めることで、顧客満足度や購買意欲を高められる
- ピークは相手の捉え方次第だが、エンドはこちらからコントロールできる
- 別れ際や終わりなど、エンドに良い印象を与えることを心がける
ピークとエンドを意識するだけで、全ての印象を良い印象に変えることができます。
ピークエンドの法則を上手く活用すれば、たとえ失敗したり間違えたりしても挽回することが可能なのです。
ビジネスで成功したい方はピークエンドの法則を活用して、顧客獲得や売上アップに繋げてくださいね。