噴水効果(シャワー効果)とは?マーケティングの意味や具体例を解説
- 噴水効果って何?心理学の観点から学んで、マーケティングに生かしたい!
- シャワー効果との関係は?違いがわからない
- 噴水効果とシャワー効果の効果的な使い方を知りたい!
「噴水効果」と「シャワー効果」は、ビジネスなどさまざまな場面で使われている人の動線を変えることができる心理テクニックです。
実際に、デパートなどのマーケティングでは、「噴水効果」と「シャワー効果」が効果的に使われており、店舗全体の売り上げを上げることに成功しています。
この記事では、「噴水効果」と「シャワー効果」のマーケティングの意味や具体的な事例をご紹介しています。
「噴水効果」と「シャワー効果」を理解して効果的に使えば、ビジネスや恋愛を成功させることにつながりますよ。
デパートのマーケティングで使われる「噴水効果」と「シャワー効果」とは
「噴水効果」と「シャワー効果」とは、主にデパートのマーケティングで使われている心理テクニックのひとつです。
デパ地下グルメや入り口付近のきらきらした化粧品売り場にひかれてデパートに入ったことはありませんか?
また、物産展などのイベントやレストランなど魅力的なものは、たいてい入り口から遠い上層階で展開されていますよね。
これは、魅力的な商品やサービスを店舗の入り口、もしくは上層階に置くことで、お客さんに店舗全体をまわってもらえるような動線設計がされているためです。
つまり、ついで買い効果を狙っているというわけですね。
では、「噴水効果」と「シャワー効果」について詳しく見ていきましょう。
噴水効果とは
噴水効果とは、店舗の入り口付近を充実させることでお客さんを店舗に引き込み、上の階に誘導する心理テクニックです。
デパートでは、地下のグルメや1階入り口付近の化粧品売り場が充実していますよね?
これはデパートのメインターゲットが大人の女性という理由から、このターゲットが魅力的だと感じるグルメや化粧品コーナーを入り口付近に配置しているのです。
魅力的なグルメや化粧品によって店舗に引き込まれたお客さんは、「ほかにもいいものがあるかもしれない」と思い、上の階の店舗にも足を運ぶようになります。
このように水が下から上へ噴き出すように、人の流れを誘導するのが噴水効果です。
目的の買い物の前後に、ほかの店舗も気にしてもらえる動線をつくっておいて買うつもりのなかった商品もついでに買ってもらえれば、結果的に店舗全体の売り上げを上げることができるのです。
シャワー効果とは
シャワー効果とは噴水効果とは逆に、上層階の店舗を充実させることで、目的の店舗への行き帰りのついでに、ほかの店舗にも誘導する心理テクニックです。
物産展などのイベントを目的にデパートへ行き、その行き帰りに目についた店舗につい入ってしまったという経験はありませんか?
これは集客力の高いイベントを利用したシャワー効果によるものです。
上層階までお客さまを引き込み、そこから下の階へ人の流れを作ります。
店舗全体の売り上げを伸ばすマーケティング戦略においても有効なテクニックです。
そのためデパートでは上層階にイベント会場やレストランなど、お客さまにとって魅力的な商品やサービスを充実させています。
また、イベントによっては普段とは違う客層の来店も見込めるため、デパートにとっては新たな顧客獲得のチャンスにもなりますよね。
このように、お客さまにとって魅力的な商品やサービスを入り口から遠いところに配置することで、人の流れを作るのがシャワー効果です。
組み合わせるとより有効?噴水効果とシャワー効果の関係性
噴水効果とシャワー効果は相性が良く、組み合わせることで相乗効果が期待できます。
先ほどのデパートの例を見てみるとわかるように、噴水効果とシャワー効果は組み合わせて使われていることがほとんどです。
まず充実した入り口付近に魅力を感じて店舗に引き込まれたお客さんが、上層階のレストランも気になって上の階まで上がっていきます。
そして上層階のレストランを楽しんだあと、帰るために一階まで降りていくのです。
つまり噴水効果によって店舗に引き込まれ、シャワー効果によって上層階に誘導されたあと出口に向かう途中のお店が気になり、立ち寄ってしまうというわけですね。
その結果、1回の来店で店舗全体をまんべんなくまわってもらうことができるのです。
このように、噴水効果とシャワー効果をセットで使うことで、どちらか一方の対策をとるよりも、高い売り上げを見込めるようになります。
【ビジネスでの活用法】噴水効果とシャワー効果を組み合わせている事例を解説
「噴水効果」と「シャワー効果」は、デパートなどのマーケティングで有効であり、組み合わせることで、相乗効果が期待できるとわかりましたね。
デパートの事例では「その効果を経験したことがある!」と思った方も多いのではないでしょうか?
さまざまな場面で有効な心理テクニックなので、気づいていないだけで身近にある施設でも多く使われています。
ここでは、デパート以外の身近な施設で実際に使われている「噴水効果」と「シャワー効果」の事例をご紹介しますね。
事例①コンビニエンスストア
「噴水効果」と「シャワー効果」は立体構造の建物だけでなく、平屋構造のコンビニエンスストアでも使用されています。
たくさんのコンビニエンスストアがありますが、どの店舗も同じような配置で商品が並んでいますよね?
これは、売り上げを最大限に得られる動線が考えられているからです。
コンビニエンスストアでまず目に入る雑誌コーナーは、「噴水効果」をねらった配置です。
店舗の入り口付近に雑誌コーナーを設置すると、外から立ち読みしている人が見えるため、心理的に店舗に入りやすくなる効果があります。
さらに「シャワー効果」をねらって、入り口から遠い奥の壁に飲み物やお弁当が配置されています。
コンビニエンスストアには飲み物やお弁当を目的にやってくるお客さんが多いので、それらの商品を奥に置くことで、目的の商品にたどり着くまでにほかの商品も目に入るようにしているのです。
また、レジの近くには買うつもりはなかったのについ買ってしまいたくなる商品が多いですよね?
このように、目につく商品をレジの待機列近くの陳列棚に配置するといった工夫も施し、売上につなげているのです。
事例②大型ショッピングモール
大型ショッピングモールでも「噴水効果」と「シャワー効果」が有効に使われています。
大型ショッピングモールでは、スーパーやレストランは1階に、フードコートや映画館は上層階に配置されていることが多いですよね。
1階にスーパーやレストランが配置されているのは、「噴水効果」によってお客さんを店舗に引き込むねらいがあります。
なぜなら、大型ショッピングモールのメインターゲットは家族連れであり、家族で出かけたときにスーパーやレストランが最終的な目的になることが多いからです。
そして、お客さんが最初の目的で訪れることの多いフードコートや映画館は上層階に配置されています。
これは「シャワー効果」によってフードコートや映画館までの行き帰りでほかの店舗に誘導することをねらっているのです。
とくに、上層階のフードコートは最初の目的だけではなく最後にご飯を食べて帰るといった最終的な目的にもなるので、噴水効果、シャワー効果ともに有効でしょう。
また、立体駐車場が上層階に多いのも、シャワー効果で上の階から下の階に向かって買い物することをねらっています。
このように、大型ショッピングモールでは「噴水効果」と「シャワー効果」の相乗効果が有効に使われていることがわかりますね。
事例③ディズニーランド
実は、ディズニーランドでも「噴水効果」と「シャワー効果」が使われています。
ディズニーランドでは「噴水効果」をねらって入り口付近にはお土産屋さんを配置してあります。
最初にお土産屋さんを見せておくことで、帰りにお土産屋さんが目に入るとお土産を買って帰りたくなるのです。
楽しい気持ちでお土産屋さんに入ると、普段は買わないようなものもつい買ってしまいますよね。
また、お客さんにとって魅力的な人気のアトラクションは奥の方に配置されています。
ゲートから目的の人気アトラクションまでの距離を遠くすることで、「シャワー効果」が働き、お客さんはパーク内をまんべんなくまわることができるのです。
噴水効果とシャワー効果の意外な活用法
ここまで「噴水効果」と「シャワー効果」は、主にマーケティングで使われていることをご説明しました。
しかし「噴水効果」と「シャワー効果」は、人の気持ちや行動に影響を与える心理テクニックなので、マーケティングの場面だけでなく普段の日常生活のなかでも活用できます。
ここでは、マーケティング以外にどんな場面で「噴水効果」と「シャワー効果」が有効なのか見ていきましょう。
活用法①デートはシャワー効果
デートでは、「シャワー効果」を活用したプランを立てると一緒にいる時間が長くなるため、親密度が上がり仲良くなれます。
例えば、よくデートプランにあがるクリスマスのイルミネーションでは「シャワー効果」を有効に使えます。
クリスマスのイルミネーションのイベントは、たいていクリスマスツリーが奥に設置してありますよね。
奥にある目的のクリスマスツリーにたどり着くまでのイルミネーションをゆっくり楽しんだり、道中にあるお店などに立ち寄ることで、一緒にいる楽しい時間が長くなります。
一緒にいる時間が長くなると親近感がわくので、恋がうまくいく可能性が高くなるでしょう。
活用法②Webマーケティングは噴水効果
Webマーケティングでも「噴水効果」を応用できます。
読者を引き込むためには、デパートの入り口にあたる冒頭で結論を見せることが大事です。
一番知りたいことを最初に書くことで、読者を引き込み読み進めてもらえます。
Twitterでも、入り口であるツイートやプロフィールが充実していないと興味がわかずフォローするまでに至りませんよね。
このように、Webマーケティングではまず最初に読み手の心をしっかりつかむことが重要となるため「噴水効果」がとても有効なのです。
2023年7月よりTwitterはX(エックス)へ名称を変更しています
まとめ
マーケティングで使われる「噴水効果」と「シャワー効果」について具体例をあげて解説しました。ここで解説したことを最後に簡単にまとめます。
- 「噴水効果」とは、店舗などの入り口付近を充実させることで、下から上にお客さんを引き込む心理テクニック
- 「シャワー効果」とは、魅力的なものを入り口から遠いところに配置して、上から下へ店舗などをまんべんなくまわる動線をつくる心理テクニック
- 「噴水効果」と「シャワー効果」は組み合わせることで相乗効果が期待できる
「噴水効果」と「シャワー効果」を効果的に使うと人の動線をコントロールすることも可能です。
動線を計算して人の流れを作れば、お客さんのついで買いを促すことができ売り上げアップにもつながります。
また、マーケティングだけでなくデートなどさまざまな場面で活用できる心理テクニックなので、ぜひ試してみてくださいね。