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森谷俊之

LibRu代表取締役

個人・小規模事業者向けのマーケティング・ブランディングのコンサルタント/セールスコピーライター

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インパクトのある言葉とは?心に刺さるキャッチコピー事例を紹介

  • キャッチコピーは短い方がいいのはなぜ?
  • インパクトのある言葉とは面白い言葉のこと?
  • 心に刺さるキャッチコピーが知りたい!

商品や企業のイメージを伝えるキャッチコピーは、文章を長くすれば伝えられることが多くなります。

しかし、実際に世の中で認知されている有名なキャッチコピーは、どれも短くまとめられていますよね。

心に刺さると言われるキャッチコピーの多くは、短くインパクトのある言葉が使われています。

それでは、インパクトのある言葉とは一体どのようなものなのでしょうか。

誰もが一度は聞いたことがあるキャッチコピーを例に、インパクトのある言葉について解説します。

目次

なぜキャッチコピーにインパクトのある言葉を使うのか?

キャッチコピーを長文にしてしまうと、情報過多となり、結果的に「何を伝えたいのかすぐに理解ができない」となってしまいます。

長い文章は、一度読んだだけでは内容をすべて理解することができませんよね。

句点で区切った文章を読んで理解をしたら、次の文章を読みながら理解を進めつつ、前の文章の意味を頭のなかに留めておく必要があります。

こうした作業は脳にとても負担がかかり、文章がなかなか頭に入ってきません。

意味も掴みにくく感じるでしょう。

キャッチコピーは商品や企業について詳しく知ってもらうためのツールではなく、商品や企業そのものを知ってもらうきっかけを作るものです。

短い言葉でユーザーの関心をひくことが目的なので、インパクトのある言葉を使う必要があるのです。

心をグッと引き寄せるキャッチコピー例はこちらの記事を、事例から学ぶキャッチコピーの考え方とコツはこちらの記事を参考にしてください。

「え!なんで?」思わず聞き返したくなるインパクトのあるキャッチコピー

インパクト(impact)には、日本語で衝撃や影響、反響などの意味があります。

日常にありふれていたり、一般的な価値観を含んだ言葉では、衝撃や反響を感じることはありません。

反対に、人は意外性を感じると衝撃を受けやすくなります。

代表的なキャッチコピーには以下のものがあります。

それぞれのキャッチコピーについて、詳しくみてみましょう

なお、意外性を感じるキャッチコピーは、ボディコピー(本文)を読ませるリードコピーとしても活用することができますよ。

リードコピーの役割や書き方については、こちらの記事を参考にしてください。

『申し訳ありませんが、初めてのお客さまには ドモホルンリンクルを お売りできません。』再春館製薬

商品を買ってもらいたいからコマーシャルを流しているのに、「売りません」と真逆な言葉が聞こえてくると、「どうしたら買えるの?」と商品を調べるきっかけになりますよね。

また、キャッチコピーが「売りません」ではなく、「申し訳ありませんが」「お売りできません」という丁寧な言葉遣いをしているため、否定をしていてもユーザーが不快にならない配慮がされています

『女は大学に行くな、』神戸女学院大学

第一印象はなんとも時代錯誤なキャッチコピーに思えますが、よく見ると「、」となっており、文章はこれで終わりではなく続きがあります。

「女は大学に行くな、という時代があった」が本来の文章になっていて、現代の女性は自由に未来を選択できることを大切にしましょう、というメッセージにつながっています

電車内広告で掲載されると多くの人が「本文までしっかりと読んでしまった」「読んで泣きそうになった」と反応を示しました。

言葉自体にインパクトがあるだけではなく、文章の構成にも次を読ませる仕掛けが施されており、キャッチコピーがリードコピーとなった良い例です。

『今朝の一杯をお届けするのに、3年かかりました。』全農 牛乳新聞広告2009.3.13

牛乳は工場で材料を混ぜて作っているのではなく、手塩をかけて育てた乳牛から絞ったものを品質を管理しながら届けられるものです。

これは、毎日牛の世話をしている酪農家の方にとっては当たり前のことでしょう。

しかし、立場を変えてユーザー目線になると、忘れていたりよく考えずに手にしていたことを思い起こさせる文章になっています。

誰かにとっては当たり前のことでも、他の人にとっては当たり前でなければ、インパクトを与えられる言葉になることがわかるキャッチコピーですよね。

「確かに!」思わずうなったインパクトのあるキャッチコピー

ユーザーが思っていることをキャッチコピーにすると、多くの共感を得ることができます。

しかしユーザーにとっては当たり前のことすぎて、インパクトに欠けると考えますよね。

キャッチコピーでは「企業は企業目線でものを言う」という当たり前を、「企業がユーザー目線でものを言う」へ変換するだけでインパクトがあるのではないでしょうか。

代表的なキャッチコピーには以下のものがあります。

それぞれのキャッチコピーについて、詳しくみてみましょう。

『だって、美容室でも 歯医者さんでも、マンツーマン じゃないですか。』Gabaマンツーマン英会話

美容室や歯医者といった場所ではマンツーマンが当たり前ですよね。

こうした場面を想像させることで、「どうして英会話はマンツーマンではないの?」と感じていたユーザーの疑問を肯定的に捉えることができます。

なにより、このキャッチコピーを発信しているのが英会話スクールのGabaであることも、ユーザーは新しく感じるのではないでしょうか

Gabaはマンツーマン専門の英会話スクールですが、これを特別な売りにせずに、あえて当たり前という目線でキャッチコピーに盛り込んでいます。

『そんなに荷物を持って、どうやって傘を差すの?』ゼンリン地図ナビ

誰もが一度は経験していそうな場面をキャッチコピーに取り入れることで、多くのユーザーから共感を得ることができます。

キャッチコピーの下には「梅雨時の迷える男たちへ、屋根の多いルートを」とサブキャッチコピーがあり、ゼンリン地図ナビを使えば雨に当たることなく目的地まで行けることがわかる流れとなっています。

企業が、ユーザーが地図を使う状況の目線に立ったからこそ作ることができたキャッチコピーですね。

『即レスしなかった程度で失われるものを、友情とは呼ばない』「やめましょう、歩きスマホ。」キャンペーン

2014年までは「やめましょう、歩きスマホ。」のみのキャッチコピーでしたが、それではユーザーの心に響くことはありませんでした。

なぜなら、歩きスマホをしている人の多くは、悪いことをしている意識はあってもメールやSNSにすぐに返事をしなければならないと思っているからです。

しかし、2015年から「すぐに返事をすることは本当に必要なのか?」と問いかけたキャッチコピーにしたところとても話題になり、多くの人に意識させることができました。

やめさせるために考えられたキャッチコピーではなく、なぜ歩きスマホがなくならないのかという視点に立ち、ユーザーの心理に寄り添ったキャッチコピーにしたことで共感を得られたのでしょう。

インパクトのある言葉で宣言!印象に残るキャッチコピー

強い言葉はユーザーの印象に残りやすいですが、特に性別や価値観に関するキャッチコピーは、言葉の選び方によっては批判の対象になることがあります。

代表的なキャッチコピーには以下のものがあります。

それぞれのキャッチコピーについて、詳しくみてみましょう。

『男のコの カワイイは、アテにならない。』earth music&ecology

earth music&ecologyが10周年記念に出した広告のキャッチコピーです。

子をコ、可愛いをカワイイなどカタカナを多用することで否定が強くなりすぎず、全体的に愛らしいイメージになっていますよね。

近年は同性にどう思われるか・思われたいかで服を選ぶ女の子が増えており、earth music&ecologyもその理念で服作りをしていることをボディコピーで伝えています。

冒頭のキャッチコピーは、そのボディコピーを読ませるための導入となります。

『結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです』ゼクシィ

ゼクシィは結婚を控えた人をターゲットにした情報誌のため、結婚が良さを伝えるのがメインになります。

ですが、強調しすぎてしまうと結婚をしない人との比が生まれてしまいますよね。

そこで「結婚しなくても幸せになれるこの時代」という表現を使い、結婚をしない人を否定せずに結婚の良さを伝えています。

今の時代が求めるバランス感覚にぴったりと合っているキャッチコピーです。

『くたばれ、正論。』レッドブルジャパン

刺激的な否定の言葉でインパクトを感じさせるキャッチコピーですが、肯定的に捉えた人は少なく、SNSでは炎上したケースです。

ボディコピーまで読み進めるとレッドブルの「翼をさずける」のコピーに絡め、「自分らしくはばたけ」というメッセージが込められています。

ですが、キャッチコピーのインパクトが強すぎて最後まで読まずに離脱する人が多くなってしまいました

また、強い否定を感じる「くたばれ」だけではなく、「正論」という言葉の選び方にも賛否両論があったキャッチコピーとなりました。

インパクトのある言葉で背中を押すキャッチコピー

インパクトを与える言葉は、強さだけではありません。

応援や寄り添いといった励ましのメッセージや、頑張っている姿を見せることで共闘のイメージを持ってもらえると人の心は動きます。

代表的なキャッチコピーには以下のものがあります。

それぞれのキャッチコピーについて、詳しくみてみましょう。

キャンペーンのキャッチコピーの作り方については、こちらの記事を参考にしてください。

『冬を取り戻すんだ。』JRSKISKI

2022~2023年シーズンの「JR SKISKI」キャンペーンのキャッチコピーは、時代の背景を色濃く切り取ったものとなっています。

この場合の取り戻す冬とは、制限なく声を出して友達や家族と過ごす大事な時間のことで、ボディコピーでは「私たちはまだ取り戻せる。一緒に過ごしたかった冬は、まだ始まってもいないのだから。」と結んでいます。

コロナ渦が生み出した普通に過ごす感覚を冬のレジャーに絡めて表現し、青春時代を失った多くの人から共感を得ました。

『負けるもんか。』HONDA

「誰が」や「何を」といった主体性がない文章にしているので、キャッチコピーを読んだ人が「自分」や「悩みや問題」に置き換えやすくなっています。

キャッチコピーが制作されたのが、東日本大震災の翌年の2012年だったこともあり、力強く言い切ったこのキャッチコピーに励まされた人も多くいました。

『このままじゃ、私、可愛いだけだ。』朝日新聞社

「可愛いだけの自分に満足するのではなく、新聞を読んで自分を変えよう」という前向きなメッセージが受け取れます。

キャッチコピーだけを見ると新聞社の広告とはわかりませんが、興味をそそられよくポスターを見てみると新聞社の広告とわかります。

女子高生と新聞という重なりにくいイメージと併せて、二重のインパクトがありますよね。

デザインでインパクトを出したキャッチコピー

デザインに凝ったキャッチコピーは、遊び心があって楽しめるだけではなく、文字だけでは伝わらない想いや意図を含めることができます。

代表的なキャッチコピーには以下のものがあります。

それぞれのキャッチコピーについて、詳しくみてみましょう。

反応率を上げるホームページのキャッチコピーの作り方については、こちらの記事を参考にしてください。

『恋人は置いてきました。』石屋製菓(都内版)

石屋製菓が、北海道以外では初となるギンザシックス出店時に出した広告のキャッチコピーです。

キャッチコピーには「白い恋人」とは書かれていませんが、石屋製菓の代表的な商品の「白い恋人」がデザインされており、石屋製菓の名前をよく知らなくても「白い恋人」の製造メーカーということが一目でわかります。

さらに、「恋人は置いてきました」というキャッチコピーによってギンザシックスでは「白い恋人」は取り扱っていないことを示すユニークさがユーザーの関心をひきました。

この広告には北海道版が存在し、そちらは「恋人は置いていきます。」がキャッチコピーになっています。

「白い恋人」が北海道でしか買えないことを強調しています。

『さ、ひっくり返そう。』そごう・西武

2020年の元日の新聞広告に掲載されたそごう・西武のキャッチコピーです。

弱気で投げやりな心情が切々と綴られた文章の下には「ここまで読んでくださったあなたへ。文章を下から上へ、一行ずつ読んでみてください。逆転劇が始まります」と書かれています。

キャッチコピー通りに文章をひっくり返すと、同じ文章ですが読む順番を逆さに変えただけで、どんな逆境でも折れない強い心を表す内容に変わる仕掛けとなっていました。

また、デザインに採用されている炎鵬関が幕内最小ながら大活躍をしている力士ということも、広告のインパクトを強くした理由のひとつです。

インパクトのある言葉を使うと面白いキャッチコピーができるのか?

インパクトのある言葉とは、意外性を感じさせたり衝撃的な言葉遣いによって、相手の関心を一気にひきつけるものです。

そこには、価値観の否定や共感といった感情の揺れが伴います。

一方で面白いキャッチコピーからは笑いや楽しみを感じるものなので、両者には明確な違いがありますよ。

インパクトのある言葉を使ったからといって、面白いキャッチコピーになるとは限りません。

とはいえ、どちらも人の興味をひくことに変わりはなく、商品や企業のイメージに合わせて使い分けるのがよいでしょう。

思わず目を引く面白いキャッチコピーの例は、こちらの記事を参考にしてください。

まとめ

キャッチコピーを例に、インパクトのある言葉の使い方について紹介しました。

最後にこの記事をまとめます。

  • キャッチコピーは短い言葉で、ユーザーの関心をひくことを目的に作る
  • 一般的な価値観を壊したり、否定のような強い言葉は印象に残りやすい
  • 強い言葉をキャッチコピーに使うときは、言葉の選び方に注意をする
  • 共闘のイメージを抱けると人の心は動きやすい
  • デザインと組み合わせたキャッチコピーも効果的

キャッチコピーはユーザーが読みやすく、意味を理解しやすい短文で作るのが基本です。

強い言葉はインパクトがありますが、キャッチコピーが与える衝撃や影響はネガティブの方向に向かうものではなく、読み終えた後に希望や光を見い出せるものがよいでしょう。

事例から学ぶキャッチコピーの考え方とコツは、こちらの記事を参考にしてください。

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