小さな会社の組織図とは?作り方を徹底解説
- 従業員数も少ないし、小さい会社には組織図は必要ない?
- 小さい会社はどうやって組織図を作ったらいいの?
- 小さな会社が組織図を作る際の注意点とは?
中小企業の経営をしている方の中には、組織図は規模の大きな会社には必要だが、規模の小さい会社には必要ないと考えている方もいるでしょう。
ですが組織割りがあいまいだと、ムダな時間の発生やミスの誘発のリスクが高まります。
限られた人数で効率よく業務を進める必要のある小さな会社にとって、組織図は作成しておくべきでしょう。
この記事では、組織図の作り方とポイントについて解説していきます。
この記事をぜひ参考にして、未来を見据えた組織図を作り、小さな会社の効率アップをはかりましょう。
小さな会社の「組織図」とは?
組織図とは、会社の内部構造や役割分担が一目でわかる図のことです。
部署や部門間の相互関係、指揮命令系統が示されており、組織図を見れば組織の構造が理解できるようになっています。
特に小さな会社の場合、部署や部門間の相互関係や指揮命令系統が頻繁に変動するため、それらが不明確になりやすい傾向があります。
業務の担当者や責任者が分からなくなったり、特定の部署や人に負荷がかかったりするケースもあるでしょう。
このような状況は、会社を運営していく上で、業務効率を悪化させる要因となります。
組織図を作ることで、部署や担当者の責任範囲が明確になり、業務の分担や調整がしやすくなるので業務効率の向上につながります。
小さな会社だからこそ、組織図を作って「見える化」を図ることでメリットが得られるのです。
小さな会社こそ組織図を作るべき3つの理由
小さな会社が抱える問題として「お金」「人」「時間」の3つはよく挙げられますね。
そんな小さな会社にとって、組織図を作ることは「ヒト」の問題を解決するのにうってつけです。
ここからは、なぜ組織図を作ることで「ヒト」の問題を解決できるのかの理由について詳しく説明していきましょう。
理由①人材を採用・育成できる
ひとつ目の理由は、組織図を作ることで効率よく人材の採用・育成ができることです。
組織図を作ることでどの部署にどのようなスタッフが不足しているのか、逆にスタッフが余っている部署はどこなのか、を明確にできます。
要は、会社にどのような人材がどのくらい必要なのかが見えてくるのです。
「人が足りないからとりあえず誰か雇おう」「雇ってから配属先を考えよう」というスタンスで人材を採用すると、以下のような人材のミスマッチが起こりやすくなります。
- 人が足りているところに配属してしまう
- やってもらうべき作業が得意でない人を配属させてしまう
- 特定の部署に業務が集中してしまう
組織図があれば、人材のミスマッチを防ぎ、適材適所に人を配置できます。
計画性のある人員配置を行い、効率よく人材を採用・育成するためにも、小さな会社こそ組織図を作る必要があるのです。
理由②特定の社員や部署に仕事が集中しすぎるのを防げる
属人化や権限の集中を防げることも、組織図を作るべき理由です。
小さな会社であるほど、社員一人ひとりの仕事の範囲が広く、「その担当しか分からない」といった属人化が起こりやすいですよね。
また、小さな会社であるほど、特定の部署や社員に権限が集中してしまうケースもあります。
組織図をつくることで、決裁の流れや担当している内容が明確にできれば、仕事を適切に分散できます。
「似たような仕事をしているから統合できないか」「ここからは別部署に任せたほうが効率が良さそう」など、組織図をもとに会社の流れを改善、ブラッシュアップできるでしょう。
理由③社員同士のコミュニケーションが円滑になる
仕事中に分からないことがあるけれども「この業務を誰が担当しているのか分からない」といった経験はありませんか。
誰が担当しているのかが分からないので、あちこちに聞いて回り、時間をムダにしてしまうケースもあるでしょう。
組織図がないと、コミュニケーションコストが高くなるだけでなく、社員同士の力関係で分業と調整に不公平が発生する可能性があります。
コミュニケーションコストや不公平さを排除し、社員が自分のやるべき業務に集中して取り組むために、小さな会社であっても組織図を作ることは大切です。
コミュニケーションコストが気になった方は、ぜひこちらの記事もチェックしてください。
小さな会社の組織図の作り方を3ステップで紹介
ここでは、小さな会社における組織図の作り方を紹介します。
組織図をうまく活用するためには、「目的」に沿った組織図を作れるかがポイントとなります。
これから紹介する流れに沿って、会社にとって役立つ組織図を作っていきましょう。
ステップ①組織図を作る目的をはっきりさせる
まずは何のために組織図を作るのか、目的をはっきりさせましょう。
組織図の目的を明確にすれば、正しく運用できるからです。
組織図を作る目的は、大きく分けると「外部向け」と「内部向け」の2つがあり、以下のような例があげられます。
- 外部向け:外部からの信用を得るため
- 外部向け:会社の特徴を知ってもらうため
- 内部向け:指揮命令系統を明確にするため
- 内部向け:社員同士のコミュニケーションを活性化させるため
会社の課題や抱えている問題の解決につながる目的に沿って、組織図を作ることが大切ですよ。
ステップ②会社に必要な機能を洗い出す
組織図の目的が定まったら、組織の構造を把握するために会社に必要な機能を洗い出します。
たとえば「〇〇部 △△課 1係」のように、会社の機能を情報としてしっかりと書き込むようにしてください。
小さな会社の場合、責任者だけでなく所属する人の名前も載せると、より分かりやすい組織図が仕上がりますよ。
会社にとって必要な機能が網羅された組織図を作るために、現状の機能はもちろん、将来的に必要となる機能もしっかりと洗い出していきましょう。
ステップ③ツールを使って組織図を作成する
次に組織図の作成ツールを使って、実際に組織図を作成していきます。
手書きで作成するのもよいですが、GoogleスプレッドシートやMicrosoftの「SmartArt」のようなツールを使えば、きれいでメンテがしやすい組織図が簡単に作れますよ。
また、組織図は一度作成して終わりではありません。
年度の切り替わりや社内体制の変更などの節目ごとに定期的に見直して、最新の情報を記載するようにしましょう。
組織図にもいくつかのタイプがありますので、ここでは代表的な3つの型をご紹介していきます。
タイプ:階層型
「階層型」は、一番上の階層に最も責任や権限のある組織や人を置き、その下に枝分かれしながら、責任や権限のある順に組織や人を配置していく組織図です。
上層部に責任や権限が集中するトップダウン構造により、指揮命令系統や責任の所在が明確な点が、階層型のメリットです。
小さな会社でも、数十名を擁する規模ですと、複雑な組織を持つところもありますよね。
それぞれの部署ごとに責任者の名前も併記することによって、コミュニケーションコストを省くことができるでしょう。
タイプ:フラット型
「フラット型」は、先述の「階層型」とは似ているものの、組織の階層をより少なくしたフラットな組織図です。
それほど複雑な組織構造や階層構造を持たず、下の階層に広範な責任や権限を与えることによって、スピーディーな情報伝達や意思決定を可能としています。
中間管理職が少なく、トップと現場の距離が近い会社は、フラット型の組織図がおすすめですよ。
数名規模から多くても20名未満の小さな会社にとっては、小ささゆえの小回りの良さを活かすことができるので、最適な組織図と言えるでしょう。
タイプ:マトリクス型
製品/プロジェクト/地域/機能などの要素を、縦軸と横軸で組み合わせたのが「マトリクス型」の組織図です。
たとえば、事業部ごとに独立した運営がなされていて、その中にそれぞれ製造部門や管理部門といった部門が置かれているような会社に向いていますね。
階層型のデメリットである「組織の縦割り化」を防ぎ、縦だけでなく横のつながりも重視するため、組織を越えたコミュニケーションが促進されるのがメリットです。
特に、事業部横断型でプロジェクトを頻繁に行う会社と相性のいい組織図ですね。
小さな会社の組織図を作る際のポイント
小さな会社が組織図を作る際、現在の組織の姿を洗い出すだけではなく、少し先の目標を立てて「未来の組織図」を作ることが大切です。
将来的にどのような会社を目指しているのか、目標やビジョンをもとに組織図を作れば、より成長できる会社づくりができるからです。
特に小さな会社の場合、社長自らが営業や人事、そして事務処理まで担当しているケースが多く見られます。
しかし、いくら社長と言えども、人ひとりでこなせる範囲には限界がありますよね。
持続して成長できる会社になるためには、基盤となる組織づくりが欠かせません。
未来の組織図を作れば、「これからどのような機能が必要だろうか」「現状とのギャップはないのか」「どこを変えなければならないのか」など、成長のためのヒントが見つかります。
現状の組織構造の把握だけではなく、今後力を入れるべき部分や削減すべき部分を把握するためにも、「未来の組織図」を意識することが、小さな会社が組織図を作る際のポイントですよ。
まとめ
ここまで、小さな会社にとって組織図が必要な理由や、実際の組織図の作り方について解説してきました。
最後に、この記事の内容をもう一度振り返ってみましょう。
- 小さな会社でも組織図を作ることによって、人材の採用・育成ができたり、ヒューマンエラーが減って社員が業務に集中できるなどメリットが多い
- 小さな会社が組織図を作る際は、組織図を作る目的をはっきりさせた上で、必要な機能をしっかりと洗い出すことが大切
- 組織図の代表的なタイプには「階層型」「フラット型」「マトリクス型」の3種類があり、自社に合ったタイプを選ぶことで効果を発揮する
- 現在の姿を洗い出すだけでなく、未来を見据えた組織図づくりを行うことによって、より成長できる会社づくりができる
会社が力強く成長し発展していくためには、製品やサービスの改善も大切ですが、それを支える屋台骨としての「組織」づくりが大切です。
組織構造を正しく把握し、業務効率をあげるために組織図は欠かせないものです。
小さな会社であっても例外ではありません。
この記事を参考に、ぜひ組織図を作成して、効率の良い組織づくりを目指してくださいね。