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森谷俊之

LibRu代表取締役

個人・小規模事業者向けのマーケティング・ブランディングのコンサルタント/セールスコピーライター

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先行者利益とは?メリット・デメリットや事例を徹底解説

  • 先行者利益とは?
  • 先行者利益のメリット・デメリットは?
  • 先行者利益で成功・失敗した企業の例を教えて!

ビジネスには先に手掛けた先行者の方が権利を得て優位に立つケースと、後から追いかける後発者の方が有利になるケースがあります。

今までにない新しいアイデアを持っているなら新規市場を開拓し、先行者利益を獲得すれば成功のチャンスです。

ここでは、先行者利益についての詳しい説明や、メリット・デメリットについて解説します。

企業が行った先行者利益獲得の成功事例・失敗事例からも使い方が学べるので、参考にしてください。

目次

先行者利益(先駆者利益)とは?

先行者利益とは、新しい市場に参入した企業が市場全体の利益を独占したり、より多くの利益を獲得することです。

「先駆者利益」とも呼ばれますが、今までになかった製品を作り出し最初に発売して利益を得るので、こちらの方が意味が分かりやすいですね。

新しい市場では競合する企業が少ないため、いち早く参入すれば利益の独占や利益獲得がしやすくなります。

また、市場でのルールが確立していない場合には自社がルールを定めることも可能です。

後に続いて市場に参入してくる企業より自社の事業が優位に進められます。

そのため「先行者優位」や「先発優位」と呼ばれることもありますよ。

先行者利益を獲得することで得られる4つのメリット

新規市場には競合他社が少なく、自社が顧客を独占できる可能性が高くなります。

他社を気にすることなく自社が販売したい金額を自由に決めることもできますよ。

業界の先駆者と顧客から認められると信用も付きます。

ここでは、先行者利益獲得で得られる4つのメリットを紹介するので見ていきましょう。

メリット①市場シェアを獲得できる

市場へは早期に参入すると有利と言われ、できるだけ早く顧客にブランドとして認識させることが大事です。

特に今までなかった分野に参入すると、自社が先駆者となり後に続く競合が現れるまでは市場シェア100%になります。

このように、市場シェアを獲得できるのが先行者利益獲得によるメリットです。

誰よりも先に市場に参入すると、話題になったり注目されるなどブランドの認知度も上がります。

多くのお客さまから選ばれることにつながりますよ。

また、先に参入すると顧客や事業のパートナーと自社の間でネットワークが構築されるので、参入障壁が築ける点も高い市場シェアの獲得につながります。

メリット②価格競争に巻き込まれにくい

先行者利益を獲得すると、他に競合がいないので価格競争や商圏の取り合いを気にせずに済みます。

顧客が考える適正価格があるとしても、自社以外に比較対象が無ければ顧客には選択の余地がないので、高い価格で販売しても購入につなげることができます。

なので、価格競争に巻き込まれにくいことが先行者利益獲得で得られるメリットです。

例えば、すでに他の企業が参入している業界では常に競合他社を意識し、販売価格を少しでも安くして顧客の気を引くことが大事です。

自社の商圏が競合他社の範囲と重なることも多く、激しい競争に勝つ必要もあります。

先行者利益を獲得すれば、価格競争に巻き込まれにくくなるのです。

メリット③製品の規格において主導権を握れる

製品の規格において自社が主導権を握れることも先行者利益獲得のメリットです。

製品開発や普及を先行者がリードすることで、その製品に関連する規格の設定に影響力を持つことができます。

先に参入したからこそ独自の企画や売上につながる仕組みを作ることができ、後続の企業はそれに追随することになりますよ。

作る製品の材料が希少な場合でも、先行者ならば先に調達して継続した仕入れができるので有利です。

メリット④権威性や信頼性が高まる

豊富な経験と実績を積み重ねた先行者企業が作る商品やサービスは、顧客に信頼されやすいです。

どこよりも先に作り出すことで他に比較する商品・サービスが無いので、顧客に強いインパクトを与えられますよ。

例えば家電業界では「サイクロン掃除機と言えばダイソン」、通信機器業界では「スマートフォンと言えばiPhone」のように、代名詞的なポジションを確立できます。

人びとの印象に残った代名詞は簡単に変わるものではありません。

この企業の商品・サービス以上のものはないという権威性や、この企業のものなら信用できるという高い信頼性が得られるのが、先行者利益獲得のメリットです。

先行者利益の獲得において生じる3つのデメリット

先行者利益獲得にはデメリットもあります。

新規市場参入のため資金が必要なことや、リスクが予想しづらいなどです。

事業内容によっては、先行者になるより後に続く方が良いケースもあります。

ここからは、先行者利益獲得で生じる3つのデメリットを詳しく説明しますね。

デメリット①コスト負担が大きくなる

先行者利益を獲得すると大きな先行投資が必要になります。

製品やサービスの開発や市場開拓のマーケティングのために多くの費用がかかるからです。

なので、コスト負担が大きくなることが先行者利益獲得のデメリットになります。

新規の市場では自社の商品・サービスがすぐに認知される訳では無いので、成果が上がるまで時間を要する可能性がありますよね。

利益が上がるまでの資金の準備も必要です。

先行者利益を獲得すると有利なことばかりではなく、大きなコストがかかることも理解しておきましょう。

デメリット②想定以上のリスクを負う可能性がある

先行者利益を獲得すると、想定以上のリスクを負う可能性があることがデメリットです。

事業を行っていると想定できるリスクには対策が取れますが、新規市場では参考にできる過去の事例が無いので予測できないリスクに出会うケースがあります。

そのため思わぬ失敗をする可能性も出てきますよ。

先行者である以上どんなに入念な計画を立てても想定外のトラブルは起こるので、適切な対策をとりながらその都度解決することが大事です。

デメリット③後発者利益を狙う方が有利になる場合もある

「先行者優位」とも呼ばれるだけに、先行者利益の獲得で優位に立てると考えがちですが、後発者利益を狙う方が有利な場合もあります。

後発者利益とは、既存の市場への参入や類似商品・サービスを自社で開発して得た利益です。

後から参入するので市場調査・分析、商品開発で参考にできる事例が多く、考える時間も充分に取れます。

調査・開発のコストが抑えられることも後発者が有利なところです。

実際の市場の動向や顧客ニーズを基にして事業に参入できるので、失敗のリスクも抑えられ安全にビジネスを進められます。

【成功事例・失敗事例】4つの事例から学ぶ先行者利益の使い方

先行者利益獲得には、自社の特性を活かして成功した企業や、ライセンスを得ることで成功した企業もあります。

一方で周りの変化に気づかなかったり、技術面で後れを取り失敗した企業もありますよ。

詳しく紹介するので、成功事例・失敗事例を見ながら先行者利益の使いかたを学んでいきましょう。

事例①Facebook

Facebookは当時学生だったマーク・ザッカーバーグが「世界のつながりを強める」という信念で立ち上げたSNSです。

世界最大級のSNSであり、ソーシャルメディア市場における先駆者として広く知られています。

使い勝手の良いSNSを目標とし、実名登録制で信頼性を高めたことで多くの支持を集めました。

今ではユーザー数29億9,000万人になり、広告収入やデータの活用によって成功を収めています。

事例②Microsoft

MicrosoftはWindowsの開発によりパソコンオペレーティングシステム(OS)市場で先行者利益を確立し成功しました。

WindowsはMicrosoftがライセンスを取得しているのでWindowsが他社製品で使われるとライセンス料が入る仕組みができています。

パソコンのソフトウェアとして広く採用され、他の競合他社が互換性を持たせるためにWindowsに合わせるぐらい、OS市場で主導権を握っています。

事例③Nokia

Nokiaはモバイル電話業界で長い間リーダーでしたが、スマホへの変換期に顧客ニーズを読み違え先行者利益を見逃してしまいます。

その結果、市場シェアを急速に落としてしまいました。

iOSやAndroidなどの新しいOSの台頭に対応できないなど、Nokiaの失敗事例は市場の変化に対応できなかったことに原因があります。

事例④Kodak

Kodakは先進的な技術と革新的なマーケティングで、フィルム市場の領域で世界的なブランドとしての地位を確立していました。

ですが写真業界でもデジタル化が進んでいるのに適切な対応ができなかったKodakは、従来のフィルムベースのカメラに固執してしまったのです。

その結果、デジタルカメラ市場を牽引する他社に取って代わられ、先行者利益の獲得に失敗してしまいました。

先行者利益は嘘?先行者利益を活かすためのマーケティング戦略

  • 市場の変化やトレンド、顧客ニーズを見逃さない
  • 新しい技術の導入や商品・サービスの開発
  • 顧客に早く認識されるようにブランド価値を高める

これらが先行者利益を活かすために必要なマーケティング戦略です。

先行者になると市場シェアや商品の規格・価格設定など、業界内で優位に立つことができます。

先駆者としての信頼も得られるので多くの利益が見込めますよ。

ですが、先行者利益を獲得しただけで成功するとは限りません。

順調に進んでいるはずのビジネスでも、市場の変化や競合他社の状況次第で先行者利益が崩れる可能性もあります。

なので、常に市場動向を把握し、マーケティング戦略の見直しや改善を行うことが重要です。

まとめ

この記事では、先行者利益について紹介しました。

最後に簡単にまとめます。

  • 先行者利益とは新規市場で利益を独占したり多くの利益を得ること
  • 先行者利益を獲得すると市場シェアを多く獲得でき価格競争にならないメリットがある
  • 先行者利益の獲得で主導権を握れたり業界の代名詞になれることもメリット
  • 先に参入する分マーケティングや製品開発にコストがかかり、リスクの予測が難しいというデメリットがある
  • 先行者利益のデメリットは後発者利益の方がコスト・リスクの面で有利なケースがあるところ
  • 市場の変化や顧客ニーズの見極め/技術・サービスの開発/ブランド価値を高めることで、先行者利益を活かすことが大事

新たな技術や考え方で先行者利益の獲得に成功した企業がいる反面、先行者であったのに時代の流れについていけずに失敗した企業のケースも紹介しました。

新規市場参入を検討している場合は、ぜひこの記事を参考にして、先行者利益を獲得しビジネスを成功へと導いてください。

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