
写真館・フォトスタジオは儲かる?実例から学ぶ起業失敗の原因と成功のコツ
- 写真館を開業したい!
- 写真館を成功させるために何をしたらいい?
- 写真館の開業でやってはいけないことは?
フォトスタジオや写真館を開業する上で、本当に儲かるのかというのは気にかかりますよね。
昨今は大手のフォトスタジオも閉館するなど、写真館は苦境に立たされている市場ともいえます。
しかし低迷している中でも一定の需要はあるため、これまでの写真館とは違ったアプローチで需要に答えていく必要があります。
こちらでは開業前に知っておきたい成功のコツや失敗例、開業にあたっての費用や手順を紹介しています。
これを知らないと後で大変、という注意点も伝えていますのでぜひ見てくださいね。
【失敗談】写真館・フォトスタジオ開業失敗の実例


失敗例を見ることで、同じパターンに陥ってしまう前に早めに対処することができます。
ここでは写真館やフォトスタジオの開業で失敗した実例を紹介します。
開業しどのようにして廃業に至ってしまったのか、見ていきましょう。
環境分析が甘く廃業した20代女性:開業から失敗までの経緯
写真館が流行した時期に、わたしが住む県には写真館がひとつもなく、競合他社がいないことから、セルフ写真館を開業しました。
カメラとパソコンは所有していたので、初期費用備品のみで、家賃は知り合いから破格の価格で借りることができたので、初期費用は抑えて開業できたと思います。
しかし、わたしの店舗がオープンした後に、ライバル店が2店舗オープンしました。
人口から考えても3店舗も需要がなく、段々と売り上げが落ちていき、閉店することになりました。
※上記は自社の独自アンケート調査をもとに作成したものです。
環境分析が甘く廃業した20代女性:開業が失敗した原因
開業失敗の原因は、わたしだけが目をつけていると思い込んでしまったことです。
「ライバル店が参入してきたらどう対応するか」「ライバル店との差別化」をまったく考えていませんでした。
初期投資を抑えて、お小遣いが稼げればいいかなといったスタンスで起業してしまったので、戦略もない状態で長く続けるのはそもそも難しかったのかもしれません。
※上記は自社の独自アンケート調査をもとに作成したものです。
環境分析が甘く廃業した20代女性:失敗から伝えたい開業のポイント
セルフ写真館を開業するなら初期投資を抑えることと、ターゲットの需要から場所を選ぶことがポイントだと思います。
初期投資は小さいほうが失敗のリスクは低くなるとは思いますが、写真館は内観や設備がお店を選ぶときの決め手となるので、それなりに費用をかけたほうが良いと感じました。
お客さんの意見が聞けるなら聞いて、その意見を経営に組み込むこともするべきだと思います。
対策や戦略がなくては難しいとは分かっていますが、わたしのお店も、もっと需要がある地域だったら、ライバル店が増えてももう少し耐えられたのかなと感じます。
なので、誰をターゲットにして、ターゲットがどこに集まるかも考えつつ、店舗の場所を考えなければならないと思います。
※上記は自社の独自アンケート調査をもとに作成したものです。
写真館・フォトスタジオ開業失敗の原因


写真館やフォトスタジオが失敗してしまう原因は、写真を撮る技術ではなくビジネスとしてやっていく方法が考えられていないことが挙げられます。
社会の状況が変わっているのにも関わらず、これまでと同じアプローチをしてしまうと、競合にお客さまが移る可能性も高いですよね。
写真館やフォトスタジオの開業が失敗する原因を3つ挙げているので見ていきましょう。
原因①簡単に真似できる
原因のひとつめは、簡単にマネできてしまうことです。
ビジネスとして一人勝ちはいつまでも続くものではありません。
実際に韓国から始まった写真ビジネスですが、カメラマンがおらず自分でシャッターを切るセルフ写真館は日本でも多く見かけるようになりました。
実例にもあるように、写真市場は後から参入してきた競合が魅力的な価格設定や新しい戦略でポジションを取ることも考えられます。
売れるビジネスモデルはマネされやすく、これは写真館に限ったことではありません。
要は売れるビジネスモデルのなかに、独自性がないことが失敗の原因となるのです。
写真館の開業では、自社のアイデア次第で勝っていける可能性があります。
まだ競合が行っていないビジネスプランであった場合、市場で優位な立場に立つことができる先行者利益が得られることもありますよ。
先行者利益のメリットやデメリットについてはこちらの記事を参考にしてください。


原因②需要がない・少ない
写真館を開業しても失敗してしまう原因の2つ目は、写真館の需要がなくなったり、少なくなっていることです。
お客さまが写真館で写真を撮るシーンとしては、子どものお祝いや就職活動用などが考えられますよね。
少子高齢化が進めば、子どものお祝いで写真を撮る人も減っていくので、ターゲット層がだんだんと薄くなってしまうでしょう。
またスマートフォンや一眼レフカメラなど、昨今では個人が持つツールやスキルの質があがり、プロ風の写真を撮りやすくなっています。
「わざわざ写真館に行かなくても、納得のいく写真が撮れる」と考える人も多く、写真館に行くという選択肢を持っていない人も一定数いるのです。
現在開業を考えている写真館やフォトスタジオの形態について将来性がなく、成長していく見込みも薄いのであれば、失敗の原因になるでしょう。
原因③価値のある体験がない
写真館を開業しても失敗してしまう原因の3つ目は、今や写真を撮ることが価値のある体験になっていないことです。
先ほどもお伝えしたように、昨今は一般的なカメラの精度も高くなり、撮影スキルを上げるための情報発信もされているため、カメラを専門にしていない人でも腕を磨くことが可能になってきました。
スマホやカメラ、照明機材の発達で最近では素人でもプロに近い写真が手軽に撮れる技術ができていますよね。
写真館の開業では写真館でこそ、と思える特別な体験がなければ集客が難しくなり、起業失敗となってしまうでしょう。
ビジネスチャンスを見つけるためには、まずはお客さまの需要を探るためのニーズやウォンツを知ることが大切です。
マーケティング用語のニーズとウォンツの違いについて知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。


写真館・フォトスタジオ開業を成功させる3つのコツ


需要が少ない中で写真館やフォトスタジオの開業が無理なのかというと、そうではありません。
写真館の開業はアイデアや工夫次第で成功する秘訣があります。
ここでは3つのコツをお伝えするので、勝てるパターンを考えていきましょう。
コツ①アイディアの掛け算で強みを強化する
個人の写真館やフォトスタジオ開業を成功させるには、オリジナリティや強みが必要です。
アイデアの掛け算であなたの持ち味を出すことで、お客さまは「この写真館でこの体験がしたい!」と高い価値を感じてもらいやすくなります。
具体的にアイデアを出して考えていきましょう。
アイディア例:証明写真×出張
自社の写真スタジオで就活写真を手がけてきた場合、学校へ出張して証明写真の撮影を行うことが考えられます。
お客さまの立場からすると、就職活動の合間に写真屋を探して予約し、慣れていない写真館にいくことは大きなストレスですよね。
忙しい就職活動中の時間を割くこともなくリラックスして写真撮影ができるため、需要に合ったサービスといえます。
アイディアの掛け算は、チラシやホームページなどで使えるキャッチコピーを作る際にも活用できます。
今回の「証明写真×出張」からは「慣れた場所で就活に勝つ写真が撮れる店」など強みが伝わるキャッチコピーが考えられるでしょう。
キャッチコピーの作り方は、ぜひこちらの記事を参考にしてください。


アイディア例:記念撮影×ペット可
記念撮影とペット可の写真撮影を組み合わせたアイデアもあります。
一般的にペット写真はペットだけの写真、記念撮影は家族だけの写真と思われているところに着目してみましょう。
衣装やスタジオを汚してしまう可能性があるため、ペットと撮れるセットや衣装は限られているケースも多いですよね。
家族のファミリー写真や、結婚式、ファミリーイベントでもペットと一緒に写真が撮れることをアピールすることで、オリジナリティのある自店の強みになってきます。
イベントにおけるペットの衣装需要も高くなっているため、クリスマスや、バレンタイン、ハロウィンなどのキャッチ―なイベントはペットを持つ家庭として心が動きやすくなります。
どんなシーンでもペットと一緒に写真撮影してもらえる、という印象をもってもらえると自社の強みになりファンがつきやすくなりますよ。
事前のヒアリングやペットの撮影のために用意してほしいものなどをホームページに書いておくと、お客さまも安心して予約することができます。
コツ②お客さまにとってのメリットを追求する
成功するためのコツの2つめは、お客さまのメリットを追求することです。
スマホやカメラ機材の進化でキレイな写真が撮れることや加工することが当たり前になった現代では、良い機材が揃っているだけでは足を運ぶ理由にはなりにくいからです。
お客さまのメリットを追求することで、店のオリジナリティが出て「この撮影をしたいからこの写真館で撮りたい!」と勝ち続けることができます。
追求すべきお客さまのメリットを具体的に見ていきましょう。
追求ポイント:キャッチーな内装
写真館にとって、こんな場所で撮りたい!と思わせる内装を作ることが大切です。
最近はSNSなどで個人メディアとしての発信が多くなっているため、ビジュアルを重視する傾向が強いですよね。
個人でもCGの技術を使って自由に背景を変えることができたり、新しい形態の写真館として一軒家をまるごと貸しスタジオになっている「ハウス型フォトスタジオ」が人気なことからも、お客さまにとってどんな世界観で撮ってもらうかが重要であることがわかります。
本当に現在のお客さまが求めている内装なのか、現在流行っている世界観が表現できているか、時代にあっているかなど、開業前に内装を確認しましょう。
ビジュアルに敏感なお客さまに「これは楽しそうだ!」「こういう世界観を撮りたい!」という欲求を持たせることが大切です。
追求ポイント:プロの撮影機材・カメラマン
プロならではの撮影機材であったりプロのカメラマンであることも、追求すべきポイントです。
デジカメや一眼レフ、スマホなど撮影できるデバイスが多くなった現在でも、プロが撮った写真は出来上がりが異なりますよね。
プロの撮影機材やライティングの配置、写真の構図などプロのカメラマンならではの知識や経験は他の選択肢に取って変わることのないポイントです。
お客さまにとって大切な日であるほど、技術力は写真館を選ぶ際の優先度の高いポイントになります。
プロならではの体験にお客さまは高い価値を感じるため、「やっぱり撮ってもらってよかった」「プロに撮ってもらうと仕上がりが違う」と感じてもらえる工夫が必要です。
お客さまがどこの写真館に撮ってもらうか検討する際、SNSなどの口コミは大切な要素です。
他の競合他社に負けないよう、プロならではの価値の高い体験を得られたという口コミを掲載していきましょう。
追求ポイント:お客さまだけの空間(セルフ写真館)
前述しましたが、写真スタジオであってもカメラマンはおらず自分のタイミングでシャッターを押して自由に写真が撮れるセルフ写真館のサービスも人気があります。
プリントシール機のような手軽さと、他の人がいないために自然な写真が気軽に撮れることがメリットです。
事例にもあったように、現在開業しようとしている地域になかったとしても新規参入へのハードルが低いために競合他社が参入してくるリスクがあります。
そのため、お客さま視点で考えられる別のオファーを用意することが必要です。
ライバルに勝っていけるアイデアを考えていくことで、新規参入を図っていきましょう。
コツ③外部サービスを活用する
写真館を開業する際に、ホームページを立ち上げて、予約を取ることを考えている方もいますよね。
自身のホームページを作るやり方もひとつの方法ですが、外部の予約システムを導入することで、検索エンジンにも引っかかりやすくなります。
認知度を上げることで集客ができ、良い口コミを書いてもらうことで自店の信頼度や安心感にもつながりますよ。
外部の予約サービスサイトは成果報酬型の物が多く、広告費とシステム利用料は取られるものの予約がない状態では費用が掛からないため固定客がつくまでは便利なシステムです。
しかし手数料として20%〜35%が必要になり、継続して行うにはランニングコストが高くなってしまう可能性があることも覚えておきましょう。
認知度が上がる集客についてのコツを知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。


写真館・フォトスタジオの開業でよくある質問


開業前によくある質問に答えていきます。
開業にあたって何をどんな流れでしていけばいいか、費用の目安、資格やいくらぐらいの収入が得られるのかについてもお伝えしています。
何が必要かを知って、開業前の不安をなくしていきましょう。
写真館・フォトスタジオの開業の流れ
写真館の開業には、出張型や一軒家貸し切り型、商業施設内、フランチャイズなどのタイプがあり、開業の流れはそれぞれで異なります。
開業の流れで注意したいのは、資金調達と土地物件の確保の流れのタイミングです。
資金調達と土地物件選びが同時並行に行うこともありますが、思ったよりも資金が調達できずトラブルが発生してしまうことがあります。
まずは事業計画を立て、銀行などに資金調達の申し込みをして目途が立ってから物件探しを行うようにしましょう。
写真館・フォトスタジオの開業費用の目安
- 物件取得費:100~300万
- 内装費:250万~1000万
- スタジオ機材:100万~200万
- 備品:100万~200万
- 商品仕入れ費(インテリア小物など):100万~200万
- 広告宣伝費:5~100万
写真館の規模や起業のタイプによっても違い、あくまでも目安ですが、初期費用として計600〜800万円ほどが必要になるでしょう。(※)
(※)独立行政法人中小企業基盤整備機構『業種別開業ガイドファミリー向け写真館 開業のステップ・開業資金』
写真館・フォトスタジオの開業に必要な資格は?
フォトスタジオや写真館を開業するために必要な資格はありません。
ただし、競合もある中でやっていくので勝っていくために日々カメラの技術だけではなくビジネスの勉強も必要になります。
フォトスタジオ開業は自宅でも可能?
自宅でもフォトスタジオ開業は可能です。
ただ、部屋の1室を使ってスタジオにするため撮影パターンが多く作れない点や、普段から生活しているため部屋に料理の臭いがこもっていないかなどに気を配る必要があります。
まとめ
この記事では、写真館やフォトスタジオを開業したい方に向けて、開業方法や成功するコツなどをお伝えしてきました。
これまでのことをまとめてみましょう。
- 写真館の開業失敗は準備不足にある
- 将来性やお客さまに選ばれるポイントがないと、写真館の開業失敗のリスクが高まる
- 強みの掛け算で、自分の写真館でしか得られないポイントを作るのが成功のコツ
- お客さま側にたって、写真館で写真を撮るメリットを追求することも大切
写真館の開業では、セルフ写真館の手軽さやビジュアルを重視するニーズを捉えるなど、アイデア次第で勝てる余地があると言えます。
初期費用など負担が多く掛かりがちな開業ですが、費用のメリハリをつけて多くのお客さまの心を惹きつけるフォトスタジオになってくださいね。